IS インフィニットストラトス 〜Awakening The Devastator〜   作:クローサー

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前回の更新から約5ヶ月、ようやく完成しました。今回は前編の後編に分けます。

…正直な話、天空の覇者さんからの感想が無ければもっと遅れてた。


第二話(前編)

砂漠の大地を駆ける、6台の車両。

先頭を行くのは、MT改造型高機動多用途装輪車両 〝ハンヴィーM1151〟。操縦者は鳳 鈴音、銃座者は篠ノ之箒。

その後方約1800mにいるのは、大型トラックと荷台車両が混合したテクニカル(民間車両転用非装甲車両)5両。

距離はあるが、ハンヴィーの最大速度は127km/h。対してテクニカルはそれ以上の速度で接近して来ており、このままでは追い付かれるのは目に見えている。

ならば、追い付かれるまでに撃破するまで。

 

「さて、と…」

 

箒はM249軽機関銃のアイアンサイトを覗き、狙いを大型トラックのドライバーに定める。まだ有効射程外だが、最大射程外という訳では無い。

最高速度で走るハンヴィーは少々揺れているが、さほど支障は無い。

6年前ならばまともに当てられなかっただろうが、生憎今は超少数精鋭で成り立っている組織の一員。カメーリアには確かに二振りの刀とレーザーブレードしか無いが、決して射撃が苦手という訳では無い。箒はORCAの中でもサポーターに近い役割であり、様々な要素を取り入れる必要があった。その過程で射撃術をリーダー(セレン)から教わった。今では遠距離用にカスタマイズされたアサルトライフルを持たせれば、200m程度の狙撃は易々とやってのけるだろう。生憎、重度の喫煙者故に本職の狙撃手選定には100%弾かれる事間違い無しだが。

 

「…」

 

距離が900mになった所で、深呼吸しつつフォームを形成し、止める。そして絶対のタイミングを半ば無意識に感じ取り、発射ボタンを押し込む。

瞬間、銃口から5.56x45mm NATO弾が連続して吐き出される。何割かは外れるものの、6割以上が1両の大型トラックに命中。ガラスを突き破り、内数発はドライバーの左右胸部、腹部、頭部に命中。一瞬の痛みの後に絶命したドライバーの身体のバランスが崩れ、ハンドルが右へと切られる。そして、呆気なくバランスを崩したトラックは横転。荷台にいた人間を吹き飛ばしながら砂地を滑って行く。

 

「こっから揺れるわよ!!」

 

鈴の声と共に、廃墟地帯に突入。砂の大地からアスファルトの地面に切り替わり、先程とは違って車体が大きく揺れ始める。

敵との距離は既に300mを切っている。荷台に乗っている者達は小銃を発砲するが、箒は頭を下げて銃座の装甲に隠れ、ハンヴィーは搭載された装甲によって弾く。

 

「っらあ!!」

 

その時、ハンヴィーが右に横滑りし、ドリフト。甲高いタイヤの摩擦音を響かせ、狭い道路へと曲がる。

後方のテクニカルもそれに続いてドリフトして曲がって行くが、大型トラックは完全に曲がり切れずに左側面をぶつける。が、完全に走行不能とはならない。

 

「随分と無茶するわね…」

「全くだな」

 

しかし、この状況は好機。立ち上がりの加速こそテクニカルの方が上だが、敵が一点に固まった。こちらの狙いも一点に集中されるが、小銃程度ではハンヴィーの装甲を破る事は出来ない。

箒は後部ガラスを覗きながらブラインドファイア。かなり大雑把な照準の為精密な命中は期待出来ないが、軽機関銃の制圧力でそれを補う。現に、狙いを定められた先頭車両はまともに頭を出せず、身を隠してやり過ごすしかない。だが狭い道路故にまともな回避も出来ず、一人、また一人と確実にその命を落としてゆく。そして次の瞬間、鈴がブレーキを掛けて急減速。それに気付いていないドライバーは何の回避も取らず、激突。刹那に発動したエアクッションによって命拾いしたドライバーだが、荷台にいた者とエンジンは無事では済まず、走行不能と陥り、脱落。

残りの3両はそれを避け、追撃を続行。箒もブラインドファイアを続行するが、装填されていた200の弾丸を全て吐き出し、撃鉄が空を切る。

 

「リロードする!!」

 

M249軽機関銃を前方に回し、装甲によって安全を確保。予備マガジンを右手に持って身を乗り出し、M249軽機関銃に付けられた空のプラスチック弾倉を取り、予備マガジンを装着。フィードカバーを開こうとした時、横から急速にエンジン音が接近しているのを感じ取る。

 

「マズ…横に付けられた!!掴まって!!」

 

鈴がそう叫び、箒が咄嗟に屋根を掴んだ瞬間、右から強烈な衝撃が走る。更に何十発もの弾丸が装甲と防弾ガラスに命中。

 

「ッチ…!!強引な男は嫌われるわよ!!」

「鈴、乗り込まれるぞ!!装填が終わるまで何とか突き放せ!!」

「OK!!」

 

ハンドルを切って対抗していたが、あるタイミングでハンドブレーキを引くと同時に逆にハンドルを切り、ドリフト。バランスを少し崩しながら大通りに出る。衝突してきた車両は咄嗟の出来事に対応しようとするが、間に合わない。大きくスリップし、脱落。走行不能になった訳では無いので、後で戻ってくるだろう。

少し間隔が離れた隙に、箒はリロードを再開。フィードカバーを開き、弾倉から5.56x45mm NATO弾が固定されたM27弾帯を取り出し、装填部に入れ込む。そしてフィードカバーを閉じ、コッキングして初弾装填。リロードを終えた箒は、すぐさまM249軽機関銃を後方に向け。

そこで気付く。残っていたテクニカル3両が不自然に距離を開けている事に。同時に、銃撃を行う要員の一人が、肩に何かを担いでいる事に。その正体に、箒が気付くに刹那と掛からなかった。

 

RPG(ロケットランチャー)!!!!」

 

瞬間、バックブラストと共に〝PG-7VL 対戦車榴弾〟が発射。迎撃しようにも、それを行う時間が無い。外れる事を祈る──

 

「────ッッッ!!!!!!」

 

箒の叫びに、鈴は神懸かりにも思える反応速度でハンドルを切った。そのお蔭で弾頭のコースからギリギリ脱出し、弾頭はハンヴィーの僅か40cm横を通り過ぎた。そして弾頭はあらぬ方向へと飛び始め、最終的には左手の民家に衝突。その威力を遺憾無く民家に発揮した。

 

「あっっっぶな!!!!!マジで数年寿命が縮むかと思った…!!」

「私も同意見だ…!!」

 

幾ら装甲を施したハンヴィーとはいえ、所詮は小火器程度しか耐えられない程度の強度。対戦車兵器を食らえばひとたまりもなく吹き飛ばされる。箒はカメーリアを展開すれば無事に済める可能性はあるが、鈴は無事では済まない。そう言った意味で、2人の思いは一致していた。

 

「──ッ」

 

即座にM249軽機関銃の照準をRPGを発射した者に合わせ、トリガー。集中砲火を受け、上半身を蜂の巣にされて生き絶える。

そのまま照準をずらし、ドライバーを殺害。大型トラックは右へと逸れ、建物に激突。

残り2両。すると、左右からハンヴィーを挟む形で接近を始める。

射撃を再開するがあくまでも射手への牽制程度に留め、敢えて距離を詰めさせる。そして、また1人がRPG-7を構え。そして、引き金が引かれたその刹那。

 

「…ッ!!」

 

1発の銃声が響き、PG-7VL 対戦車榴弾の先端にある信管に5.56mm弾が直撃。その衝撃で信管が作動して弾頭が爆発。装備していた者はもちろん、その爆発は車をも巻き込み、大爆発してクラッシュした。

精密射撃を成し遂げたのは、箒の右腕(義手)。その二の腕の中に仕込まれていた少し細長い筒が上面に飛び出し、先端から煙を吐き出していた。

 

「…妙だな」

「何が?」

「傭兵崩れにしては柔過ぎる。どういっても民兵程度の練度しかない」

「っても、私達を狙ってるのは変わりないけど、ね!!」

 

減速と同時にハンヴィーのハンドルを切り、近付いていたテクニカルに体当たり。バランスを崩したテクニカルは、呆気なく建物に衝突し行動不能。これで、テクニカルの車列は全滅した。

 

「で、どうする?戻って今の奴等に何か聞いてみる?」

「…そうだな。得はあっても損はあるまい」

 

その答えを聞いた鈴は、ハンヴィーを静止させて反転をしようとする為に減速を始める。そして、その時に初めて気付いた。

 

 

────バタバタと空間に響く、重い羽音に。

 

 

「…この音、どう思う?」

「少なくとも、いい予感は全くしないわね…」

 

その羽音は、確実により重く、より大きく、より近づいて来ているのがよく分かる。そしてその音の正体を、二人は良く知っていた。

次の瞬間、ハンヴィーの背後700m。ビルの影から低空でその音の主が現れた。

 

「〝アパッチ〟だ!!!!」

 

〝AH-64 アパッチ〟。かつて存在したアメリカ合衆国が生み出した、〝空飛ぶ戦車〟の異名を持つ攻撃ヘリコプター。その両側面のスタグウイングの兵装パイロンに搭載された〝M261ロケット弾ポッド〟から、ロケット弾が連射された。

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