【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「臓物全てを引きずり出して細切れにしてくれよう!!」
バスターソードを片手に構え、溜を作る。
剣に光が宿り、激しい魔力が電気のようにスパークして弾ける。
「大地を斬り、海を斬り、空を斬り、そして全てを斬る!」
「ふっ、やはりオタク助平ビッチ姫じゃな。まあ、技も本当に再現されているからタチが悪いが・・・ならば、こちらも相応の一撃で答えてやろう」
剣に溜め込んだ魔力と共に、アリカは横一文字に一閃する。
しかし、
「アリカストラッシュ!!」
「竜闘気砲呪文!!」
輝く咆哮とともに発せられる、竜のエネルギーの篭った砲撃。
その一撃は一瞬でアリカを吹っ飛ばし、アリカの聖剣を粉々に砕いた。
かと思えば・・・
「むっ・・・これも幻術か・・・結局出てきたか、小娘ども。そしてシモンよ」
光に包まれたアリカが消滅したかと思えば、彼女はアスナたちに抱きかかえられて回避していた。
アマテルの正面に現れて構える、アスナ、刹那、木乃香、焔、環、暦、調、栞、そしてシモン。
「お前たち・・・何故・・・」
「バカ! 自分で冷静にとか言ってたくせに、一番取り乱してんじゃないわよ!」
「うっ、うう・・・す、すまぬ・・・」
みなもまた、非常に悩んだのだが、結局相手の目の前にバカ正直に現れたのだった。
「俺たちだって居るんだ! 負けられないのは俺たちも同じだ! アリカを絶対にネギ先生と会わせるって約束したんだよ!」
「そうよ。そして、もう一人では戦わせない。この人がどんだけ残念なお姫様でも、絶対に守るって決めたんだから!」
「愛する者との思い出を嘲笑い、汚すあなたを決して許さない!」
どく気はない。引き気もない。真っ直ぐな少年少女の瞳に、アマテルは少しため息吐いた。
「どいつもこいつも、よほど絶望を見たいらしいのう。こちらはせっかく幸福を与えようと言うのに」
アマテルは軽く空を見上げる。そして何を思ったのか、急に手を上げて・・・
「遊びは終わりじゃ。絶望だけを見せてやろう」
その瞬間、環のアーティファクトの結界空間が解かれて元の世界へと戻ったのだった。
「そ、そんな!?」
「魔法無効化。それは、アーティファクトとて例外ではないぞ?」
空間を自由に操り、追い詰められれば距離を取れるというアドバンテージが一瞬で失せた。
それどころか、今のでアマテルには魔法だけでなく、アーティファクトの能力すら効かない事が証明された。
「って、それなら最初からそうすればよかったではないか! わざわざ私の歴史を読み上げて誘き出す必要なかったじゃろう!」
アリカの悲鳴は無視して、どちらにせよ追い詰められたのはこちらのほうだ。
「くっ、いきます! 神鳴流・雷光剣!!」
「救憐唱(カントゥス・エレイモシュネース)!!」
「ギガドリルブレイク!」
「豹族獣化(チェンジ・ビースト)獣化!」
「竜化!」
その能力を駆使できるものは、一斉にアマテルへ飛びかかる。
だが、
「喝!!」
たった、ひと吠えだけで、シモンたちは四方へとふっとばされてしまった。
そう、最初からレベルが違ったのである。
唯一アリカだけが対抗できたかもしれないが、最初から他の者たちからすれば、手も足も出ないレベルの相手。
「みんな!?」
「くっ、アマテル・・・貴様、女子供に・・・」
相手が悪すぎたのだった。
「やられたとたんに、それを言うか? 自分勝手な者たちじゃな」
アマテルの咆哮だけで地中が揺れる。どうやら、月全体に響き渡るほどの威力だったようだ。
「貴様ら、まさか殺されはしないだろうとか、思っているのではないじゃろうな?」
「ッ、こ、この!」
「約束通り、喰っても構わんのだぞ?」
星すらも揺るがすその力は、今の皆のレベルでどうにかできる相手ではなかったのだった。
だが・・・
「ん?」
事態は少し様子が変わる。
それは地中の揺れが、徐々に大きくなっているからだ。
これは、アマテルの咆哮とはまた違う振動。何か大きなものが近づいてくる音だ。
それは・・・
「「「「「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」
「げっ!?」
「いっ!?」
「ぬっ!?」
「いやああ、ブタモグラです!? き、気持ち悪い!」
「くっ、臭いがキツイ・・・」
「ううっ、気持ち悪い・・・」
地中の壁をぶちやぶって、この空間に現れたのは、巨大ブタモグラの群れだった。
開けた穴からゾロゾロと出てくる。
「・・・くっ・・・くはははははは、どうやら私の今の咆哮が、自分たちの世界を脅かす敵と判断されたようだ。まったく・・・無知な子供だけでなく、獣まで私の前に立ちはだかるか?」
ブタモグラたちは、鼻息荒くして地面を何度も蹴っている。今すぐにでも突進してきそうな様子だ。
だが、そんなブタモグラを見ながら、アマテルは残酷な笑みを浮かべた。
「のう、アリカよ。何故我が父である造物主は、ブタモグラを魔法世界に放たなかったと思う?」
その問いかけが予想外だったのか、アリカは言葉を失った。
何故なら、アリカも月で生活をしていて、それが一番気になっていたからだ。
「ブタモグラの肉は非常に栄養が高い。さらに、その毛皮は衣服に、骨や筋などは加工して道具を生み出すことも出来る。排泄物は燃料として利用し、その熱で発電をし、電気を作ることも可能。さらに、ブタモグラは主食を土としているため、土地開拓するだけで、ブタモグラを維持するための餌を得られ、その他に必要なものが手に入る・・・・・・月の生活で気づいたことじゃ」
「そうじゃ。それほどまで素晴らしいシステムを作り出すブタモグラが、何故魔法世界には居ないのか? その理由は簡単じゃ。貴様ら愚か者たちは、すぐにそれを奪い合う。他国よりブタモグラを多く確保することが、直接その国の豊かさ、強さに繋がるからな」
そうだ。あらゆることに万能に利用できるブタモグラを、もし世界に放ったらどうなる? 安価でそれほど豊かな暮らしを与えることのできるブタモグラを確保しようと、世界が動く。
しかし、それでは終わらない。他国のブタモグラの奪い合い。さらには、増えたブタモグラを確保する土地。餌となる土地開拓用の土のために、多くの領土も必要となり、領土問題にすら発展するかもしれない。
「っても、それなら地球の牛も豚も変わらないじゃない。食用に利用するし、牛乳も飲むし、中には毛皮に使ったりとか・・・」
アスナが不意に口を挟んだが、一理ある話だった。
確かに、ブタモグラ一匹で人間生活を支えられる効果はあるかもしれないが、それは地球でも数種類の動物がいれば可能なこと。
動物の肉を食べ、毛皮を創り、道具を生み出し、排泄物からエネルギーを作り出すなど、人間界でもやっていること。
ならば、ブタモグラ一種を世界に放ったところで、大して何かが変わるわけではないのではないのか?
そう思った。
しかし、
「ふふふふ、アスナよ。実はな・・・アリカも知らぬようじゃが・・・ブタモグラには、もっと別の・・・真の使い方があるのじゃ」
「えっ!?」
「そして、それこそが最大の使い方にして、争いの原因となる唯一の理由じゃよ。だからこそ、父もブタモグラを断念した」
アリカも驚いた。このブタモグラには、他にもっと別の使い方があるのだと。
そして、それが戦争の引鉄になる大きな理由。造物主が魔法世界にブタモグラを与えなかった真の理由。
それは・・・
「ブタモグラの肉は栄養が非常に高いだけではない。成長に連れて魔力を肉から補給することも出来る。つまり、ブタモグラは食用や生活環境の発展のみ成らず、魔力の確保という利点もあった」
「なっ、・・・・・・魔力の補給!?」
「全ては魔力の枯渇を防ぐための実験。食べるだけで魔力を補給できるのだ。じゃが、そんなものを魔法世界に放り込んで見ろ。ブタモグラの略奪や確保で戦争が起こる。自然界のバランスを大きく崩す。ブタモグラの数は、その国の軍事力にも直結する」
魔力の確保のために生み出された生物。だが、逆にそれが争いのもとになるために、ブタモグラが魔法世界に生息させることを断念された。
その答えに、アリカだけではない。焔たちも驚きを隠せなかった。
「し、しかし、私もナギもブタモグラを食していたが、大して魔力が向上することも回復することもなかった。私が妊娠と出産で体力と魔力を失っていた時も、効果は無かったはずじゃ!」
「ふっ、アリカよ。それは・・・ブタモグラの食し方が間違っていたからじゃ」
「なに!? 食し方じゃと!?」
次の瞬間、ドラゴンが大きく動き出し、巨大な鋭い爪をいっぱいに伸ばした。
「魔力の源とは生命。貴様は死んだ肉から魔力を補給できると思っているのか?」
その迫力に押されて、威勢のよかったブタモグラも一瞬で散々になって逃げる。
恐らく野生の勘で気づいたのだろう。相手が、ただの敵ではなく、捕食者なのだということを。
アマテルは巨大なブタモグラすら片腕で数匹捉え、そのまま口を大きく開ける。
「カレーにするじゃと? もったいない。生きたまま食してこそ、純粋な魔力を得ることが出来る!」
グシャッと音が響いた。
あれだけ五月蠅く鳴いていたブタモグラも、全身を痙攣させたまま一言も発しなくなった。
「う・・・あ・・・」
「ちょっ・・・」
「うぷっ・・・」
アマテルは、ブタモグラを頭部から丸かじりした。
クチャクチャと牙で肉をかみ切る音、したたり落ちる大量の血液の匂いが充満した。
「な・・・なんてことを・・・」
「人間も似たようなことをするではないか」
人間も牛豚を食べるし、魚を活きたまま捌くこともある。
しかし、アマテルの今の行いは、どこかかけ離れている気がした。
思わず口元を抑えるアスナたち。木乃香など、その光景に気絶しそうだ。
だが、アマテルの食事は終わらない。気づけば、口元を血だらけにしながら、笑みを浮かべていた。
「高まるぞ。魔力が」
「ッ、おのれ・・・」
「アリカよ。十年前、妊娠と出産で魔力と体力を大幅に低下させた貴様じゃが、ブタモグラのこの効果を知っておれば結果は違ったかもしれんな」
悍ましい光景。しかし、現実は、圧倒的な力と魔力を誇っていたアマテルの力が更に高まったことになった。
威勢のよかったアスナたちも、思わず腰を抜かしてしまった。それほどまでに格が違っていた。
「あ・・・ああ・・・あ」
「怖いか? ようやく気づいたか? 自分たちが誰に生意気な口を聞いていたかを」
殺される。いや、喰われる。
全身に感じるのは恐怖。震えと汗が止まらない。
抗う手段など何もない。自分は今すぐにでも殺されてしまうのかと、誰もが思った。
すると、その時だった。
「ぶみゅうううう!」
それは、小さな鳴き声。そして、小さな体だった。
「ん?」
本当に小さい。手の平に乗るサイズしかない。
「なんじゃ? 威勢が良い。ブタモグラの子供か? それにしては小さすぎる」
巨大なブタモグラからすればありえないほど小さなブタモグラ。
涙を流しながら、必死に鳴きながら、アマテルに噛み付いていたのだった。
「あいつ・・・・・・」
アマテルにビビって動けなかったシモンは、確かに見た。
何百倍もサイズの違う敵に向かって、勇敢に立ち向かう小さなブタモグラを。
しかし、何故このブタモグラは戦っているのか? それは、そのブタモグラが流している涙が物語っていた。
(まさか・・・今、アマテルに食べられたブタモグラは・・・あいつの・・・・)
実際、本当はどうしてだったのかを、シモンが知るはずがない。
どんな気持ちでブタモグラが戦っているのかを、分かるはずがない。
でも、あんな小さな体で立ち向かっている。小さな体でハンパじゃない気合。それだけで理由は十分じゃった。
「喰っても仕方ないの。潰れよ!」
アマテルが噛み付いてくるブタモグラを振り払って、巨大な足で踏みつぶそうとしている。
だが、させない。
シモンの体は自然に動いていて、気づいたらブタモグラを両手で抱えて救い出していた。
「やめろッ! お前・・・絶対に許さないぞ!」
ブタモグラを守るように抱きしめて、シモンはアマテルに啖呵を切る。
だが・・・
「身の程を知れ」
「―――――――――ッッッッッッ!!!!????」
ボディブローなどという生易しいものではない。
ドラゴンの尾を振り回されて、その衝撃がシモンの腹部に直撃。
何トンもある体重のドラゴンの一撃が数十キロの人間にモロに入る。
体など軽々と宙に浮き、その威力は月の天井を貫いて、シモンをそのまま月の地表へと吹っ飛ばした。
「シ・・・・・・・・・シモンさん!!!???」
「い、いやああああああああああああああああああああああ!?」
「ア、 アマテル・・・・・・・貴様ァァ!!」
悲鳴が響く。涙が溢れる。
誰がどう見ても絶体絶命の一撃。
月の地表へ、そして宇宙へとそのまま飛ばされたシモンはもう・・・・・
「許さんぞ・・・許さんぞ、アマテル!! シモンは、シモンには帰りを待つ者が居るというのに!」
「そのセリフ。貴様らが戦争で殺めた者たちにも言ってやることじゃな」
「ッ!!」
「さあ、お休みの時間じゃ。アリカ。そして小娘どもよ」
シモンが首を動かす。
目の前には、乗ってきたプチアークグレン。
「・・・・・・・俺・・・・こんなところまでふっとばされ・・・・ぐっ、が・・・ううぇ・・・」
シモンは正に文字通り、月の彼方まで吹っ飛ばされた。
もはや、全身に感覚がない。指一つ動かせる力もない。
内蔵の全てがズタズタにされ、大量の血を吐き出した。
(あっ・・・腹が・・・・無くなったような・・・ダメだ・・・分からない)
ドラゴンの尾を食らった腹が、ごっそりと無くなったような感覚。
地中から何度も体を打ち付けて、全身強打、骨もイカレて、背中は血で染まり、青あざが出来ている。
(なに・・・・・やってんだ俺?)
痛みはもはや感じない。感じるのは、己の無力さ。
己の気合も勇気も全て根こそぎ奪われてしまう絶対的な力の差。
今まで何度も強敵と戦って乗り越えてきたが、この一撃はまずかった。もう、何もできる気がしなかった。
(俺・・・・何しにここまで来たんだっけ・・・・ニアにプロポーズ・・・・・・・ニアをこれからもずっと守って・・・・・・)
ニアを幸せにする。ずっと守る。その意思を込めて、地球に帰ったらプロポーズする予定だった。
だが、今の自分は何も守れない。月の大地でうつ伏せになって、このまま野たれ死ぬしかないのか?
(ッ・・・・・アニキ・・・・・・・)
こんな時、あの男が居てくれたら。心の中で自然に頼ってしまった。
だが、すぐに振り払う。
(ッ、・・・・・・違う・・・それじゃダメなんだ・・・・・・・・・・もう、アニキに頼ってばかりじゃ・・・・)
ニアを守るのは誰か? カミナではない。ダイグレン学園の仲間たちでもない。
自分だ、自分が守らなくてはいけないんだ。
それなのに、このザマはなんだ?
「くっくそ・・・」
シモンは立ち上がれない。だが、体を捩りながら、這ってでも前へと進む。
「まだ・・・・・・みんながいるんだ・・・・・行かなきゃ・・・・」
そうだ、前へと進むしかない。
自分にはそれしか出来ないのだから・・・・
「ぶみゅうう!!」
その時、シモンの耳元で鳴き、頬を舐める温かい何かを感じた。
「お前・・・・」
「ぶみゅる!」
「そっか・・・無事だったんだな・・・」
それは、シモンが助けた小さなブタモグラ。
そのブタモグラはシモンの頬を何度も舐め、何度も鳴いた。
「ありがとう・・・・・・俺を助けようとしてくれたんだね・・・」
「ぶみゅる、ぶみゅ、ぶみゅううう!!」
言葉は何を言っているか分からない。だが、不思議と必死に鳴くそのブタモグラが、何と言っているのかがシモンには何故か理解できた。
―――――立て!
そう言っているように聞こえた。
「はは・・・そうだね・・・俺、まだ・・・行かなくちゃ・・・みんな、俺のために月まで来てくれたんだ・・・だから、俺が戦わないと!」
必死に立とうとする。だが、現実は残酷だった。
根性論の話ではなく、人間の体の作りから、既にシモンは起き上がることができなかった。
(くそ・・・首から下が、まったく動かない・・・)
全身が麻痺している。何をやろうとしても、まったく動かない。
「く・・・くそ・・・行かなきゃいけないのに」
噛み締める唇にも力が入らない。
このまま、自分は動けないのか? このまま終わってしまうのか?
終わりたくない。絶対にあきらめない。そう思った時だった、
「ぶうみゅ! ぶみゅ! ぶるむ!!」
小さなブタモグラはお尻をシモンに突きだして激しく揺れる。
一瞬、何をしているか分からなかった。
だが、
「ぶみゅ、ぶるむ、ぶみゅうる!!」
「えっ・・・お前・・・何言って・・・」
「ぶぶぶみゅ!!」
「ッ!?」
その時、シモンは全身に鳥肌が立った。
その小さなブタモグラの覚悟に。
―――自分を食べろ
シモンには、彼がそう叫んでいるのが聞こえた。
どうして? つい数分前に出会ったばかりである。何故そんなことができる?
だが、ブタモグラの覚悟は本物だった。
彼は、躊躇しているシモンより早く行動した。
自分で体を曲げて、自分の尻尾を勢い良く噛み千切った。
「ぶみゅるっ!」
自分の体の一部を千切ったブタモグラは、痛みで涙目である。
だが、彼は涙目になりながらも、千切った自分の尻尾を口に咥え、それをシモンの口に放り投げた。
口に放り込まれたのは、指の大きさ程度の肉。
だが・・・
「・・・・・・う、うまい!」
おいしいが、それだけではない。
僅かな肉。しかし、その僅かが信じられないぐらいに腹が膨れ、体の芯から熱くなり、力が漲ってきた。
「ありがとう・・・・」
「ぶるみゅ!」
「お前の覚悟・・・魂・・・想い・・・気合・・・全部受け取った!」
「ぶうみゅ!」
気づけば、傷も治り、シモンは立ち上がっていた。
何事もなかったかのように、それどころか以前よりも遥かに力を漲らせて。自然と顔が笑みを浮かべていた。
「俺は、シモン。お前は?」
「ぶうむ!」
自分を救ってくれたブタモグラに話しかけるシモン。それに答えるブタモグラ。
すると、不思議なことに、シモンはそのブタモグラが何といっているのか、理解できた。
「そうか、お前は・・・ブータっていうのか」
「ぶむ!」
「ブータ。助けてくれてありがとう」
「ぶる? ぶぶぶぶむ!!」
「先に助けたのは俺? 細かいとは気にするな? ・・・はは、お前・・・すごいやつだな! よし、決めた!」
「ぶーむ?」
「今から・・・お前は・・・・・・・・俺の相棒だ!」
「ぶるむ!」
まかせろ! ブータという名のブタモグラは、そう応えた。彼もまた、シモンの言葉を理解しているようだった。
家族。兄弟。仲間。親友。妻。色々な者たちがシモンの周りに集まっている中で、シモンに今日、相棒ができた。
ブータは、元気よく鳴いて、シモンの肩に飛び乗った。
初めて乗ったが、まるでそこが自分の定位置。ずっと、自分たちは何年もこうやっていたかのような、デジャブを二人は感じていた。
「それじゃあ、ブータ。あのアマテルを・・・あいつを・・・銀河の果てまでぶっとばすぞ!!」
「ぶううううううううううううううむ!!」
月の上で結成された、最強コンビ。
その叫びが銀河に響く。
復活したシモンの体から、螺旋の光が渦巻いて大きく輝き出す。
その力強さに呼応するかのように、彼らの背後で、プチアークグレンが発光した。