信濃を旗艦とした大規模艦隊は横須賀を出港して二日が経った。
「艦長、訓練を行いますか?」
「そうだな、各艦に通達しt「報告します‼ 前方に我が艦隊規模に近い艦隊を確認‼ その数、十七‼」詳しく伝えろ‼ 各艦に通達、前方に未確認艦隊を確認、戦闘用意」
「了解‼」
俊輔の言葉で信濃の艦橋内が慌ただしくなる。
「艦長、我々攻撃隊はどうしますか?」
山直凛と四柳クロトが待機している事に気付いた俊輔はすぐに指示を出す。
「攻撃隊は別命あるまで待機、だが、出れるようにスタンバっておけ。それと偵察機を四機ほど出せ。乗員に関しては凛、お前に任せる」
「「判りました‼」」
俊輔の指示を聞いた二人は、格納庫へ向かい偵察機を飛ばした。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
俊輔はそう言うと、首に掛けている双眼鏡を覗くのであった。しかし、それを見ていたなのはが俊輔に声を掛ける。
「良かったの? 俊輔君」
「何がだ?」
俊輔は双眼鏡を覗きながらなのはの質問に答える。
「真っ先に出ると思ったんだけどな?」
「………艦隊司令を任されている俺が出てしまったらこの艦隊の指揮は誰が執るんだ?」
双眼鏡から目を離した俊輔がなのはを見つめる。
「にゃははは、やっぱり君は頼りになる艦長だよ」
なのはは俊輔の頼りになる艦長であると言う事を再認識するのであった。
『報告します‼ 未確認艦隊を目視‼ 詳細はザザーザザー………』
「オイ、どうした‼」
偵察機からの通信が雑音に変わり、俊輔は通信科である宮本麗に急ぎ尋ねた。
「わ、判らない‼ いきなり雑音に変わって……えっ?」
「今度はどうしたんだ‼」
麗の慌てる声に俊輔は次から来る問題に頭を抱えたくなった。
「各艦との通信が取れません」
「………」
この言葉には俊輔も言葉を失うのであった。
一方、未確認艦隊の旗艦では妨害無線を流していた。
「フハハハハハ‼ 見たかこれぞ、海賊が誇る妨害無線の威力だ‼」
「艦長、航空隊を発艦させますか?」
「オウ、そうだな。攻撃隊を発艦させろ。序だ、雷撃隊もな」
「判りやした‼」
艦長と呼ばれた男は旧アメリカ海軍の帽子が被せられていた。
「我々はアンブレラ社から破格の給料を貰ってるんだ。それ相応の働きをしないとな、野郎共‼ アンブレラ社お抱えの海賊の力を、学生共に見せてやれ‼ これが本当の戦いと言うものをな‼」
『ウォォォォォォ‼』
「攻撃隊、雷撃隊出撃だ‼」
艦隊の後方に構えている航空母艦三隻から攻撃隊と雷撃隊が出撃する。
「ハハハ‼ 見せてやるよ、海賊の力をな……否ぁ‼ 俺達“プリェダーチェリトヴァ・アルーミア”の力をな‼」
プリェダーチェリトヴァ・アルーミア、ロシア語で裏切りの軍隊の意味を指す。その名の通り、海賊の中にはロシア以外の艦艇が混じっており、どの艦艇も祖国を裏切った者達が乗艦しているのだ。しかし、旗艦は元アメリカの戦艦コロラド級超弩級戦艦四番艦である“ウェストバージニア”が務めていた。
僚艦にはライオン級超弩級戦艦“コンカラー” “サンダラー”
コロラド級超弩級戦艦“ワシントン”
リヴェンジ級超弩級戦艦“リヴェンジ” “レゾリューション”
シャルンホルスト級巡洋戦艦“シャルンホルスト”
リシュリュー級高速戦艦“リシュリュー”
ミッドウェイ級航空母艦“ミッドウェイ” “フランクリン・D・ルーズベルト” “コーラル・シー”
ニューオリンズ級巡洋艦“ニューオリンズ”“アストリア”
ドイッチュラント装甲巡洋艦“ドイッチュラント” “アドミラル・シェーア”
ソビエツキー・ソユーズ級超弩級戦艦“ソビエツキー・ソユーズ” “ソビエツカヤ・ベロルーシヤ”の合計十七隻の艦艇で構成されている。
ライオン級に至っては、元々、王宮直属艦として建造されていたが、このブリェダーチェリトヴァ・アルーミアの手により、強奪されてしまった。また、ワシントンに至っても同様である。
ミッドウェイから発艦した攻撃隊、雷撃隊は、俊輔が指揮を執っている第一機動艦隊に向かっていた。しかし、海賊たちは知らなかった。まさか、自分達が壊滅してしまうと言う事が………
俊輔は各艦との連絡をどうするべきかを考えていた。
「各艦との通信は出来ないと言ったな?」
「えっ? あっはい‼」
俊輔は麗の言葉に一つ頷くと、指示を出していった。
「通信がダメなら、発光信号でどうだ? あれなら電波障害は無関係だろ?」
「そうか‼ 判りました‼」
俊輔の言葉を聞き麗は各艦との通信を発光信号へ切り替えた。すると、他の艦艇も同様に、発光信号で返答する様になった。
「ある意味で、海賊がバカで良かった。さて、格納庫につないでくれ」
俊輔は艦長席に備え付けられている電話を取り出すとクロトに指示を出す。
「待たせたな、凛。攻撃隊と迎撃隊を出してくれ。編成はお前さんに任せる。頼むぞ」
俊輔はクロトの返事を聞くと、受話器を置く。
「未確認艦隊に空母がいるかも知れん。各艦に通達‼ 対空戦闘用意並びに艦隊戦闘用意させろ‼」
『了解』
俊輔の指示は各艦艇に通達された。それと同時に、この機動艦隊は実弾を使用する事が許可されている。本来は、武力集団に襲われた時のみの使用を許可されていたが、既に海賊からの襲撃が絶えない事を鑑みて、東舞鶴、北横須賀、横須賀海洋学校の校長は、非常事態と言う事で機動艦隊に所属する艦艇は、常に実弾の使用を許可されていたのであった。
俊輔は各艦の動きを見つめる。既に秋月型防空駆逐艦六隻は前へ出ており、艦隊を護る布陣を敷いていた。又、信濃、雲龍、葛城、伊吹の四隻は後方へ下がり、播磨型二隻に至っては空母群の前へ突出していた。
利根型、最上型は戦艦二隻の周りを固め、その間に暁型、有明型が布陣を敷いていた。
軽巡洋艦の天龍型、出雲型に至っては、秋月型防空駆逐艦の後方へ下がり、対空戦闘の準備をしていた。
「さぁ、どっからでも掛かって来い。既にこっちは準備は万端だぜ」
「敵戦闘機群、目視‼」
「各艦に通達‼ 上げさせろ‼」
俊輔の言葉で信濃、雲龍、葛城、伊吹の四隻から攻撃隊、迎撃隊が出撃するのであった。
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