【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第一部 学園生活編
第1話 登校しやがれ


「えええーーーーッ!? 僕が他校で研修ですかッ!?」

 

それはあまりにも突然のことだった。

 

「うむ、ネギ君が研修に行っておる間は、タカミチが君のクラスを面倒みる」

 

淡々とした口調で告げる学園長だが、額に汗をかいている。よっぽど何かがあったのだろう。

 

「ど、どうして僕が!? 研修って、僕何すればいいんですか!? それにこんな急に!?」

 

当然ネギはあまりにも突然の辞令で納得できない。

教師としての仕事も慣れ、クラスの人たちとも仲良く、そして楽しく、時には様々な問題も乗り越えてきた。

今のところ波乱万丈でありながら順風満帆に麻帆良女子中での教師生活にも慣れ、父のような魔法使いになるという目標に向けた鍛錬との両立もしている。

それが今になって短期間とはいえ他校に行けというのだ、直ぐに頷きにくい内容だった。

 

「い、いや・・・のう・・・ちょっと委員会で問題になってのう。いかに学力があるとはいえ、10歳の子供にクラスを任せていいのかどうか・・・確かに君の評判は良いが、身内びいきなのではないかと・・・」

「えっ、今さらですか!?」

 

学園長の言いにくい理由には、それがあった。いかに天才とはいえ10歳の少年にクラスを任せていいのかということだ。だが、ネギにとってはあまりにも今更すぎる問題ゆえに、思わずツッコミを入れてしまった。

 

「う、うむ。そこで協議の結果、君には2週間だけじゃが他校で授業をしてもらい、教師としてふさわしいかどうかの評価が下される。ワシも粘ったんじゃが、しばらくは重要な行事も無いので仕方ないと・・・」

「ええっ!? じゃあ、その評価がダメだったら、どうなるんですか!?」

「・・・・・・・・・・・だ、大丈夫じゃ。研修と言っても、普通に英語の授業をしてくれればよい。君は教え方は丁寧じゃから大丈夫じゃ!」

 

グッと親指を突き立てて断言する学園長だが、明らかに様子が変だ。

何か更にまずいことを隠しているような顔だ。

 

「あの~・・・学園長・・・」

「なんじゃ?」

「何か隠していませんか?」

「ギックーーウ!?」

「ええ!? 何かあるんですか!?」

 

あまりにも古典的すぎる反応で、不安がさらに深まった。

ネギも不安そうに身を乗り出すが、学園長もハッキリとしたことを言わない。

 

「・・・・研修先は麻帆良敷地内にある高校の一年生クラスじゃ。一応麻帆良敷地内ではあるが、研修中は向こうの寮で生活してもらうのでそのつもりで・・・」

「サラッと流さないでください! って、しかも高校生相手ですか!?」

 

食いつくネギを、頼むからこれ以上聞くな、さあ行った行った。といった感じで学園長室から追い出す。

 

「な、なに、大丈夫じゃ! 君なら出来る! たまには、ほれ・・・教師としての経験を積むには良い機会じゃ。あっ、くれぐれも魔法はバレんようにのう。アスナ君や木乃香にはちゃんと伝えておくから、数週間という期間じゃからがんばるように! ホレ、この紙に書いてある学園じゃ。後のことは向こうの人が世話してくれることになっておる」

「ちょちょちょちょーーーッ!!」

「では、グッドラックじゃ!」

 

爽やかな笑みでネギを学園長室から追い出す学園長。

パタンと部屋の扉を閉めて、静かになった学園長室で深くため息をついて、椅子に腰を下ろした。

 

「ふい~、ネギ君には気の毒な事をしたの~。しかし、公平性のために研修先をくじ引きにしたのがまずかったの~」

 

お茶を啜りながら、不安そうな学園長。

 

「よりにもよって・・・・・・あそことはのう・・・」

 

 

 

 

 

 

麻帆良学園都市。

その広大な敷地内には、保育園、初等部から中等部、高等部、さらには大学部まで存在し、それだけに留まらず研究所などの施設まで揃っている。

更には学生寮や住宅街、商店街、教会、神社なども集積した世界有数の超巨大な学園都市である。

しかしその広大な学園都市の中で一つだけ、ポツンと端っこの端っこに一つの高校が存在した。

本来、本校へはエスカレーター式の麻帆良学生生活において、あまりにも素行の問題や出来の悪い生徒たちはだけが集められる流刑島のような学校。

その名も・・・・

 

「ここが・・・麻帆良ダイグレン学園か・・・本校とは別にこんなところにも高校があったなんて・・・」

 

麻帆良ダイグレン学園。

麻帆良本校の高校にエスカレーターで上がれなかった問題児たちだけが集う学園。

学園都市の豊富な施設などからも遠く、まるでここだけ独立したようにポツンと存在する学園だ。

もっともネギにそんな情報を知っているはずもなく、ネギは今日から短い期間だが務めることになった学園を見上げて呟いていた。

 

「何だかんだで来ちゃったけど・・・ここが今日から僕が働く所か・・・ど~しよう、アスナさん怒ってないかな~。老子やマスターの修行も休むことになるし・・・」

 

校門の前で今日から仕事をすることになる、ダイグレン学園を見上げながら、ネギは少し憂鬱そうに溜息をついた。

 

「それに・・・なんかここ・・・すごい個性的な学校だな・・・校門がスプレーでアートされてるし、・・・ヒビが入ってボロボロだ・・・校舎も・・・」

 

第一印象からネギは、いきなりこの学園に不安を覚える。

普段自分は、校舎も綺麗で設備も非常に整い、素敵な女性たちで溢れている女子校の担任をしていただけに、校門にいきなりスプレーで「喧嘩上等! 10倍返し!」「俺たちを誰だと思ってやがる! 夜露死苦!」などと落書きされていたら、憂鬱にならない方がおかしい。

むしろ、自分が今までいかに恵まれた環境に居たのかが骨身にしみて分かった。

 

「はあ~~」

 

そうやって校門の前で深々と溜息をついていると、校庭を横切って奇妙な口調で誰かが話しかけてきた。

 

「あら~ん、随分可愛い坊やね~ん! ひょっとしてあなたが噂のネギ君かしら~ん? 話はきいてるわ~ん」

 

そこには、ネギが生まれて初めて見る性別が居た。

 

「えっ、え~と・・・そうですけど、あなたは?」

「私はリーロン。ダイグレン学園で一番偉い人よ~ん。それにしても本当に10歳の子供だなんて、う~ん、可愛いわね~ん。食べちゃいたい♪」

 

ゾゾゾゾゾと全身の鳥肌が立った。

鬼とか悪魔とか真祖の吸血鬼などこれまで見て来たネギだが、たかが数秒会話しただけで、クネクネとするリーロンに恐怖を覚えた。

 

(な、なんだこの人・・・こ、怖さの・・・種類が違う)

 

ガタブルしているネギに、余計に上機嫌になるリーロン。

これ以上ここに居たら、何だか本当に食べられてしまうのではないかと、ネギは恐怖に震えた。

しかし、幸運なことにここに来てチャイムが鳴った。

 

「ちっ・・・あらやだん。もっとお話ししておきたかったのに、無粋な鐘ね。明日から10分遅らせようかしらん」

「え、ええ~~! そんなことしていいんですか!?」

「うふふ、本気にした?」

「・・・うっ・・・」

 

流し眼でウインクしてくるリーロン。ネギは顔を青ざめさせて本当に帰りたくなった。

すると、チャイムが鳴ったのを合図に、ジャージ姿の一人の教師が走ってやって来た。

 

「おおーーい、リーロン校長!」

「あらん、ダヤッカ先生」

「まったく、もうチャイム鳴りましたよ。・・・おっと、そちらが今日から研修に来たネギ先生かい?」

「はい! ネギ・スプリングフィールドです! 担当教科は英語です。短い間ですが、よろしくお願いします!」

 

ネギはキリッと礼儀正しく挨拶をしながら、内心ホッとしていた。

 

(良かった・・・普通の先生が居た)

 

学校の第一印象に加えて、気味の悪いリーロンに会い、ネギは不安で仕方がなかったが、ダヤッカといういたって普通の教師の存在は、砂漠のオアシスだった。

だが、礼儀正しく挨拶をしたネギに対して、ダヤッカは無言だった。

あれっ? と思い顔を見上げると・・・

 

「うう・・・・ううううううう」

 

ダヤッカは泣いていた。

 

「あの~・・・ダヤッカ先生?」

「い、いや、すまないネギ先生! ちょっと感動してしまって!」

「えっ?」

「最近は10歳の子供でもこんなに良い子が居るだなんて・・・あいつらに見習わせてやりたい!」

「・・・・・・へっ?」

 

何と、挨拶だけで感動されてしまった。

 

「ネギ先生。この数週間は大変なことになるかもしれない、だが、いつでも相談してくれたまえ、俺はいつでも君の力になる!」

 

ゴシゴシと涙を拭いたダヤッカは、ネギの両手を握って力強くそう告げた。

何だかよくわからないが、とにかくダヤッカは変な人ではない。むしろとても親切な人だとネギもうれしくなった。

 

「はい! よろしくお願いします!」

「あらん、さっそく仲良くなって、妬けるわねん」

 

力強く返事をしたのだった。

 

(良かった。最初は不安だったけど、こんな良い先生も居るんだし、きっと大丈夫だ)

 

最初は少し不安だったが、ダヤッカの存在が気持ちを楽にさせてくれた。

よしっ、自分も頑張ろう。新天地でネギが決意した。

しかし・・・

 

「ダーリーン!」

「・・・・・・・へっ?」

「キ、キヨウ!?」

 

一人の女生徒がダヤッカに飛びついた。

金髪でプロポーションの良い生徒が、朝っぱらから教師に抱きついた。

 

「こ、こらキヨウ。学園では先生だろ」

「も~、あなたってばそういうところは真面目なのね。でも、そんな所が私も好きになったんだけどね♪」

「こ、こら・・・からかうな」

「ふふん、じゃっ私はもう行くから、遅刻扱いにはしないでね♪」

「・・・あっ、こらーーー! それはしっかりと取るぞーー!」

 

少しデレデレと鼻の下を伸ばしながら怒るダヤッカだが、まったく怖くない。

それにしても生徒にここまで堂々と抱きつかれたり好きだと言われるなど・・・・いや、ネギもそうだった。

「ネギくーーん」「ネギせんせーが好きです」と言われたり、あまつさえ仮契約でキスまで済ませたりしている。

 

「ダヤッカ先生って生徒に人気あるんですね」

 

ネギがほほえましそうにダヤッカに告げた。

だが・・・

 

「ううん、違うわよ、ネギ君。キヨウは確かに生徒だけど、実はダヤッカの奥さんでもあるのよん」

「へ~、奥さんですか~だから・・・・・・・・・・・・・・へっ?」

「二人は結婚してるのよん」

 

サラっとリーロンがとんでもないことを言った。

 

「さっ、もうすぐホームルームが始まるわん。君のクラスに案内するわねん」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

やはり不安になるネギだった。


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