今回は確か亜種二頭の狩猟のクエスト名でしたかね?
ちなみに私はラギアが大好きです。
クロスを買った最大の理由ですねW
平常運転で荒めですが、ぜひご覧ください。
白い光が瞼を染める。
次の日の朝日である。
「・・・・・・」
あまり眠れなかった。だが、不思議とそこまで疲れを感じることはなかった。
それほどまでに、俺にとってアイツは特別なのだ。
アオたちを起こそうと部屋に入ったが、アオたちはいなくなっていた。ふと窓を見ると、海辺で体操をしていた。
健康的で何よりだ。
「朝飯だぞー」
「ニャー」「ニャー」
従順で何よりだ。
今日の朝ごはんはモスポークのベーグルサンドだ。昔から俺は、何か大きな狩りに行くときは必ずこの朝ごはんだった。そのことにもアカは気づいたようで、
「今日、何かあるニャ?」
と聞いてきた。
「おぅ、久しぶりにシロのところに行くぞ」
こいつらもシロのことは知っている。何度もクエストに乱入され、もう知り合いみたいになっている。
「これはまた藪から棍ニャ。もしかして、昨日の手紙ってのはこのことニャ?」
「ご明察。突然で悪いけど、今日行くぞ。自分の装備は整えておいてくれ」
「合点ニャ」「了解ニャ」
二匹の顔がぐっと締まった。
唐突な出来事にも対応してくれるのは本当にありがたい。昔はそうでもなかったのに。
朝ごはんを済ませ、防具を着込む。
ブナハSシリーズだ。切れ味の消費を抑え、状態異常の属性の通りを良くしてくれる。さらには納刀を速くしてくれる。スラッシュアックスを使う身としては、とてもありがたい。毒に弱くなるのは難点だが、シロは毒を用いた攻撃は行わない。乱入に関しても、確か昨日はリオス夫妻を狩ったパーティがあったはずだ。あまり心配せずとも大丈夫だろう。
「あ、そういえば」
キノコの調合を忘れていた。猛毒テングタケってことは、恐らくコレで猛毒生肉を作れってことだよな・・・いろいろ考えながら、調合を進める。
「・・・ん?」
どうも、毒テングタケとは調合するときの手触りが違う。猛毒を防ぐための手袋を着用しているせいか?
いや、でもこれって________
「アロン!早くするニャ!」
・・・怒られた。
気にしすぎも良くない。きっとそういう品種改良をしたんだろう。
そう自分に言い聞かせ、作りたての罠肉をポーチに突っ込んだ。
受付につくと、
「はい、アロンさーん!待ちわびていましたよー」
青い制服を着た金髪のギルドガールが待っていた。
「そんな期待されるほど、俺は強くねぇよ」
キャシーさん。タンジアの人気の受付嬢の一人である。何度もクエストを受注している顔馴染みだ。
「これは私がたまたま、今気づいて貼るんですからね。贔屓やズルなんてしてませんよ?」
流石、出来る受付嬢だ。わかってらっしゃる。
「分かっていると思いますが、内容はラギアクルス亜種一等の狩猟です。最近は近隣での被害も出ているそうですし、早急な対処をお願いしますね」
「ちなみに、その被害の情報を提供したのは?」
「あなたのお父様です」
・・・えぇ、わかっていましたよ。
どうりで誰も白海竜やその被害についての話をしないわけだ。
知らされてないなら、話せることなんてない。
「了解。クエストを受注します」
「はい、承りました」
カモフラージュは完璧。なはずである。
「さぁ、楽しい狩りの時間だ!」
「ニャー!」「ニャー!」
クエスト開始のときに、必ず親父が言っていた言葉だ。
恥ずかしいのでオトモしかいないときにしか言わないが、やはりこれをやると一気に高揚する。
狩り場までの船の中では、いつも通りにバカ騒ぎをして過ごした。マタタビが足りなくなったとか、そんなくだらない話だった。
端から見た人が、向かうところが狩り場など、言われなければわからないくらい、楽しんだ気がする。
まぁ、もっと楽しいのはこれからなんだけど。
「着いたニャ!」「んー、ちょっと体が痛いニャ・・・」
「そりゃあんだけ船のなかで暴れりゃ、揺れて壁に当たるのは分かってただろうが」
「何で止めてくれなかったニャ」
「止めたわ。五回も止めようとした俺を少しは褒めてくれよ」
五回目で諦めた。
「うれ、錨も片手剣も、ちゃっちゃと背負えぃ」
「錨じゃねぇ!」「片手剣と一緒にしないで」
「口調どこいった!?」
ネコートさんに弟子入りでもしたんか。
ラギアSネコアンカー、レウスSネコブレイド。
初めて作ってあげたシリーズの上位バージョン。
かなり気に入っているようだ。
俺も自分の得物を担ぐ。
桜剣蒼斧。
ボーンアックスを強化してからずっと使っている、俺の最高の相棒である。希少種武器に派生が出来るらしいが、まだ狩猟許可が降りない。
気になっているのだが、属性強化などは、武器に宿っている属性を、直接増加させる訳ではないらしい。防具を通して自分の体にダメージが通るのを抑えるために、普段は属性を制御しているようだ。
そのため、属性強化を行える防具は、体に影響が出ないようにするために属性を外に逃がす機構が組み込まれているらしい。
無論、状態異常も同様らしいのだが、毒が倍加されるこの防具で毒武器を担ぐとまずいのではないだろうか。その機構が壊れた途端、俺は毒に殺される気がする。
閑話休題。
用意を終え、キャンプを出る。
上位はランダムでエリアが決められ、秘境というところからクエストを開始出来るらしいが、生憎そこからスタート出来たことは一度もない。
どころか、五回に一度くらいしか、キャンプ以外でスタート出来ない。
メンバーに不思議がられるのは慣れっこである。
シロと会う場所は必ずエリア7だ。そこに向かう。
ちなみに、孤島にはキャンプが二ヶ所あるが、水中の狩りも予想されるためか今回はエリア2に隣接する場所だ。有り難い配慮だ。
エリア7に到着する。が、シロはまだ来ていないようだ。
気配は感じない。
「・・・他のエリアか?どうする?」
最速で辿り着くために、他に出現するエリアには目を通していない。それが誤算となってしまった。
「他を回るのは疲れるニャ。狩猟に影響を生む選択よりは、高率は悪くても待つべきニャ」「待つのだって疲れるニャ。それなら、探しあった方が絶対早いニャ」
オトモは見事に考えが食い違った。
どうするべきか。
「・・・ニャッ!?アロン!後ろニャ!」
「・・・っ!?」
「ゴアオォオオオオオオオオオオッ!!!」
水辺から圧倒的な質量を持つ物体の飛来。
シロだった。
耳をつんざく咆哮。耳栓は持っていないので、悔しいがその場でうずくまった。アオとアカは無事にガードしていた。
ふと水辺から目を反らした隙の来襲。どうやら情報戦は俺の負けのようだ。負けってなんだっけ。
「展開!」
「言われなくてもっ!」「分かってるニャ!」
急ぎで戦闘体制を取る。対応が早い、いいオトモだ。
「ぜいやあぁっ!!」
走る勢いに乗せて、強烈な斧モードの一撃を放つ。前足の爪に刃が通る。最後に会ったときには通らなかったのだ、心に余裕ができる。
刃が通らないことほど、ハンターにとって怖いことはない。
斧モードは打点が高い。下顎から叩き上げ、そのまま降り下ろす。流石に刃の通りはよくないが、弾かれるレベルではない。ループを数回繰り返し、噛みつきを避ける。
「アオ!爆弾で気を引いてくれ!アカはそのあとのフォローを頼む!」
「合点ニャ、必ず!」「何の真似ニャ。ほら、早く準備ニャ」
視界の隅で準備を進めるのが見える。ならば。
「そらっ!余所見なんてさせねぇよ!」
今は俺が、時間を稼ぐべきだ。
視線をアオらに向けさせないように、剣モードに切り替え、胸に連続で切りつける。属性解放突きまでは入れられないが、充分に属性値と時間は稼げたはずだ。シロの頭付近を見ると、紫色の泡のようなものがうっすら見える。
毒状態だ。
「よしっ!アオ、アカ、行っけぇ!」
「特大大タル爆弾、食らうがいいニャ!」「爆煙に隠した、巨大メガぶんどり貫通ブーメラン、存分に味わうニャ!」
「欲張んなお前ら!狩り場で笑わせるな!」
相変わらずのコンビネーション。あ、でもぶんどりは投げてください。爆弾とブーメラン、両方がきれいに命中する。
「ガオォオオオオオオンッ!」
初めて、シロの悲鳴を聞いた。いままで戦った中で、初めて聞く声だった。
それほど原種や他の固体との差はなかった。
「いけるっ!」
「油断は禁物ニャ!尻尾!」
「え?ぐあぁあああああっ!」
The・慢心。
容赦のない尻尾の叩き付けに、俺はなすすべもなく吹き飛ばされる。ブナハシリーズはそこまで堅い防御力ではないため、かなり痛い。倒れたまま、急いで回服薬を煽る。
「痛・・・油断対敵だな」
二匹が駆け寄り、体を起こしてくれる。
「流石に調子に乗りすぎニャ。いい気味ニャ」「大丈夫かニャ!?今すぐ回服笛を吹くニャ!」
「バカ、近くに来るな!さもないと次が_____」
「「ニャぁああああああああっ!?」」
「そら、言わんこっちゃねぇ!」
案の定オトモーズは二週目の尻尾にぶっ飛ばされた。
『集団で眠り状態になったときには危険だから固まってはいけません』
『固まっている標的ほど、狙いやすいものはありません』
いつか教官が言っていたが、ダメージを受けているハンターに、とも追加してほしい。
ラッキーなことに、今度は目の前を尻尾が通りすぎ、俺自身はふっ飛ばされずにすんだ。風圧が心地よい。じゃなくて。
「おい、大丈夫か!?粉塵使うぞ!」
「ふぇあ、助かったニャ!お前、よくもぶっ飛ばしてくれやがったニャ!」「ありがとうニャ」
すぐに起き上がり特攻するアオ。落ち着いてアオのフォローに回るアカ。流石の姉弟だ。アオが暴れようとするから、その分アカは落ち着かないといけないのかもしれない。
いつまでも座ってちゃいられない。
「そうらっ!」
斧モードで戦線復帰。まだ切れ味は落ちていない。
そろそろ毒は切れるだろう。再度毒状態にする間に、切れ味がかなり落ちると予想できる。弾かれにくいスラッシュアックスとはいえ、継続戦闘は厳しいかもしれない。
剣モードで強引に通すか。このまま斧モードでやれるところまで叩き切るか。
戦場で考えるのは危険かもしれないが、この感覚がかなり好きなのだ。
「アオ、アカ!一旦引け!」
「まだやれるニャ!」「そうニャ、まだ危険じゃないニャ。私達が見逃すと思うのかニャ」
「あぁ、分かってたよ!なら尻尾付近に陣取れ!正面を空けてくれ!」
しばらく戦っていたのでそろそろ休憩を挟もうと思ったが、聞いてはくれなかった。
やはりいままでのクエストの恨みか、はたまた何にも考えていないのか。
返事を聞かずに殴り込む。切り上げを頭に当てたが、ガキンっ、と音を立てて弾かれた。腕にくる衝撃が痛い。
「ぐぅっ・・・!」
弾かれてできた隙は決して小さくない。ねじるようにして噛み付きを出される。幸いにも斧で強引に防いだが、守るための武器ではないため、反動は片手剣以上だ。衝撃は抑えられず、大きく後退する。
まだアオたちは張り付いて戦闘しているが、流石に疲労が見える。ここいらが退き時か。
最後に何かしたかったが。斬撃オンリーでの毒状態二回目は厳しい。が、すぐに罠肉があることを思い出した。
欲張って三回目は無理でも、二回目は確実だ。
「お前ら!罠肉使うぞ!今度こそ離脱する!」
「分かったニャ!」「了解ニャ」
罠肉を投げ捨てるようにポーチから取り出し、投げつける。もちろん当てはしない。
そして、俺らはエリア3に向けて、ウルクススのように走りだした。
仕切り直しだ。
エリア3。消耗した切れ味を回復させ、こんがり肉を頬張る。アオもアカもぶっ倒れている。やはり酷使しすぎたのか。
だが、誰も痛手を負っていない。回服薬も、まだ心配しないでいい量が残っている。
「ちょっともう立てないのニャ・・・マタタビおくれニャ」「やりすぎたのニャ・・・マタタビおくれニャ」
「お前らマタタビ好きすぎだろ・・・渡すけどな」
二つ放ると、直ぐに飛び付いた。お前らは餌を撒かれた大食いマグロか。
必ずポーチの中にはマタタビを突っ込んである。そのせいで何度もメラルーにどつかれることか。
「というか、マタタビって一体なんなんだよ?食うのか?匂いでも嗅ぐのか?」
「んー・・・秘密だニャ」
「別に隠すことでもないだろう。教えてくれよ」
「企業秘密」
「・・・・・・」
まぁいいけど。
「そら、行くぞ。マタタビはまた後にしろ」
「はーいニャ」「はーいニャ」
「見たと思うが、罠肉は置いてある。無くなっていたらそのまま突撃。まだだったら、しゃがんで待機。いいね?」
「ニャ」「是」
是って。教えた覚えがねぇよ。親父の書庫でも漁ったのだろうか?
再び、エリア7。
食べ終わってはいなかった。というか、現在進行形で食らっていた。食らいついている・・・食べ終わったのか?
「よし、これで・・・何!?」
毒状態にはなっていなかった。どころか、ピンピンしている。属性値が足りなかったのか?
いや、やっぱりあのキノコって______
「でるぁ!」
すぐに狩り場に意識を戻す。気にしてはいけない。
シロに失礼だ。罠肉使っておいて失礼もなにもないが。
「あれ!?毒った!」
数度切りつけると、紫色の泡がシロの頭口元から出ていた。毒状態だ。
ほんの少し足りなかっただけなのか?
それにしても耐性が上がりすぎだろう。イビルジョーくらいしか、二回目が困難なモンスターはいない。
「ま、結果オーライだ!」
剣モードで一気に攻め立てる。多少のダメージぐらい、気にしてはやってられない。
縦、横、二連続。組み合わせて後ろ足を切り刻む。最後に属性解放。うまく命中し、シロは転倒した。
「今のうちに尻尾!そろそろ切るぞ!」
先程からしばらく尻尾に張り付かせていたのだ。もう少しで切れるだろう。
すぐさま一人と二匹が駆け寄り、メッタ切りにする。その甲斐あってか、転倒から復帰する寸前に尻尾を断ち切ることに成功した。悲鳴をあげ、シロがのたうつ。
「いよっし!お前らよくやった!」
「まだ狩りは続いてるニャ。油断しちゃダメニャ」
「言われなくてもっ!」
集中の糸は切らない。
のたうっている間に、無くなっていたビンをリロードする。削られた分は、回復笛で回復してもらう。
そのとき。
「ギャオォオオオオオオオオンッ!!!」
エリア6から、慟哭の如き咆哮が聞こえた。
「何だ!?乱入か!?」
「どうも嫌な予感がするニャ。気を付けるニャ」
シロもエリア6に目を向ける。鋭い眼光が向けられる。
「どうする?」
「先に懸念事項を無くすのが正解ニャ」「僕もそう思うニャ。シロに集中出来ないくらいなら、先に片付けてしまおうニャ」
「分かった。急いで離脱だ!」
走りながらシロを見る。
シロは止めようとしなかった。
ありがたく移動させてもらうが、悔しいものがある。
これが、生きたシロを見た最後になるとは、分かるわけもなかった。
エリア6にて。
「何もないな」「何もないニャ」「何もないニャ!」
本当に何もなかった。
咆哮をあげた主のようなモンスターもいない。
どころか、小型モンスターさえいなかった。
どういう事か。普段のこのエリアはジャギィの群れによって占拠されている。だが、やかましい吠え声は全く聞こえない。
不気味過ぎるくらいの静寂。
風が唸る。
「・・・・・・」
背中を氷結晶が滑り落ちるような感覚と、どこからかの視線を首元に感じた。
沈黙は突然破られた。
背後・・・いや、頭上からの強襲。
体をかち上げる強い衝撃。
激痛が身体中を駆け巡る。
一瞬視界に移った、黒い身体。
赤黒く光る、禍々しい眼。
落ちながら、俺は意識を失った。
今何が起こったのかは、クエストの後に分かることになる。
昔から思ってたんですが一体スキルってどういう仕組みなんですかね?
竜人族の秘奥なんですかね?
と、現実的な解釈をするなら、と思って属性強化を選んで書いてみました。
皆さんの解釈はどのようなものでしょうか?
最後に出てきたのは誰ですかな(棒)。
次回も見てくれると嬉しいです。
それでは、ありがとうございました!
よければ評価も。