【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「たびたび問題を起こして・・・今度は授業中に駅前で乱闘・・・その次は駅前を無断に利用して、こんなくだらん遊びまでやって・・・何をやっておるかアアアア!!」
鬼の新田の怒号が響く。
「ちっ、うるせえな」
「あ~あ、つまんねえ。停学にでも退学にでもすればいいじゃねえかよ」
だが、キタンたちに反省の色は無い。
カミナがやられたこと。どちらにせよ勝ち目が無かったが、途中で教師の横槍が入って中断になったこと、何だか何もかもが面倒くさくなって、キタンたちも不貞腐れた。
「に、新田先生、待ってください!」
「ネギ先生は黙っていなさい! そもそもこいつらにはこれだけ言ってもまだ足りないんですから!」
「で、でも・・・」
ネギも新田を宥めようとするが、その怒りの炎は決して収まることは無い。
それに新田の後ろに居るガンドルフィーニやタカミチも難しい顔をしていた。
「ネギ君、この問題はある意味君には少し早い。新田先生の言っていることは間違っていないよ」
「タカミチ!?」
「その通りだ、ネギ先生。授業をサボるだけでは飽き足らず他校との喧嘩や問題・・・それに最近ではテッペリン学院の理事長の娘さんを脅しているとかで、警察沙汰にもなっている」
「えっ!?」
ガンドルフィーニがそう言った瞬間、シモンの傍に居たニアが慌てて叫ぶ。
「それは違います! 私は私の意志で皆さんと居るのです! お父様には心配を掛けているかもしれませんが、私は人形ではありません。友達や・・・好きな人と離れたくは無いのです!」
「君とこいつらの間で何があったかは知らないが、こいつらは君が思っているような奴らじゃない。平気で暴力をふるって人を傷つけるような不良たちなんだよ」
「違います! どうして皆さんは彼らの良いところを何も見ようとしないのですか?」
ニアが珍しく声を荒げてガンドルフィーニに食いつくが、カミナたちのこれまでの悪評のほうが高く、聞き入れてはもらえない。
「よせよニアちゃん」
「キッドさん!?」
「別に俺たちも言い訳する気もないんだからな」
「アイラックさんまで!?」
「へっ、くだらねえ。まあ、カミナがやられた時点でどっちにしろここまでだろ?」
「ゾーシイさん!?」
そもそも何故彼らはテッペリン学院と喧嘩することになったのか? その理由を誰も言わなかった。
ダイグレン学園に居たいというニアのわがまま。
そのニアを連れ戻しに来た連中からニアを守るために彼らは戦っていた。
それが分かっていたからこそニアも教師たちにその事を知ってほしかったが、教師たちは聞く耳を持たず、キタンたちも既に言い訳する気も無いようだ。
「タ、タカミチ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ネギがどうするべきなのかタカミチを見上げるが、タカミチも難しそうに首を振って何も言えなかった。
「とりあえず・・・テッペリン学院の君たちはもう帰りなさい。そして英子君たちも後で話を聞くので職員室に来なさい」
「は・・・はあ・・・」
「仕方ない。理事長にはダメだったと言っておくか」
タカミチに言われて相手チームも解散し始める。
「さあ、お前たちはこのまま生活指導室に来い。今日という今日は許さん。キッチリと処分を下すから覚悟しておけ」
そしてダイグレン学園の生徒たちは教師陣に無理やり腕をつかまれ、全員連れて行かれようとしている。
これで何もかもが終わってしまう。
そう思ったとき、ネギはこのままでは絶対にダメだと思った。
(ダメだ・・・僕はまだ子供だけど・・・このままじゃ、どんなに指導されても説教されても何も意味が無い・・・)
例え新田やガンドルフィーニたちが何を言おうとも、今のキタンやシモンたちの眼を見れば、耳から耳に通り抜けるだけだろう。
それでは意味が無い。
そして下される処分は停学あたり。
停学が明ければ、そのまま元に戻る。それの繰り返しだ。
(ダメだ・・・僕は・・・先生なんだ・・・今は・・・今は彼らの担任なんだ)
ネギは必死に考える。
(魔法の力に頼るんじゃない・・・自分の力でやるんだ・・・それが出来なくて・・・何が先生だ!)
魔法使いとしてではなく、一人の教師として、ネギは決心した。
「待ってください!!」
ネギの叫びに、全員が足を止めて振り返った。
「授業を放棄してドッジボールをしろと言ったのは僕です。ですから、彼らに処分を下すというのなら、僕に処分を下してください!」
それは、誰もが驚かずにはいられなかった。
「ボウズ・・・」
「坊や・・・」
「・・・アンタ・・・何・・・言ってるのよ」
ダイグレン学園だけでなく、タカミチやガンドルフィーニも同じような顔をしていた。
「ネギ君・・・」
「ネギ先生。君は自分が何を言っているか分かっているのかね?」
だが、ネギは変わらずに頷く。
「はい。分かっています」
教師たちも目を細めて、ネギの言葉にどう反応していいのか分からない。
だが、混乱している彼らに向かって、ネギは更なる言葉を告げる。
「そしてお願いがあります。責任は僕が全部取ります。だから・・・このドッジボールを最後までやらせてあげてください!!」
小さな体で精一杯ネギは頭を下げた。
「ド、ドッジボールだと? ネギ先生、君は何を言っているんですか?」
「新田先生、お願いします! これはとても重要なことなんです! そして彼らは喧嘩をしていたわけではありません! 仲間を・・・大切な仲間を守るために戦っていたんです! だから・・・勝つにしろ、負けるにしろ、最後までやらせてあげてください! このままじゃ、彼らの絆にヒビが入ったまま終わってしまいます!」
ネギはすがるように頭を下げる。何度も何度も精一杯の想いを込めて頭を下げる。
「ぼ・・・ボウズ・・・」
キタンたちは皆、呆然としていた。
何故この子供は自分たちのためにここまで頭を下げるのか理解できなかった。
「ネギ君。君が優しいのは知っている。でもね、罪を庇うのは優しさじゃない。それは教育者としてやってはいけないことだよ?」
そんなネギの肩に手を置き、タカミチが少し複雑そうな顔をして告げた。だが、それでもネギは言う。
「タカミチ、確かにカミナさんたちは授業をサボるよ。喧嘩もするかもしれない。でも、彼らは仲間をとても大切にする人たちなんだよ! それって凄くいいところじゃないか! でも、このままじゃその心まで無くなっちゃう! 彼らのそんな良いところまで奪ったら絶対にダメだよ!」
「・・・・・・・ネギ・・・君・・・・」
「新田先生! ガンドルフィーニ先生! 彼らは処分を恐れずに仲間を守るために暴力を振るいました。それだけ彼らに引けない事情があったんです。でも、学内で暴力は許されない。だから僕もスポーツで決着を着けろと言いました。ですから、お願いします! 僕が後で処分を受けます。ですから・・・ですから、彼らの決着をつけさせてあげてください!」
言葉を失うとはこういうことなのかもしれない。
別に脅されているわけでもない。何か裏で考えているわけでもない。
そんなこと、ネギの泣きながら頭を下げる様子を見れば一目瞭然だ。
「バ・・・馬鹿じゃねえか・・・あのボウズ・・・」
「そうね・・・馬鹿よ・・・私たちのこと、買いかぶりすぎだわ」
ネギは分かっていない。ネギが思っているほど自分たちはいい人間ではない。
「けっ・・・くせ~し、うぜ~よ・・・・・・」
「ああ・・・・・・虫唾が走る・・・」
「甘いぜ」
「おう、甘い甘い」
だが、それでもネギの言葉に後ろめたさと、何か心に来るものがあった。
自分たちはニアを守るためとは言ったが、喧嘩も素行の悪さも日常茶飯事だ。
だから教師に疑われたり見下されたりしても言い訳する気は無かった。
正直余計なお世話だと普段なら言うだろう。
だが、僅か10歳の少年の純粋すぎる甘さが何よりも心を乱し、揺さぶられてしまった。
「ああ~~~、くそ~~、もうッ! おらあ!」
「いたっ!?」
イライラが限界に達したキタンは、後ろから軽くネギの尻を蹴った。
「キキ、キタンさん!?」
「キ、キタン!? お前はネギ先生になんて事を!?」
新田たちが再び叫ぶが、キタンは聞く耳持たず、そのまま歩き出す。
「・・・えっ?」
そして歩き出したキタンはイライラした中で、落ちてるボールを拾い、そのままドッジボールのコートへ戻った。
「「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」」
キタンのその姿を見て、アイラックやキッド、ジョーガン、バリンボー、ゾーシイたちも無言でネギの頭を軽く叩き、そのままコートに戻る。
「イタッ! テテ、イタッ! な、何で皆さん、ぶつんですか!?」
ネギが頭をさすりながら文句を言うが、その後もキヨウやキヤルたちも黙ってネギの頭を叩き、ついにはロシウまで軽く扉をノックするような感じにネギの頭を叩いた。
皆の行動の意味が理解できないネギに、ヨーコも真面目な顔をして軽く叩いた。
「怒ってんのよ、皆」
「ヨーコさん!?」
「あんたが勝手なこと好き放題言ったせいで・・・・負けられない・・・戦う理由が増えちゃったじゃない」
そう呟いてヨーコまでコートに再び戻って行った。
「シモン・・・みんな・・・戦おうとしています」
「・・・・・・・・・・・・」
「みんな・・・やっぱりとても素敵な人たちばかりです」
「・・・・・・・・・・・・」
「シモン。私は分かっています。シモンなら大丈夫だって!」
ダイグレン学園の不良たちが、スポーツで決着をつけるために再びコートへ舞い戻った。
「シモン」
そんな彼らに涙を流しそうになりながら、ニアはほほ笑みながらシモンに手を差し出す。
何の疑いもなく、シモンを信じて差し出した。
ニアはシモンに一緒に行こうとも、立ち上がれとも言わない。
何故ならニアには分かっているからだ。そんな言葉が必要ないことをニアは分かっているから、何も言わないのだ。
シモンはその手を見ず、ただ、下を向いたままこれまでのことを振り返る。
(何やってるんだろ・・・俺・・・アニキがやられたことで動揺して、落ち込んで・・・先生たちに怒られても何も言わずにただ黙って・・・)
これまでのことを振り返り、そして自分自身のことを考える。
(あんな・・・10歳の子供があんなにしっかりと・・・一生懸命に・・・一人でがんばっているのに・・・俺はいつも・・・いつも・・・)
ネギ。
シモンはネギのことを良く知らない。
今日いきなり自分たちの担任になったばかりの10歳の少年。しかも事情も良く知らない。
ただ、今にして思うと、ネギはどんな思いでダイグレン学園の教室に入ってきたのだろうと考える。
欠席者ばかりで、生徒が全員早退して、喧嘩して、止めても言うことを聞かない自分たち。
普通の教師ならその場で辞めるか文句を延々と言うだろう。
しかし今、ネギは自分が処分される覚悟で自分たちのために頭を下げた。
不良でろくでなしの自分たちのために頭を下げる。
自分なら耐えられるか? カミナやニアにヨーコに囲まれて、守られている自分が、10歳のときに誰も味方の居ない教室に足を踏み入れられるか?
だからこそ、キタンやヨーコたちはコートに戻った。
ならば自分はどうする?
これまでカミナやヨーコに流されてばかりだった自分はどうする?
シモンは何をする?
決まっている。
「ああ、行こう!」
差し出されたニアの手を握り、シモンは立ち上がった。
「ええ!」
ニアも満面の笑みでほほ笑んで、シモンと共にコートへ戻る。
「お、お前たち・・・な、何を勝手なことを・・・」
やる気もなく不貞腐れていた不良たちが、コートへ戻った。
それは新田たちにも信じられない光景だった。
「・・・けっ・・・オチオチ寝てもいられねえか・・・」
するとその時、強烈なボールを顔面に受けて気絶していたカミナが立ち上がった。
「カ、・・・カミナ!?」
「へっ、内野だろうが外野だろうが関係ねえ! 10倍返しだ!」
「アニキ!」
よろよろと立ち上がったカミナは、コートの中ではなく外野へと移動する。
だが、外野と内野に分かれていても、彼らダイグレン学園の気持ちは一つ。
「皆さん!!」
ネギはうれしくて涙が出そうになった。
「へっ、勘違いするんじゃするんじゃねえぞ?」
「テメエのためじゃねえ。俺たちが決着をつけてえんだよ」
「まっ、後で責任とってくれるんだろ?」
「それなら遠慮なくやろうかしら?」
「へへへ、そりゃいーや。まっ、勝つのは俺たちだけどな」
「おう!」
「迷惑を掛けるなら誰にも負けないぞ!」
「まっ、僕もたまには・・・・・・ですから・・・・・」
そしてダイグレン学園の生徒たちは、全員ニヤリと笑ってネギに向かって言う。
「「「「「「「だからちゃんと見とけよ、ネギ先生!!」」」」」」」
「ッ!?」
その言葉に驚いたのは、ネギだけではない。
新田やタカミチ、ガンドルフィーニも口を開けて驚いている。
「は・・・・・・はい!!」
今日はどれだけ泣いたか分からない。だが、こんな涙なら構わない。
ネギは、うれしさのあまり、涙が止まらなかった。
「ふん、面白い! さすがは我らの宿敵といったところか!」
「手加減はせんぞ?」
「へっ、くせ~ことしやがって! 言っとくけど手加減しないからね!」
「ふっ、麻帆良ドッジボール部の力・・・まだまだ見せてやるわ!!」
チミルフや英子たちまでいつの間にか帰るのをやめてコートに戻った。
「なっ、お、お前たち!? ・・・・ぬ・・・・ぬぐぐぐ・・・・ええ~~~い!! さっさとケリをつけろォ!」
新田もとうとう折れて、止めるのを諦めてドッジボールの続行を告げた。
「ありがとうございます!」
「ふ、ふん。ネギ先生。後でしっかり生徒と一緒にお説教ですからね」
「はい!」
新田は少し複雑そうな顔をしてソッポ向く。
その様子に今まで難しい顔をしていたタカミチとガンドルフィーニも苦笑して「やれやれ・・・」と言いながら観戦に入る。
「さあて、カミナが外野に行ったが、俺たちはまだ負けちゃいねえ! ここはこの俺、キタン様が・・・」
「怯むな皆!!」
「・・・・・え?」
コートの中で今まで一番大人しかったシモンが大声で叫んだ。
「無理を通して道理を引っ込めるのが俺たちダイグレン学園なんだ! みんな、自分を信じろ! 俺たちを信じろ! 俺たちなら勝てる!」
カミナが外野に行ってしまったことで、内野の士気をどうやって上げるかの問題をシモンが即座に解決した。
これまでずっとカミナの後ろに隠れていたあのシモンが、強い瞳で叫んだ。
「へっ、ようやく分かってきたじゃねえか。兄弟!」
自分が内野に居なくても、何も心配することは無いとカミナは笑った。
「な・・・お、・・・おお! 当ったり前よォ! 何故なら!」
自分の役目を奪われたキタンだが、直ぐにシモンに頷いた。
そして他の仲間たちも頷き、相手チームに向かって叫ぶ。
「「「「「「「俺たちを誰だと思ってやがる!!」」」」」」
不良たちの意地を賭けた戦いに、いよいよ決着がつく。