遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム   作:とある遊戯王プレイヤー

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精霊世界へ ①

 ユウ LP1000

 

 ペイン LP3500

 

 ライフポイントに直接ダメージを与えるペインの戦術を、どうにか凌いでいるユウだったが、事態は未だ好転の兆しを見せない。

 

「クソ、オレのターン!」

 

 ユウの手が、デッキに伸びる。

 だが、この時ばかりは、いつもの様にカードを引くことが出来ずにいた。

 

(……あん?)

 

 手が、なかなかカードをつまめないのだ。

 そればかりか、よくよく見れば、カタカタと震えてしまっている。

 

(なんだ、こりゃあ?)

 

 カードを引くのが、恐ろしいとでもいうのか。

 そんな筈はない。

 ユウは幾度となく窮地を体験し、打ち破って来ているのだ。

 

  ――だがそれはいつでも、共に戦う相棒が居てくれたからだろう?

 

 今は果たして、駆け付けてくれるだろうか。

 『もう我は、二度と貴様などに協力しない』ヤツは確かにそう言った。

 

(馬鹿馬鹿しい。たまたま、運がねぇだけだ。次のドローで巻き返せるさ)

 

 ――本当に?

 

(ああ。だから、引いてやる!)

 

「ドロー!」

 

 ユウは、引いたカードを確認する。

 【サイクロン】魔法カードだった。

 

「クソがぁ!」

 

「お、おぉ、また事故ったど? な、なんとも、つ、使いにくいデッキだど!」

 

「黙れ! オレは【サイクロン】を発動! テメェの伏せカード1枚を破壊する!」

 

 ユウは、相手の伏せカード3枚のうち、真ん中を選択。

 破壊したのは【超古代生物の墓場】である。

 

「更に、SSストラテジーの効果発動! 1ターンに1度、手札を任意の枚数墓地に送り、送った数だけ相手フィールドの魔法・罠カードを破壊! オレは手札の【収縮】と【奈落の落とし穴】を墓地に送って2枚破壊だ!!」

 

 ユウは、残り2枚の伏せカードを全てを選択した。

 それは【魔法の筒】と、【光の護封壁】だった。

 

「SSストラテジーは、SSと名のついたカードをコストにした場合、デッキからカードを1枚ドローできる! ドロー!」

 

 ユウはカードを引いた。しかし…

 

「ッ……オレは、カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

「ま、またモンスター引けなかったど? くひひひぃあ、やっぱそのデッキはポンコツだど! おでのターン、ドロー!」

 

 カードを引くペイン。

 

「こ、このままバトル! おではドリル・バーニカルで直接攻撃だどぉぉ! 今度こそ終わりだぐひひひぃぃ!」

 

「まだだァ!! リバースカード発動【SSバリア】! フィールド上に表側表示のSSカードが存在する時、エンドフェイズまで全ての戦闘ダメージを0にし、このターン、フィールド上のSSカードは破壊されねぇ!」

 

 ドリル・バーニカルの放った攻撃は、ユウを包む壁に阻まれ霧散。

 与えたダメージは0、よって、ドリル・バーニカルの攻撃力アップの効果も発動しない。

 

「し、しぶといヤツだどぉ!! おではメインフェイズ2にするど…メタモルポットをリリースして【邪帝ガイウス】をアドバンス召喚だど!」

 

「なっ……コイツ、んなカードまで!?」

 

「ガイウスの効果発動だどぉ! アドバンス召喚に成功した時、フィールド上のカード1枚を除外するど! おでは【SS大食い悪魔】を除外だぁぁどぉぉ!」

 

 このターン、SSバリアの効果で、SSカードは破壊されない。

 これにより凌げると思っていた。

 

 が、邪帝ガイウスの効果は、フィールドのカードの破壊ではなく除外だ。

 よって、大食い悪魔は、ガイウスの放ったブラックホール状の黒球に呑み込まれ、消滅した。

 

「ひひひうっひひひひっ目障りなのも消えたど! おでは手札から【ご隠居の猛毒薬】を発動! 相手に800ポイントのダメージを与えるど!」

 

「ぐあああああああ!?」

 

 ユウ LP1000 - 800 = 200

 

「おでは、ターンエンドだど! 次で今度こそ終わりにしてやるどぉ! さ、三度目のなんたらぁぁー!」

 

 崩れそうになる膝を、無理矢理安定させ、ユウは自分のターンを宣言する。

 

「オレの……ターン!」

 

 手札は3枚……いずれも、現状ではどうしようもないカードばかりだ。

 もし、このドローが失敗したら……そのまま敗北する。そして敗北は死だ。

 

 いずれにしても、引くしかないのは分かっている。

 そっと、カードを掴もうとした手が、空を切った。

 

 ああ、まただ。

 ドローしようとすれば、デッキが遠ざかってゆく。

 今ではもう手を伸ばしても届きそうにない。

 

(カードが……逃げて行きやがる)

 

 これでは、いつまでもドロー出来ない。

 

 ――違う、デッキが逃げているのではない。

 

 カードはずっと、そこにあるのだ。

 プレイヤーのドローを待っているだけ。

 

 では、逃げているのは……

 

 ――そうだ。逃げているのはお前だ、ユウ。

 

(オレが逃げてるだと!?)

 

 ――これが私を手に入れた男だとはな…

 

 ユウの眼前に浮かび上がる者。

 黒色の龍。

 闇の翼を持つドラゴン。

 

(お前、まさか……)

 

 ――私を失望させるな。所持者よ。

 

 黒龍が、そう言った。

 

 ――私こそは、黒血龍。お前はいずれ私を、そしてアレを解き放つ存在なのだ。敗北は許さん。

 

(ケッ……気安く言いやがる。残念だが、アイツらはヤル気ねぇみてぇだし、ご期待に添えないかもなぁ)

 

 ――ならばしもべと会え。私は、お前が失われるのを良しとしない。

 

(随分と世話焼きドラゴンだな。だけどよ、今取り込み中だ! それにどうやって会いにいきゃ――)

 

 直後、黒龍が羽ばたくと、ユウは、その意識を凄まじい速度で飛ばされた。

 

(おわあああぁぁぁぁ……)

 

 ユウの絶叫がこだまする。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーユウのデッキ内 精霊世界

 

『ね~、ミッドちゃん、ホントに行ってあげないの~?』

 

 そう言ったのは赤衣の魔術師、ヒールマジシャンだった。

 鬱蒼と茂る森のなか、大樹の木陰に目をつぶり座っているミッドソードナイトは、首を縦に振るだけだ。

 

『確かに私もムカついてたけど、さすがにマスターが可哀想になってきちゃって……切り込み隊長のミッドちゃんが行ってくれたら皆も、ヤル気になってくれると思うんだけどなぁ~?』

 

『ふん、知ったことか』

 

『はぁ~…アンタ、昔から頑固よね』

 

 そっ、と隣に腰掛けるヒールマジシャン。

 

『じゃあ…覚えてる? ストームメイカーさんが、あなたの洗濯物全部、うっかり吹き飛ばした時の事』

 

『……ああ勿論。あれは大変だった』

 

『あの時もミッドちゃん、鬼みたいに怒って、当分メイカーさんと口きかなかったよね』

 

『何が言いたいマジシャン殿?』

 

『別に~? ただあの時、先に謝って来たのはメイカーさんだったよ。そしたら、あなたも自然と謝れたじゃん? それなら今回は先に折れてみてもいいんじゃない?』

 

『我が先に、あの様な決闘者の風上にもおけない男に謝罪しろと? 申し訳ないがそれは出来ない』

 

 ぷいっ、と顔を背ける剣士にまた溜め息の魔術師。

 

(はぁぁ~、仕方ないんだから。じゃ、あの手でいくか!)

 

『グスン…グスン…』

 

 突如、聞こえたすすり泣く声。

 思わず目を見開き、隣をみるミッドソードナイト。何と、ヒールマジシャンが涙しているではないか!

 

 この状況、彼が声をかけずにいられようか。

 否。彼は剣士であり戦士。捨て置ける筈もなく、『ど、どど、どうしたマジシャン殿!?』と言った。

 

『どうしても……』

 

『な、へ?』

 

『どうしても、ダメ?』

 

 この時、ヒールマジシャンは涙の溢れる上目づかいで、ミッドソードナイトを見つめていた。

 

 そして更には手だ。

 彼女は剣士の手をそっと取っていた。

 

『な、なな、なにが?』

 

『マスターと仲直りするのよ。分かってるでしょ、ここのところ、マスター達がやっているのは普通のデュエルじゃないって』

 

『……い、いや、それはその…』

 

(っし! もうひと押しね)

 

『お願いミッドちゃん――その為なら、パートナーである私は何でもして――』

 

 

「なあおい、テメェら…デュエルサボって随分楽しそうじゃねぇか、えぇ!!?」

 

 

『『へっ?』』

 

 だがその絶妙なタイミングで、草木を掻き分け現れたのは、彼らのマスターであった。

 

 




SS(シャイニーソルジャー)ミディエイト・サイキッカー】

 レベル4、光属性、サイキック族、効果モンスター
 ATK800 DEF1800

 このカード名の①、②、③の効果はいずれも1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時、手札から鳥獣族「SS」モンスター1体を特殊召喚できる。②:このカードが「SS」と名のついたカードの効果によって特殊召喚された場合、デッキから戦士族「SS」モンスター1体を手札に加えることができる。③:自分フィールドにこのカード以外の「SS」モンスターが存在する場合、フィールドのモンスターを対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える

 
 攻撃力は高くないが、③の効果により場合によっては自身の攻守を入れ替え、攻撃力1800のモンスターとして扱える。またブレイドホーリーナイト等とも相性が良い
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