【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第92話 さあ、最後の因縁だ

そして、アリカがやけくそになって「変わった」と信じたフェイトたちは・・・アリカの知っていた頃の面影など微塵もないほどに変わっていた。

 

 

「それでも僕は彼のために戦うよ。彼は僕の・・・大切な人だから」

 

「目を覚ますのだ。お前は奴のドリルに幻想を抱いているだけだ! だから、我を見ろ!」

 

「分かっている。だが、頭から離れない。忘れることができないんだ。彼の弱さも、強さも、心も、僕は・・・もう・・・どうしうようもないんだ・・・せつないんだ・・・」

 

「くだらぬ・・・何とも哀れな人形か・・・いや・・・それは私も同じか・・・、だからこそ、我が貴様を変えてやろう。貴様を呪われた螺旋の因果から救い出してやろう」

 

「いやだ・・・僕は変わりたくない・・・彼のために戦うと決めたんだ」

 

「奴は貴様が思っているような奴ではない! 貴様は己の不幸がまだ分からぬか!」

 

「僕の幸せは僕が決める! 君なんかに、彼のことが分かってたまるものか! 僕は彼とこれからもずっと一緒だ!」

 

「分かるさ。奴のドリルと交わったあの日より、我らの全てが始まったのだ。そうだ・・・我もまた奴のドリルに魅せられた、哀れな人形に過ぎぬ。だからこそ、貴様の気持ちも分からんでもない」

 

「やめるんだ。一度や二度、彼のドリルを見たぐらいで、彼の全てを知った気にならないことだ」

 

「回数など関係ない。奴の全てを込めたギガドリルとやりあったのならな。我らは惹かれあう運命なのだ。奴のドリルの強烈なインパクトだけが私の中に残った。私は奴と決着をつける。そして貴様を解放してやろう」

 

「ダメだ。やはり君は何も分かっていない! 彼のギガドリルも大きくなる前は小さいんだ。でも、その小さく弱々しい力が、やがて大きく逞しくなっていく。僕は、その時の彼を知っている。大きい時しか知らない君に、彼の何が分かる。彼を理解しているのは僕だけだ!」

 

「真に惹かれあうもの同士は、たった一度合間見えるだけで、互を深く理解するものだ。奴も、きっと我と同じ気持ちであろうな。貴様のことなど、奴はもう見ていない!」

 

「嘘だ!! 君に彼の何が分かる。不愉快な男だ」

 

「もはやそこまで墜ちたか・・・憐れな・・・・ならば、せめてもの救いだ。螺旋の力に取り憑かれた哀れな操り人形、シモンも葬って、貴様と同じ墓にでも埋めてやろう」

 

「彼に手を出させたりはしない。彼は僕が守る。僕は・・・壊れたってかまわない・・・」

 

 

鬼気迫る覇気をぶつけ合って対峙する二人。

 

「さあ、来い! ダークヒーローマスクマン!」

 

緊迫感が伝わ・・・

 

 

「キタ━(゚∀゚)━!!」

 

 

鼻血を大量に吹き出して、万歳する一人の少女にぶち壊された。

 

「上出来! 二人でシモンさんを取り合うように! フェイトくんは大好きな彼を奪われないように! デュナミス先生はNTRるように! 注文通り御馳走様でした! グフフ、グフ腐腐腐腐腐腐」

 

メガネが異常なほどにキラリと光り、その女の瞳が見えない。

ただ、全身から漂わせる腐臭のようなオーラが、フェイトとデュナミスをゾッとさせた。

 

 

「あの・・・早乙女ハルナさん・・・」

 

「どーでしたか、シャークティ先生!」

 

「いえ、ヒーローショーの台本に手直しを入れたり、フェイト・アーウェルンクスを悪の黒幕であるシモンさんの仲間役として抜擢して、ダークヒーローマスクマンと戦わせるシーンを入れるのはイイと思います」

 

「でしょでしょ! いやー、フェイトくんとシモンさん、二人だけの完全なる世界を打ち壊そうとする、ダークヒーローとの三角関係という妄想がいきなり頭の中に生まれちゃってさー」

 

「ですが・・・その・・・なんていうか・・・おかしいです。子供向けのヒーローショーが、ドロドロのBL修羅場にしか見えません・・・」

 

「う甘い! 甘すぎですよ、シャークティ先生! 私的にはもっとグログロを書きたいところを子供向けということで抑えているというのに!」

 

 

教会の講堂で行われている、ヒーローショーの劇の練習。

そこでは、ヒーローショーの台本を手がけて監督を担当する、麻帆良女子中の生徒、早乙女ハルナの猛特訓が繰り広げられていた。

 

「いや、やはりおかしいと思うが。特に、僕の演じる悪の仲間・・・シモンを好き過ぎないか?」

「どうして!? フェイシモでもシモフェイでも、今年の夏の祭典では薄い本にしたらmust buyだよ! ってか、マストゲイだよ!」

「早乙女ハルナ。やはり君の青春ラブコメは間違っていると思う・・・」

 

フェイトすらうろたえさせる、恐るべき早乙女ハルナという少女のパワー。

ダイグレン学園とは少し違う、おぞましさを感じさせた。

 

(何でこんなことに・・・・・・僕は歌と踊りの練習まであるのに、演劇まで・・・・・・やること多すぎないか?)

 

フェイトはいつものように、何でこうなった状態。

そして、結局自分は逆らえないのかと、半ばヤケになって現状を受け入れていた。

 

 

 

 

そして、アーウェルンクスも完全なる世界も、もはや完全に変わっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そんなことを微塵も知らぬアリカは、ただただ、暴露された黒歴史に対する羞恥で、額を砂浜に何度も打ち付けていた。

 

 

「こ、殺せ・・・もう、いっそ殺せ・・・」

「あはは、えーやん、アリカ様。ウチ、そうゆんラブラブなん羨ましいと思うえ」

「たのむ、木乃香よ。今はソッとしておいてほしい」

 

がっくりと項垂れるアリカを、みんなで微笑んでいた。

気の毒ではあるが、アリカは随分と幸せだったのだな~と・・・・・・・・・・・・・って

 

 

「って、そうじゃなくて、あんたは結局なんなのよ!? 何者なの!? 敵!? 敵なんでしょ!? それより、何でネギのお母さんをここに封印したのよ! あんたは何が目的なのよ!」

 

「質問が多いの、アスナ。思った以上、アホになっておるようじゃ」

 

 

流されているところではなかった。アスナは一気にまくしたてる。

しかし、当のアマテルはまるで当初のような神聖さはなく、ドラゴンが頭を掻いて「ん~」と考えているシュールな姿を見せた。

 

 

「まあ、あえて言うなら未来に向けて、肉体のストックを増やしておきたかったというべきか」

 

「はあ?」

 

「あらゆる未来を想定しようとも、予想外の事態は存在する。我が父もまた、堀田同様にあらゆる可能性を把握したが、それでも足らぬ。それゆえ、いずれ起こるかもしれぬ戦いのため、私は戦える肉体を確保しておきたかったのじゃ。私は魔法世界以外では存在できぬ。ゆえに、他の肉体に乗り移って活動するしかなかった。このドラゴンのようにな」

 

 

アマテルの言葉は、シモンやアスナたちには支離滅裂な言葉だった。

意味が全く分からない。

 

「戦い? 未来? わけわかんないわよ。それに、超りんじゃあるまいし、そう簡単に未来が予想できるはずないじゃない」

「予想ではない。把握しているということじゃ」

「なんですって?」

「証拠はこれじゃ。私が未来を把握している証拠じゃ」

 

アマテルが口をモゴモゴとして、何かを吐き出した。

砂浜に落ちたソレは、薄く、手帳ぐらいの大きさの液晶パネル。

見たことのないものだ。

 

 

「これは、十年後の携帯電話じゃ」

 

「「「「じゅ、・・・・十年後の携帯電話!?」」」」

 

 

手にとって持ち上げたソレに、アスナたちは驚愕した。

 

「うそでしょ!? こんな薄くて平べったいのが!?」

「ボタンを押すところが一個しかないです!」

「はー、これって何も写っとらんけど、どうやって点けるん?」

 

普段自分たちが何気なく使っている携帯電話とは形が全く違う。そもそも、ボタンを押す場所も一つしかない。

これが携帯電話? 今をときめくJC、JKの少女たちは興味津々。食い入るように見つめる。

だが、少しの間を置いてアマテルは念力のような力でアスナの手から十年後の携帯電話を取り上げて、宙に浮かべる。

 

 

「ふふ、驚いたか? 我が父が未来の知識を利用して作成した、タッチパネル式携帯電話じゃ。ちなみに、これはメールと電話だけではない。色々なアプリもあるし、音楽も動画も聴き放題、見放題じゃ。しかも、電話帳に登録している者たちと会話形式のような形で文書のやり取りができる機能も備わっている! しかし、私には友が居らん上に同じ機能の携帯を持っている者が居ないために、意味がないために、今では暇つぶし機能付き目覚ましの役割にしかならぬ。自虐ネタじゃ。笑っても構わぬぞ?」

 

「そんな!? この前、フェイト様に買ってもらったものと全然機能が違う!?」

 

「そんなものは、十年後には馬鹿にされるぞ? ガラパゴス携帯などと言われる」

 

「えっ!? 最新モデルのスゴく可愛いのを選んだのに!」

 

「そして、先ほどの動画で思い出した。携帯だけを見せても未来がどうのというのも信じにくかろう。じゃが、これを見せれば納得するしかないであろう」

 

 

アマテルが巨大な爪で、小さな携帯の液晶をソフトにタッチする。

指先一つで画面が次々と変わっていく。まるで指揮者のようだ。

そして、彼女が操作をやめ、液晶の映像を拡大する。すると・・・

 

 

『これがゴッドの力!』

 

 

「「「「「?」」」」」

 

 

『破壊を楽しんでんじゃねえ!』

 

 

それは、どこかで聞いたような声だった。アスナ、刹那、木乃香、シモン、アリカたちは、その声にどこか懐かしさすら感じた。

そう、忘れるはずがない。自分たちの幼い頃のバイブルとも言うべき存在。

永遠の憧れ。漫画界宇宙史上最強の戦士の声。

 

 

「ご、悟空の声じゃ」

 

 

ドラゴンボールだった。

ドラゴンボールのアニメか? しかし、シモンたちは首をかしげた。

アリカとは違い、シモンたちは一応最後までドラゴンボールを見ている。そのため、出てくる登場人物も敵キャラも全員知っている。

しかし、映像に映っている悟空と戦っている敵がまったく分からなかった。

目を細めるシモンたちに、アマテルはドヤ顔で言う。

 

 

「この者の名は、破壊神ビルス!」

 

「ビ・・・ビルス?」

 

「なにそれ? 聞いたことないんだけど・・・」

 

「ふっ・・・当然じゃ・・・なぜなら・・・これは、今から十年後に放映されるドラゴンボールアニメの敵キャラじゃからな!」

 

「「「「「な、なんだってええええええええええええええ!!??」」」」」

 

 

むしろ携帯電話よりも驚いた。アリカですら身を乗り出している。

 

「じゅ、十年後の!? 確かに、このキャラは知らないけど、十年後!?」

「いや、ちょっ、待って・・・長い! 長すぎるわよ! じゃあ、私たちがこのアニメを見るには十年経たないとダメっていうの!?」

「はー、そら殺生や・・・って、なんかベジータが歌いながら踊っとる!? ビンゴ大会が何なん!? 何でなん!? キャラちゃうやん!?」

「そ、その答えを知るのも、じゅ、十年後ですか・・・」

「バカな! 神と融合したピッコロより強い敵が存在したのか!?」

 

そこから先は、互いに笑顔で語り合い、「今度アリカに続きを貸してあげるよ。俺、DVDも全部買ったんだ」「DVDってなんじゃ?」「ほなら帰ったら鑑賞会やなー」とか、他愛のない会話をしていたが・・・・

 

「って、だからそうじゃなくって、結局あんたの目的はなんなのよー!」

 

危うく流されるところだったが、アスナが当初の目的を思い出して、アマテルにビシッと指差す。

そうだ、危うく忘れてしまうところだった。

 

「やれやれ、ギャグの通じぬ奴らじゃ」

「~~~~、アリカさん、ほんとにこんな奴に負けたの!? キャラが全然よくわかんないし!」

「すまぬ・・・面目ない・・・」

 

すると、アマテルも先程までの様子が一変し、急にシリアスな雰囲気を醸し出した。

 

 

「私も父も、これから先に起こる、おおよその未来を既に知っておる。まあ、今のように私がお前たちといつ会ったとか、そんな細かいことまでは追いきれんが、世界規模の流れは分かっておる。どこの大陸で、いつ戦争が起こるのか。人類が本格的な宇宙開発に進むのはいつか。月への移住、火星への進出、異界の住人たちとの遭遇。全てじゃ。その流れの中、百年後には異界の者たち同士で領土を巡って争い、その争いの果てには何も残らず、不毛な大地だけとなる火星、月、そして地球で生命は絶滅への時を待つことになる・・・そんな話をしたところで、アホの貴様らにはまったく分からんであろう?」

 

「むっ、なんかムカツク言い方ね。人をアホ扱いして・・・」

 

「当たり前であろう? お前もアリカもアホじゃ、阿呆じゃ、AHOじゃ。色ボケ阿呆じゃ」

 

「なっ、い、色ボケとアホは関係ないでしょ!?」

 

 

人を馬鹿にした態度を取るアマテルにカチンと来るアスナだが、アマテルもアスナたちの見てくれを見てバカにしているのではない。

そこにはちゃんとした意味があった。

 

「ならば、聞こう、アスナよ。貴様は・・・誰かに恋をしたことはあるか?」

「な、何よ、藪から棒に! そ、そりゃー、私も中三だし・・・まあ、こないだフラれはしたけど・・・恋ぐらいは・・・」

「そうか・・・中三病でも恋をしたいというわけか・・・」

「どゆこと?」

「いや、なんでもない」

 

突然の質問に顔を赤くさせてモジモジとする、アスナ。しかしそれに何の意味があるのだ?

 

「では、もう一つ質問じゃ。そなた、恋をする前は少し賢くなかったか?」

「えっ?」

 

そう言われてアスナは迷った。恋をする前。つまり、自分がいつも世話になっているタカミチに恋愛感情を抱く前はどうだったか?

すると、その時を知っている木乃香が答えた。

 

「そういえば・・・昔のアスナは子供の中でも大人びてたような・・・大人しかったし・・・頭も悪く無かったと思うえ?」

 

だが、それが何の関係があるのだ? そう思ったとき、アマテルの瞳がキラリと光った。

 

「我が血族は元来賢い・・・しかし、一つ欠点がある。それは、恋をすればアホになることじゃ!」

「な、なんですって!? つーか、私ってあんたの血族!? どういう意味よ!」

「そっか、だからアスナはアホなんや! そや! アスナが頭悪なったんわ、高畑先生に初恋してからや!」

「お嬢様、さりげに酷いですね!?」

「アスナ姫の頭が残念なのに、そんな理由が・・・」

「・・・アリカが昔に比べてアホっぽくなったのもそれが原因だったのかな?」

「な、なにを言う、シモン! 私は断じて阿呆などではない!」

 

超意外な衝撃的な事実。しかし、その事実はむしろ誰もが納得した。

バカになって人に恋をする。いい話ではないか。アスナと、今のブッ壊れたアリカの様子を見れば一目瞭然。

おめでたいのか、悲しいのか、良く分からない血族の遺伝に、シモンたちは同情したのだった。

そして・・・

 

 

「まあ、どのみち全員死ぬのじゃ」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「アホはアホのまま、死ぬがよい」

 

 

最初はこのままウヤムヤになるかと思えたが、そういうわけにはいかず。

 

「ちょっ、みんな、気をつけて!」

「こいつ・・・やる気なの!?」

「アマテル、貴様!」

 

ただ、何も分からぬまま、彼らは戦わざるをえなくなったのだった。

 

「腹が減ったので喰ってくぞ?」

 

ドラゴンの強烈な咆哮が月全体に広がったのだった。

 

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