Fate/Last Master   作:三代目盲打ちテイク

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カルデアサマーメモリー ~癒やしのホワイトビーチ~ 6

 畑を作るということで、選ばれた作物は――トマトと米。

 

「というわけで畑耕して、水田作るぞー」

 

 おー、という掛け声のもとオレたちの開拓スキルも上がっているため、みるみるうちに水田やら畑やらが出来ていく。そこにサーヴァントの身体能力が加わればもう即座に完成レベルである。

 

「おーおー、というわけでだ、種と苗だ」

 

 どこから取り出したんですかね、その種と苗は。

 

「無論、私謹製だとも。安心したまえ、超促成栽培によって一時間もすれば収穫可能だ」

「それ大丈夫なの、ダ・ヴィンチちゃん?」

「問題はないさ。栄養価も普通よりも高い。何より、ルーンとの相乗効果で魔力の回復効率もアップな上、食べていれば英雄並みに鍛えられるという」

「ますます心配になったんですけど……」

「まあ、そこまでは言い過ぎとして、大丈夫だとも問題ない」

「はい、何も問題はありません。どんな食材であろうとも栄養は同じですから!」

 

 リリィ……そうだけど、それとこれとはなんだか話が別な気がするんじゃが――まあいいか。これでカルデアの食糧事情もさらに潤うだろう。

 ドクターがひそかに頑張っていたけど、この島があれば今後は食料の備蓄の問題とかいろいろと解決できるかもしれない。そういう意味も込めての開拓らしいというのは、先ほどダ・ヴィンチちゃんとドクターの話を盗み聞きしたからだ。

 

「うははは、笑いが出るわ。良いなこの米! これほしいわ! 是あれば大軍も維持できるじゃろ!?」

「おおおお! すごいですベディヴィエールさん! いっぱい実ってますよオコメ!」

「これがあれば、キャメロットも――」

「もはや変わらぬことと言えどな」

 

 何やら統治者グループが感じ入ってます。そりゃ、一日というか、一時間で収穫できる作物とか米とか王様ならだれでもほしいだろうな。

 だからこそ、あの時は本当に助かったな。ありがとう藤太。

 

「さあ、いっぱい炊きますよー!」

 

 収穫された、ダ・ヴィンチちゃんにより精米されたお米を清姫が炊きに行く。

 

「じゃあ、その間にトマトも収穫しようか」

「うむ、任されよ」

 

 赤々と瑞々しく実ったトマトを収穫していく。タオルに帽子を装備して、働く男衆。なんというかクー・フーリンとか、ジェロニモとか似合いすぎだろというくらいに思える。

 ともかく山盛りのトマト。形がいいし、虫もついていない。

 

「さて、これはケチャップとかにしよう!」

 

 そのまま食べてもいいが、やはり半分くらいはケチャップにしようということで小さく刻んだりしてから、他の食材を足して煮込んでいく。

 塩コショウ、砂糖などで味をととのえれば完成。

 

「んー、おいしい」

 

 出来上がったものを試食するがおいしい。ほとんど味覚も戻って、こうやって料理もできるようになった。とても素晴らしい。

 

「ごはんが炊けましたよー」

「オムライス作るかー!」

 

 という訳で久しぶりの料理。ケチャップとごはんを使ってオムライスをつくる。

 

「おー、美味そうじゃのう」

(アタシ)もこれくらい」

「お主が作ると赤くなるじゃろう。食えたものではないわ。お主、ダビデの反応をみてもまだ料理に挑もうとするその気概だけは認めてやるがのう」

「諦めないことは得意なのよ! 諦めたらそこで終わりだもの。だから、諦めたくないの。歌も、料理も!」

 

 エリちゃん、本当前向きだなぁ……。うん、歌はちゃんと努力してくれているのがわかるからいいとして、料理はちゃんと教えてあげた方が良いかな。

 んー、オレが教えるよりブーディカさんに習った方が良いのか、オレに習うより同性に習った方が一番いいと思う気がする。

 

 ああ、でもやっぱりオレが教えようかな。そうすれば上達途中の味見からは逃れられる気がする。

 

「じゃあ、あたしが教えよっか?」

 

 ブーディカさんに先を越された!

 

「いいの!?」

「おうおう、そうしてもらえ。そうすれば少なくとも食べられない物質から食べられる物質にはなるじゃろ」

「なによー! 今のままでも食べられるわよ! ねえ!」

「………………」

 

 目を背けてるブーディカさん。ああ、うん、そこはうん、答えられないよねぇ。

 ともかく食事にする。

 

「先輩、とてもおいしいです」

「うんありがとう」

「これがますたぁの味。覚えました、次はしっかりとこのように」

 

 おいしい食事の後は各々過ごす。

 

「ノッブ、なにしてるの?」

 

 ふとノッブが水田を見ていることに気が付いた。

 

「おお、マスターか、なに水田をな。まさか、このわしが田をつくることになろうとはなぁ。ちぃとばかしいろいろと思い出したわ。田を見ておると昔をな」

「そっか……」

「のう、マスター、お主は覚えておるか、わしとの約束を、天下布武の約束を」

「覚えてるよ」

 

 ある日部屋にやってきたと思ったら、寝物語でも聞かせてやろうと布団に入ってきて、天下布武の夢を語ったのだ。

 あの時は、清姫に殺されるかと思ったものであるが、その約束は覚えている。いつか、世界を救ったらともに天下布武でもしないかと。

 

「ならばよい。のう、こんな水田をまた作れるよう世を救わねばな。是非もなし、ニンゲン五十年。わしの五十年は水泡に帰したが世はなるようになった。お主の五十年、後悔なきようなものになるようにせんとな」

「そうだね――頼りにしてるよ、第六天魔王様」

「それはこっちもじゃ。頼りにしておるよ、マスター」

 

 拳を合わせて笑いあう。相手が裸マントじゃなかったらいいのにね。

 

「ああ、そうじゃ。わしからは特に何も言わんが、無茶もほどほどにの。わしはどうも思わんが、他の者らが心配してかなわんからの。良いな? わしは本当にどうも思わんが、他の者らが心配しておるのを見るのほど鬱陶しいものはないからの。良いな!」

 

 ほんと、敵わないなぁ……。いつもふざけてるけど、こういうところかっこいいんだよなぁ、裸マントなのに……。

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 その夜。

 

「ん?」

 

 ふと、一人浜辺に座って酒を飲んでいたジェロニモがいた。

 

「ジェロニモ?」

「マスターか。どうした?」

「いや、ジェロニモはなにしてるのかなって」

「なに、たまには一人、酒をと思ってな。この米の酒だが、収穫した米から作ったらしい。ダ・ヴィンチ殿はすさまじい」

「そうだね」

 

 本当、ダ・ヴィンチちゃんはすごい。万能すぎて、師匠と合わせたらまさにあの青狸だよ。

 

「……そういえば、ジェロニモはさ、ジェロニモって名前じゃないんだよね」

「そうだ。告げる名もないのでな」

「どうやってジェロニモになったの?」

「うむ……そうだな……私の家族はメキシコ人に殺された」

 

 戦争の最中、アパッチ族には懸賞金がかけられた。それと同時に、ある申し出があった。和平協定の申し出だ。その内容は年に4回、軍駐屯地において、毛布、布地、トウモロコシの粉、メスカルというアパッチ族の大好物である物を支給するというものであった。

 無論、疑ったが、合議の結果、一隊の派遣を決め、運搬手伝いに女子供も同行することとなった。

 

「私はそれに家族総出で加わった」

 

 用心深く郊外に野営し、町へ向かったが、そこで大歓待を受けた。それに油断してしまったのだ。そこを敵の指揮官は包囲、殲滅した。

 

「私は、妻子の遺品をすべて野辺送りにして焼いた」

 

 それは過去と決別し、復讐の戦士となるためだった。

 

「私は、メキシコ人と同じことをした」

 

 つまりは、虐殺を。

 

「マスター、私は、戦った。部族の為、家族の為に。そうすることでしか、私はもはや生きれぬのだ」

 

 銃弾の雨の中をものともせずにナイフを片手に戦場で暴れ狂ったその様を見て畏敬に駆られた一人のメキシコ人が、守護聖人の「ジェロニモ」の名を叫んだのだ。

 これに呼応して、人々が口々に「ジェロニモ」と叫んだ。こうして、この日このときを境に、彼の名は「ジェロニモ」となった。

 

「それが、私がジェロニモとなった経緯だ。軽蔑したかね?」

「いや……」

「はは。良いのだマスター。私がしたことは、褒められることではない。だが、私の行いも無駄ではなかったのだろう。こうして英雄として英霊としてマスターの手助けができる。ならばわが生涯にも価値があったのだと思える」

「それは……」

「英霊などそのようなものだ。だからこそ、わが生涯が無駄でなかったと価値を与えてくれるマスターに私は従う。対等ではあるが、オマエのことは好ましく思っているのでね」

「ありがとう。いつも助かっているよ」

 

 波音を聞きながらジェロニモと話す。それは新鮮だった。

 

「おや、マスター、君も来たのかい?」

「ジキル博士も酒盛り?」

「ジェロニモに誘われてね。といっても僕の場合は紅茶だけど。この島にあったもので作ってみたんだ、味は、その都度変わるから保証しかねるけどね」

「なにそれちょっと飲んでみたいかも」

「ちょうどいい。今日の分だ。飲んで感想を聞きたいね」

 

 隣に座ってきたジキル博士からカップをもらって紅茶を飲む。

 

「ん、おいしい」

「よかった今日は当たりみたいだね」

「外れるとどうなるの?」

「一日ハイドになった」

「危なくない!?」

「はは、冗談だよ。外れてもそれなりには飲める。御婦人方には少しばかり不評だけどね」

 

 静かに波音を聞きながら夜は更けていく。

 

「ふー、やっと終わった。おや、まだ起きていたのかい?」

「ドクター、久しぶりいい休暇だよ」

「それは何よりだ。ちょうどいいや。実は、少し特殊な特異点を見つけてね。心苦しいがそろそろ休暇を終わらせて戻ってきてほしいんだ」

「わかった」

「うん、それじゃあ、最後までしっかりと休んでね」

 

 また明日から色々な特異点に行ったりするのだろう。今度はいったいどんな目に遭うのやら。でも、乗り越えていけるはずだ。

 みんながいるから。オレが必要とされていることもわかったから。だから、大丈夫だと思うのだ。

 

「しかし、マスター、最後の夜がこんな男だらけでいいのかい?」

「たまにはいいでしょ」

 

 こうして最後の夜は更けて――。

 

「もう帰るのか。もう少しゆっくりしていけばよいものを」

「すみませんスカサハさん、ドクターが特異点を見つけたらしく」

「よいよい、そうかしこまるな。わしの方も準備ができたところでな」

「準備?」

「ああ」

 

 そうして彼女が取り出すのは朱の武装だった。ゲイボルグのようなそれら。

 

「これらもようやっとできてな。私もついて行くぞ」

「本当!?」

「嘘は言わん。そのために霊基をちょいといじった。そういうわけだこれからよろしく頼もうマスター、それと弟子」

「うへえ、師匠もくんのかよ、島はどうすんだ?」

「なに、ここの管理はうりぼうに任せる」

 

 いつの間に手なずけていたのか、現れるうりぼうたち。どこにいたんだろう。

 

「わー、可愛いです」

 

 そして、一瞬でリリィに懐くうりぼうども。

 

「こやつらにはしっかりと役割を教え込んだ。ここの維持くらいはできよう」

「なるほど」

「大事なカルデア補給拠点と保養地だ。しっかりと維持するためのシステムも作りあげた。ダ・ヴィンチちゃんに不可能はないのさ」

 

 ならば大丈夫か。

 

「それじゃあ、これからよろしく師匠」

「ああ、少々やりすぎて水着から戻らなくなったが、なに私が私であることには変わりない。よろしく頼むぞ、マスター」

 

 カルデアへ帰還する、また新しい日々を想いながら――。

 




というわけでほとんど開拓が終わったので、カルデアへ帰還。
これからも12月までにいろいろと終わらせるべく頑張っていこうと思います。
アンケートに答えていただいた方はありがとうございます。

さて、次はプリヤです。優秀な弓と投影使いを手に入れなければ。なにせ、七章は古代ウルク。そうなれば確実に出てくるあいつに対抗できないですからね。
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