【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「超か・・・君のことをスッカリ忘れていたよ」
「んん? それは寂しいネ。シモンさん、ニアさん、そしてザジさんを探しても見当たらないから、私をのけ者にしているのかと、チョット寂しかったヨ」
「・・・ふっ、それはすまなかったな」
同じドリ研究部。
言って見れば彼女はフェイトにとって友と呼ばなくてはいけない存在なのだろう。
だが、体は自然に超に対して警戒していた。
(超か・・・久しぶりに会ってみても・・・やはりこの子には気を抜けないな・・・)
シモン辺りに言えば怒るかもしれないが、まだまだ己をさらけ出していない超は、フェイトにとっては心の許せるものではなかった。
「そう警戒しないでもらいたいネ。別にフェイトさんには何もしないネ」
冗談めいた口調で場の重い空気を和ませようとする超だが、フェイトはポケットに両手を入れながらも、隙をまったく見せない。
「ボク・・・には?」
「ん、ん~? そこに食いつくカ? 当然シモンさんたちにも何もしないネ」
「・・・何もしない・・・か・・・でも、何かをしでかそうとはしている様だね」
「あ~~、もう、フェイトさん、睨まないで欲しいネ~、流石の私もフェイトさんやシモンさんたちを敵に回すほどバカじゃないネ」
「じゃあ誰を敵に回す? と言っても、大方の予想はついているけどね」
「おっ? 流石はフェイトさん。冷静に先を見通すのは、シモンさんたちやネギ坊主にはできないことネ」
ただの互いの腹の探り合い。
だが、とにもかくにも世界樹の大発光を背に、二人は再会したのだった。
「超・・・君こそこんな夜更けに何をしているんだい?」
「シモンさんに、・・・ちょっとある物を返してもらいに行くネ」
ある物。フェイトはすぐにソレを理解した。
「ある物ね・・・・・・ふん、タイムマシーンというところかい?」
「ッ!?」
まさかフェイトが知っていると思わなかったのだろう。超は目を見開いた。
「フェイトさん・・・・」
「ふっ、君こそ睨むな。どうしてあんなものをシモンに渡したのかは知らないが、アレのおかげで僕はしばらく胃が痛かったんだから」
「ただの手違い・・・凡ミスだが・・・その様子だとフェイトさん・・・あなたたちは・・・」
フェイトは小さく笑って頷く。超は想定外だったのか、舌打ちする。
どうやらよっぽど知られたくなく、そして重大な事だったのだろう。何を考えているか分からない超が、感情的な表情を見せるのがその証拠だった。
そしてこれはいい機会だった。
感情をあらわにしたのだから、本音も引き出せるかもしれない。そう思ったフェイトは、立ち去る前に超から彼女自身のことを引き出すことにした。
「超・・・君はどの時代の人間だい?」
「単刀直入ネ。まあ、今さら隠す必要もないカ・・・・・・ふふふ、聞いて驚くがいい」
超はゴゴゴゴと迫力を込めて答えを勿体ぶる。そして勿体ぶった挙句に言った言葉は・・・
「ふふ、私は・・・未来から来た火星人ネ!」
タコのお化けのようにフザケふるまう超。
「なるほど、火星人か」
「ぬ・・・ぬぬ~~」
しかしフェイトは無表情のまま、アッサリ信じた。
「・・・・は~~、フェイトさんにはこのネタは通用せず、なおかつこれだけで全てを理解されてしまうから嫌だったネ」
両肩を竦めて苦笑する超。
フェイトは今の超の言葉を聞いて、全てを理解した。
「未来人か・・・ならば目的は、過去の改編と言ったところか」
「・・・・・・・・ウム」
「消滅した異界から隔離された人間・・・残された領土争い・・・・・・もし魔法や魔法世界の存在が地球で周知の物であれば・・・とどのつまり、そんなところかい?」
フェイトの言葉に超は言葉の代わりにニヤッと笑みを浮かべて肯定の返事をした。
「なにヨ・・・随分とアッサリ言ってくれるネ」
そしてフェイトの鋭さに舌を巻いたのか、超は観念して己の胸の内を明かそうとする。
「だがまあ、そこまで言うのならフェイトさんには教えても――」
だが・・・
「いいや、別に興味ないね」
「・・・なに?」
フェイトはアッサリと言い捨てた。
超は一瞬目を丸くするが、笑ってごまかして話を戻そうとする。
「そう言うのはちょっときついネ。私とフェイトさんは似ていると思うが?」
「似ている? 君と僕が・・・かい?」
「ウム、人に何を言われようとも、己の信念を曲げず、大義を貫き、例え力をもってしてでも突き進もうとするところネ」
自分たちは共犯者ではない。しかし、想いは同じであると超は言いたいのだろう。
だが、フェイトはほんのわずかの間だけ、もう一度だけ超について考えてみたが、答えは結局変わらなかった。
「一緒に・・・しないでもらおうか?」
「ッ・・・フェイトさん・・・・・・・」
フェイトは変わらず断言する。自分と超では見ている物が違うのだと。
「君は自分の時代から逃げたんだ。君は自分の時代から逃げて、過去を変えることにすがった」
フェイトが見ているのは未来。
「超鈴音。わざわざこの世界の根本を変える必要などない。僕が全てを終わらせる。それで終わりだ」
闘うのも、守るのも、この世界の未来のため。
「それは・・・あの世界の完全消滅を意味するカ?」
「ああ。せめてもの慈悲となる楽園は用意するけどね。君のやろうとしていることは火星の民のためになるのだろうけど、この世界のためにはならないからね」
フェイトは小さく「彼らのために」と超には聞こえないぐらいの大きさで呟いた。
「ふふふふ・・・ふはははははは、それで私たちは一緒ではないと、よく言えたものネ!」
だが、超は嘲笑する。
「世界を根本から変える私と世界そのものを消滅させるフェイトさん! どっちもどっちネ!」
「どっちもどっち?」
「そう、あなたは未来には絶望しかないと諦めて、全てを消すことを選ぶ。私は未来には絶望しかないと諦めて、過去を変える。私たちの何が違うネ! 未来を諦めたのは、あなたも同じヨ!」
しかし、フェイトの想いはハッキリしている。
「違う。僕はこの世界の未来を守るために戦う。そこに、火星の人間など関係ない」
自分たちは違うのだと、超の言葉を受け入れなかったのだった。
「超鈴音。この世界の今を君に壊させたりなどさせない。それに、 そんな心配しなくとも、僕のやろうとしていることが実行されれば、火星人は何も心配しなくなる世界になる。何故なら・・・火星に生命など存在しなくなるのだから」
「はっはっは、完全消滅か・・・それは流石に見過ごせないネ。私の存在そのものが影響を受ける」
「時の流れを捻じ曲げるからには、そういう可能性も考慮すべきだ。悪いけど同じ部活のよしみとはいえ、先に捻じ曲げたのは君の方。僕は君に一切の遠慮はしない」
互いの目指すべき場所は似ているようで、ハッキリと立ち位置を分かつフェイトと超。
「君の計画に興味はないが・・・ただ、この日常を壊そうとしていることだけは見過ごせないね」
次第に二人の間に火花が散り、闇夜の空気が非常に重く包み込んだ。
「よくぞそこまで私の大義にイチャもんつけてくれるネ。魔法世界人の心を無視して、下らぬ思想を押し付けるテロリスト風情が」
「君こそ大義の意味を分かっているのかい? 地球人の心を無視して、下らぬ思想を押し付けようとする夢想家が」
二人の進むべき道は違う。ならば互いが互いに障害となることは無かったはず。
無かったはずなのだが・・・
「セイッ!!」
「ふん!」
気づけば二人の拳は、交わっていた。
「はてさて・・・何故進む道の違う者同士が・・・こうして拳を交えるのかナ?」
「決まっているだろう? 僕たちは互いが気に食わないんだろう?」
「はっはっはっは、そうかもネッ!」
その瞬間、麻帆良祭二日目の夜の零時が過ぎ、日が変わった。
「昨日が終わり、今日になった。今日は私の全てを賭ける日ネ」
「ふっ・・・だが君は、大義を忘れて僕を殴ることに気を取られている。何かにのめりこみ過ぎると、色々なことを忘れてしまう」
「・・・フェイトさんにしては口数が多くて珍しいネ」
フェイトの掌打が超の顎を捕らえようとする。だが、超はその瞬間姿を消した。
それは、スピードではない。相手の動きを読んだ身のこなしではない。
まるで時間軸の違う世界に居るかのごとく、超はフェイトの背後に回り込んで、中段の崩拳を叩きこむ。
フェイトはガードしたものの、ガードの上からでも衝撃と、電流が伝わってくる。攻撃のネタは、超が身に着けている特殊スーツのようなもの。
運動能力を向上させ、攻撃に電流などの付加を加えるものだろう。
「確かに大義は大事。でも、だからこそ・・・その手の侮辱を私は我慢できないヨ」
吹き飛ばして壁に激突するフェイトを見下ろしながら、超は言う。
「侮辱じゃない。憐みだ。君の大義にも計画にも興味はないが、それだけは思っている」
だが、フェイトも殴り飛ばされながらも無表情を保ったまま立ち上がり、超に言葉を返す。
二人は似ている。だが、交わらない。
(ふっ・・・フェイトさん・・・もうすぐネギ坊主と待ち合わせの予定だたが・・・悪いネ、少し遅れるヨ。私はこの人から逃げたくないネ)
そして互いの思想が反発しあい、このような立ち位置となってしまった。
「「なら・・・・・・」」
超とフェイト。
「見るに堪えない!」
「フェイトさん、あなたは単純に気に食わないネ!」
再び混じった拳が、二人の激突を完全に告げる合図となったのだった。
その頃・・・
フェイトが己の全てを賭けてまで守りたい人たちは・・・
喧騒覚めやまぬダイグレン学園の深夜まで続く宴会の中、とあるカップルが抜けだした。
抜け出したと言ってもそれほど遠くに行ったわけではない。ただ、少しだけ静かな場所で、世界樹の大発光が良く見える位置まで移動しただけ。
建物の壁際の地面に直接腰を下ろしたシモン。
壁に寄りかかって両足伸ばしたシモンの足の間に腰を下ろすニア。シモンはニアの椅子代わりにされていた。
シモンも嫌ではなくされるがまま。ニアは心地よさそうにシモンの肩にもたれかかる。
シモンがぎこちなさそうにニアの頭撫でる。するとニアはシモンの手を自分の頬に置き、幸せそうな笑みを浮かべる。
もう何度も触れ、何度も香りを嗅いでいるのに、ニアのふわふわの髪をなでるシモンはドギマギしている。
(うわ~~~、なんだよこれ・・・ヤバい・・・)
ニアからはシモンの顔は見えない。シモンは人前には出せないぐらい、顔を真っ赤にしていた。
(幸せすぎる・・・)
腕の中にすっぽりと収まるニアを、愛おしく撫でるシモン。だが、その行為に夢中になっていたシモンに対し、ニアは突如首を上にあげて、シモンを真下から覗き込んだ。
「もう! 話を聞いていますか? シモン」
ニアは少し頬を膨らませている。
当然行為に浸っていたシモンが、話を聞いているわけはない。ただ、ちょっとだけむくれているニアからは、大体のことは予想できた。
「あっ、え~~っと、うん。だから、セクストゥムのことはゴメンね。でも、本当に何もないんだよ」
慌てて取り繕うシモン。だが、ニアは「やっぱり聞いてません」とプイッと、顔を背けた。
「そうではありません。私はシモンのことを信じていると言いました。少しおしおきのつもりで怒ったフリをしたのに、シモンが本気で謝るから怒っているのです」
「えっ・・・ええ?」
「シモン。私を誰だと思っているのですか?」
自分たちの絆を侮り過ぎだ。そんな風にニアは笑った。
「ニ、ニア・・・うっ・・・・あう・・・」
黒ニアはまあ、本気だったかもしれないが、だがニアのこのほほ笑みは心の底から信頼するものにしか見せない笑顔。
自分だけに向けられたその笑顔がどこまでも愛おしい。
「ニア!」
「あうっ、シモン」
辛抱たまらず、シモンは両腕をニアの首に回してぐっと力を込めて抱き寄せる。
ギューッと力を込めて抱き寄せられ、一瞬ニアは身をよじらせようとしたが、すぐにシモンのされるがままになった。
「セクストゥムのことは・・・これからちゃんと考えるよ」
「ええ。二人で、そしてみんなで考えましょう」
やはり自分にはニアが居ないとダメなんだ。それはニアも同じ。互いが居ないと互いが成り立たないと再認識した二人の触れ合いは、いつまでも続いた。
・・・・・邪魔されるまで。
「あの野郎・・・・」
「ふふっ、シモンってば、やっぱりニアが居ないとダメなのね」
「だが、何かムカつくぞ」
宴会で盛り上がりつつも、二人のイチャついている姿はちゃんと見られていた。シモンとニアは気づいていない。二人は完全に二人だけの世界だ。
それを微笑ましいと思う一方で、セクストゥムの件から素直にほほ笑めない野郎どもの視線に二人は晒されていた。
「それで~、あなたはあれを見てどう思う?」
キヨウがニンマリとした笑みで、セクストゥムに寄りかかる。
セクストゥムは表情を崩さず、シモンとニアをジーっと見つめながら、相変わらずズレたことを言う。
「マスターがニア・テッペリンの首を絞めています・・・しかし、マスターは顔を赤くしてどうも苦しそうです。ニア・テッペリンは笑みを浮かべて余裕の様子。マスターに加勢してもよろしいのでしょうか?」
「「「「「よろしくねえ!?」」」」」
シモンとニアが関節技で勝負していると勘違いしているのか、飛び出そうとするセクストゥムをダイグレン学園総出で止めた。
「どうしたらそういう発想になる?」
「どういう環境で育ったんだ?」
全員係で乗りかかられれば、流石のセクストゥムも身動きできず、下敷きになってしまった。
「・・・あれは戦闘ではないのですか?」
不思議そうに尋ねるセクストゥム。大きなため息をついたヨーコがセクストゥムの頭に手を置いて、撫で出した。
「確かに戦闘よ。女にとっても男にとってもね。でもだからこそ、ああいう戦闘には誰も手出ししちゃいけないの」
「・・・手出し禁止?」
「そっ。いーい? この世には、一対一の戦いで手を出しちゃいけないことってけっこーあるの。周りの仲間たちにできるのは見守って信じること。たとえそれで自分の仲間が傷ついてもね」
「私はマスターを傷つけたくありません」
「でも邪魔をしたら、怪我はしなくても、心に傷がつく場合があるの。ちゃんと覚えておきなさいよ」
ヨーコの話を分かったのか分かっていないのか、少し考えるそぶりを見せるセクストゥム。
「では、邪魔を出来る場合はどのような時なのでしょうか?」
「ん~~~それはね~~~・・・って、アレ? 今思ったけど、フェイトは?」
セクストゥムの問いにどう答えるかと思案したヨーコだが、あることに気付いた。
セクストゥムに関することなら一番騒ぐフェイトが居なかった。
「あれ? そーいや、いねーな」
「あっれ~、 ネーちゃんしらねえ?」
「知らないわよ。でも、珍しいわね。シモンのことで気づかなかったわ」
おかしいなと皆が首を傾げてキョロキョロ見渡している間、相変わらずセクストゥムは無表情のまま口を開く。
「・・・それで、邪魔を出来るのはどのような状況なのでしょうか?」