【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第32話 全員参加で道を守れ!

「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」

 

 

空気を読んで何も言わねえと誓った観客たちなのだが、静まり返ってしまったことにより、何やら濃厚で唾液と舌が絡み合うアレな音が聞こえて来た。

ソレに気づいた瞬間、観客たちはサーっと顔を青ざめた。

 

「なななな、ちょっ・・・はむ・・・・んーーんーーー! ・・・・ぷはっ・・・・て、ななな、何やってるんだよーーーッ!?」

 

流石に過激になり過ぎたニアの愛のスキンシップにシモンは慌ててニアの肩を掴んで引き離す。

だがそこには、ニアとは思えぬほど妖艶な表情を浮かべたニアが居た。

 

「ふふふ、シモン!」

「く、黒ニア!?」

 

黒ニアだった。いつの間にか人格が変わっていた。

 

「シモン・・・ニアを手に入れたのなら、自動的に私もセットだということを忘れていないですね?」

 

そして彼女はシモンを押し倒したまま、慌てふためくシモンの唇に人差し指をあててウインクする。

 

「わ、分かってるよ! ニアの全てを俺は責任持つ!」

 

急にスキンシップが激しくなったことに戸惑いはあるが、シモンは決意したばかりである。

顔を赤らめながらも、黒ニアに対して頷いた。

だが、それで更に気を良くした黒ニアは止まらない。

 

「ではご褒美が必要のようですね」

「えっ・・・ちょちょ、ダメだって・・・ん・・・み、みんなが見てるよ~」

「・・・ふふ、シモン・・・そうは言っても体は正直な反応を・・・」

「どど、どこ触ってるんだよーーーッ!?」

「ん・・・ちゅ・・・しゅこし・・・ん、少し静かにしなさい。そして私に身を委ねるのです」

 

 

騒ぐシモンを黙らせるために、息継ぎの間も入れぬほど、黒ニアはシモンの唇に吸い付いた。

呼吸が出来ずに苦しむシモン。

しかし黒ニアは構わずにシモンとの距離をゼロ以上に縮めようと、片腕をシモンの頭に回し、もう片方の手をシモンの体をなぞる様に這わせる。

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)」」」」」」」」」」

 

感動がどっかへ吹っ飛んだ。

普段クールで冷たい女がとことんまで男に甘える。それはそれで良いものがあるが、ハッキリ言って黒ニアは度が過ぎた。

 

 

『ちょちょ・・・いや、空気を読むっつったけど・・・や、やりすぎだろおおおお!? ちょっ、それはまず・・・まずいって!?』

 

 

マイクを通して、流石の朝倉も真っ赤になって叫ぶが、その声は空に響くばかりで、黒ニアの耳には届かなかったのだった。

 

さて・・・・

 

そんな光景を目の当たりにしたらいくらなんでも・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ・・・・・・・・・・・・・・・・ダメ・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ワシの・・・ワシのニアはやっぱりお前にはやらああああああああああん!!」

 

 

 

 

 

親父が生き返った。

 

 

『のああああああッ!? こ、ここに来て再びロージェノム氏が立ちあがったッ!? しかも、顔面が陥没しているのにメチャクチャ元気ですッ!?』

 

 

いや、何かさっきよりもやばいオーラを全身から溢れだしていた。

 

「ん・・・ちゅぷ・・・ん~~~、ぷはっ・・・ちっ・・・お父様・・・まだ生きていたのですか?」

 

シモンの唇から糸を引きながら唇を離した黒ニアは、実の父親に向かって舌打ちした。

 

「ニアーーーッ!? あの・・・あの・・・将来はお父様のお嫁さんになりたいと言っていたあのニアがァァァァ!?」

「記憶にありません。過去を捏造しないでください」

「許さんったら許さーーーーん! ワシはお前をそんな子に育てた覚えはないぞーーーーーー!」

「私は既にシモンの色に染まっているのです」

「なっ!? この・・・こんの・・・このクソガキがアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

さきほどまでの覇王のオーラや威厳は何だったのだ?

 

『ぎゃああああああ、な、なんかみっともないけど、さっきより遥かに強い光がロージェノム氏からーーーっ!?』

 

ロージェノムは涙ながらみっともなく叫んだ。

 

「お父様が・・・ロージェノムではなく、駄々こねる駄々ジェノムに・・・」

「ダメだもん、ダメだもん、ニアはやっぱりあげないもーーーーーん!」

 

どうやら命より大切な娘と憎き男が濃厚ラブシーンを展開し、ロージェノムのキャラが完全崩壊してしまった。

 

 

「ニア特別警護団、ア~~ンド、テッぺリン財団特殊部隊出動だァァァ!! シモンをボコボコにしろおおおおお!!」

 

「「「「「「「「「「ハッ! かしこまりました、総帥!!」」」」」」」」」」

 

 

そして一体どこに隠れていたのか? 

明らかにヤバそうな黒いスーツとサングラスをかけたマッチョな連中が、ロージェノムが叫んだ瞬間、観客席から飛び出した。

 

 

「「「「「「「「「「な・・・・なにいいいいいいいいいいいいいいい!?」」」」」」」」」」

 

『ちょっ、とんでもないことになりましたア!! 恰好よくまとまったかに思えたこの対決だが、黒ニアならぬエロニアさんの堂々ぶりにブチ壊れてしまったロージェノム氏が暴走しましたアアアア!!!! つうか、この大量のヤクザだかSPみたいな連中は何なんだァ!? 私、司会ですけど司会しきれませんッ!? 誰かァ、この状況をうまく説明してくださいいいい!!』

 

 

あまりの急展開に、とうとう会場中から驚愕の声が響き渡った。

 

「ちょちょ、どーなんってんのよォ!? 話まとまったんじゃないのォ!?」

「ぼ、僕に言われても!? く、黒ニアさん・・・なんてことを・・・これじゃあ、話がややこしくなっただけじゃないですかァ!!」

「おやおや、もうすぐで合体だったのですが・・・」

「こんのエロナスビがァ! 結局これはどうすればいいのだ!」

「アル・・・何だか僕・・・さっきまで彼らを見直した自分が恥ずかしく・・・」

「・・・ところで武道大会はどうなるでござる?」

 

先ほどまで目を輝かせ、胸を熱くさせ、血がたぎってきたのが全て台無しだ。

ネギたちは一人残らずがっくりと項垂れてしまったのだった。

 

 

「シモンを殺すのだァ!! 殺した者にはこのワシから金一封だ!」

 

「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」」」」」」」」」」

 

 

駄々ジェノムの指示に従い、シモンとニアに襲いかかる黒服たち。

 

「どど、どうするんだよ、黒ニア!? お、俺・・・もう体力が・・・」

 

既に満身創痍で、ロージェノムを倒した瞬間に気力が全て抜けてしまったシモンは、既にうまく歩く事も出来ないほど全身の打撲や骨折が酷かった。

 

「大丈夫です。私が全て排除します」

「いくらなんでも一人じゃ無理だって!?」

「一人ではありません。あなたが居ます」

「それでも二人じゃないか!?」

「二人なら最強です」

 

眉一つ動かさず、シモンを庇うように前へ出る黒ニアだが、相手が多すぎる。

 

『シモン選手にニアさんピンチです! って、大会は果たしてどうなってしまうのでしょうかァ!?』

 

ざっと見渡しても100人ぐらいは居るだろう。

しかし・・・

 

 

「二人だけじゃない」

 

「「!?」」

 

「仲間は守ります」

 

 

このままでは何の抵抗も出来ずに飲み込まれてしまうと、シモンが目を瞑りそうになった、その時だった。

 

 

「「「「「「「「「「ぎゃああああああああああああああ!!??」」」」」」」」」」

 

 

次の瞬間、何十人もの黒服たちが宙を舞い、何名かは衣服を綺麗に切り刻まれてパンツ一丁になってしまった。

 

「あ・・・あーーーッ!?」

 

シモンと黒ニアの前には二人を庇うように立つ二人の仲間。

 

「フェイト!? ザジ!?」

 

ポケットに手を入れながら黒服たちの前に立ちはだかるフェイトと、10の指の爪を刀のように伸ばして構えるザジが居た。

そう、二人のピンチにドリ研部の仲間が乱入した。

そして・・・

 

 

「はーーーーーはっはっはっはっはっ! 人の恋路を邪魔する奴ァ、ダイグレン学園に蹴り飛ばされんだよォォォ!!」

 

「「「「「「「「「「だよオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」」」」」」」」

 

 

騒がしい連中まで現われた。

 

「ア、 アニキ!? み、みんな!?」

 

今度は黒服たちの背後からカミナを筆頭としたダイグレン学園が参上して黒服たちを打ちのめす。

 

「シモン! テメエの男気は見せてもらったァ! 安心しろ! テメエの男気で切り開いた恋の道、誰にも邪魔ァさせねえよ!!」

「やり過ぎだと思ったけど、私たちはやり過ぎぐらいが丁度いいのよね!」

「おうよ、そして過ぎても過ぎ過ぎることはねえ! どんどん過ぎちまえばいいんだよ!」

「そうだァ!!」

「過ぎろ過ぎろ過ぎろ!」

「見せてやるわ、鉄(くろがね)の三姉妹の力!」

「ちげえよ、見せてやるのはダイグレン学園の力だよォ!」

 

待ってましたとばかりに颯爽と登場して次々と黒服を蹴散らしていくダイグレン学園。

どうやら彼らもまた、滾った血を押さえられずに好き勝手に大暴れしていく。

 

「まったく・・・・・・何で僕まで・・・・っというか、何でヴィラル、君まで居るんだ! 君はテッぺリン学院の生徒だろう!?」

「ふっ、細かいことを言うな、ロシウ。俺は初めて理事長の命令ではなく、この血の滾りでやるべきことを見つけたのだ! あんまり悩むとハゲるぞ?」

「ぼ、僕はそのようなこと断じて気にしてないぞ!」

「ふっ、その通り。男は抜け毛も展開も気にしない! 後先気にせずやり通す! さすがはダイグレン学園! 今日の貴様は輝いて見えるぞ!」

「それはデコか? デコですか!? 獣みたいに頭髪が痛んだあなたに言われたくない!」

「何を言う! 俺はツヤめく美髪のヴィラルサスーンだ!」

 

普段はダイグレン学園のノリについていけないような素ぶりを見せるロシウだが、やはり彼もダイグレン学園の生徒。しっかりとノリについていく。

そして本来敵であるはずのヴィラルも己の心に従い、ダイグレン学園と共に戦うことを選んだ。

 

 

『こ、これはッ!? ロージェノム氏の部下の登場に絶対絶命かと思われたシモン選手とニアさんに援軍がッ!? って、私は普通に解説してますけどこれは一体どうすればいいのでしょうかァ!?』

 

 

さらに・・・

 

「おお~、なんかまだ終わんねえのか! いいぞーー、がんばれーー!」

「やれやれーー! がんばれー、ダイグレン学園!」

「こうなったら、私たちも参戦しますわ! お二人の愛の道を切り開くのですわ!」

「いいんちょーーー!? うわ~~、・・・ええーーい、こうなったら私も行くよォ!」

「まき絵、私も行くよ! このユウナ☆キッドがシモンさんとニアさんのために一肌脱いじゃうにゃ~」

「じゃあ、私たちチァリーディング部は、この友情に熱いおバカさんたちの応援よ!」

「麻帆良ドッジボール部、黒百合! 私たちの戦友の援護に行くわ!」

「行くぞ、麻帆良軍事研究部! 偉大なライバルのために活路を切り開く!」

 

観客は声援を送り、中にはシモンとニアのためにダイグレン学園に続けとばかりに飛び出すバカたちでリングの上は溢れかえっていた。

 

『ここ、これは、一体どうなって・・・・って、ちょっと待てええええ! 何か知らんけど大乱闘が始まってしまいましたッ! もう、収集つかないんすけど!?』

 

こうなってしまえば、朝倉一人でどうにかできる問題ではない。

 

『これはどうなるのでしょう、解説の豪徳寺さん・・・・あれ・・・豪徳寺さん?・・・』

『俺も援護するぜーーー! 兵隊どもをぶっとばせえええ!』

 

もはや大会どころの話ではなかったのだった。

ネギやアスナたちの目は点になっていた。

 

「ちょっ、いいんちょたちまで・・・ど、どうする?」

「いや・・・その~、僕たち一応この後大会があるんですよね? そりゃ~、シモンさんに今日は頑張って欲しいってずっと思ってたんですけど~・・・一応今日は、僕もタカミチと戦うためにいっぱい特訓したんですけど・・・」

「私も坊やの成果を見るつもりだったが・・・もう大会どころではないではないか!?」

「み、見事にぶち壊したね・・・」

「はは・・・もう、喧嘩が駄目とかそういうレベルじゃないよね・・・」

 

見事に大乱闘に乗り遅れてしまった大会参加者たちは、もはや呆れて苦笑を浮かべるしか出来なかった。

だが、しかし・・・

 

「ははは・・・・本当に皆さん・・・」

「ネギ君?」

「メチャクチャに・・・素敵な人たちです」

 

ネギはどこかスッキリしたような顔つきになった。そしてネギはそれだけでなく、軽く柔軟をしながらリングへ向かう。

 

「ちょっ、ネギ・・・どこ行くのよ?」

「生徒を応援するのも、教師の仕事ですから」

 

ネギまでもがついに動き出した。

 

「ああ~~もう、じゃあ、私も行くわよ! シモンさんは友達だしね!」

「そうですね。では・・・・」

「ちょっ、神楽坂アスナ、刹那、貴様らもかァ!!」

 

次々と入り乱れる会場に、超鈴音はガックリと肩を落として泣きたくなった。

 

「何故・・・こんなことになるヨ・・・フェイトさんにザジさん、あなたたちまでカ? これは空気的に私も乱入しないとまずいのカ?」

 

もう何が何だか分からぬ展開と、メチャクチャになってしまった大会に頭を抱えて項垂れる大会主催者の超鈴音だった。

 

『ああ~~~、もう私は知りません! こうなったらとことんバカやってもらいましょーーーう!!』

 

とにかく乱闘は最早止まらない。

 

「押せーー! 押しまくれ!」

「誰一人、シモンとニアに近づけるなーーー!」

「壁です、二人を囲うように壁を作るのですわ!」

「黒百合! トライアングルディフェンスよ!」

「全力で俺たちのダチを死守しろーー!」

 

押し寄せる黒服たちを蹴散らしては、シモンとニアを守るように防波堤のように密集する乱入者たち。

しかも会ったことも話したことも無い連中までいつの間にかシモンとニアをダチ呼ばわりしていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!? ど、どうしてこうなってるの!? これじゃあ、俺は何のために戦ったか分からないじゃないか!?」

 

展開にもはや混乱するしかないシモン。これぞ正に・・・

 

「これじゃあ、今までのは全部骨折り損じゃないかア!? っていうか、みんなーーー、あんまりもう騒ぎを大きくしないでくれよォーーー!」

 

全身何箇所も骨折してまでしてがんばったのに、何かあんまり意味が無かったような展開になり、シモンは泣き叫んだ。

 

 

「はっーはっはっはっ、何言ってやがる、シモン! 骨折り損なんてこの世にねえ! 男は骨が折れたら更に強くなって帰って来るんだよ! 折れた骨の分だけお前の男気が、こいつらの骨の髄まで染み渡ったんだよ! そうだろ、テメエらーーーー!!」

 

「「「「「「「「「「おう! 俺たちのダチを守れええええ!!」」」」」」」」」」

 

「だから問題を大きくしないでってばァ!?」

 

「みなさん・・・・・・私とシモンのために・・・・」

 

「黒ニアも感動している場合じゃないってば!?」

 

 

リングの上の大乱闘は、シモン本人よりも熱くなっており、原因でもあるシモン自身が混乱するということになってしまった。

 

「ふふ・・・とうとう伝染してしまいましたね・・・彼の気合が・・・」

 

クウネルだけはおかしそうに笑っていたのだった。

 


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