一方、晴風は信濃と別れた後、武蔵捜索の為航行をしていた。しかし、情報と言う情報が無かった為、難航していた。
「マークされているのが武蔵が目撃された場所になります」
「どこに向かうつもりなのかな?」
艦橋には海図を広げ、艦長の岬明乃、副長の宗谷ましろ、記録員の納沙幸子、砲術長の西崎芽衣が海図を見て、武蔵の今後の行動を予測している最中であった。
「私の予測ですが、本土に近づきたいのかと」
「学校からは武蔵を追いかけろと言われたんだよね?」
幸子の予測を述べた後、芽衣が学校からの指示を繰り返した。
「現在、この海域で連絡を取れる艦艇が我々しかいないと言う事らしい」
「はぁ~あ、美波さんが言ってた通り、みんな、あのネズミっぽい奴にやられてしまったのかな?」
ましろが現状での事を話すと芽衣が頭に手を置きながら、衛生長である鏑木美波のレポート内容を思い出しながら言う。
「とりあえずは、この海域で捜索する他無いですね」
「………そうだね」
幸子の言葉に明乃は答えるのであった。
一方、シャワールームでは温水が出なくなってしまう事件が起き、貯水タンクを調べる事になった。
「かんちょー、異常見当たりません。タンクの修理はやったんだけどな……」
「まだ、どこからか漏れてた様っす」
応急長の和住媛萌と応急員の青木百々が懐中電灯片手に、貯水タンクのある区域を調べた。しかし、どこにも異常が見られず、もしかしたらと言う事で百々が、考えられることを述べた。
「補給を要請するほか無いですね艦tyッ⁉」
ましろは艦長である明乃に進言をしようとしたが、最後まで言わなかった。
「そ、そうだね」
明乃は明乃で、ソワソワした様子でましろの言葉に対応する。
「ハァ~……補給艦と合流できるのは五日後です」
幸子が補給艦、間宮と合流できる日にちを伝える。しかし、明乃とましろは何処か余所余所しい風陰気であった。
「そ、それまで節水だな……」
ましろはそう言うと俯く。
「ここちゃん。天気図、見てくれる?」
明乃は幸子に指示を出した。
晴風艦内は節水の為のポスター作製をしていた。しかし、水が無い為、飲み水の生成も出来ない状況で、食事も水をあまり使わないメニューに変更されていたのだった。
お風呂もお湯では無く塩水で洗う為によって、髪の毛が爆発していた。しかし、なぜか万里小路楓は髪がさらさらになっていた。
洗濯も塩水で洗う事で、潮の香りのする下着が出来上がりのであった。
艦橋ではましろがラムネを飲み、ゲップをしてしまい顔を赤くした。
「炭酸ダメなの? しろ……副長」
明乃はましろの意外な所を見つけ声を掛けようとしたが、前回の武蔵にスキッパーで一人で出た事により、ましろとの関係が悪くなってしまい、愛称では無く役職名で呼んだ。
艦橋内では明乃のいつもの調子では無い為、空気が少しおかしな状態であった。
「あのう、霧の中に入ります。もう少しで……」
航海長である知床鈴の言葉通り、晴風の遠方には霧の掛かった海域があった。
「あ、うん。サトちゃん探照灯をお願い。ココちゃん、汽笛鳴らして」
明乃の指示で晴風より探照灯と汽笛が鳴らされる。
その時、恵みの雨が降り注いだ。
「雨だ―‼」
艦内の誰かが叫ぶと、一斉に晴風のクルーは水着で外に出た。久々の雨に全員が喜んだ。
そして、全員が水を貯水する為にバケツを持って水を溜めていた。
しかし、恵みの雨はそう長くは続かなかった。
霧がやむ頃には、雨の降りが強くなり雷も鳴り響くようになった。そして、波も強くなり晴風はその船体を並の影響で強く揺れて行く。
「すごい……あれ? 岬さん、どうかしたの?」
鈴は強く揺れる船にそう呟くが、前を立っていた明乃が体を震わしている事に疑問を持ち、尋ねた。
「う、うん…ちょっとうわぁぁぁぁぁぁぁ⁉」
雷が一つ、鳴ると明乃は叫び体を小さくして耳を塞ぐ。
「ゴメン……私、当直交代してもらう‼」
明乃はそう言うと艦橋を飛び出すのであった。
副長室で幸子とミーナが極道ドラマを見ていた。
「眉毛抜く事も」
「同じ事げんね」
ドラマの一節をミーナと幸子が言う。二人は極道ドラマが好きなのだった。
「ここ良いよな‼」
「激しく同意であります‼」
ミーナの言葉に幸子も同意をする。
「どうして私の部屋で見てるんだ?」
「あっ、私の部屋にテレビ無いんで」
「副長も見るか?」
ましろは副長室で見ている二人に呆れながら言うが、幸子は自分の部屋にテレビが無い事を言い、ミーナは一緒に見る事を進めた。しかし、ましろは「結構だ」と言って自分の職務に全うした。
「おう、ここじゃ此処‼」
ミーナは自分の好きな場面を幸子に教えた。その時、副長室の扉を誰かがノックした。
『副長、夜分にすみません』
副長室の扉を叩いたのは艦長の明乃であった。
ましろはどうかしたのかと思い、扉を開けた。そこには、明乃が酷く怯えた表情で立っていた。
「申し訳ないんだけど、当直代わってくれる?」
明乃がそう言うとましろのベッドを占領していた幸子とミーナが片足を曲げ体に密着させる極道スタイルを取りながら尋ねた。
「どうしたんなら?」
「言うてみ」
声もそのままだが言い方が極道スタイルになっていた。
「ちょっとすごくて……」
「何がじゃ?」
「言うてみ‼」
明乃の言葉に二人は同じ言葉を言った。ましろはそんな二人を呆れた表情で見ながら明乃の言葉を待った。
「雷」
「?」
明乃の言葉にましろは疑問を持った。
「そうか……判った。ほういじゃ。行って来るけぇの」
幸子はそう言うと立ち上がりミーナに振り向き
「風下は家もたたねぇけの…バサァ」
そう言って幸子は副長室を後にするのであった。
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