【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
そして、昼休み・・・
「つーわけでだ、よく集まってくれたな、野郎共!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」
今日の朝企画したはずが、今日の昼休みに既に大勢の生徒達がダイグレン学園前に集結した。
「おーほっほっほっほ! 協力は惜しみませんわ!」
「あらあら、あやかったら」
「僕たちもやるぞー!」
「超も協力するなら、超包子も出ないわけにはいかないアル!」
麻帆良女子中の生徒達。
「当日は子供達にスポーツのすばらしさを教えるわ!」
「麻帆良ドッヂボール部、黒百合参上!!」
聖ウルスラ女子校のドッヂボール部。
「ぐわははは、ニア様が参加されるのなら協力せんわけにはいかんのう」
「ったく。めんどくさいねー」
「このシトマンドラ様に雑用を押しつけるとは、おのれ品のない猿どもめ」
「裸ザル共め。だがしかし、祭りだと? それを聞いた瞬間の、この血の滾りは何だ? 俺は今、猛烈に熱くなっている!」
チミルフやヴィラルたち、テッペリン学園の生徒達。
「おれたち軍事研究部がサバイバルの心得って奴をだなー」
「超さんが参加するならロボット部も協力しないとなー」
麻帆良に存在する数々の部活。
最初はただのこじんまりとした出し物だけにするはずが、何故か大事になりすぎて、大規模なものへと発展しようとしていた。
「「「「なぜ・・・・・・・・・・・・」」」」
昼休み。この集った者たちの光景に、デュナミスとシモン達ドリ研部は頭を抱えた。
「どういうことだ、カミナ!」
「おう、デュナ先公も水臭えぜ。俺らも祭りに協力するってんだよ」
「祭り!? 何故、祭りという話しになっている。やるのはヒーローショーだぞ!」
「細えことは気にすんな! 別に金取ろうってわけじゃねーんだ。ただよ、どうせやるなら盛り上げようってだけだ」
自分たちが知らないところで、話がとても大きくなっていたことに、デュナミス達は頭が痛かった。
しかも、ワルノリもあるが、全員がやる気満々なのがタチが悪い。
「ほれ、それよりデュナ先公は今日、ネギ先公と一緒に午後は役所に行くとかで忙しいだろ? 俺らで色々とやっとくからよ!」
「何を言っている! そんな勝手なことを許されるものか」
「ネギ先生には内緒にしてね。これは、ネギ先生のお別れ会も含まれてるんだから」
「待て! キサマらは何を勝手なことをしようとしている! これは、アダイ学園という児童養護施設の子供達向けの催しだぞ!」
「だーいじょうぶだーいじょうぶ。そっちがメインだってのは忘れてないって」
全然大丈夫に見えない。引きつったデュナミスの表情がそれを告げていた。
「心配いらないって、デュナミス先生」
「ぬっ・・・黄昏の姫御子」
カミナたちの行動にハラハラしているデュナミスに、駆けつけていたアスナたちが微笑んだ。
「変なことをしてたら、私がカミナさんたちぶっとばすから、安心して良いよ。っていうか、黄昏の姫御子って何よ?」
「ぬっ・・・しかしだな・・・」
「それに、私もこういうのはいいと思う。私も両親居ないから・・・そういうのを気にしないでパーッとバカ騒ぎしようっていうイベントはアリだと思う」
バカ騒ぎをしたいだけのカミナたちかもしれないが、純粋に子供達のために祭りを催すのは悪いことではないとアスナは賛成の意志を示す。
「せや。ウチらもお手伝いするから、デュナミス先生も安心してええよ」
「はい。大丈夫です。こういう時のダイグレン学園の皆さんは、デュナミス先生を裏切らないと思います」
木乃香も刹那も、例え学校が違えども、ここ何日かでダイグレン学園というものを理解していた。だからこそ、悪ノリはしても、デュナミスを裏切るようなことはしないと太鼓判を押す。
「ぬう・・・黄昏の姫御子と詠春の娘にそこまで念押しされれば仕方あるまい・・・」
「もーう、だから黄昏の姫御子とか何なのよ~」
そこでデュナミスも盛大に溜息はきながら了承したのだった。
「おい、シモンよ」
「う、うん」
「とりあえず、教会のシスターたちには話を通している。お前は劇の打ち合わせに行って来い。私はネギ教員と役所に用があるので、午後は自習にする」
自習・・・イコール自由と捉えた生徒達は大いに盛り上がり、堂々と祭りの準備に励みだした。
「よっしゃあ、お許しも出た! 野郎ども、いくぞ!」
「さあ、私たちもやらかすわよ!」
もう、教師の了解も得たし恐い物なしだとばかりに、彼らは盛り上がり、やはり少しの不安を感じながら、デュナミスは教室を後にしたのだった。
「あはは、みんな、すっごいわね・・・それに・・・デュナミス先生って・・・」
「アスナ?」
「うん。昔はどういう人だったかはよくわかんいけど、憎めない人だよねー」
アスナたちはタカミチから、デュナミスは昔ネギの父親達と世界を賭けて闘ったという話を聞いたが、今の様子を見ているととてもその様な人物に思えなかった。
「ええ」
「な~。それに最近、色んな子に告白されたり、子供達に大人気ゆう話も聞いとるえ?」
「ほんとほんと。実際イケメンだし納得だよね~」
少女達の告白に対して、受け入れないまでも真摯に応えたかと思えば、日常では幼い子供達に慕われる学園の人気者デュナミス。
その姿に、昔のことなど関係ないと彼女たちに思わせるには十分なことであった。
それに対して・・・と言わんばかり、アスナは意地悪な表情を浮かべてシモンの肩を組む。
「それと比べてシモンさーん? 学園祭の武道大会まではあんなに格好良くニアさんを奪還したのに、どうして今は女の人が増えてるの~?」
教室を出ようとしたシモンを捕まえてニヤニヤとからかうアスナ。
その視線の先には・・・
「のう、妾らはどうすればよいのじゃ?」
「じゃあ、私たちは今までと同じように、焔さんたちと一緒に歌って踊って世界を取りにいくネ! とーぜん、綾波さんも」
「・・・ま、待て・・・今、なんかとんでもないものに僕を入れようとしていないかい? って、離すんだ!? 僕はやらないからな!?」
「練習」
「素敵です! 私もシモンが喜ぶようにがんばります!」
「待て! だからやらないと言っているだろう!」
「なに言ってんだよ。フェイは俺とのコンビで歌うのもあるんだから、ちゃんと歌詞も踊りも覚えろよな。ほら、ちなみにこれが歌詞。『キヤルとフェイのマジカルタイム3分前』だ」
「キヤル!? いつ僕が了承した! 大体・・・なんだこの歌詞は! り・・・り○かる・・・きっちゅ? めりかる○? みらくるあいーどるすたー? 意味が分からない!?」
「ほらほら、いけるーできるーってことでやんぞー!」
盛り上がるテオドラたちに視線を向け、シモンを見る。
「まあ、フェイトの奴はいいとして、なーんか、すっごい美人なお姉さんがいつの間にか増えてない?」
「あの方、亜人で魔法世界の姫君と高畑先生が仰ってました」
「すごいなー、シモンさん。お姫様にまでモテモテや~」
言葉は褒めているが少女達の視線は痛い。要するに、シモンに対して非難の目を向けているのだ。
「う、う~、そ、そんなこと言われたって~」
デュナミスに比べてこの有様は何だ? 学園祭の時のあの情熱的な愛はどうした?
あの学園祭でシモンを認めたアスナたちだからこその非難だった。
「シモンさん。これだけはハッキリさせて。シモンさんが一番好きなのは誰なの?」
「うっ・・・な、なんか最近そんなことばかり聞かれるな・・・」
年下の少女達からの追求。自分は後輩達にまで疑われるほどフラフラしているように見えるのか?
そんなことを聞かれなくても答えだけはハッキリしている。
「そんなの決まってる! 俺は―――」
だが・・・
「ぬはははー、シモーン見るのじゃ・・・じゃなかった、見てください。どうです、この衣装? 似合っていますか?」
「マスター・・・あの・・・あの・・私も・・・」
ヒラヒラとしたアイドルのような服装に、計算され尽くした角度でコテンと曲げた首に、少しの恥じらいを見せるテオドラ。
衣装に対する感想を求めるテオドラの後で、自分もどうですかとばかりに待機しているセクストゥム。
「あ・・・うん・・・二人ともすごい似合ってるよ・・・」
「ッ・・・ふふ・・・シモンにそう言っていただけて何よりです」
「マスター・・・・♪」
この光景を見て人は何を思うか。それは満場一致でこうだった・・・
「「「「「何イチャついてんだゴラアアアアアアアアア!!!!」」」」」
「うわあああああん、だからどうして俺がそう言われるんだよ~~~!?」
シモンは走って教室から逃亡したのだった。
「はあ~~~~~~~」
教室から逃亡したシモンは深々と溜息を吐いた。
「どうすればいいのか分からないよ・・・。気持ちがハッキリしているのに、どうして俺ってこんなに流されちゃうんだろ」
何度でも言う。
自分はニアが好きだ。自分のその気持ちに偽りなんてない。
でも、最近はセクストゥムといい、テオドラといい、どうしても女の子達に振り回されてしまう。
態度をハッキリとさせて、たとえその結果相手を傷つけることになったとしても想いを貫くデュナミスの方がずっと良い。
「アスナって子達の言うとおりだよ・・・俺・・・ダメだよ・・・デュナミスみたいになれないよ・・・」
自分が情けないとシモンは自分を責め続けた。
「浮かない顔してるねー。そんな顔、まったく似合わないよ?」
「え・・・?」
だが、そんなときだった。
「ドリルでも無くしちゃったー?」
誰かが自分の目の前にいた。
「えっと・・・誰?」
その人物は黒いワンピースに、何故か顔を覆面で覆い隠した怪しい人物。
一体何者だ?
不審者か?
しかしそれにしては堂々とし過ぎている。
すると堂々とシモンの前に現れた不審な人物は、更に堂々と、人差し指を天に向かって伸ばして名乗りを上げる。
「私は、謎のシスター・ビューティフルスカイ!」
そしてその言葉に続くように・・・
「謎のシスター、ココ」
「そして、な・・・なぞ・・・謎のシスター、シャークです・・・・やはり恥ずかしいですね・・・」
覆面した謎のシスター三人が、暗いシモンの目の前に現れたのだった。
(誰だこの人達?)
いかにも怪しすぎる。普通なら通報していたかもしれない。
「私たちは、銀河に轟く新生大グレ・・・じゃなかった、学園お悩み解決シスターズとでも思ってくれていいよん♪」
しかし、どこか不思議な感じもした。自分に対してやけに馴れ馴れしいが、それがあまり失礼とは感じなかった。
覆面の奥から見える瞳は、とても優しく、温かく感じた。
「・・・・・・小サイ・・・カワイイ」
「えっ!?」
謎のシスターココ。三人の中で一番小さく、小学校低学年が園児ぐらいの子にしか見えない。
トコトコとシモンの目の前に近づいてきた彼女は、シモンの背丈を見るなり、片言の日本語で一言そう言った。
シモンは当然ショック。
「ち、小さいって、俺はまだ成長期なんだからもっと大きくなるさ! って、君の方が子供でしょ!?」
幼児相手に情けないと思いつつも、シモンは顔を真っ赤にして反論。
すると、おかしかったのか、シスター達はクスクスと笑いだした。
それどころか、三人の中で一番大人の物腰で落ち着いた雰囲気を出している、謎のシスターシャークは、「よしよし」とシモンの頭を撫でた。
「ええ。そうでしょうね。私たちには分かります。きっとあなたは数年もすれば、宇宙中の女性が心惹かれる素敵な男性になりますよ」
「なな、ば、ばかにしてるの!?」
「いいえ。心の底からそう思います。でも今は、とても可愛らしくて素敵ですけどね」
まるで息子か弟をあやすかのようなシスターシャーク。しかし、恥ずかしい一方でその手はどこか心地よかった。
すると、ちょっと落ち着きだしたシモンを見て、ビューティフルスカイが機嫌良さそうに尋ねてきた。
「ねえねえ、今何歳?」
「えっ・・・15歳・・・もうすぐ16歳だけど・・・」
「うっはー、見えねー。私と身長同じぐらいで、今はタメじゃん!」
「だ、だからすぐに身長伸びるんだって!」
「うんうん、高一かー・・・ってことは、私より一個学年上かー、んじゃあとりあえずお兄さん・・・いんや、ここはやっぱ兄貴と呼ばせて貰おうか!」
「なんでさ!?」
「あら、それは素敵ですね」
「はあ!?」
「兄貴ッテ呼ブ」
「何でなの!?」
からかってんのか、バカにしてるのか、この謎のシスター三人が謎でしょうがなかった。
関わらない方がいいのかもしれない。
「んで、兄貴。なーんか落ち込んでたみたいだけど、何かあった?」
「べ、別に悩みなんて・・・」
「よければ相談にのるよん。シスターたるもの無償で迷える子羊を導いちゃうよん」
「何か怪しいからイヤだ!」
「いーじゃん、言えってば! ほら、家族に話すように気楽に!」
「何でいきなり家族なのさ!?」
関わらない方が良い。そう思ったシモンの前に三人は立ちはだかり、道を空けない。
それどころか、シスターココはシモンの手をギュッと握り、シスターシャークは未だにシモンの頭を撫で、そしてどの方向を向こうとも素早いステップでシスタービューティフルスカイは回り込んで、無理矢理シモンから話を聞きだそうとしてきた。
どうやら、話を聞くまでシモンを逃がす気は無いようである。
観念したシモンは、少しヤケになった口調で説明する。
「え~っと・・・あのさ・・・俺・・・この間、好きな子に告白して・・・ニアって子なんだけど・・・」
「うっひょー、マジすか!? 兄貴、いきなり恋の相談すか!? いやー、兄貴からの恋愛相談なんてレアっすね。兄貴を好きな子達からの相談はあったけど」
「はあ? 何の話しだよ?」
「いんや、こっちの話し。んで?」
「う、うん・・・それで・・・その子も俺のことを凄く好きで居てくれて、色んな人に認めてもらえたのに、・・・・・・何か俺、最近色んな女の子に迫られて・・・中途半端にしてるとクラスの仲間に怒られて、それで態度をハッキリさせたら女の子に泣かれたり攻撃されたり・・・好きな子を安心させようとしたらイチャイチャするなってぶん殴られるし・・・そんなことでウダウダしてる俺が情けなくて・・・」
最初は話す気はなかったが、一度漏れるとどんどん口から言葉が漏れた。
ウジウジとした暗いオーラがシモンを包み込み、「俺はやっぱりダメだよ」という空気を醸し出していた。
そんな内容の話を、シスターたちも、最初はふざけて聞いていたと思えば、急に真剣に頷きながら聞いていた。
「俺・・・こんなんで、どうしたらいいのかなって・・・」
すると・・・
「兄貴・・・ホッペ」
「えっ?」
「ホッペ出ス」
シスターココが、シモンの袖を引っ張って屈ませようとする。
一体何かと思ってシモンが中腰になると・・・
「兄貴、歯をンッてシテ!」
「ン? 食いしばれってこ・・・へぶっ!?」
なんか・・・殴られた・・・
シスターココの小さい体をいっぱいに使ったグーパンチが、シモンの顔面に炸裂した。
子供とはいえ、地味に痛い。
「なな、なにすんだよ!?」
ちょっと赤くなった頬を抑えて睨むシモン。
だが、
「そーだねー、兄貴~、これはもう」
「ええ。食いしばってもらうしかないですね」
シモンの肩を叩き、振り返るとシスター・ビューティフルスカイとシスター・シャークが、覆面越しでも分かるぐらいニッコリと微笑んで、そのままパンチを繰り出した。
「兄貴!」
「歯をくいしばりなさい!!」
「なんでさ!? へぶうう!?」
一人一発ずつで、三連発のパンチを食らわされ、シモンの顔が少し腫れた。
「ななな・・・・なにするんだよ!?」
心底そうだった。何で見ず知らずの他人に殴られる必要がある。
だが、殴ったシスターたちは何も悪びれない。それどころか、覆面の奥から見える瞳は誇らしげだった。
「目え覚めた?」
「えっ・・・・?」
「兄貴は自分を誰だと思ってるの?」
突如発せられたビューティフルスカイの言葉に、シモンは目をパチクリさせた。
「えっとさ~、私はさー、なんつーか、普段はこういう相談なら、ハーレムッしょ、やっほーいとかアドバイスするんだけど、兄貴の場合はダメなんだよね~」
「はい。そんなことは許しません。手の届く距離に、目の前にニアさんが居るのに、彼女をこの銀河で最も愛さないなど許しません。それでは、あなたを愛する女性に対して失礼です」
「兄貴、浮気ダメ」
どこか、出来の悪い兄弟か家族を叱るような三人の言葉。この時、不当に殴られたことがシモンの頭の中から消えていた。
「ごちゃごちゃあっても、兄貴はニアさんが好き。だったらそれでいーじゃん」
「謎のシスター・・・」
「周囲が何です? 他の女性が何ですか? 答えはもう出ているのでしょう?」
「答えは・・・もう・・・」
「兄貴・・・ニアさん嫌い?」
「そ、そんなはずないじゃないか!!」
そんなこと言われなくたって分かっているのに、シスター達の言葉がいちいちシモンの心を突き動かす。
「そんなこと別に言われなくても分かってるよ。何であんたたちにそんなこと言われなきゃいけないんだよ!」
違う。本当はそんなことを言いたいわけではない。ただ、不思議と胸がザワついたのだ。
まるで自分の全てを知り尽くしたかのような謎のシスター達の態度に、シモンは落ち着くことが出来なかった。
「俺だってニアが好きだよ。当たり前じゃないか。ずっとずっと好きなんだ。でも・・・それ以上、どうすればいいんだよ。俺、言葉でだって伝えてるし、それなりに行動だって・・・でも、他にどうすれば・・・」
そして自分が情けない。まるで八つ当たりのように不満をぶつけることが。だが、その言葉をシスターたちは茶化さず正面から頷いた。
「言葉でも行動でも示したのなら・・・まだ残っているものがあるのではないですか?」
「残っているもの?」
「はい。大切なのは、回りがどうとかではなく、あなたとニアさんがどうなりたいかではないでしょうか? そして、ニアさんがあなたに何を望んでいるかではないでしょうか?」
自分とニアがどうなりたいか? その答えももうとっくに出ている。
ニアが自分に何を望んでいるのか? そんなもの、ニアはずっと前から言ってくれていた。「ずっと一緒」ただそれだけだ。
「分かったよ・・・」
自分が何をすべきか? それは、ニアの望みを叶えることだ。
「俺分かったんだ・・・俺が今の状況を変え・・・そして、ニアにどう応えるべきなのか?」
顔を上げる。その瞳に迷いはない。そのシモンの表情に謎のシスターたちは満足そうに頷く。
「俺・・・・・・ニアにプロポーズをする! 今の俺の本当の気持ちを表すには、もうそれしかないから!」
「・・・・・・・・・・」
「例え、回りがどうだって・・・テオの気持ちも・・・セクストゥムの気持ちもうれしいけど・・・俺が一番好きなのはニアだから・・・だから、俺はニアにプロポーズをするんだ! 本当に俺はニアと結婚するんだ!!」
高校生でプロポーズ? 普通は早まるなと回りは止めるものなのだろうが、目の前のシスター達は違った。
「穴掘りシモンらしい解答です。正解です」
「うん、それでこそ兄貴!」
「兄貴ッポイ」
心の底からシモンを後押ししたのだった。
「ありがとう、謎のシスター。俺・・・俺・・・今度はみんなの前で、ニアにプロポーズをしてくる!!」
数分前と違って心が軽くなった。足取りも軽くなった。自分が何をすべきか分かった。
自分を殴って目を覚ましてくれた謎のシスターに別れを告げ、シモンは自分の成すべき事をするために走り出した。
そう、シモンはニアと本当の夫婦になることで、自分の気持ちを皆に示し、そしてニアに応えると決めた。