時間を確保できず、執筆を遅らせてしまい、申し訳ありません。
では、お詫びの印の本編どうぞ。
修哉side
「こうやって帰るのも、久しぶりやね」
「......そうだな」
再会を果たした俺達は、2人で帰り道を歩いていた。
互いに言葉は少なかったが、決して照れたりしている訳じゃない。
言葉が無くても、相手が何を思っているか分かるのだ。
しばらく静寂が俺達を包んだが、それを俺は破った。
「なあ」
「ん?どしたん?」
ーー恐らくこれは、俺達の”これから”に大きく関わってくるだろう。
だからこそ、希には伝えておきたい。
「お前に、頼みがある。明日、西木野総合病院に、一緒に来てくれないか?」
「どう、したん?」
「.....家族と来いと言われたんだ。記憶を取り戻した俺にそう言うんだ。俺の記憶......すなわち、お前にも何かしら関わりがあるはずだ」
希はしばらく考え込んでいたが、やがて決心したかのように、
「分かった。修哉の頼みやもん。それに、ウチも修哉のこと、まだ完全には分かってない。だから行く」
「......ありがとう」
「じゃあウチ、こっちやから」
「......ああ、気をつけろよ」
「じゃあね。」
「おう」
そう言葉を交わし、俺と希はそれぞれの帰路についた。
時刻は9時過ぎ。さすがにもう説明も済んでいるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に着いた俺は、ドアの前でひとつ深呼吸した。
ーーーーこれからどうなるのか、今の俺には分からない。
だけど、もう何があっても逃げない。
その覚悟を胸に、俺はドアを開けた。
「おかえり、修哉」
「ああ、ただいま。そして、
「ッ...やはり、瑞妃の言ってたこと、ホントだったのね.......」
「当然だ。あの人は滅多なことじゃなければ嘘は吐かない」
たったそれだけの会話だが、そこには温かさの欠片もない、冷え切った空気が漂っていた。
その空気と俺の冷たい表情から全てを悟ったのだろう。
彼女はゆっくりと口を開いた。
「.....そう、もう私達は家族でも何でもないって訳ね」
「そうなるね。だけど、あなた達にはまだやってもらわなければならないことがある」
「ええ。瑞妃から聞いたわ。そして明日、やるべきことが終わったら、すぐにでもここを去るつもりよ」
「ああ、そうしてくれると助かるよ」
こう言っているが、別に俺はこの人を切り捨てた訳じゃない。無論感謝はしている。ここまで育ててくれた事については、頭が上がらない。
それでも、俺はこの人を許せなかった。俺の記憶をすり替え、ずっと嘘を吐き続けてきたのだ。
たとえ、そこにどんな事情があったとしても。
だけど、
「最後に、1つだけいいかしら」
その願いだけなら、聞いてやってもいいじゃないか。
「私たちが去るのはいいけれど、有希だけは、ここに残してあげてくれないかしら」
「......理由は大体想像がつくけど、一応あなたの口から話してもらおうか」
「ええ、わかったわ」
「私たちは向こうに家があるし、幸也さんはそこから職場に行くのに別段不便ではないわ。でも、有希は今、この神保町の音ノ木坂中学に通っている。向こうの中学に転校させるのは、今のあの子には辛すぎると思うし、かと言って向こうからこちらに来るのには色々不便なの。だから、お願いできるかしら」
その言葉に、俺はすぐに答えることができなかった。俺はしばらく1人になって色々と考える時間が欲しい。その空間に俺以外の人間は必要ない。たとえ、それが有希であっても、だ。
が、あいつの事も考えてやらなければならない。だから、しばらくして考えをまとめた俺は、ゆっくりと口を開いた。
「あんたの願い、残念だが聞き入れるのは無理だ。俺は一人になりたいんだ。そこに介入する奴など邪魔でしかない」
俺の言葉に、優奈さんは目を伏せた。が、
「けどな」
俺はそれまでずっと冷徹だった表情をふっと緩め、
「俺にも考えがある。悪いようにはしないさ。その考えもダメなら、妥協してやるよ。なんたって、最後のお願い、だもんな」
にっと笑い、そう言った。
優奈さんも、表情を和らげ、
「.......ありがとうね」
と言った。
「大したことじゃねーよ。明日、
「ええ。おやすみ」
そして、自室に入った俺は、まだ見えない明日の希望に思いを馳せながら眠りに落ちた。
次回までにもっと技術を身につけてきます(泣)
感想、アドバイスなどお待ちしております。