俺の青春ラブコメはこの世界で変わりはじめる。   作:clp

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本話は八幡の内面描写が多めでシリアス寄りの内容になっています。八幡の思考の流れが伝わりやすいように書いたつもりですが、分かりにくい部分があればご指摘を頂けますと助かります。

以下、前回までのあらすじ。

 日曜日に八幡は緊急の呼び出しを受けて雪ノ下のマンションを訪れた。疲労で倒れた由比ヶ浜が寝かされている客室にて、三人は打ち合わせを行う。

 水曜日に来襲する陽乃への対応や、ごく少数で回っている組織の問題などを話題にした後で、八幡は雪ノ下にも休養が必要だと告げた。疲れが溜まっていることは認めながらも、自身の性格的にも倒れる前に休むのは難しいと雪ノ下は答える。だが、理に適った八幡の勧めに由比ヶ浜のお願いが加わると、雪ノ下はあっさりと二人に従うことを決めた。

 月曜日に休んだ分は火曜日以降に取り戻すと、雪ノ下も由比ヶ浜も意欲を燃やしている。クラスの出し物もバンドの練習も順調だ。そして八幡もまたメイドさんの手引きによって、こっそりと雪ノ下の心情に触れて、静かに気合いを入れ直すのだった。



12.めだちたくない彼が今日は違った姿を見せる。

 月曜日のお昼休み、比企谷八幡は一人部室で過ごしていた。

 

 今日の八幡は、朝から普段以上に他者との関わりを避けて過ごしていた。だが、周囲も八幡の状況を理解してくれているからか、あるいは八幡以外の経路から事情を把握しているからか。いずれにせよ、八幡に気軽に話しかけてくる生徒は居なかった。お陰で午前中は授業も休み時間も平穏に過ぎた。

 

 そして今、昼食を摂りながらも心ここにあらずという様子の八幡は、頭の中では今学期に入ってからのことを振り返っていた。

 

 

 クラスの劇で主役に抜擢しようとする海老名姫菜の要望を断って、結果として戸塚彩加を生け贄に捧げる形になった罪悪感と。更にはクラス内で注目を集める立場になってしまった苛立ちと。それらから逃亡しようとして、文化祭実行委員に立候補したこと。それが何故か由比ヶ浜結衣と、更には雪ノ下雪乃とも一緒に仕事をする形になったこと。

 

 あの時にあったのは素直な嬉しさだけだったと八幡は思う。一学期から夏休みにかけて多くの時間を共有したことで、あの二人なら自分を上手く動かしてくれるだろうし自分もあの二人の力になれると、八幡は考えることができた。二学期にも同じような日々を過ごせるのだと実感できて、盛り上がる気持ちを抑えられなかったあの時のことを、八幡は鮮明に覚えている。

 

 だが同じクラスの相模南が実行委員になって、自分を仲介に雪ノ下に近付いた彼女を見て、八幡は己の立場を知った。それ以降は話しかけてくる連中を警戒して、雪ノ下や由比ヶ浜に近付く為ではないかとの疑いを解かなかったのは正しかったと八幡は思う。

 

 なぜなら、二人の威光を借りたいと思う輩は相模を筆頭におおぜい居たが、二人を参考に自身を高めたいと考える生徒はほとんど居なかったから。現在直面している人材難がその証拠だ。せいぜい副委員長の藤沢沙和子ぐらいだろうか。

 

 それにしても、実行委員長に就任して早々に知恵熱で欠席したりと、相模には振り回されたなと八幡は思う。あの日に朝から動き回っていた由比ヶ浜を見て、更には雪ノ下がせっかく作った教材を相模がわざわざ具現化して写真に撮るといった余計な行動をしていた辺りで、八幡は最初の疑問を抱いたのだった。

 

 雪ノ下の責任感には凡人の身では到底及ぶべくもないが、由比ヶ浜の責任感もかなりのものだと八幡は思う。あの二人と比較するから基準が高くなるのだと理解はしているが、それでも役職に見合った責任感ぐらいは持って欲しいものだ。あの時点では、相模個人に対する不満だけだったなと八幡は思う。

 

 その他の名もなき面々が気になり出したのは、雪ノ下陽乃の爆弾発言を何とか飲み下せた後だった。だがその前に、あのネタバレは最悪だったと八幡は慨嘆する。

 

 葉山隼人と同じ小学校だったという、たったそれだけの情報で、八幡の心は大きく揺さぶられた。まるで小さな子供みたいに、幼稚で我が儘な独占欲を今でも持っているのだと自覚して。自分こそが二人と一番仲が良いのだと、そんな傲慢な思いを抱いていたことを知って。ほんの数日前のことではあるが、今にして思えば、どうして自分はそんなちっぽけなことに拘っていたのだろうと八幡は思う。

 

 だがあの時の八幡は、自分が部外者で、その他大勢に過ぎない立場で、役立たずの除け者であるかのように思ってしまった。仕事を終えて由比ヶ浜と別れた時は、今日はもう奉仕部関係者とは会いたくないとすら思っていたのに。その後に会った教師や先輩や同級生のお陰で、落ち着きを取り戻すことができたと八幡は振り返る。

 

 そして雪ノ下本人の口から、葉山と幼馴染みだった過去を伝えられて。結果的にはあれで吹っ切れたと八幡は考えている。だが、自他を問わず感情は不可解だという気持ちに加えて、二人に取り残されたくないという気持ちも残った。それにカラオケに行く直前の会話で、由比ヶ浜から「できる範囲のことはよろしく」と頼まれている。だから今日は頑張らないとなと八幡は思う。

 

 ちらりと時計を確認すると、まだお昼休みが終わるまでには充分な時間があった。いつの間にか食べ終えていたお膳を片付けて、もう少し頭の整理していても大丈夫だなと考えた八幡は、再び思索の中へと没入する。

 

 

 その他の名もなき面々、あるいは八幡が有象無象と呼んでいる生徒たちの動きは、少しずつ目に付くようになってきていた。雪ノ下と葉山の関係を邪推することから始まって、ろくに仕事もしないくせに態度だけは一丁前な生徒を、八幡は何度か目の当たりにした。そういえば、今更ながらに部費の話を蒸し返した反対派の残党たちも、言ってしまえば同じ穴の狢だろう。

 

 ビラを貼るなどの馬鹿げた行動に出たあの連中とは違って、一つ一つの振る舞いは些細なものだ。人数も頻度も、現時点ではそれほど多くはない。だが八幡は彼らを、唾棄すべき連中だと思わずにはいられなかった。同時に、その判定には二人の存在が大きく寄与していることも八幡は自覚していた。

 

 雪ノ下と由比ヶ浜がどうしてここまで労力と時間とを費やす必要があるのか。こんな連中のために。たかが高校の文化祭のために。他に頼れる人材は居ないのか。八幡はそんな疑問を抱いて、その原因をひとまずは自己投影に求めた。そんな連中に良いように使われるのは嫌だと考えているのは俺だと、そう解釈しようとした。

 

 今にして思えば、自分はそんな状況には慣れていたはずなのに。文化祭ごときのためになぜ俺が、などと考えるのは、「押してダメなら諦めろ」を信条とする自分には過ぎたる自意識だと八幡は思う。

 

 やはりあれは、あの二人が疲労を溜め込んでいく姿を見ていたがゆえの発想なのだろう。それが自分でも意外に思えるほど激しいものだったので、別の解釈を求めようとしたのだろう。だが今の八幡は、大人しく正しい解釈を受け入れることができる。

 

 それを気付かせてくれたのは、昨日のメイドさんの行動と、由比ヶ浜の感情的な反応だった。

 

 雪ノ下が部屋に飾っている写真を見せてくれたメイドさん。あれによって八幡は、二人に対する照れくさい気持ちを相対化させることができた。おそらくまた近いうちにその感情は再発するのだろうが、今は素直に、それよりも大事なことがあるのだと受け止められる。

 

 そして、八幡もカラオケに行くまでは知らなかった主催者の情報を、どうして放課後に教えてくれなかったのかとぶーたれていた由比ヶ浜。八幡はそれを嫌とは思わなかったし、むしろ由比ヶ浜が元気になるのならそれで良いとすら思えた。

 

 それは、このところ悩んでいた「過保護」とか「お兄ちゃん」とは由来が違うと八幡は思う。それらは本来は不必要なもので、ただ他の対応が分からないために、あるいは別の感情に突き動かされて発動する類いのものだと八幡は考えていた。対等ではない歪でイレギュラーな関係に思えて。それは相手に対して失礼ではないかと思えて、だからこそ八幡はそれらを警戒して用心して人知れず悩んでいたのだった。

 

 とはいえ、例えば自分が何かを引き受けることで別の誰かが助かるという構図があったとして。そこに妙な感情や動機が差し挟まれる余地がなければ、この問題は発生しない。ここで問われているのは行動の内容や結果ではなく、行動の理由だと八幡は思う。過保護だから、お兄ちゃんだからという動機の部分に原因があるのだと。

 

 ゆえに重視すべきは、お互いの関係性を明確にすること。それが同級生という関係性の中に、あるいは同じ部活の仲間という枠内に収まるのであれば。結果として自分が怒られるぐらいは何でもない。実際の行動によって発生する多少の理不尽など些細なことだ。

 

 人によっては、それを自虐とか自己犠牲と呼ぶのかもしれない。しかし当の八幡は慈善行為を行っているつもりもないし、別に自らを犠牲にしているつもりもない。限度を超える事にまで首を突っ込む気はないし、ただ何を重視するかの観点が違うだけだ。長年カースト底辺で過ごして来ただけに、不合理な扱いには慣れている。それで事が簡単に片付くのならば、特に文句はないと八幡は思う。

 

 千葉村で教師から得た助言を八幡は思い出す。自分のことを「虐げられた環境にも慣れる強さを持っている」と評した彼女は、その強さこそが危ういのだと教えてくれた。だから、限界だけは常に意識しているし、自分は大丈夫だと八幡は考えている。

 

 とはいえ自分は大丈夫でも、それを見た近しい人たちにとってもそうとは限らない。だから、あの二人に怒られるのは仕方がないとしても、あの二人を失望させたり哀しませたりしないように、その一線も意識しなければならない。

 

 俺の意図が伝わらないのなら、誤解されるのなら、その程度の関係だったということだ。そんな無様な思考放棄は絶対に避ける。なぜなら、相互確証破壊を提案した責任が俺にはあるから。最後の土壇場に至っても理性を保つ必要のある案を雪ノ下に提示しておいて、自分は早々に感情に身を任せるなど八幡には耐えられることではない。こうした面での自意識にかけては、人後に落ちない自信がある。

 

 

 いずれにせよ、と八幡は思う。有象無象への対応は、ハッキリと問題になった時に考えれば良い。そうした連中の言動に一喜一憂したり考え過ぎたりして時間を費やすよりは、目の前の問題を片付けていくべきだ。それよりも、あの二人のことを考えるべきだ。

 

 今日休ませたことが、雪ノ下の長所や信念に悪い影響を及ぼす結果にならないように。その為にも、今日だけは問題を起こさせるわけにはいかない。休んだことを後悔させるような展開だけは絶対に避けなければならない。

 

 そして自分にとっては有象無象であっても、その中に由比ヶ浜にとっては親しい連中が大勢いることも覚えておかなければならない。彼らをむやみに敵視するのではなく、できれば味方に、最低でも中立の立場で居てもらう必要がある。

 

 あの二人がやる気なのだから自分もと、昨日得られた単純明快な行動原理を胸に。時計を確認した八幡はゆっくりと椅子から立ち上がると、奉仕部の部室を後にした。

 

 

***

 

 

 予定の時刻よりも少し早めに会議室に入って、八幡はいつも通りに人気の少ない場所に腰を下ろした。先週の後半には、雪ノ下が八幡の隣に座るのを見越した実行委員たちが周囲の席をたちまち埋めていたものだが、今日はそんな動きも無い。

 

 分かりやすいものだと八幡は思うが、特に不満があるわけでもない。先程まで部室で頭を使っていたわけだし、全体会議が始まるまでは頭を休めて静かにぼんやり過ごせそうだ。そんなふうに、この環境を前向きに受け入れる八幡だった。

 

 

「で、では、会議を始めたいと思います」

 

 時間が来て、委員長の相模が会議の開催を宣言する。だが続く言葉がなかなか出て来ない。すぐ横に座る副委員長の藤沢が「相模先輩?」と呼びかけても狼狽が酷くなるだけで、相模にとっては逆風にしかなっていない。雪ノ下に対して煙たく思う気持ちは少なからずあった。だが、その雪ノ下が居ない今、委員会をまとめるという大役が本当に自分に果たせるのかと、既にいっぱいいっぱいの相模だった。

 

 幸いなことに宣伝広報の責任者が空気を読んで手を挙げて、前回までと同様に仕事の進捗状況を説明してくれた。そのまま有志統制・物品管理・保健衛生・会計監査・記録雑務と続き、最後の渉外部門に至ったところで再び会議の流れが途絶える。

 

 雪ノ下が欠席している今、渉外部門の現状に一番詳しいのは八幡だが、誰がどう見ても全体への発表に向いているとは思えない。そんな自他共に認める状況ゆえに、八幡は三年の先輩に頭を下げて、分かる範囲で報告をしてもらった。それが終わると、またもや会議が停滞する。

 

 月曜日は休むと決めた直後、真っ先に「相模への対応を変更する」と口にした雪ノ下は正しかったと八幡は思う。トップがこれでは、舐めた態度の有象無象が跋扈し始めるのも当然だろう。今までは雪ノ下の存在が歯止めになっていたが、今日は厳しいかもしれないと八幡は憂慮する。

 

「えーっと、じゃあまず、今日の方針を相談するのはどうかなー?」

 

 状況を見て、やむなく城廻めぐりが提案を出した。会議の冒頭からこの調子では先が思いやられるが、とはいえ話を進めないことにはいつまで経っても終わらない。口を出しすぎたり自分が表に出ないようにと配慮をしながら、それでも城廻はほんわかとした口調で、場の空気を少しだけ軽くしてくれた。

 

「やっぱり今日も、宣伝の打ち合わせと、当日の行動を確認するのが主になると思うんですけど……それでいい、ですよね?」

 

 土曜日の会議を思い出しながら藤沢が口を開くも、今までであれば話しながらでも雪ノ下の反応が窺えたのに、今日はそれができない。何とか最後まで言い終えたものの、気弱な性格が顔を覗かせ始めている。

 

 難しいものだと八幡は思う。雪ノ下の凄さは八幡も重々理解しているが、それにしても一人が欠けただけでこうまで変わるものなのか。

 

 だが逆に考えれば、人前に出るのが得意には見えない藤沢でも、雪ノ下が居た時には副委員長に立候補したり役職に見合った仕事をこなせたりできていたのだ。今日は無理としても、雪ノ下の手助けがあれば仕事ができるという人材をもっと増やすべきなのだろうなと八幡は思った。しかし。

 

「大丈夫なのかな、今日の会議」

「雪ノ下さんが居ないと、どうにもならなくない?」

「無駄な仕事とかさせられたら嫌だよね」

「どうでもいいから、早く決めて欲しいよな」

「いっそのこと、生徒会長が進行をやってくれたらいいのに」

「だってそれは、ねえ。委員長が一応いるんだしさ」

 

 本人たちは声を抑えて話しているつもりなのかもしれないが、こうした声は意外に通るものだ。発言者を特定するのは手間が掛かるし、それができても開き直られたらどうにもならない。会議室に集まっている実行委員は多かれ少なかれ、同じようなことを思っているのだから。

 

 槍玉に挙がっている相模は、きつく唇を噛みしめて、しかし何も言い返すことができない。藤沢の名前が挙がっていないだけ助かっていると考える八幡だが、だからといって一年生に現状の打破を期待するのはさすがに酷だろう。痛いのは、城廻を待望する声が少しずつ出始めていることか。これでは会長も動きにくいだろうなと八幡は思う。

 

 そんな八方塞がりの状況の中、予想外の生徒が手を挙げて発言を始めた。

 

 

「副委員長の提案に同意します。雪ノ下さんが明日、万全の体調で復帰した時にスムーズに事を進められるように、先週からの流れに従って各自で仕事を進めておくべきだと思うのですが」

 

 雪ノ下と同じ二年J組の実行委員が、そう発言した。その責任感と物怖じしない性格は尊敬するが、と八幡は思う。付け加えて言えば、雪ノ下への信頼も相当のものだ。だが、今の状況でそれは筋が悪い。

 

「なに言ってんだか。雪ノ下さんと同じクラスの保健委員だからってさ」

「だから余計にだよ。雪ノ下さんに学校を休ませといて、罪悪感とか無いのかな?」

「雪ノ下さんが疲労を溜め込んだのは、あいつのせいじゃないような……」

「でも、雪ノ下さんが倒れるを防ぐのが、あいつの任務だったろ?」

「どっちにしても、偉そうに語れる立場じゃないよな」

「仕事をしました、無駄になりました、ってなった時に、どう責任を取るつもりなんだろな」

 

 先程までは囁き声だったのに、今や普通の喋り口調でこうした話が語られている。まずいな、と八幡は思う。有象無象は確実に生け贄を求めている。同時に、サボれそうなら仕事をサボりたいという意図が垣間見える。

 

 割れ窓理論というものがあったなと、八幡はふと思い出した。窓が割れたまま放置されているこの場所なら、ゴミを捨てても大丈夫。落書きをしても大丈夫。もう何枚か窓を割っても大丈夫。そんな積み重ねがモラルの低下を引き起こし、やがては犯罪の温床になるという理論だ。

 

 雪ノ下が健在であれば、こいつらが適当な口を叩くこともなかっただろう。だが、小声で自分勝手なことを口にしても、実行委員長が何らの手立ても打てなかったことで。軽微な問題を解決できなかったことで、連中は更にエスカレートしているのだ。

 

 どこかで歯止めをかける必要があるが、雪ノ下が居ない現在、それが可能なのは正副委員長と生徒会長ぐらいだろう。臨席している教師の口添えは、こうした問題では逆効果になるおそれがある。そして副委員長には荷が重く、生徒会長が前に出られない状況を勘案すると、残るは実行委員長の相模だけ。頭の中で状況を整理して、八幡はこっそりとため息を吐く。

 

 そうした八幡の考察が伝わったわけでもないのだろうが。誰にとっても意外なことに、沈黙を続けていた相模が大きく深呼吸をして、そして口を開いた。

 

 

「えっと、注目をお願いします。その。うちが休んだ時に、雪ノ下さんが、仕事の一日延期を提案したと聞いています。だから今回も、今日はクラスの出し物とか有志の準備に専念して、明日からみんなで一緒に頑張るのはどうかなって」

 

 最悪だ、と八幡は思う。せっかく口を開いたと思えばそれかよと。しかし現状では八幡にも打てる手が無い。相模の提案はさざ波のように静かにしかし確実に全員の心へと染み渡っていく。一度口に出された「今日は仕事は無し」という提案を覆すのは、今となってはほぼ不可能だろう。

 

 雪ノ下の先例を思い出したように、相模は決して頭の働きが鈍いわけではない。それに、有象無象が醸し出す会議室内の雰囲気を正確に読み取ったからこそ、この発言なのだろう。事を収拾すべく動いた相模の責任感は褒められるべきものだ。

 

 だが、だからこそ最悪だと八幡は再び思う。顔の見えない大多数の声に誘導される実行委員長など、その存在に益が無いどころか害悪ですらある。

 

「そういえば、あの時の雪ノ下さんも一日延期を提案してたよね」

「俺も正直忘れてたけど、それを思い出すなんて、委員長もやるじゃん」

「立候補した割には頼りないなって印象だったけど、土壇場になると違うもんだね」

「でも、今の段階で一日延期って、大丈夫なのかな?」

「せっかく委員長が良いこと言ったんだし、余計なお世話じゃね。間に合わす自信があるんだろ」

「俺も委員長を支持するよ。やっぱ、いざとなると流石だよな」

 

 こっそりと相模の反応を窺うと、どうやら褒められて喜んでいるようだ。雪ノ下や由比ヶ浜が温情を掛けていたのは逆効果だったなと八幡は理解する。おそらく相模には、二人の意図が何も伝わっていないのだろう。

 

 自分の仕事に対する客観的な評価を求めていなかったのは勿論のこと。果たすべき仕事の基準を下げてもらっても、相模には何の意味も無かったのだろう。それよりも、ただ相模は褒められたかったのだろう。さすがは実行委員長だと、そう言われたかったのだろう。

 

 内実をすっ飛ばして結果だけを求めることがどれほど危ういか、相模は理解していないのだろう。この話をすればみんなに大受けして、クラスの人気者になれるはずだ。このタイミングで告白の言葉を口にすれば絶対に上手く行く、相手は俺の言葉を待っているのだ。そうした過去の痛い記憶を思い出しながら、自分のずっと後方を走っている相模の姿を八幡は幻視した。

 

 雪ノ下があの時、「今回だけ、予定の一日延期を」と口にした時に、どれほどの覚悟を秘めていたか。おそらく、担いうる限りの責任を一手に引き受ける気持ちだったのだろう。あの姿を見て、八幡は「責任ある立場の者として、大勢を引っ張っていくとはこういうことなのだ」と、しみじみ理解させられたというのに。

 

 誰の言葉だったか。「選ばれた人間とは、自分がすぐれていると考える厚顔な連中ではなく、高度の要求を自分に課す人間」だと、どこかで目にした記憶がある。自分がすぐれていると言って欲しい相模は、その両者の間に位置するのか、それとも更に下に配置すべきなのか八幡には判別が付かないが、それにしても雪ノ下とは何という違いだろうか。

 

 そして、自分たちが仕事をサボることに対してもっともらしい言い訳を求め、更には誰かを糾弾すべく数の暴力を揮う気が満々の有象無象。あるいは群衆、あるいは大衆と言っても良いのだろうが、そんな連中の思い上がりにどう対処したら良いのだろうか。頭の痛い状況だなと八幡は思う。

 

 

 だが、このまま放置するわけにはいかない。四日後には文化祭の本番を迎えるというのに。丸一日、仕事を何もしませんでしたとは、流石の雪ノ下でも想像の埒外だろう。せっかく二人を休ませたというのに、仕事の量は変わらず使える時間が一日減っただけという結末になるのは絶対に避けたい。何か策を弄する必要がある。

 

 そう考える八幡は、先程の部室での考察を思い出していた。自分にとっては平たく有象無象であっても、由比ヶ浜や雪ノ下なら上手く使える人材がいるかもしれない。そうした連中をせめて中立にまで戻すことができれば、会議室の雰囲気も変わるはずだ。それは、考えてみれば千葉村で体験したことと同じではないかと八幡は思う。

 

 そして八幡は更に記憶を探る。この場面で参考にできそうな話を、どこかで読んだはずだ。そう、あれだ。たしか、働く蟻は二割だけだという話。城廻率いる生徒会役員と、雪ノ下の薫陶を受けた面々、それに会議の冒頭で空気を読んで発言してくれた宣伝広報の責任者などを合わせると、だいたい二割ぐらいだろう。

 

 さっき思い出した割れ窓理論を知った時も、ぼっちから見た世界の成り立ちを、当時の八幡が感じていた身の回りの理不尽を解説してくれた気がした。働き蟻の法則に対しても、不合理な状況を公然のものにしてくれたという感想を八幡は抱いた。

 

 だからこそ、今この状況でなら、それらの理論を活かせるはずだと八幡は思う。何故ならば、有象無象が作り出そうとしている空気は、長くカースト底辺にあった俺がずっと敵視してきたものと同じだから。

 

 リア充は確かにうざったい。爆発するなら派手にやってくれと思う。だが、トップカーストの不幸を願ったところで自身の扱いは変わらないし、そもそも自分が何かをやらかした時に真っ先に何かを言ってくるのは、決まってカースト下位の連中だった。

 

 千葉村で一日目の夜に、あいつらにも話した記憶がある。かつての同級生らが「善意で忠告してやってるんだぞ」という態度で何かを言ってくる姿を八幡は思い出していた。彼らの顔も名前もまるで思い出せないが、声の調子や話す内容などは何故かよく覚えている。あの連中にそれが正しいと思い込ませる何かこそが自分の本当の敵だと、ラスボスはそれだと八幡は考えていたし、今もそれは間違っていないと思う。

 

 ならば考えろ。長年意識してきたラスボスが目の前に現れたのなら、八幡にとってはチャンスのはずだ。仇敵を葬り去る機会を得て、更にそれが雪ノ下や由比ヶ浜の手助けに繋がるのなら、挑まないという選択肢は無い。そう考えて八幡は、働き蟻の話にまで頭を戻す。

 

 働くのは全体の二割だけだという話が、働き蟻の法則の全てではない。それに加えて、サボるだけでただ乗りしようとする連中もまた二割は居るらしい。この2対6対2という比率を念頭に、中間層たる6をどちらに引き寄せるかが重要だと書いてあったのを八幡は覚えている。

 

 今の雰囲気のままでは、サボろうとする側の二割に引き寄せられてしまう。何か反撃の切っ掛けがあればと八幡は思うが、その機会が見えて来ない。手段は朧気ながらも見えてきたが、とにかく時間が足りない。

 

 そんな八幡の焦りを裏付けるように、委員長が口を開く。

 

 

「じゃあ、今日の仕事は……」

「でもそれだと、雪ノ下先輩に怒られたりとか……?」

 

 ギリギリのところで相模の発言に待ったを掛けたのは、副委員長の藤沢だった。

 

 おそらく立候補の動機は雪ノ下への憧れなのだろう。雪ノ下の手助けを確認していた藤沢の口調を、八幡は思い出す。そしてだからこそ、雪ノ下に怒られるのが、失望されるのが怖いのだろう。たとえこの場の雰囲気に逆らうことになっても、たとえ生来気弱な性格であっても、それ以上に嫌なことが藤沢にはあるということなのだろう。

 

 姿がなくても、最後に頼れるのは結局雪ノ下かと八幡は苦笑する。だがお陰で、思い詰めていた自分に気付かされた。アドリブが多めになるだろうが、策は一応ある。今の会議室内に漂うこの雰囲気をぶち壊すことさえできれば、後は会長あたりが何とかしてくれるだろう。

 

 できれば俺も、他人に認められたかった。他人に誇れるものを得て、自分や他人を信じられるようになりたかった。だが、そのルートを捨ててでも、食い止めなければならないことがある。

 

 だから機会を逃さないように集中しようと、八幡は身構える姿勢に移った。

 

「雪ノ下さんって、この間の校内放送の時もだけど、怒ると凄く怖いもんね」

「むしろ我々にはご褒美です」

「いや、普通は避けられるなら避けたいだろ。文字通り、身が凍るぞ」

「でもさ。そもそも雪ノ下さんの体力が無いのが問題じゃないの?」

「じゃあお前、雪ノ下さんの代わりに同じだけ仕事をやってみろよ」

「量もだけど質も凄いからな。俺らには絶対無理だと思うぞ」

 

 ごく一部、変な反応も含まれていた気がするが。雪ノ下に責任を転嫁するような意見に対してすぐさま反論が出る辺り、救いはあるなと八幡は思う。このまま話が前向きに進んで行けば、無理に介入する必要も無くなるのだが。

 

 しかし、正副委員長の間で話が割れている状況ゆえか、有象無象の雑談は収まらない。雪ノ下と由比ヶ浜が一緒にいることは伝わっていないのか、誰かが心配そうな声を上げる。

 

「雪ノ下さんって、今は家で一人で寝てるんだよね?」

「この世界で病気になったら、凄く心細いよね。たぶん、雪ノ下さんでも寂しいんじゃないかな」

「あ、じゃあさ。みんなでお見舞いに行くのはどうかな?」

「えっ。でも、迷惑かもだし……。それにたしか、誰も家に行ったことが無いって」

「こんな状況だし、先生に聞いたら教えてくれるんじゃない?」

「だね。もしかしたら雪ノ下さんも、みんなが来るのを待ってるのかも」

 

 そんなわけあるかと八幡は思った。反射的に声が出そうになるのを抑えた俺を、褒めて欲しいぐらいの心境だ。

 

 自分が仕事をサボりたいだけなのに、みんなを理由に話を進めようとする連中に向かって、八幡は静かにため息を吐く。いきり立って何かを言って来てくれると助かるのだが、予想通りに何も反応は無い。どうしたものかと八幡は思う。

 

「いきなり訪ねる前に、せめてメッセージを送ったほうが良いんじゃない?」

「でもさ、ゆっくり休めるようにって、欠席者へのメッセージは禁止されてるじゃん」

「受信側で除外設定ができたでしょ。生徒会長なら大丈夫じゃない?」

「あ、大きく両手で×印だ」

「やっぱりさ、お見舞いはやめようよ……」

「でも、誰かが様子を……あ、じゃあ委員長に行ってもらうとか?」

 

「えっ、うち……が行くのは無理っていうか。えっと、その。あ、じゃあさ。ヒキタニくんに行ってもらうのは?」

 

「……は?」

 

 

 反射的に声が出るのを堪えて、八幡は意図的に少し間を置いてそう口にした。せっかく得られた機会を、逃すわけにはいかない。続く相模の返事に合わせてどっこいしょと立ち上がりながら、八幡は相模の顔を見据える。

 

「え、だって、同じ奉仕部だしさ。あ、それに奉仕部なんだから、こういう場合には動いてくれるんでしょ?」

 

「いや、奉仕部って別に何でも屋じゃねーし。つか、今日の仕事はどうするんだ?」

 

 馬鹿げたお見舞いの話などは闇に葬って、八幡は本題を口にする。とにかく一日分の仕事を進めておく必要がある。人前で話すのは慣れないが、だからこそ人を呑むような態度で、人を小馬鹿にするような話しかたで補おうと八幡は思う。人を。そう。人だ。

 

「だから仕事は一日延期で……」

 

「雪ノ下がいねーと、何にもできないんだな」

 

 相模には悪いが、過剰攻撃になるとは思うが、恨むなら委員長に立候補した自分を恨んでくれと八幡は思う。八幡が突然強く言い放った言葉に、相模も誰も反応できていない。今がチャンスだ。

 

「あのな。よく、良い話だなーって感じで、『人という字は』って話をするよな。人と人が支え合って、みたいなやつな」

 

 両手とも五本の指をぴったりくっつけて伸ばして、八幡は左手の先を二時の方向に、次いで右手の先を十時の方向に向けて、右手の先を左手中指の付け根の辺りにくっつける。八幡から見て、少し倒れかかった人の字ができていた。

 

「でもな。よく見ると、こっちの右手のほうは左手を支えてるけど、左手は右手に乗っかってるだけだろ。で、この右手が雪ノ下で……左手がお前らな。雪ノ下が居ないからって……」

 

 そう言って言葉を切った八幡は右手だけを離す。そして左手をそのままの状態に保ったまま、言葉を続けた。

 

「せめて、この姿勢を保つぐらいのことはしようぜ。支えもないのに、もたれたままで。一緒に倒れてどうすんだよ」

 

 最後まで声を荒げることなく淡々と言葉を吐き出して、八幡はそこまで言い終えるとゆっくり腰を下ろした。

 

 

***

 

 

 全体会議の雰囲気は一変した。八幡に正面から喧嘩を売られて、有象無象の面々は何も実のある反論ができなかった。そして誰かが声を荒げて八幡を罵倒しようとした直前に、教師の声が響き渡った。

 

 困ったような表情の平塚静は、雪ノ下へのお見舞いは不要なこと。更には、文化祭までの日数的にも、継続して仕事をしたほうが良いと告げると、この場を収拾するために城廻を指名して発言を終えた。

 

 後を託された城廻はいつもと変わらぬ元気な声で、土曜日の続きの仕事を各自が行うように要請した。ほんわかとした声で「仕事をサボったらダメだよー」と釘を刺すと同時に、仮に各自の判断で始めた仕事が見当違いだったとしても、雪ノ下に怒られないように自分が取りなすと明言した。だから各々がやるべき仕事を考えて、それをどんどん進めてくれと。

 

 

 そして会議は終わり、実行委員はそれぞれの仕事に向かっていった。ほぼ全員が動くまで自分は動くまいと考えていた八幡だが、それよりも前に近付いてくる人物がいた。生徒会長の城廻だ。

 

「君、最低だね!?」

 

 そんなセリフも、城廻が口にするのを聞くと笑ってしまいそうになる。だがつい先程の蛮行があっただけに「反省の色が足りない」と怒られそうなので、思わず吹き出しそうになるのを何とか堪えて八幡は頷くに止めた。

 

 結局のところ、と八幡は思う。誰かがサボるせいで真面目に取り組んでいる奴があおりを受けるのが、俺には納得できないし看過できないんだよなと。できれば、そうした連中には報われて欲しいものだ。千葉村での八幡の発言を根拠に木曜日に雪ノ下が想像した通り、八幡はそう考えていた。

 

「真面目な子だと思ってたよ」

 

 正直に言うと自分でも、大勢の場であんな事を言えたのは意外だった。だが俺は真面目ではないよなと八幡は思う。戸塚がよく「真面目だ」と褒めてくれるが、これも観点というか考え方の違いでしかないと八幡は思う。

 

 俺はおそらく、ボロが出て誰かを最後には失望させてしまうのが怖かったのだろう。けれども今日は、こんな形のボロぐらいなら別に良いと八幡は思った。おそらくあの二人なら、そして戸塚を始めとしたごく少数の連中も、これをボロとは思わないだろうから。

 

「さっきの演説なんだけどね。はるさんが聞いたら、映像を見たいって言うと思うんだよねー」

「ごめんなさいそれは勘弁して下さい!」

 

 言われるがままを受け入れようと考えていた八幡だったが、思わず凄い勢いで反応してしまった。ぽわぽわと笑う城廻の顔を見て、八幡はがっくりと肩を落とす。

 

「城廻先輩も冗談とか言うんですね」

 

「比企谷くんだって、さっきみたいなことが言える子だって思ってなかったよー。だから、お互い様だね」

 

 それだけ言うと、「じゃあ、仕事を頑張ろう、おー!」と唱和させて、城廻は会議室の前の方へと帰って行った。

 

 

***

 

 

 そして今、八幡は渉外部門の面々と一緒に、会議室の後ろのほうで仕事をしていた。誰も八幡に話しかけてこないが、大量の仕事を押し付けられたりとか、逆に仕事を何もさせて貰えないような状況にはない。

 

 八幡は先週に続いて、当日に発生しうる問題を検討していた。特に現実世界からのゲストにどう対処すべきか、ブレストで出た意見を整理しては回覧してという繰り返しを行っていた。先程の会議で報告を行ってくれた三年の先輩と、雪ノ下と同じJ組の保健委員が、八幡から書類を受け取っては全員に回してくれる。お陰で支障なく仕事ができていると、八幡は二人に対して頭が下がる思いだった。

 

 

 不意に、教室内が緊張に包まれたような気配を感じた。八幡が頭を上げると、会議室の前の方で正副委員長が顔を青ざめさせてお互いを見ている。二人の様子を素早く察知して城廻が話しかけようとしているが、何かあったのだろうか。

 

 その時、渉外部門の全員が同時にぴくりと身体を動かした。メッセージが届いたのだ。周囲の様子が気になりながらも、まずは確認だと考えて八幡はそれに目を通した。

 

 たしかに、できる限り早くとは言った。自分たちの予定も運営に伝えていた。今週からは午後の授業がないので、最終下校時刻までずっと高校に居るはずだと。だから運営の都合が付き次第、いつでも良いですよと答えたはずだ。

 

 だが、どうしてよりにもよって、雪ノ下が欠席している今日なのだろうか。

 

 雪ノ下が渉外部門の全員に送ったメッセージは、以下のような内容だった。

 

『正副委員長と渉外部門の責任者である私宛に、つい先ほど運営から通達がありました。今から一時間後に、現実世界の現地テレビ局および新聞社による合同取材のために、会議室にて映像通話を繋げるとのことです。現場の状況および判断を、比企谷くん経由で教えて下さい』

 

 取材まで、あと一時間に迫っていた。




更新が遅れて申し訳ありません。
年末から年度末にかけて更新の頻度が落ちますが、三月下旬まではご容赦下さい。

次回は来週の半ばに更新する予定です。
ご意見、ご感想、ご指摘などをお待ちしています。


追記。

最後の雪ノ下からのメッセージ内で「音声通話」と書きましたが、正しくは「映像通話」の間違いです。私の完全な見落としですし、もしも「映像通話ではない理由は?」と深読みして下さった読者様がおられましたら、本当に申し訳ありません。

せっかく描写の端々で伏線を匂わせても、こうしたミスがあると読み込んで頂けないわけで。今後は見落としを完璧に防ぐ、とはとても断言できませんが、気付いた時点でこうした説明文を添えて修正する事はお約束しますので、できましたら今後とも本作をよろしくお願い致します。

また、パレートの法則に言及していた部分が不正確で冗長にも思えたので削除・訂正しました。
ちなみに、割れ窓理論も働く蟻は二割という話も、原作八幡のモノローグに出て来ます。

その他、細かな表現を修正しました。大筋に変更はありません。(12/14,4/2)

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