だが
点数低かったら書けなくなる可能性が
そのときはすいませんねー
では本編どぞー
ーーーーだるいくらい良い天気だ。
そう修哉は心の中でつぶやいた。
電車に揺られて10分ちょっと。修哉は今、神保町にあるもう一つの自宅へと歩を進めていた。
ーーーー今朝、出発前に部員の皆から激励のメッセージが大量に届いた。オレはそれを見て、そっとスマホの画面を閉じた。もう振り返らないと決めた。感傷に浸るなんてオレらしくないだろう。(もっとも高嶋先輩は、最後まで『羨ましいんだよこの〇〇野郎(規制)が!!!!』って送ってきた。わざわざボイスメッセージで。ご苦労様でーす(棒))
そんな下らないことを考えていると、いつの間にか家の前まで来ていた。
我が家(オレん家)はオレの中2の誕生日に、建築業をしているオレの叔父が建ててくれたものである。2階がダンススタジオになっていて、夏は龍也たちとここで練習したこともある。
しかし、
「やっぱ威圧感あんなー......」
漂う新築感+ダンススタジオのせいで大きい外見による威圧感がオレを襲う。
だが、いつまでも突っ立っているわけにもいかないので、取りあえず家に入ることにした。
「ただいまー」
と言って家に入ると、
「おかえりー。意外と早かったわね」
母さんが出迎えてくれた。取りあえず持っていたスポーツバッグを置き、
「有希はー?」と聞くと
「今友達の家に遊びに行ってるわ。」と返ってきた。「修哉どうする?ちょっと早いけどご飯......」
そう言った母さんの言葉を遮るように
「あーいいよ別に。ちょっとこの町散歩してくるわ。帰り多分遅くなるかも」
という唐突なオレの言葉に驚きもせず、
「あんた勇気あるわね......」という言葉でOKしてくれた母さんに見送られながら、オレは数分ぶりに町を歩き始めた。
取りあえず、神社にでも行ってみよう。場所は知らないし神頼みなんてガラじゃないけど、これからのことも一応お願いしておきたいからな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
歩き始めて数分。『
ーーーーこの町を、オレは知っている......?
いや、正確に言えば、中3の時に一度来たことがある。だがその時は龍也たちと一緒にダンスの練習をしていたため、自由行動なんてしなかった。せいぜい少し近辺を歩き回ったくらいだ。なのに、
ーーーーこの町に、オレの記憶に関係する何かがある?
「まさかね......」と口に出した。もし仮に関係があったとしても、証拠が不十分すぎる。だけど、
「賭けてみるのも、悪くねぇかな」
そう呟くと、オレは神社へ続く長い階段をゆっくり上っていった。
「おおー」
思わず口から感嘆の言葉が漏れた。それくらい立派な神社だった。
ーーーー近くにあった木の前に立つと、爽やかな風がオレの髪と服を揺らした。
しばらくそうして風に吹かれていると、背後に誰かの気配を感じた。
だがオレはあえて振り向きはせず、向こうが何か喋る前にこちらから背後の何者かに喋りかけた。
「......何かオレに用かな?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
希side
うちの名前は
この神田明神で巫女さんのバイトしてるんやけど、今日はいつもとは違ってた。
見たこと無い男の子が、階段上っていくのが見えたんや。
休日にお参りに来る人なんて滅多におれへんから、気になって後を追って階段を上ったら、その子、近くにあった木の前でたたずんでてん。
せやからうち、ふといたずら心が沸いてしもて、後ろから突然声かけて驚かそうとしてたんやけど、
「......何かオレに用かな?」
そう言って彼は振り向いてしまったんや。
『あらら、振り向いちゃったか』
そう心の中で呟いて、うちはそれを悟られんように笑顔で、
「いーや、見たこと無い子が階段上るんが見えたから、ちょっと気になっただけやよ」
そう彼に返すと、彼はクスリと笑い、ありえへんことを口にした。
「あんた今、『振り向いちゃったか』って思っただろ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
修哉side
「あんた今、『振り向いちゃったか』って思っただろ?」
そう言うと、目の前の彼女は目に見えて動揺していた。
オレが中学3年の時に突然出来るようになったこれ。相手の才能や隠れた力、考えてることなんかを完全にではないが読み取れる技術。それを使い、彼女の思考を読み取ってやったのだ。この動揺のしかた。コレが楽しいからやめらんねーんだよね。え、使い方間違ってる?......気のせいだよ。うん。
「......びっくりした。まさかうちが心の中を読まれるなんて......」
「へえ。それはどうも」
そう言って少し笑いあったオレ達は、互いに自己紹介をすることにした。
「うち、東條希っていうん。あなた、名前は?」
「......驚いたぜ。まさか同じ名字かよ」
「え?」
「ああ、ごめんごめん。オレは東條修哉。訳あって、この町の音ノ木坂学院に転入することになったんだ。」
そう名乗った瞬間、彼女の表情が一瞬固まったのをオレは見逃さなかった。
「どうした?」
「ううん。なんでもない。それより君、今音ノ木坂って言ったよね?」
「それが、どうかしたのか?」
「いやあ、うちそこで生徒会副会長やってるん」
「ってことは、3年か」
「そうや。君は?」
「オレは2年だけど....敬語使うのもなんかよそよそしいし、使わなくていい?」
「ええよ。あんまり堅苦しいの好きやないし」
そこまで話したところで、オレは彼女に質問......いや、彼女に会ってすぐに思ったことを言った。
「なあ、あんた......
「いや?
......?何か言い方に引っかかるものを感じたが、深く追及はしなかった。
「そっか、すまない。いや、あんたに何か既視感を覚えたもんでね」
「何やそれー。新手のナンパか何か?」
「違ぇよ。....じゃあ、この辺で。オレまだここの事よく知らねぇし、その辺を散策してくるよ。」
「そう。あ、じゃあちょっとだけ待っててくれへん?」
「別にいいけど......」
そう言うと彼女は社務所へ戻ると、少し経ってからスマホを持ってこちらへ駆けてきた。
「なあ、連絡先教えてくれへん?」
「唐突だな......何でだよ」
「いやー。君ももうちょっとで音ノ木の生徒になるんやろ?なら、連絡網広げといた方がええんやない?」
「---それもそうだな。ちょっと待ってろ....っと。はい。これがオレの連絡先だ」
「はーい。了解。....よしっ!登録したで~。へへへー。これでいつでも生徒会室に呼び出して仕事をーーーー」
「絶対やんねーからな。それじゃ、今度こそじゃあな」
「ほなな~」
そう言ってオレ達は別れた。
「東條、か。何か、面白い奴だな。」
それと同時に、
「マジな話、アイツに見覚えあんだよなー......」
否定されはしたが、諦めきれなかったオレは頭をフル回転させ、思考を開始する。
何処で?いつ?どんな状態で?
そんな風に思考を巡らすが、一向に答えが出ない。
思い出せ......思い出せ......アイツに関わる事、オレの過去に繋がる何か......
そこまで考えて、オレは重要な情報を思い出した。
ーーーーそうだ。あの夢......オレの夢に出てくるあの紫色の髪の少女......!!!あれは....!!!!!
その瞬間、オレの中で全てが繋がった。
ーーー東條希=オレの知り合い、町に見覚え=オレは小学生の頃この町にいた.......!!!!
しかし、そこまで答えが繋がった所で、あの頭痛が再びオレを襲った。しかも、今までの痛みとは比にならないレベルの痛みだ。
「ぐっ.....あ゛あ゛あ゛ああああああ!!!!!!」
頭が..........割れるっ.......!!!!!!
その痛みの中、オレの口は言葉を紡いでいた。
「オレは......おれは......
ビキィッッッ!!!!!!!!
一際強い頭痛が俺を襲い、耐え切れなかった俺の意識は
ーーーーーブチンーーーーーー
と、音を立てて途切れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
???side
『おっと、切れちゃったか。まあいい。どうせ、すぐに取り返す。主権は一旦譲ってやるよ。せいぜい足掻くんだな』
修哉side
「うっ.......」
目を覚ますと、俺はベッドに寝かされていた。どうやら病院のようだ。近くには瑞妃さんがいて、こちらを振り返り、
「良かった。気がついたわね。」と言い、
「あなた、急に倒れたんですって。気づいた人がここに電話してくれたの。覚えてる?」
そう続けた。しかし、今の
「ねえ、瑞妃さん、あなたは、
「っ!!??」
「その反応、やはり知っているんですね。オレ......いや、俺、
俺は思い出していることを静かに瑞妃さんに語り始めた。
俺の本当の名字は”東條”ではなく、”神崎”である事。
東條夫婦は俺の叔父と叔母にあたること。無論、有希が妹でない事。
俺と希は親戚であること。
おまけの様に少しだけ思い出したのは、俺に幼馴染が3人いること。
そして、俺と希が別れる時、何か約束をしたのだが、それを完全には思い出せないこと。
全て語り終えると、瑞妃さんは長いため息をひとつついた。
「そう......そこまで、思い出してしまったのね」
「だけど、俺の記憶はまだ完全には戻ってない。だから、あなたに知っていることを聞きたい。」
「いいの?それで。それを話せば、あなたは今の幸せを失うことになるのよ」
「構いません。元より幸也さん達にも話すつもりですし。今更後には引けない」
「そう。分かったわ。と言っても、私の知っていることはあなた、ほとんど思い出しているのだけど」
そう言うと、瑞妃さんは話してくれた。
俺は記憶を”失った”のではなく、”消された”事。
その裏には、当時の俺では受け止めきれない様な理由があること。
「私に話せるのはこの位。あとの詳しい事は、あなた自身で知るべきよ。」
「そう......ですか。ありがとうございました。」
「いいえ。こちらこそごめんね。」
「最後に1つ、お願いしていいですか?」
「何かしら?」
「俺の.........家族に、先に、俺のこと説明しておいて下さい。」
「......本当に、それでいいの?」
「はい。思い出してしまったとはいえ、俺の”家族だった人”ですから。俺の言葉で、傷ついて欲しくない」
それは、俺の中に残ったわずかな優しさだった。
「わかったわ。......明日、もう一度あなたの保護者とここへ来なさい。色々としなければならない事があるから。」
「わかりました。」
それだけ言うと、俺は病院を後にした。
外はすっかり暗くなっていた。スマホが示す時間は8時。少し驚いた。ずっと眠っていたのか。だけど、
今頃、叔父たちは説明をされてるはずだ。もう少し、ゆっくりしてから帰ろう。そう決めた俺は再び考え始めた。希との約束について。
しかし、
「ダメだ。全然思い出せない......」
一向に思い出せない。何か昼間みたいにトリガーになるものがあれば。あるいは他に何か......
そう思った瞬間。
ーーーーーーヴーッ
携帯が、震えた。
画面を見ると、メッセージが一件。
『東條 希:待ってる。あの場所で。』
気づけば、俺は走り出していた。
少しずつ、記憶が戻ってくる。
あの日、希に手を引かれて行った、あの場所。
幼い俺が、希を悲しませないため、精一杯格好つけた、あの場所。
目的地が、明確になってくる。
向かうのは、音ノ木小の裏山。
そこにある、拓けた草原。
そこが、俺達の再会を約束した場所だ。
既に施錠された校門を一足で越え、全力で走る。
見えてきた。目的の場所が。
ザッ............
「希!!!!!!」
息を切らせながら、俺は目と鼻の先にいた彼女の名を呼んだ。
彼女は振り向き、笑顔で、
「思い出してくれたんだね。修哉」
「ずっと、待ってたよ」
「あの日からずっと、修哉が会いに来てくれるのを」
そう言った。
伝えたいことがたくさんあった。
話したいことがたくさんあった。
だけど、希にあの日の様に手を引かれた瞬間。
ーーーー君に、触れられた瞬間、
そんな事は、全部飛んでいったんだ。
俺達はしばらく手を繋いだままで夜空を見上げていた。
言葉は無かった。
でも、それで十分だった。
ーーーこうして、もう一度再会出来たのだから。
「ただいま。希」
「お帰り。修哉」
そうして俺達は、互いに微笑み合い、
2人仲良く、帰路についたのだった。
ここまで来るのに相当な時間を要しました。
次回からはアニメに沿って進める予定だからもうちょいサクサクいけるかな?
てなわけで(どういう訳だ)今回もありがとうございました!
次回もよろしくお願いします。