【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第88話 アリカちゃんの新妻だいあり

「とりあえず、もーないわよね?」

「うん・・・色々ごめんよ」

「それにしても、フェイト様とシモンはそのような壮絶な冒険をしていたとは・・・どうりで二人の絆は・・・やはりライバルはシモン・・・シモンには早くニアと結婚してもらわないと」

「あのアリカ姫すらシモンとフェイト様が恋人だと思うほどだったなんて、どれだけ・・・」

「シモン、ムカついたからもう一発ぶっていい?」

「私も殴ります」

「ちょっ、何でだよ!? 確かにあの時のフェイトは凄く可愛かったけど・・・って、暦!? そんな爪出して引っ掻かないでよ!!」

「私も見たかったです・・・可愛いフェイト様・・・キッ!」

「調もやめっ、いたっ!?」

「不幸やったな~、シモンさん。大丈夫、ウチが治したるえ」

「うん・・・ありがとう・・・」

「ですが、もし詠春様が道を誤れば、お嬢様が生まれなかった可能性も・・・お嬢様が生まれない? お嬢様が存在しない・・・せかい? ・・・・・・・・うわああああああ、このちゃあああああああああああああああああああああんん!! シモンさーーーーん、斬ります!!」

「ちょっ、それは俺のせいじゃなくてフェイトが可愛すぎる所為って刀はやめてよ! シャレにならないから!!」

 

アスナたちにボコボコにされて横たわってるシモン。

アスナもかなりツッコミ疲れを見せながらも、ようやく続きを読み上げようとした。

 

「はあ・・・んで・・・次は・・・」

 

シモンも、さすがにこれ以上は、自分も何もしていないだろうと思い、少し気が楽になった。

だが、その思ったのも束の間。気楽な雰囲気が一気に緊張することとなった。

 

 

「えっと、次は・・・『大戦から8年。ついに、完全なる世界も動き出した。目的はイスタンブールにある、地球と魔界を繋ぐゲートであろうが、どうにか奴らを撃退してゲートの封印を強固にすることに成功した。じゃが、敵の人形どもの能力も大戦時と遜色なく強力じゃった。特に、テルティウムという男。あの魔力と能力は、かつての綾波フェイを思わせるほどのものであった』・・・!?」

 

「「「「「テルティウムということは、フェ、フェイト様!!??」」」」」

 

「フェイト・・・やっぱり、ナギと昔は敵同士だったんだ・・・」

 

「ちょっ・・・えっと・・・『ナギと堀田博士は大戦の時から全てを知っておった。全てはゼクトが絡んでいるからじゃろう。大戦期では、造物主を倒すことは出来たが、今回ばかりは不可能に近いと言わざるをえない。いかにナギとはいえ魔法のランクが違いすぎる。造物主に魔法世界人は絶対に勝てぬ。同時に、覚醒したゼクトの宇宙魔法に勝てる生物は三界にはおらん。このままでは、ガトウとタカミチが匿っているアスナが気がかり。しかし、何故今になってあやつらが魔界のゲートにまで関わろうとするのか』・・・えっ・・・ア、アスナ・・・えっ?」

 

 

新たなに謎が増えた。ついに登場したフェイト。そして魔界という単語。さらに・・・

 

「ア、 アスナ? ・・・って、アスナのことやないん?」

「え・・・うそ・・・でも、そんなはずないわよ。大体、何で私のことをネギのお母さんが知ってるのよ?」

「でも、高畑先生の名も出てきていますし・・・」

 

シモンはその時、気づいた。

 

(あっ・・・そういえば、あのとき・・・)

 

それもまた、二十年前の魔法世界。タイムスリップ早々に、巨大な怪物がそびえ立つ塔に襲いかかっていた。

 

「もし、私とナギに何かがあった場合・・・アスナからは魔法や私たちのことに関する一切の記憶を封じる必要も・・・」

 

その時、塔の中に居たのは・・・

 

――アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア・・

 

幼い少女。アスナの面影のある、アスナという名の少女。

もし、あの時の少女が? だが、年月と合わない。

絶対にありえないことなのに、それでもシモンの頭の中から離れなかった。

 

「なんか、よくわからないけど急転直下って感じね。ねえ・・・怖くなってきた・・・私」

「ええ。これは、ネギ先生どころか・・・世界中の人たちも知らぬ真実に私たちは・・・」

「ナギ、アリカ、造物主、堀田博士、・・・あとは、ゼクト、そしてアスナ・・・他にも気になる点は色々ありますが・・・」

「ああ。彼らはずっと歴史の裏で、世界を左右させる何かをやっていたのかもしれない」

 

そうだ、自分たちは今、決して歴史上では語られることのなかった世界最大の重大情報に触れているのかもしれない。

世界の滅亡、破滅、救済への道。その道のりで関わる重要人物たち。

これは、どんな未来を指し示すのか。

 

「アスナ・・・続きや・・・」

「うん・・・分かった・・・」

 

覚悟を決めて知るしかない。アスナは自然と日記帳を持つ手に力が入った。

 

 

「えっと・・・ナギは言った。普段の私はドSじゃが、夜伽の時はMになると。悔しいが自覚はある。何故なら一番感じた体位は背面立ってどすこおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!」

 

 

しかし、そこで日記の内容が再び変わってしまったのだった。

日記帳を壁に向かって、思いっきり投げつけた。

 

 

「な・・・な・・・なあッ!? なんちゅーことを日記に書いてんのよ、ネギのお母さんは!! っていうか、ハートの絵文字とか小さく入れてんじゃないわよ!! さっきの衝撃事実を待っていた緊張感を返しなさいよね!!」

 

「ま、まあ、落ち着いてよ。確かに衝撃的事実ではあったし、日記帳なんて誰にも見られないこと前提だし・・・そっか、アリカの好きな体いってぶほおっ!?」

 

「いーうーなァァッ!!!! 見なさい! 焔ちゃんたちを!」

 

 

アッパーされたシモン。顎を抑えながら顔を上げると、二組に分かれていた。

 

「ぷ・・・ぷしゅ~~~~」

「た・・・たち・・・ア、あのアリカ姫が・・立ち・・・バッ・・・く・・・」

「は・・・鼻血が・・・」

 

意味の全てを理解したと思われる、焔、栞、調、刹那。

 

「えっと・・・どういうことなん? 何で、みんな顔が真っ赤なん?」

「環は分かった?」

「?」

 

意味が分からない木乃香たち。こういう組み分けだった。

 

「今日はナギが二代目アーウェルンクスを一蹴したので、私の裸前掛けなるものを褒美で見せ・・・な・・・なんとも・・・~~~ッ、ご、ごめん、ここらへんは飛ばすわ。えっと・・・新たに感じる体位を発見ってうおおおおおおおおおおおおおおおい!」

 

何度もクシャクシャにされたりぶん投げられて日記帳の形がヒドく変形してきていた。

偉人の手記であることから、売れば相当な付加価値が付くであろうが、アスナにはそんなもんはどうでも良かった。

焔と刹那に関しては鼻血の量が増えて失神してしまいそうになった。

 

「なんか・・・アリカの性格も随分変わってきたね。まあ、結婚して数年も経ってきているだろうから、丸くなったんだろうけど・・・」

「あはは、せっちゃんお首トントンせなアカンな?」

「も、申し訳ありません、お嬢様。少し興奮してしまったようで鼻血が・・・」

「なんか、ラブラブのただのノロケのような・・・完全なる世界や魔法世界やマスターについては何も語られなくなってきたし・・・」

「バカ夫婦ですわ。裸エプロン女・・・」

 

もう、そこから先も読めば読むほどラブラブ話しか書かれなくなってきた。

 

 

――ああ、ナギよ。どうしてお前はナギなのじゃ。恋の翼で塀を飛び越え、闇と汚れの中を飛び越えて私を愛していると誓ったのに、何故もう愛していると言ってくれぬのじゃ。そして、何故私も素直になれずに喧嘩してしまうのじゃ。しかし、ナギも悪い。綾波が可愛い可愛いなど・・・

 

 

――私はナギをこの世の誰よりも・・・ダメじゃ、言えぬ。文に出すだけでも手が震える。赤面赤面♡

 

 

――我が騎士よ・・・我が王子よ・・・我が・・・ダ、ダーリン・・・ダメじゃ、銀河のお星様に見られてしまう・・・

 

 

――な、なんということじゃ! 海で泳いでおったら、ナギに日記帳を読まれてしまった!? さらに、一階の床下に魔力で封印して隠してあった、書いたけれど恥ずかしくて渡せなかった恋文も、想いを込めたラブソングの楽譜も、ハートマークの刺繍がなかなか進んでいない網かけのペアルックセーターの存在・・・頭が真っ白になってしまった・・・一大事じゃ。私は何というドジっ子じゃ

 

 

しかも、それは思春期真っ只中の甘酸っぱい青春を過ごす中学生高校生の段階を遥かにすっ飛ばしたものばかり。

 

「・・・・・・・・ケッ」

 

アスナ。もう、イライラして、とても可愛らしさの欠片もない不愉快そうな顔で舌打ちする。

そして、そんな夫婦もついに・・・

 

「ナギに命を助けられ、妻となったあの日。人生最良の日だと思っておった。じゃが、今日はそれにも勝る幸せを得てしまった・・・あれ? なんか、あったのかな?」

 

よく見ると、そのページは紙がカサカサになっていた。

インクも滲んでいるように見える。まるで、水分が紙に落ちて、それを拭きながら文章を書いていたのではと思われる。

この日の日記を書いている時のアリカは、ひょっとして涙を流していたのではないか?

何となく想像してしまったアスナは、食い入るように顔を近づけながら日記の続きを読む。

 

 

「どうやら妾は・・・ついに・・・ややこができてしまったようじゃ♡ ・・・時期を数えるとじゃ、やはりあの日かもしれぬな。かつて敵をも魅了した綾波フェイ。ナギやガトウたちも一瞬でファンになったなどと聞かされ、ナギも私に少しはあの可愛らしさを見習えなどとイジワルを言うので・・・不快に感じ、見返してやろうと、猫耳姿でナギに甘えた・・・あの・・・夜のいとな・・・み・・・で、いつも以上に・・・猛った・・・ナギと・・・」

 

「アスナ・・・」

 

「ご、ゴメン・・・私も鼻血が止まんない・・・これ・・・官能小説みたいに生々しいっていうか・・・JCが読んでいい内容じゃないわよ・・・」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

何かあったようだ。アリカは妊娠したようだ。

 

「な、なあ、アリカさん妊娠したってことは・・・つまり、お腹に居た子って・・・一人しかおらんけど、やっぱ・・・」

 

あの子しかない。現在、十歳の身でありながら、麻帆良の問題児たちに日々奔放している純粋無垢な天才少年。

 

「そうか・・・そういうことだったのか・・・」

 

そこで、シモンは全ての答えにたどり着いた。

 

 

「つまりネギ先生は、ナギとアリカが月でイチャイチャして出来た子供だったんだよ!!」

 

「「「「「なっ、なんだってえええええええ!!??」」」」」

 

 

月にはウサギもウミガメもいなかった。居たのはオスとメスのおサルさんだった。

人類が初めて月面を歩いてから十数年。人類はとうとう月面で子作りできるまで進化していたのだった。

 

「って、だからなんだっていうのよおおおおおおおおおおおおお!!」

 

アスナついにブチ切れて両手で思いっきり柩をハンマーパンチ。

ガツンと床が抜けるのではないかと思われるほどの衝撃だった。

すると・・・

 

「え・・・・・」

 

 

強固な柩。焔たちも強力な魔力がどうのとか言っていたので、女子中学生の力でまさか柩に異常が起こるとは思わなかった。

だが、確かにアスナが柩を殴った瞬間、確かにパキンという何かが弾けた音がした。

 

「ッ!? ちょっ、えっ!? ひ、柩を覆っていた魔力が消えた!?」

「えっ、・・・何で・・・?」

「って、アスナさん!! アスナさんはマジックキャンセル持っていますからッ!!」

「あ゛!?」

 

シモンも知らなかったが、どうやらアスナは魔法を無効化出来る力があるらしい。

つまり、アスナが殴れば、魔法と名のつくものはたいてい消滅してしまう。

つまり・・・

 

「うっ、うそおおおおおおおお!?」

「やああああああん、棺桶が開いてもーたやーん!!」

「ミイラはイヤああああああああああ!!」

 

柩が開いてしまったのだった。気圧の違いがあったのか、空気の流れ込む音がした。

白いもや、肌寒い冷気が柩を覆い、少女たちは慌ててシモンの後ろに隠れた。

 

「・・・・・・・・ッ・・・で、でも・・・見ないと・・・だめだよね・・・」

「うっ・・・みんな・・・いつでも戦える準備を」

「もうやってるよ」

「く、来るならきなさいよー!」

 

シモンたちは恐る恐る、柩に手をかけて、中を覗き見る。

次第に、もやも晴れていき中身が見えるようになった。

するとそこには・・・・

 

 

「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・えっ?」」」」」」」」

 

 

シモンたちは自分の目を疑った。

てっきりミイラとか封印された怪物が出てくるのかと思ったら、中には美しい女性が眠っていた。

長くストレートに伸びた美しい金髪。白く清楚なドレスと真っ白い肌は、一切の汚れが見えなかった。

その人物を一目見ただけで、シモン以外もこの女性が誰なのかを理解できた。

 

「・・・ん・・・」

 

女が僅かに声を漏らした。

この女は生きている。どうやら眠っているだけのようである。

どうして、こんな封印されるように眠っていたのかは分からない。

分かっているのは、柩が開き、彼女が目を覚まそうとしているということだ。

 

(・・・・・・この人・・・あれ? ・・・どこかで・・・)

 

アスナはつい先程までアタフタしていたが、今は不思議と落ち着いていた。

どこか郷愁に似たような感覚になり、足はフラフラと柩に向かっていた。

 

「アスナさん!」

「しっ!!」

「ちょっ、焔さんたち。一体・・・」

「いいから・・・ちょっと、様子を見てみましょう」

 

焔たちも柩で眠っている女が誰なのか分かった。そして、アスナの異変にも気づいた。

だが、それを分かっていながらも彼女たちは女に近づくアスナを止めようとしなかった。

それは、刹那も木乃香も、そしてシモンも同じだった。

今のアスナを止めてはいけない。そんな気がしていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・アリカ・・・・・・・・・・・起きて・・・」

 

柩の中で眠る女を見下ろしながら、瞳孔の開いたアスナがポツリと呟いた。

シモンたちは、その言葉にゾクッと全身の鳥肌が立った。

だが、女は起きない。しかし、反応があった。体を身じろぎした。

 

「うう・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

再び声が漏れた。

それだけで、シモンたちの心臓がバクバクと高鳴った。

今、自分たちはとんでもないものを目の当たりにしようとしている。

それが理解できたからだ。

そして、ついに女の口から言葉が漏れた。

 

「う・・・・おき・・・ぬ・・・」

 

しかし・・・

 

 

 

「うう・・・ナギ・・・起こすなら・・・目覚めの口づけをせぬか、このバカ者・・・・すうすう(´ε` )」

 

 

 

なんか、チュウを待ち望んでいるかのように唇だけ突き出した状態になった。

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

無言になるシモンたち。

すると、さっきまで呆然と意識が飛んでいたアスナが、急に肩をプルプル震わせ・・・

 

「バカはあんたよ! おきろっつってんのよ、このすっとこどっこい!!!!」

「な、なんッ!?」

 

柩ごとぶん投げて、中に居た女を無理やり起こしたのだった。

シモンたちはアスナの所業にもはや何も言えず、口を半開きにして目玉が飛び出した状態で固まっていた。

そして、柩ごとぶん投げられて頭を壁に強く打ち付けた女は、ようやく薄く目を開けた。

 

「ぬ、な・・・なにごとじゃ・・・・、一体誰・・・が・・・・ッ!?」

 

そして、その瞳が目の前にいる者たちを捉えた瞬間、彼女の両目が完全に開いたのだった。

 

「そなたは・・・・・・・・まさか・・・・ま、まさか・・・・・・・いや、しかし・・・・ア・・・・アスナ? ・・・・それに・・・シ・・・シモ・・・ン?」

 

これは、出会いというのだろうか。それとも再会と呼ぶのだろうか。

だが、どちらにせよ、今日シモンたちは、歴史の表世界から抹殺され、その行方が完全に不明となっていた王女。

アリカ・スプリングフィールドを見つけたのだった。

 


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