**とある次元世界**
「ふふふ、やっとこの時が来たか」
薄暗い部屋の隅っこで影がほくそ笑んでいた。
「俺を馬鹿にしていた連中どもめ、目にものを見せてやる。そうだなぁ、まずは手始めにこの世界から攻めてみるか」
影は、不吉な笑い声とともに一枚のカードを取り出した。
そのカードは、両面ともメタリックな紺色のカードで、特に目立った特徴はない。
自身の懐からそのカードと赤い蝶ネクタイ型の何かを取り出し――、
「バロン、コード入力」
「〝了解です、マスター”」
微妙に機械的な音声が聞こえた後、驚いたことにカードが宙に浮き、勝手に文字が刻まれていく。
――お初にお目にかかります次元管理局のみなさん。私の名前は――
「良い調子だ、ワクワクするなぁバロン!とうとう俺たちの、世界への挑戦が始まるんだ、さぁて〝あいつら”はどうでるか」
「〝はい、マスター。私も楽しみです、今や世界は私たちの手中に――、マスター、コード入力終了しました。これより、当初の手筈通り転送します”」
赤い蝶ネクタイから発せられる声のあと、何かが書かれたカードの周りに魔法陣が現れたかと思うと、次の瞬間には跡形もなく消えていた。
「ふふふふふ、ふはははははっ!始まったぞようやくなぁ、世界は震撼する、この怪盗Dッ――」
声高らかに、世界に向けて宣言しようとした瞬間、
「キアル君っ、ご飯の時間よ~!」
「はぁーい、母上今下ります!バロン、スリープモード」
「〝サー、スリープへ移行します”」
ドタドタと喧しく足音を響かせながら、影、いや青年は階段を駆け下りていった。
そう!
いや、別にそうじゃなくても、この物語は、18歳という若さで亡くなり神様に無理矢理転生させられた青年の世界に対する反逆の物語である!
**某日次元管理局機動六課**
「フン、フ、フ~ンっと、これで玄関の掃除は終わりっと。……ん?なんでしょう、このカードは」
早朝自身が務める機動六課の掃き掃除をしていた事務官は、ポストから少しはみ出すように投函されていたとあるカードを見つけた、否見つけちゃった。
「えーとなになに、ちょうせん……挑戦状?、裏はDX?、なんだろこれ悪戯かなぁ」
しばらく悩んでいると
「おはようございまーす!」
青い髪をした短髪の少女がやってきた。
「あ、スバルちゃんおはよう」
「おはようございます。あのー、朝から何で唸ってたんですか?もしかして、朝ごはんの食べ過ぎでお腹壊したとか?」
「いやいや、実は掃除してたらポストにこんなカードが入ってて」
「こ、これは、もしかして!」
「え、もしかして知っているの!?」
「これは、……テレフォンカードとか?」
「ダハァ!」
思わずすっころんでしまった、っていうかテレフォンカードなんてミッドに無いわよ!
「ア、あはは、確かにテレフォンカードはないですよねぇ。ここはやっぱり、隊長たちに報告するべきだと思います」
「そうよねぇ、それじゃあ後で報告しておくわ」
結局上司に報告することになったのだった。
「はぁ、ただの悪戯だと良いのだけれど」
――30分後――
「あ、シグナム隊長にヴィータ隊長、いいところに来られました」
「む、どうかしたか」
シグナムが朝からなんだと思っていると、
「実は、早朝ポストにこんなカードが……」
「挑戦状?にDX?、悪戯か何かだろう、最近のガキンチョたちは調子に乗って馬鹿なことをするからな。それに、特に目立つ点はないようだしそう気にする――」
と言って、ヴィータは受け取ったカードを返そうとする。
――その瞬間
パァアアアアアアアアアアッ!
眩い光があたり一面に、カードから発せられた。
「――な、なんだ!?」
「い、いかん、全員退避しろ!」
しかし、無情にも光の範囲からは逃げられず、その周辺にいた人全員が光に包まれてしまった。
「し、シグナム!みんな大丈夫か!?」
「は、はい!大丈夫です!」
「ああ、私も問題ない。だがこの光、あのカードか――!?なにか出てくるぞ、戦闘態勢!」
皆がお互いの無事を確認し合っていたとき、光源となっていたカードから何かが飛び出してきた。
『フハハハハハハッ!お初にお目にかかります、次元管理局の皆さん。私の名前は〝怪盗DX(デラックス)”以後お見知りおきください。今回皆さんにこの便りを遅らせてもらったのは、私から君たちへの挑戦である。この便りが届いた日より3日後、次元管理局無限書庫に貯蔵されているとあるお宝をいただきに参上する!精々、盗まれないように万全を期しておくのだな、では3日後に会おうではないか、フハハハハハハッ!』
パァアアアアアアアア、シュンッ
カードから現れたシルクハットに紳士服の上からマントを羽織り、どこか機械じみた風貌の男?は、自分が言いたいことを言いたいだけいうとアッというまに消えていった。
「な、何だったんだいまのは、怪盗DXなんてやつ知ってるかシグナム?」
どこか呆然とした表情で急展開についていけないヴィータはシグナムにそう尋ねた。
「いや、しかしただの悪戯にしては手が込みすぎている。取り敢えず主はやてに報告だ。他の者は念のためシャマルのところでメディカルチェックを受けろ。さぁ、速やかに行動に移せ」
そして、物語はやっとこさ動き出す。
短いですが初日はここまで、次回の投稿は不明です。
暇つぶし程度に見てくれると嬉しいです。