【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
さて、ネギを救うためにイロイロな人たちが心配し、協力しようとしているのだが、やはり一番の問題は「やる気」だろう。
実際追試を受けるカミナたちがいかに勉強に集中できるかがキーになってくる。
もし、まったく勉強にやる気が無い連中を勉強に集中させることが出来れば、正に魔法だろう。
しかしその魔法が、実に絶妙なタイミングでカミナたちに降りかかった。
「知らないんですか? ・・・・・・今年からの学園改革」
「・・・・・・・・・・・何?」
「赤点の人は追試で、それに失敗したら学園祭に参加できずに補習なんですよ」
「なにいいいいいいいいッ!? 赤点組は追試? ミスれば学園祭に参加できねえだとォッ!?」
「はい・・・リーロン校長がそう言っていました」
ロシウの言葉にキタンたちは怒りをあらわにして大抗議を始める。
「馬鹿言ってんじゃねえ! 去年までんなことなかったじゃねえかッ! それがまた、何でんなことになってんだよ!?」
「僕に言わないでください! ほら、ウチの学園は学園祭でお金儲けしていいというのは知っていますね? それで本来の学生の本分を忘れてそちらに集中する生徒ばかりで両親やPTAから抗議が来て、今年からの改革らしいです」
「ふざけんなァ! 学生の本分は麻雀にパチンコに学園祭だろうがァ!!」
「あー、もう! だから僕に言っても仕方ありません!」
この時期になると、本校の生徒たちは皆慌しく動いていた。
一年で最大級とも言うべき学校行事の学園祭。
それを何の懸念もなく迎えるために、直前の中間試験では皆が勉学に勤しんでいた。それが普通の高校だろう。
しかしここではそんなことはない。試験だなんだは知ったことではなく、学園祭の金儲けと馬鹿騒ぎに命を掛ける連中が集っている。
そんな彼らに今回の改革は衝撃的といわざるを得ない。
「あれ・・・みなさん、どうしたんですか?」
「ごほっ・・・騒がしいね・・・」
教室の喧騒を不思議そうに感じながら、ネギと少し顔色の悪いフェイトが帰ってきた。その瞬間キタンたちはネギまですっ飛んだ。
「うお~~~い、どういうことだよ先生よォ!? ロシウが言ってたんだが、中間の赤点者は追試ミスったら学園祭に出られねえだとォ!?」
「えっ、・・・そうなんですか?」
「どうすんだよ! って、そうだ先生、俺らに追試の問題と答えを教えやがれ、そうすりゃ俺たちは何事もなく学園祭を楽しめらァ」
「なな、そんなことできるはずないじゃないですかァ!? そ、それに追試の合格ラインは確か40点です。つまり40点以上なら、まともにやれば・・・」
ネギはまだ分かっていない。彼らの実力というものを。
「「「「「ぐおおおお、40点も取れるかァァァ!?」」」」」
そもそも学園に入学して以来筆記用具を持った回数など数えるほどしかないカミナやキタンたちにはとんでもない試練だった。
「あ~あ、くそ、やってらんね~、こうなったら諦めて逃げるか」
「テストは出来ん」
「意味無い意味無い意味無い」
もはや既にやる気も失っている。
テスト勉強などやるという選択肢など最初からない。赤点? 追試? 知ったこっちゃねえという様子だ。
だが、そんな彼らの様子にとうとうロシウが我慢の限界のように叫んだ。
「いい加減にしてください。じゃあ、あなた方は何故学校に通っているのです。授業や試験のたびにそうやってふんぞり返って、何が学生ですか。自ら退学届けを出して去っていった不良たちのほうがまだ潔良い」
「んだと、ロシウ!?」
「やんのか、コラァ!?」
不本意ながらこの学園に居るロシウにとっては彼らの態度はイラついて仕方ないようだ。
そのイライラした気持ちを八つ当たりのようにぶつけられてはキタンたちも黙っていられない。
「まま、待ってくださいよ~、喧嘩はダメです~」
「甘いですよ、ネギ先生。彼らにはこれぐらい言っても全然足りないんですから。まあ、どうせ追試もクリア出来ないと思いますが・・・」
「んだとロシウてめ~~」
「クラスメート同士で喧嘩はやめてくださいってばァ!」
だが、喧嘩をさせるわけにはいかず、ネギが慌てて彼らの間に入って仲裁する。
「そ、それじゃあどうでしょう。とりあえず簡単な小テストを皆さんにやってもらって、皆さんの実力を見たいと思います。出来る出来ないはともかく、まずはやってみてみましょう。それでいいですか?」
「あ~、めんどくせ~な~、どうせ出来るわけねえだろ? つうか、高校って科目どれぐらいあるんだっけ?」
「さあ・・・受けたことねーしな~」
「あなたたち、高校生活長いのに今更それですか!?」
とにかく学園側の決定以上は従うしかない。
「ふん、40点どころか彼らは二桁取れるかどうかも疑わしい。まあ、僕には関係ありませんが・・・」
「ロシウさん。そういうことを言うのはやめましょう。ロシウさんもこのクラスの一員なんですから、仲間を見捨ててはいけません。仲間を信じましょうよ」
「・・・せ、先生・・・」
追試失敗はダメならそれ以上を取るしかないのである。
無理かどうかはまずやってみて判断する。
それに学園祭というのは彼らには中々重い行事のようだ。
ネギはそれを使って彼らのやる気を最大限に高めようとする。
「それにほら、40点以上が無理とかは皆さんには似合いません。無理を通して道理を蹴っ飛ばす。それがこの学園の教育理念であり、皆さんのポリシーでしょ?」
「むっ・・・」
「うっ・・・」
「それに、高校生は物理や化学などの科目数が多い分、試験範囲はそれほど広くありません。つまり最低でも基本の基本さえマスターすれば、追試はクリアできるようにできています。つまりやればできることなんです! これをやって、楽しい学園祭を迎えましょうよ!」
ネギの言葉にキタンやゾーシイたちは互いに顔を見合い、どうするべきか相談している。
別に留年ぐらいどうってことないが、大もうけできる一年で一度のチャンスを、やればできることをやらないで台無しにするのか、その選択に迷っていた。
すると、こういう時はこの男次第。カミナは立ち上がってネギに同意した。
「よっしゃあ、上等じゃねえか! ここは先公の言うとおりだ! テストだか追試だか何だろうと、受けてやろうじゃねえか! バカとテストとヤンキー大会だ!! この壁をぶちやぶって、堂々と学園祭を満喫してやろうじゃねえか! 俺を誰だと思ってやがる!」
カミナが言えば仕方ない。
「おい、他のやつらはどうするんだ? アーテンとかバチョーンたちも追試だろ?」
「へっ、明日集めりゃいいだろ。あいつらも学園祭に参加できねーのは嫌だろうからな」
やれやれとため息つきながら、追試の心当たり・・・というかほとんどのものが中間試験を受けていないために対象者なわけだが、とりあえずはやってみようと同意した。
「へ~、やるじゃない、・・・あの子、麻雀で負けてるときはどうなるかと思ったけど、結局カミナたちに勉強させるとはね・・・」
ヨーコは少しネギを見直して、教壇の前でやる気満々のネギにほほ笑んだ。
そして行われた簡単な小テスト。
そこでネギは彼らの実力を知ることになる。
「カミナさん・・・格好つけて英語で自分の名前を書くのはいいんですが・・・・Kamina・・・ではなく、Kanima・・・カニマになっています・・・っていうかほかの皆さんもカタカナ間違えたりしています・・・ま、まあとりあえず・・・採点してみよう・・・」
自分の名前すら間違えていた。
予想をはるかに上回る結果だった。
抜き打ち小テスト。とりあえずは追試者もそうでない連中も含めて全員一斉に行った。
例えば・・・
以下の問いに答えなさい。
Q.日本の民法における結婚適齢は最低何歳か?
ロシウの答え
「男性は18歳、女性は16歳」
ネギのコメント
「正解です。ロシウさんには簡単すぎましたね」
キヨウの答え
「男15歳 女15歳」
ネギのコメント
「もしそうなら、ニアさんはとても喜びますね。でも、キヨウさんは・・・既婚者ですよね?」
ニアの答え
「愛し合っていれば関係ありません」
ネギのコメント
「個人的には正解にしてあげたいです」
Q.大航海時代にヨーロッパ人が「新たに」発見した土地に対する呼称をなんと言うか?
ニアの答え。
「新世界」
ネギのコメント
「正解です。ニアさんは時々単語の意味の間違いがありますが、とても優秀です」
キタンの答え。
「大海賊時代? グランドラインの後半の海・・・、新世界!!」
ネギのコメント
「正解なのが悔しいです」
フェイトの答え
「魔法世界(ムンドゥス・マギクス)」
ネギのコメント
「・・・君が書くとこっちが正解なのかと思えるから怖いです」
Q.以下の元素記号の元素名を答えなさい
Pt=? Fr=? Unt=?
フェイトの答え
「Pt=プラチナ、Fr=フランシウム、Unt=ウンウントリウム」
ネギのコメント
「流石です。難しい問題かなと思ったのですが、君も入れてニアさんとロシウさんで正解者が3人も居ました。うれしいことです」
カミナの答え
「Pt=相棒、Fr=ダチ公、Unt=運と度量」
ネギのコメント
「PtをPartner 、FrをFriend、ということですか? 間違っていますが、カミナさんらしい答えで僕は好きです」
ジョーガン、バリンボーの答え
「Pt=ピッチャー、Fr=フランス、Unt=ウンコティンティン」
ネギのコメント
「・・・自信満々にありがとうございます」
Q.次の日本語を英文に直してください。
・私は彼と恋に落ちる
ロシウの答え
「I fall in love with him」
ネギのコメント
「ロシウさんに言うことは特にありません。ロシウさんには楽勝でしたね」
ニアの答え
「I fall in love with Shimon」
ネギのコメント
「予想通りの回答でうれしいです。こういうところであなたは満点を逃しています」
ヨーコの答え
「Watashiwa kareto koini ochiru」
ネギの答え
「こういう回答は僕も初めて見ました。」
Q.次の日本語を英文に直しなさい
・生きるか死ぬかそれが問題
フェイトの回答
「To be or not to be, that is the question」
ネギのコメント
「正解です。シェークスピアの話の中に出てくる有名な言葉ですね」
シモンの回答
「Dead or alive, that is problem」
ネギのコメント
「それは確かにプロブレムですね」
Q.(1)世界で初めて宇宙へ行ったのは誰か? (2)また、彼が言った有名な言葉は?
ロシウの答え。
「(1)ガガーリン(2)地球は青かった」
ネギのコメント
「正解です。とても有名な言葉ですね。ロシウさんの回答は全てホッとします」
カミナの答え。
「(1)宇宙人 (2)ワレワレハウチュウジンダ」
ネギのコメント
「地球人に限定してください」
フェイトの答え
「(1)造物主 (2)ここに人類の新たな楽園を・・・」
ネギのコメント
「ウケ狙いだと信じてます」
ネギ式・小テストの一部を抜粋。
職員室で全ての採点を終えたネギは深々とため息をついた。
「う~ん・・・フェイト、ニアさん、ロシウさんは簡単なケアレスミスさえなければほぼ満点だ。それにしてもフェイト・・・ウケ狙いさえなければ満点なのに、彼ってこういうキャラなのかな? でも凄く頭がいい人が三人もいる。キノンさんも理系は点数が高い。シモンさんは全て綺麗に本校の人と同じくらいの平均点。得意科目も無いけど、不得意科目もない。となると問題は・・・・・・」
シモン、ニア、ロシウ、フェイト、そしてキタンの妹の一人であるキノンは基本的に大丈夫だ。そうなると、問題となるのはこれまた予想通りの人物たちだけが残った。
「う~ん、何とか皆さんにも学園祭を楽しんでもらいたいし・・・それに僕は彼らの担任なんだし、何とかしないと・・・英語以外は僕の担当外だけど、こうなったら担当の先生に試験範囲だけでも聞いておかないとな~」
追試の範囲で何が出るかなど、カミナたちが把握しているとは思えない。こうなったら少し時間がかかるかもしれないが、自分が何とかするしかない。
「化学とか物理とか生物に数学は皆さんやらず嫌いが目立つけど、まだ高校一年生の一学期の中間の範囲だから、本当に基礎中の基礎しか出ていない。これなら公式と用語の暗記で何とかなるかもしれない・・・歴史問題も時代が特定しやすい。現代国語は文章読解のテクニック、それと漢字だな・・・英語は教科書の長文と文法だけだし・・・よ~っし、こうなったら全科目の追試範囲の要点を全部まとめよう!!」
ネギはスーツの上着を脱いでYシャツを腕まくりして、瞳を燃やす。
いかに大学卒業レベルの学力のある天才少年とはいえ、専門科目外まで手を出すのは少し難しいが、それでも自分が教師である以上、生徒のためにこれだけはしたい。
授業らしい授業は出来なかったが、不純な動機とはいえキタンたちはせっかく勉強をやるきっかけができたのだ。
ならばこの機会に自分が出来ることをしよう。
問題の答えは教えられないけど、これぐらいなら自分も力になれるとネギは気合を入れた。
「あらん、ネギ先生、追試の範囲を全教科分まとめてるのん? 随分と面倒くさいことしてるわねん」
リーロンは職員室の机で集中して作業しているネギを覗き込みながら笑った。
「はい・・・僕にはこれぐらいしかできませんし・・・一応僕は先生ですから」
「・・・・ふふふ・・・がんばってねん♪」
あまり邪魔をするのもなんだと思い、リーロンはその場を後にした。
しかし途中で振り返り、ネギを温かい目で見続ける。
(あの子・・・追試を生徒がクリアできなかったら自分がクビってまだ知らないのよねん? つまり、自分の保身のためではなく、純粋な気持ちであんな風にがんばってるのねん・・・・ふふふふ、可愛いじゃない。ここでプレッシャーをかけるとむしろ逆効果になりそうね・・・ここは見守るべきかしらん)
リーロンはネギに委員会で決まったネギの課題を告げようとしていたのだが、どうやらそんな課題があろうと無かろうと、ネギは教師としての仕事を全うしようとしていた。
(あんな子が教師として認められないなんて・・・大人たちも頭が固いわねん。硬いのはアソコだけにしとけってのにねん)
最初は可愛いマスコット的なキャラだと思っていたが、中々骨がある少年だとリーロンは感心しながら、ネギを心の中で応援し、見守ることにしたのだった。