【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
フェイトは自分で自分のことを、感情に乏しく、多くのことに無関心で無表情なつまらぬ存在だと思っていた。
そんな時期が自分にもあった。
だが、おかしい。ここ最近、クールが特徴だと思っていたはずの自分が混乱することばかりが起こっている。
きっかけは、ダイグレン学園と初めて出会った闇鍋パーティーからだ。
しかしあれからそれほど日にちも経っていないのに、この状況は何だ?
「どうした? テ・・・いや、フェイトよ」
「い、いえ・・・」
何年か前までは配下として常にこの人物の傍に居た。
今更恐れること等、何も無いと思っていたが、あまりにも突然すぎる状況でパニック状態だ。
フェイトは落ち着こうとコーヒーを飲もうとするが、カップを持つ手が震えてうまく飲めない。
そして、そんな彼の気持ちを最も察しているのが、デュナミスだった。
「驚きました。・・・一体いつの間に目覚められたのですか?」
デュナミスは演劇で使う仮面を外さない。それは、今の自分の表情を悟られたくないからだ。
仮面の下では恐らくフェイトと同じような顔をしている。
彼はこの学園に来て、多くの人間と出会い、人の温かさや心を知って変わった。
だからこそ、今の変わった自分の前に対して、かつての主は何と言うのか。どう思われるのか。ただ恐ろしく、言葉がうまく出てこなかった。
「・・・・・・・・・キョロキョロ・・・・」
セクストゥムだけはあまり恐れていない。
それは、彼女は目覚めてすぐにシモンをマスターとして認識していたために、目の前の存在を主として認識したことはなかったからだ。
だが、それでも自分の制作者であることは認識している。
彼女は特に何かを考えているわけではないが、ただ状況がただ事では無いことは察しており、不安からか自然と自分のマスターであるシモンを探していた。
「私のおごりだ。食すがよい。ジュルルルルルル。うむ、うまい。やはり私は、あんかけスパゲティよりも、きしめん派だな」
「ほう。それは私に宣戦布告をしているということか?」
「いいや、やはりこんなことでも人は分かりあえぬのだと思ったところだ。人類の争いの歴史。どれも最初は小さいことらやがて大きく発展し、そして最後には戦争に繋がる。こうしてあんかけスパゲティときしめんで言い争う我らの争いも、どこかで折り合いをつけねば戦争に繋がることも・・・」
OK、まずは何からツッコミを入れよう。フェイトとデュナミスは頭の中を整理する。
ここは大騒ぎする祭りの中で、飲食スペースとして設置された白いプラスチックで出来た四人掛けの丸テーブルと椅子を二組くっつけた大人数用の席。夏間近で日差しが強いため、パラソルまで設置されている。
近くでは昼間からビールを飲んでいる中年や教師陣。ヘラスもんじゃを始めとする屋台メシをがっつく子供たち。その中で、目立つぐらい怪しさ全開の八人組のテーブルがある。それが自分たちだ。
「あの・・・えっと、僕はどちらもおいしいと思います! どちらもそれぞれ個性があり、良い面も悪い面もあると思いますが、それはどっちの方がおいしいとかまずいとかを決めるものではないと思います!」
「ふむ・・・・人類がみなそなたのように物分かりがよければよいが・・・しかし、誰もが思うはずだ。人は自分の信じたものこそ最上であり、正義であり、そして真実であると」
「そんなことないです! ナンバーワンじゃなくても、オンリーワンであればそれがその人の個性です! その個性に順位を無理やりつけなくてもいいじゃないですか!」
OK。いや、NOだよ、ネギ君。何で君までここに座ってるんだい?
君は今一番ここに居たらまずい人間だよ。ってか、何普通にきしめんを食べてるんだい?
と、フェイトとデュナミスはまったく同じことを考えていた。
「確かにどっちもうめえ! だが、一番を決めねえなんてことは、男としてありえねえ! 男ってもんは、自分の好きなもんこそ最強だと誇ってナンボよ! それがナンバーワンのオンリーワンって奴だ!」
「ほう、お前は本能に忠実な生き方をしているようだな」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる! だから、お前も自信を持てよな! らいふ・・・め・・・あ~、よし、ライ公! アンスパ! お前らは自分の好きなもんにとことん誇りを持って相手を負かしてやれ!」
・・・・・・・・ライ公?
「カミナアアアアアアアアアアアアア!? きききききき、君は!?」
「いかん! 頭を下げろ、カミナ! おま、おまえはなんちゅーこと・・・いやいや、何と無礼なことを! 頭を下げろ! も、申し訳ありません、マスター! この男はとにかくバカでアホなのです。しかし、悪気は無いのです。こやつの担任として・・・じゃなかった、とりあえず私が処罰を受けましょう。とにかく寛大な心でこの男を許していただきたい!」
「おう!? くそ、いてーな、何すんだよ、フェイ公、デュナ先公!?」
「何してんのは貴様の方だ!」
フェイトとデュナミスが超速でカミナの背後に回って首根っこを捕まえて、何度も頭を机の上に叩きつけて、頭を下げさせる。
デュナミスもフェイトもその動きに合わせるように、土下座状態。
すると彼の反応は?
「くくくくく」
不敵に笑った。それは、何の笑いだ? 怒りか? いや・・・
「フハハハハハハハハハハハハ!!」
ただの大爆笑だった。
意外な反応にポカンとするフェイトとデュナミス。
「なるほど。噂には聞いていたが、お前がこの時代の中心か。シモンも、ネギ・スプリングフィールドも、そして我が子たちも、お前に関わり影響を受けて変わっていく」
造物主は割りばしを置いて、手を差し出す。何の変哲もない人間の手だ。
「ライ公か。長生きしたが、そう呼ばれたのは初めてだ」
「おっ・・・」
「我が子らが世話になっている」
怒っていないどころか機嫌よさそうに笑い、カミナと握手する造物主。ただただ呆然とするしかないフェイト。
これはいったいどういうことか?
「あの! えっと、話を整理しますと、アンスパさんがシモンさんのお父さんで、ライさんがフェイトやセクストゥムさんやデュナミス先生のお父さんなんですか? っていうより、フェイトとデュナミス先生も兄弟なの?」
「あっ、いや、僕たちはそういうわけじゃないんだけど、少し特殊な関係性で・・・・・・いや、ネギくん、君がこの方をライさんと呼ぶのは色々とまずいことにだね・・・」
「そなたにも我が子らが世話になっている。今後も面倒をかけることになるかもしれないが」
「あっ、いえいえ、フェイトはとてもしっかりしていて優秀な生徒で、セクストゥムさんは少し表情が固いですけどシモンさんが絡むととても積極的な生徒ですし、デュナミス先生は僕が尊敬する、この学園でも既に代表的な先生です。お世話になっているのはむしろ僕のほうです」
そして、ネギもまた造物主と固く握手をする。
もう、その光景にフェイトとデュナミスは二人の苦悩が大爆発した。
(だから、握手をするのはやめたまえ!? 君は、誰と握手しているんだい! もし、この光景を魔法協会や魔法世界の連中に見られたら、全世界が絶望するぐらい最悪のニュースになるんだよ!? かつて世界滅亡を企んだ巨大テロ組織と世界を救った英雄の息子が握手なんて、なんて悪い夢だ!?)
(その御方はそなたの父と母をそなたから引き離した張本人だぞ!? しかも、今のマスターの肉体の器は・・・・・・まずい・・・こんな所をタカミチが目撃したら自殺するぞ!?)
頭を抱えて身悶える二人にアンスパは「お気の毒に」と、少し冷めた様子で、きしめんのスープをすすっていた。
そして、確かに思った通り、こんな所をタカミチなどが目撃したら発狂するレベルかも・・・
「なっ・・・・・・」
「「・・・・・あっ・・・」」
そして、それが前振りであり、こんな場面をタカミチが目撃したらと思えば、居るものなのだ。
祭りに客として来場し、いったん休憩とでも考えたのだろう。
テーブルに灰皿を置いて一服しようとしたタカミチが、フェイトたちの斜め後ろの席に座ろうとしていた。
タカミチは火をつけようとした煙草をそのまま落とし、フェイトとデュナミスとまったく同じような表情で震え、そして・・・・
「な・・・・・ななな・・・・ななななな・・・・・・・・・」
「タ、タカミチよ、これは我々もどうしてこうなったかは分からぬのだが、いったん落ち着け!」
「僕たちは何も君を騙していたわけじゃ・・・いや、頼む。泣かないでくれ!?」
タカミチ。大人の物腰のヒゲダンディーハードボイルドな男は、情けない表情で瞳に涙、唇を悔しさで血が出るぐらい噛みしめ、拳をギリギリと握り締めながら、その鉄拳でテーブルを叩き割った。
「な、なんということだ!? こ、こんな、こんなことが・・・僕が、僕が居ながらなんてことを!?」
「いや、タカミチ・・・」
「申し訳ありません、師匠! ナギ! アリカ姫! 僕の・・・僕の所為だ! ネギ君の傍に居ながら、完全なる世界を監視していながら、こんなことが・・・・ッ!? 造物主の復活を許しただけでなく、ネギ君を敵に懐柔されていることを、今の今まで気付かなかったなんて!?」
「待て、確かにそう勘違いされても仕方ないかもしれぬが、我々はネギ教員を懐柔などしておらん!」
「こうなれば、例え刺し違えてでもこの場で! たとえ、この命を落とすことになろうとも、僕は、僕は・・・!」
深い絶望と己の無力さに嘆くタカミチ。
必死で落ち着かせようとフェイトとデュナミスが駆け寄るが、内心少しだけホッとしていた。
ようやくこの異常な光景に正常な反応をしてくれる者があらわれたと。
そして、そんな正常な反応をする者たちが、タカミチに続き、示し合わせたかのように続々と現れるのだった。
「おい、随分とうるさいな。一体何が・・・・・・」
一人の幼女が、手にはヘラスもんじゃと、あやかの古着が大量に入った袋を抱えて、いかにも祭りを満喫しているようだったが、騒がしいこの集団に怪訝な顔で文句を言おうとしたが、彼女もまた、タカミチやフェイトたちと同じ表情で固まった。
「おーい、セクよ! いつまでサボっておるのじゃ! 昼時になりより一層忙しく・・・・・」
ソースの匂いが全身に染み、キラキラ光る汗を流しながら大声でセクストゥムを呼ぶ女性。
「フェイトさん、いい加減逃げるのはヤメるネ! さあ、急いでかつて魔法世界の王女が作曲したが未発表のまま歴史の中で埋もれた、『恋の宇宙開発・ラブマテリアル』を歌う・・・・はっ?」
どこかのテレビ局のプロデューサーのような、サングラスと帽子とパーカーを肩で羽織った女生徒。
「ダークヒーローマスクマンの前座にサーカスの公演をやります。是非見に来て・・・・!!??」
褐色肌で、全身をサーカスのピエロの仮装をしてチラシをバラまく少女。
「久しいな、エヴァンジェリン。我が娘よ」
「なあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
「我が創造した亜人種国の皇族の末裔もまた、懐かしいな」
「ほ・・・・・ほわああああああああああああああああああああああああ!?」
「恋の宇宙開発・ラブマテリアルか・・・・・・確か、あの女が作った曲だったな」
「にょわああああああああああああああああああああああああ!?」
「魔界の姫君・・・丁度いい。まさかこんな形で、三界の主要人物全てが揃うとはな・・・偶然か必然か・・・」
「!!!!????」
今ここに、表も裏の世界も、新世界も旧世界も過去も未来も全てを巻き込んだ、超VIP首脳会談が開かれることになるのだった。