【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
そこに、素顔も見せぬ二人の人物が居た。
一人は全身を黒いタイツのようなもので覆い、もう一人は顔を覆い隠す大きなローブをその身に纏っていた。
二人の表情を伺うことはできないが、黒タイツの者は明らかに狼狽えていた。
一体何事か? 見かねたローブの男が声を掛ける。
「何があった?」
黒タイツが答える。
「アレが無くなっている」
「アレ?」
ローブの人物が首を傾げた。
「完璧に作られたものだった。平行世界で得た情報と技術力を元に完成させた、完全なる『グレンラガン』がなくなっている」
「グレンラガン? ああ、お前が昔作っていたオモチャか」
「オモチャではない。あれこそ魔法に因われた世界を救う人類の希望だ。だが・・・私のこの研究所に保管していたグレンラガンが、天井を突き破り、姿を消した。まるで、何かに呼び出されたかのように」
黒タイツの男は上を見上げる。
人工的に作られた鉄板で囲われた、だだっ広い四角い部屋の天井には、青空が差し込むほど大きな穴が空いていた。
南の島の楽園のような幻想空間が、ただの瓦礫と化し、岩だらけの穴蔵の空間となった。
「人の抗う姿は時には美しくもあり、醜くもある。度が過ぎれば過ぎるほど、醜くなるぞ?」
「うっさいわね! いい? 私たちはこんな所でやられてなんかいられないのよ! そして、シモンさんの分も絶対にあんたをぶっ飛ばしてやるんだから!」
仮初の空は砕け、仮初の海は消滅し、確かな愛を育んだナギとアリカの家は破壊された。
その全てを消し去ったのは、アマテル。決して許すことはできない。
だが、その怒りが届くことはなかった。
「おりゃああああああ!」
「だから無意味じゃ、アスナよ。覚醒しとらんお前など、ただの小娘と変わらん」
「か・・・カタッ!?」
重量のある大剣を力任せに振るうが、宝石の鱗には傷一つつかない。
それどころか、その硬度に負けて、アスナの腕が強く痺れる。
「攻撃も通じず、ただ逃げ回って生き延びるのに必死。できることといえば、時間稼ぎぐらいか?」
「黙れ! 神鳴流・斬岩剣!・・・・ッ!?」
「岩は斬れても、宝石でできたエメラルドドラゴンのウロコは傷一つつけられぬか。半人前め!」
ため息混じりのアマテルの言葉には、面倒くささが感じられた。
首を少し降るだけで、飛びかかった刹那とアスナが飛ばされ、月の天井に体を強く打ち付ける。
「アスナ!? せっちゃん!?」
「だ、大丈夫です、お嬢様・・・つっ・・・」
「なんなのよ、全然攻撃効かないじゃないのよ! あんなの、どうやって倒せってのよ!?」
握った剣を見る。エメラルドドラゴンの硬度に負けて、刃が傷んでいる。
これまで二人共何度も魔法の関わる事件で怪物と戦い、その度にその剣で相手を切り伏せてきたが、今回ばかりは相手が悪い。
そしてそれは、魔法世界の過酷な環境を超えてきた焔たちも例外ではなかった。
「やばいよ・・・どうしよう、焔~」
「もっと酸素があれば、私の炎であんなデカブツ・・・」
「あれだけ修行した私たちの力が一切通用しません」
「打つ手が・・・アーティファクトまで通用しないとなると・・・」
「力づくでも敵わない」
力及ばずとも抗う少女たちの抵抗は続いていたが、魔力も体力も尽きかけている。
力も魔力も質量も経験すら天と地ほど違う者が相手。勝てる要素は何一つない。
あと一押しで決まる。そんな様子だ。
「この程度か。螺旋の男も含めた、新時代の風はここまで平和ボケした微風だとは思わなかった。我が父や堀田博士は、お前たちに何を見たのか・・・アリカよ、お前もそう思わぬか?」
「黙れ・・・私は・・・私たちは帰るのだ・・・帰りを待つものがいるのだから」
魔法世界王家の力を秘めたアリカですら、巨大なエメラルドドラゴンを崩すことは適わなかった。
憤怒に駆られていた時の元気がない。純白のドレスが月の砂で汚れ、美しかった肌にも打撲や切り傷が刻まれている。
その手には、粉々に刀身が砕かれた剣の柄だけが握られていた。
「あかん、アリカはんが!?」
「ッ、このか、お願い、急いで私を回復させて!」
「わかっとる。せやけど、なんでなん? うちの回復魔法は一瞬で回復するはずなんやけど、効果が薄いえ!」
足腰立てぬほどアザだらけのアスナを急いで回復をしようとするが、それすらもできない。
「無駄じゃ。我らは魔の力を打ち消す能力者。その力を攻撃に転用すれば、回復魔法の効力すら打ち消すことも可能」
唯一回復薬として後方に待機していた、このかの役目すらこの場では意味を成さない。
アスナも、刹那も、焔も環も暦も、接近戦を得意とする少女たちもまるで歯が立たない。
「人間ども。愚かなる種よ。恐怖せよ。この絶対的な力の前に、ひれ伏すがよい! そして、我らが指し示す運命に身を委ねるが良い。それが唯一の幸福に繋がる」
そして、感じる恐怖。
再び竜の咆哮が月を揺らす。地下の天井が今にでも崩れ落ちそうだ。
「・・・やばいわよ・・・マジで・・・どうすればいいのよ、あんな奴・・・」
あのアスナですら、頭で理解できてしまうほどの状況。
勝てない。元々そんな次元の相手ではなかったのだ。
伝説を前に少女たちは、今にも崩れ落ちそうだった。
「黙れ、私はまだ負けてはいない! この程度の傷・・・我が息子の心の傷に比べれば!」
だが、その度にアリカが進み出る。
「あ・・・アリカさん・・・」
「アリカ姫・・・」
帰らなければならない理由がある。何度も自分自身に、そして少女たちに言い聞かせる。
その気持ちを表すかのように、刃を無くした柄から、光り輝く剣が伸びた。
「闘気剣か・・・ブランクがあるくせに、ようやる」
「いかにエメラルドが強固とはいえ、それ以上の硬度と鋭さと速度で振り抜けば砕けるはず!」
「生きようとする意志か。それを尊いとも呼ぶ場合もあれば、見苦しいと思うときもある。お前は・・・後者じゃな。お前はあの時、死ぬはずじゃったのだから」
アリカの闘気を凝縮させたひと振りが、アマテルドラゴンの首に降り注ぐ。
膨大なエネルギーがスパークし、その場にいるだけで肌が痛くなるほどの振動が伝わってくる。
だが、
「なっ!?」
その剣はアマテルの首に突き立てたものの、振り抜くことはできなかった。
「魔法が通じぬから気の力を使う。着眼点は悪くはないが、貴様の細腕ではこれが限界」
「お、おのれえ!!」
「ふきとぶがよい!」
アマテルが大きな口を開ける。エネルギーが凝縮された咆哮が、容赦なくアリカに降り注がれる。
アリカが身に纏う王家のドレス。魔力の法衣で編まれた特殊なドレスは、本来半端な攻撃など全て弾き返す力が備わっていた。
しかしそれが何の意味もなさぬほどの力で彼女の衣服は全て燃え尽きる。
衣服も剥ぎ取られて転げるアリカ。アスナたちも力の差に大口を叩くことももはやできない。
強すぎる。誰もがそう思うしかなかった。
そして、完全に決着が着いたと思われたとき、アマテルは呆れたように告げる。
「惨めなものだな、アリカよ。何千年と続いた魔法世界の歴史を変えた我が血筋。それが、ナギ・スプリングイールドという剣と翼を失ったらこのザマじゃ」
「・・・・・・・・アマテル・・・」
「愛に溺れて、大義を見失い、結局貴様は全てを手にしたようで、全てを失った。その裸の姿こそ今の貴様を表すに相応しい」
「だ、黙れ・・・」
「貴様らなら世界の運命を救えるかもしれぬと思ったが、これまでじゃったな。どうやら・・・お前が愛に目覚めたのは間違いじゃった。愛に目覚めたものは、それを失えば何の役にも立たん」
「ッ!?」
誰もが思った。ふざけるなと。
「お前などに分かるものか! 何千年もの時を刻もうと、死ぬほど誰かを愛したことのない貴様に分かるものか! 自分の命よりも大切な者を持ったことのない貴様に、何が分かる! 簡単に語るな!」
「・・・・・・だからこそ、人は争い、憎しみ合う。お前自身も結局その連鎖に巻き込まれた」
「それでも愛は滅びぬ! 愛は世界すら救う!」
お前に何故そこまで言う権利がある。アリカが、ナギが、そして二人の愛によって生まれたネギすらも否定する言葉。
それだけは絶対に許せない。どれほどの想いで二人が過ごしてきたのか。どれほどの苦難を乗り越えてきたのか。それは決して日記だけでは書ききれないほど深く尊いもの。
「そうよ、よく言ったわよ、アリカさん!」
「絶対に負けられません。ネギ先生たちのため、そして自分のために!」
「恋の力は無限大や!」
「たとえ、完全なる世界だろうと紅き翼であろうと、愛の下では平等!」
「墓所の主、あなたやライフメーカーの思想は分かります。ですが、この想いは否定させません!」
折れかかった心に再び火がつき、少女たちが立ち上がろうとする。
すると、その時だった。
「そうだ! 愛はな、宇宙だって救うんだよ!」
真上だった。しかし、見上げてみてもそこには天井しかない。
だが、それでも幻聴ではなく確かに聞こえた。
あの男の声だ。
「シ・・・・シモン・・・・」
「シモンさんッ!?」
「この声!」
アリカは声の主を探した。すると、次の瞬間、その場が大きく揺れた。
最初にドラゴンが地下に現れた時と同じように、巨大な地響きとともに上から何かが落ちてくる音。・・・いや・・・上から下に何かが掘り進んでいる音だ。
「ッ、螺旋の男め、生きていたか!?」
天井を貫通するほど強烈な一撃でふっとばされたシモンが生きていたとは思わなかった。
だが、生きていたとしても、この巨大な揺れは何だ? そして、まるでスピーカーのような音声機器を通したこの声は何だ?
一瞬頭の中で駆け巡った疑問。だが、次の瞬間、その全てが頭からふっとぶぐらいの衝撃が、この場にいた者たちに駆け巡った。
「な・・・・なんじゃとっ!?」
「「「「・・・・・ちょっ!!!???」」」」
シモンかと思えば、そこに現れたのは巨大なエメラルドドラゴンと同じぐらいの大きさを誇る巨大ロボット。
学園祭で大暴れしていた巨大ロボットと顔つきが少し似ているが、その時よりも猛々しく、威圧的な面構えをしていた。
誰もがそのとてつもないスケールに唖然としていた。「何だお前は!?」と。
その時、巨大ロボットの頭部が開き、その下には学園祭で大暴れしたグレンラガン。そしてそのグレンラガンの頭部が開き、中のコクピットからシモンが現れた。
その肩には、小さいながらも堂々とした態度のブタモグラが乗っていた。
「シモンさん! 生きてた! ・・・でも・・・」
アスナたちもまずはシモンの生存に安堵。だが、すぐにそのシモンが乗って現れた巨大ロボットに目が行く。
「なんなのそれえええええええええええええええええ!?」
「す、すご!? すごすぎるわよ、シモンさん!? っていうか、なんなのよそれは!?」
「シモン!!」
「一体何がどうなっているんですか!?」
「もうウチもわけわからんけど、とにかくシモンさんすごすぎや!」
少女たちの絶望の表情が一瞬で歓喜に変わる。
当たり前だ、学園祭で暴れたグレンラガン。そのグレンラガンよりも大きく、まるでシモンが操縦するグレンラガンが操縦しているように見える巨大ロボットだ。
どうして? それはいったい何だ? 大丈夫なのか? 色々な疑問が頭の中で駆け巡ったが、結局彼女たちが思ったことは皆同じ。
――――相変わらずだな・・・・
やはり、シモンはこういう奴なんだ。絶対に何かをやり、何かをやらかす男で、何かをやり通す。
すると、シモンが指を天に向かって突き刺す。その指先が指し示すのは、今しがた自分が風穴を開けた天井から見える広大な宇宙空間。
「友の血肉をこの身に宿し、命の輝き無限に繋ぐ!」
シモンの声が響き渡る。
「滾る心を螺旋に変えて、巨大な敵を天ごと貫く!」
「ぶうみゅ!」
シモンと同じように、ブタモグラのブータも叫ぶ。そして、叫ぶ。あの言葉を。
「友情合体! アークグレンラガアアアアアアアアアアアアンッッ!!!! 俺たちを誰だと思ってやがる!!」
シモンの叫びが、広大な銀河に響き渡る。
宇宙の片隅の小さな命が、惑星誕生級のエネルギーを生み出した瞬間だった。
螺旋波動が巻き起こり、吹き荒れる力強い風がアスナたちには心の底から頼もしく感じた。
心が大きく震え、興奮が抑えられなかった。
「・・・その回復力・・・・貴様・・・ブタモグラの肉を喰らったな!?」
「喰ったんじゃない。俺たちは、合体したんだよ!」
「屁理屈を・・・」
アマテルは、気圧されながらもまるでこの状況が納得いったかのように呟いた。
「螺旋の進化。それだけでなく、ブタモグラの力も・・・・・・鬼に金棒・・・螺旋族にドリル・・・そのまんまじゃな」
結局こうなってしまったかと、アマテルは呆れた。螺旋の力を把握していたが、結局自分の想像を大きく上回ってしまった。
「覚悟しろよ、アマテル。十倍返しだ!!」
闘志をむき出しに、アークグレンは喧嘩前の不良のように指の関節を鳴らし、簡単なストレッチ。
力いっぱい殴る気満々である。
「くく・・・ふははははははは、愛は宇宙を救うか。何も失ったことのないおめでたい貴様らしい言葉じゃな。もし仮に最愛の者を失っても、お前は同じことを言えるかな?」
「なに?」
「つまり、逆も然り。愛が宇宙を救うのなら、愛が宇宙を滅ぼすこともある。違うか? ある意味、人間は愛ゆえに過ちを繰り返し続けた」
アマテルは、まるで負け惜しみのように言葉を吐き捨てる。
だが、シモンもこの程度では揺るがない。
「何を言っているのか、良く分からないよ。でも、これだけは言える。この先何があっても、俺のニアへの想いは変わらない。たとえ、この宇宙が滅んでも」
もし、本当にその時を迎えたら、人間はどうなるか分からない。
しかし、シモンの言葉は誰にもハッタリに聞こえなかった。シモンなら、本当に何があってもニアを愛し続ける。そう思えた。
「もう、いい加減にしろよ、アマテル。俺がナギに変わって、お前を宇宙の果てまでぶん殴ってやる! 歯を食いしばれ!!」
アークグレンラガンの瞳が光る。螺旋の光が漏れ出して、地響きが大きくなる。
「シモンさん!?」
「みんな、ここは俺とブータに任せてくれ!」
「ちょっ、っていうか、ブータって誰よ!?」
シモン一人で戦わせていいのか? ・・・と普段なら思うのだが、流石にこの超ド級の組み合わせを見てしまえば、気を遣う気も失せた。
月にヒビが入り、その存在感は、月にクレーターの一つや二つぐらい簡単に増やしてしまいそうなほど、圧倒的だ。
ハッキリ言って、割り込める気がしない。
「ッ、・・・分かった・・・、このままじゃ、私たちもまずいわ! 脱出するわよ! だから、シモンさん、絶対そいつをぶっとばしてよね!」
「お嬢様、捕まってください! この場は我々が居ても足でまといです! 月面へ避難しましょう!」
「シモン、頼んだぞ!」
「いけー、シモン! あんなババアぶっとばしちゃえ!」
「アリカ姫は我々に任せてください!」
引き受けた。アークグレンラガンが巨大な親指を突き上げる。
一歩一歩しっかりと地面を踏み、アマテルへ近づく。
「分かったようなことを! 二十年も生きとらん小僧が私に説教を!」
「歳なんて関係ねえ! 関係あるのは、掘って進んだ自分の道のりだけだ!」
アマテルが前へ出る。互いに超ド級。ドラゴンが両手を広げて巨大な鉤爪とともに飛びかかる。アークグレンラガンも真正面から両手で握り合う。
互いに何千トンの握力が鈍い音を響かせながら両者のボディを軋ませる。だが、勝ったのはシモン。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
「なんじゃと!?」
アークグレンラガンは両手でドラゴンを掴んだままその場でグルグルと回転する。風車のように回されたアマテルは、そのまま加速し、それが最大になったとき、シモンに天井に向かって投げ飛ばされる。
月が真っ二つに割れてしまわないかと思われる威力で、ドラゴンのボディと同じ大きさの穴が天井に開く。だが、それでも威力の落ちないドラゴンはそのまま月面を突き抜け、空へと投げ飛ばされる。
「まだまだァ!!」
空いた穴から追撃するかのように、アークグレンラガンは飛び立つ。
するとアマテルは宙に投げ出されたものの自力で止まり、そのまま反転して下から追撃してくるアークグレンラガンに向けて、大きな口を開ける。
「超竜闘気砲!!!!」
「時空烈断! バーストスピニングパアアアアアアアアアアンチィ!!!!」
だが、最強のドラゴンの咆哮は、何の工夫もないただの拳で殴り飛ばされる。
アークグレンラガンのパンチで軌道を替えられたエネルギーは、宇宙の果てで大爆発を起す。
「ふは・・・・・ふははは・・・・なんぞこれ?」
もう、笑うしかなかった。その宇宙規模のスケールに、アマテルは恐れるどころか、通り越して笑ってしまった。
「それほどの力をもって・・・あくまで私に歯向かうつもりか?」
「なら、お前はどうしても消滅させるつもりか?」
爆音がやみ、宇宙が本来の静寂に包まれた時、シモンの問いにアマテルは頷いた。
「そうだな。そうなれば、そこの娘たちも生きられないであろうがな・・・。お前は気楽なものじゃな。何も背負わずに、怠惰な日々を過ごす愚か者は。その力は世界を変えられるものを秘めているというのに」
「確かに俺は毎日が楽しいよ。でも、気楽じゃない。俺も、ニアも、アニキもフェイトもネギ先生もアリカもテオも焔たちも! みんな力いっぱい生きてんだよ!!」
「だから、滅ぼすなと?」
分かっている。こんな会話は全てが無意味だ。何故なら、お互いの意見が決して平行線から交わることがないことぐらい、既に二人共分かっている。
シモンはアマテルの答えに従う生き方はできないし、アマテルも今更話し合いで考えが変わるほど軽い人生を歩んではいない。
これは、互の覚悟の確認だ。
「例え真実や世界が複雑でも、俺たちダイグレン学園の生き方はいつも一つ! どんな道理があっても、ダメなもんはダメだ!! そんな道理は宇宙の果てまで蹴り飛ばす!」
お互いの意見は、力で押し通して決める。
「やれやれ、議論するのもアホらしい。・・・・・二千年ぐらい早くにお前とは会いたかったな」
「変われるさ。フェイトたちは変わったんだから」
「・・・・・・そうか・・・・・まあ、今更じゃな」
次の瞬間、ドラゴンの全身のウロコのエメラルドが大発光する。魔力、気、生命力、全てのエネルギーが凝縮されて爆ぜる。
対するアークグレンラガンもその右腕が変化し、巨大なドリルへと変形する。
月面での死闘も決着が近い。最後はお互い一切小細工のない力と力のぶつかり合い。
「アークギガドリルブレイク!」
「ふきとぶがよい!」
互の会話を名残惜しそうにしながらも、二人は己の最大の力を込めて相手にぶつけるために飛んだ。