もしも赤星小梅さんが逸見エリカと幼馴染で、西住殿と親友だったら。
曲を聴きながらどうぞ。ガルパンはいいぞ。
赤星さんってあまり話題にならないな、劇場版にもちゃんと出てるのに。という事で色々妄想してみました。
UA1000オーバー…こんな駄文を読んで下さりありがとうございます。
もしも、赤星小梅さんが逸見エリカと幼馴染で、西住殿と親友だったら。
戦車道とは何か?
A:礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸である。
子供にとって、戦車道とは何か?
A:かっこいい。
私にとって、戦車道とは何か?
A:勝つことが全てである。
何故そう思うのか?
A:そう教わってきたから。
どこで?
A:黒森峰女学園戦車隊で。涙と共に。 ―――赤星小梅
◇
『戦車ってかっこいいよね!どこがかっこいいって言うとあれだよ!あれ! おっきな大砲をズドーンと撃つところ!』
『そうだねそうだね!あとは何ていっても、どんな道だろうと火砕流の中だろうと無人の野を往くが如く突き進むところ!』
『それだよね!!』
戦車について、私の頭の中はこんな感じだった。・・・小さな頃の事だけど。
大きくなったらきっと戦車のようにかっこいい大人になるのだと、確信していた。
―――まるで、子供の宝箱みたい。
「赤星。大丈夫か?」
「はい隊長」
「…ならいいが、もうすぐ一回戦の試合だ。集中しろ」
「分かっております。 敵は、全て、叩き潰しますので」
「……その意気だ」
勝利
このたった二文字の為に、黒森峰女学園戦車隊はある。
どこの誰にも負けない。撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れ無し、鉄の掟、鋼の心。
「私は、西住流」
あの人を否定し、追い出した、戦車道。
くそったれが。
―――お願いします。もう何もいらないから、何も知らない頃の私のところにどうか連れて行って。
戦車道なんていう宝箱を開けずに持っているだけの、私のところへ。
「親友を犠牲にしてでも、見捨ててでも勝利する。お前はそんな大人になる」
お前はそんな、私になる。
「ジークハイル、ヴィクトーリア」
例えばこんな赤星さん
『MEMORIES』
試合終了!
第62回戦車道全国大会優勝は、プラウダ高校!!
「赤星、気が付いた?」
「・・・逸見さん?ここはどこですか?」
「医務室よ。・・・どこまで覚えている?」
「はあ、覚えているといいますと・・・」
川に落ちる、私が乗る戦車。
悲鳴、絶叫。
みほさんの顔。
「チームの皆は?! 試合は!? みほさんが助けに来てくれて・・・」
「落ち着きなさい、赤星。あんたの戦車に乗ってた皆は無事よ。・・・試合は負けたけどね」
「…みほさんは?」
「・・・」
―――何でそこで黙るんです、逸見さん。
「逸見さん、もう一度聞きます。みほさんは無事ですか」
「無事よ」
・・・・・ッよかった。
「ただ、……もうこの学校にあの子の居場所は」
「どういうことですか?」
「家元があの子を呼び出したわ。黒森峰女学園戦車隊の人間で、この意味が分からないなんてことはないわよね?」
―――行かなくては。
すぐさま立ち上がり、フラつく頭に一発拳を見舞い医務室の扉を開ける。
「待ちなさい。何処に行く気?」
素早く私の手を掴む、幼馴染の手。
「離してください。みほさんは何も悪くないと、主張しなくてはなりません」
「家元から、誰も近寄らすなとの命令を受けてるの。聞けないわ」
「私は、当事者です!!!」
そう、川に落ちた戦車の車長は私。我が校が10連勝を逃がした原因は私なのだ。
断じて私の親友ではない。
「駄目よ。小梅、聞きなさい」
「いいえ。エリカ、離して」
邪魔するのなら、たとえ貴女でも。
「小梅、おかしいと思わないの?」
「?……エリカ?」
「腕っ節で私が貴女に勝てるわけないのに、何で私は貴女にこんなにもペラペラ喋っているのかしらね?」
「まさか、」
「ねえ。今日は一体、何日だと思う?」
私は決勝戦の日から3日間意識を失っていたという。
その間に西住みほさんは黒森峰女学園から転校。 いまはどこへいるのやら。
くそったれが。
「家元。お聞きしたいことがあります」
「なにかしら?」
「みほさんは、どこに転校したのですか」
「個人情報は教えられないわ」
「家元。もう一度、聞きます」
私は戦車乗りだ。
気が短い。
―――だらんと左腕を下げ、右手を縦拳に構え相手に対して半身の姿勢。いつでも大爆発を、八極を発生させられる構え。
「みほさんは、どこに転校したのですか?」
「あなたに、言う必要はないわ」
地面が人の足跡の形で潰れたその後、
西住まほさん以下黒森峰女学園戦車隊隊員は総出で私と家元の喧嘩を止めたが、私は結局みほさんがどこへ転校したのかは分からなかった。
―――これが、私が信じてきた戦車道か。
◇
『赤星さん。私、子供の頃から戦車道っていうのが何なのかよく分からないんだ』
『戦車道がですか?戦車道とは、礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸ではないですか』
『ううん、そうじゃなくて。私の戦車道っていうか・・・』
『自分だけの戦車道、ということですか?』
『うん、そんな感じかな』
確か、その日はめずらしくみほさんから私に相談してきたんだった。
私はその時何と言っただろうか。
『子供の頃から、私は戦車というのはかっこいいものだと思っていました』
『そうなの?』
『はい。幼馴染の子と一緒によく話してたんですよ。戦車の大砲がかっこいい、進む姿がかっこいい、なんて色々。そう思い返してみると、この学校で戦車道を私がやっているのはそういうことなのかもしれません』
『・・・?』
『格好いいから、ですよ。 私の戦車道は格好よくなくちゃいけません』
童みたいに笑う私を、みほさんも童のように笑っていた。
―――みほさん。私も、私の戦車道とは何なのかもう分かりません。 格好いいとは、もう思えないのです。
◇
西住流の戦車道は勝利が第一。ようするに勝てばいいってこと。細かいことはどうでもいいから、とりあえず勝てばいい。
時には味方を見捨てることも必要である。家元もよく言っているように、勝つ為には、多少の犠牲はやむをえない。
戦車道とは勝つこと。勝たなければゴミ。
「ジークハイル、ヴィクトーリア」
「小梅、貴女そのフレーズよく言うけど気に入ったの?」
「ええ、逸見さん。かっこいいでしょう?勝ち続ければ誰も文句は言わないわけですし」
「……まあ、そうね」
勝利の二文字以外いらないというのが我が校の戦車道なのだから、何も考えずそれに従っている私は間違ってないでしょう?
―――それを一般的に、逃げる というのだとしても。
「そろそろ大会の抽選が始まるわ。一回戦はどこと戦うのかしら」
「どこでもいいですけどね。―――え?」
あれは、みほさん?
「まさかあれは、副隊長?どこへ行ったかと思ったら大洗なんてね、全く。…小梅?」
「はい?」
「あの人は元副隊長よ。元。私達の敵だって事、分かってるわよね」
「…?、何を言っているの逸見さん。撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れ無し、鉄の掟、鋼の心。それが私達でしょう?
誰だろうと、敵は全員、潰しますよ」
「………分かってればいいのよ」
一回戦は私が敵のフラッグ車を潰した。
二回戦は私が敵のフラッグ車を潰した。
三回戦は私が敵のフラッグ車を潰した。
ジークハイル、ヴィクトーリア。
そういえば、後輩に言われたことがある。 赤星先輩、何でそんなに淡々と敵が倒せるんですか?
「簡単よ。動きがのろいからね」
◇
大洗女子学園の三回戦の試合。対プラウダ高校戦を、私は一人見に来ていた。
逸見さんが、敵を肌で感じてきなさいと言ってきたのが原因だ。
「みほさん、相変わらずキューポラから顔を出して。車長の鑑ですね」
・・・ああ、あんなぼろい建物の中に立て篭もっちゃって。うちが相手だったら建物ごと潰してますよ。
はあ・・・、何で踊りだす必要があるんでしょうね。チーム全員で踊っちゃって。馬鹿みたい。
「たのしそう」
観客の誰かがそう呟いた。
「おお、大洗が吶喊だ!」
「やはり突撃こそ帝国華撃団と同じく絶!対!正!義!!」
「敵が最も多い所に!?島津の退き口だ!」
「鬼島津か!」
「いや、軍神だろう」
「それです西殿!!!」
そしてキューポラの上にすっくと立ち上がる、みほさん。
「…あ」
『―――みほさん!キューポラから顔を出すなんて危ないですよ?』
『大丈夫、滅多に当たるもんじゃないし。それに、こうしてると胸を貫くスリルを感じるような…』
『何言ってるんですかもう、…じゃあ私はキューポラの上に立ち上がっちゃいますからね!そのほうが良く見えます』
『うええ!? それは流石に危ないし、当ててくれと言ってるようなものじゃ…』
『いえいえ!!!だってそのほうが、』
「かっこいいから……」
プラウダ高校に勝利したチームの隊長は、まるで誰かの戦車道を体現しているようだった。
「いやいや、大洗女子学園が勝ちましたな」
「はい?……ああそうですね」
「実はですね、大洗に私どもの娘がおりまして。いやあ~素晴らしい試合でした!妻なんて20年前を思い出すとか言っちゃって。いい歳して何言ってるんでしょうね、あ!特にうちの優花里が」
「はいはい、お父さんは黙っててください。でも本当に嬉しいものですね」
「…そうですね、娘さんの学校が勝ったんですから」
「いえ、何といっても嬉しいのは」
―――皆、無事でよかったです。
「…え?」
「だってそうじゃないですか。試合とはいえ、戦車の中とはいえこの天候です。怪我人が出るかもしれません」
「…しかし、これが戦車道の戦いです。怪我人が出ようとも勝つことが第一。違いますか?」
「………」
妙な顔をする。私の顔に、何かついているだろうか?
「ああすいません、つい。…貴女は戦車道を?」
「はい」
「…貴女は、勝つ事がお好きなのですか?」
「勝たなければやっている意味がありません」
「戦車道で勝つ為には、何が必要だとお思いですか?」
「敵を潰すことです」
「戦車道で勝つ為には、誰が必要だとお思いですか?」
「それは、」
子供でも分かる戦車道知識:戦車は一人でも動かせるが、戦車道は一人では勝てない。
「質問ばかりしてしまって申し訳ありません。でもお嬢さん?貴女が何度も何度も勝利を得たのは、貴女の力だけではないと、そう思いませんか?」
「・・・・・・」
「戦車道はそれなりに危険が伴う武道です。貴女を危険から助けてくださった人は、今までいませんでしたか?」
「あ…」
例えば、
濁流にもかかわらず迷わず川に飛び込んで、水中の戦車のハッチを開けて乗員を助けるとか。
「ぁあ……!!!」
「そんな人が、無事に戦車道の試合を終えて帰ってくる。嬉しい事じゃないですか。格好いい事じゃないですか」
―――戦車道とは何か?
『戦車ってかっこいいよね!どこがかっこいいって言うとあれだよ!あれ! おっきな大砲をズドーンと撃つところ!』
『そうだねそうだね!あとは何ていっても、どんな道だろうと火砕流の中だろうと無人の野を往くが如く突き進むところ!』
『それだよね!!』
『あとねあとね!』
「戦車を動かしている人が………」
『いちばんかっこいい!!!』
もしも世界が変わるなら、時間が戻るなら、
お願いします。何も知らない頃の私のところに、涙を知った頃の私のところに、どうか連れて行って。
あの人との思い出が色あせないように、せつなさが、追いつかないように。
◇
第63回戦車道全国大会決勝戦。
「ふ、お久しぶり。弱小チームだと、貴女でも隊長になれるのね」
「…よろしくお願いします」
「たまたまここまで来られたからって、いい気にならないでよ…?」
「エリカさん……」
「見てなさい。邪道は叩きつぶしてやるわぁぁああああ!!!??」
「エリカさん!?」
―――外門頂肘。 エリカ、貴女昔から一言足りないのよ。みほさんに会えて嬉しいくせに。
けど、
「順番守って。邪魔よエリカ」
私はみほさんと会って話さないといけない。それは一年前から決まっているのだ。
「待って下さいみほさん!」
「その八極は、小梅さん…」
ずっとずっと、言いたかった。
「あの時は、ありがとう…。みほさんが、戦車道辞めないでよかった!」
貴女が、
貴女が、
「無事でよかった…!」
「無事でよかった…!」
◇
戦車道とは何か?
A:礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸である。
子供にとって、戦車道とは何か?
A:かっこいい。
私にとって、戦車道とは何か?
A:格好いい。
何故そう思うのか?
A:そう教わってきたから。
どこで?
A:黒森峰女学園戦車隊で。親友達と共に。 ―――赤星小梅