遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム   作:とある遊戯王プレイヤー

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プレイヤーキラーの少女

「ユウ、無事だった?」

 

 ペインと激戦を終えてからしばらくして、アミが姿を現す。

 

「ああ」とだけ答えるユウ。

 

「なら良いわ。でも何だか元気が無いみたいね? 顔色も悪いみたいだし…」

 

 アミもまさか、自分のエースモンスターとやりあった上に、空を連れ回された結果の顔面蒼白だとは思うまい。

 

「……かなりヤベェ敵だったんだよ」

 

「へぇ? ヤベェ敵、ねぇ」

 

 アミはどうにも納得しかねたようであったが、さっさと歩き出した。

 

「おい、次はどこ行くんだ?」

 

「宛はないわ。でもこの場に留まるのは危険よ…私達の倒した連中も、デュエルゾンビになってるでしょうしね」

 

「……だな、そうしよう」

 

 そのユウの返答に、傍らの精霊ライオが思わず『素直だ…別人みてぇ』と呟く。

 アミはついつい吹き出してしまった。

 

 

 

 

 

 

――遊技の島、某所

 

「へへっ、皆馬鹿野郎だね。わざわざ出ていって戦うなんざ、死にたがりなの?」

 

 我ながらいい隠れ場所を発見したものだと、ひげ面の男は自画自賛した。

 彼は今、島の東部で唯一の砂浜、その最端に位置する天然の洞穴を隠れ家としていた。

 

 既に、この馬鹿げた見世物が始まって数日が経ったが、彼は初日に1度戦ったのみだった。

 時折、微かにデュエリストの声が聞こえては消える。また誰かがゾンビ化したのだろう。

 

「このまま最期の一人になるまで、ここに居るかぁ? それともいっそここに永住してやるか? 懲罰房よりよっぽど居心地いいし――」

 

『それは、困ります…』

 

「!?」

 

 自分しか居ない筈の空間に、突如別人の声が響いた。

 そして、ひげ面の男のデュエルディスクに、デュエルアンカーがはまり込む。

 

 洞穴の奥よりそいつは出現した。

 あの奥は行き止まりだった筈だ――等と、男が考える間に、デュエルディスクは起動していた。

 

『デュエリストNo.49、オガタさん。初日から、ここを移動していませんよね……ディスクも起動形跡がない。明確なルール違反です……』

 

「な、なんだお前は!」

 

 デュエルディスク付属の電灯光に、声の主が照らし出される。

 そいつは、着物の様な服を着付けた、どう見ても子供だった。

 しかも声色からすれば、女だ。

 

『これは警告ですから、すぐにここを移動し戦うのであれば、即座に解放します。しかしこのまま籠城を続けられるのでしたら、私が【プレイヤーキラー】として、ペナルティデュエルを強制執行します……』

 

「ふ、ふざけるなよお嬢ちゃん! 籠城も立派な戦術じゃないの! それに俺だけじゃないだろこんな事してるのは!」

 

『ええ勿論。貴方の他に同じ事をした方が数名いました。No.67アランさん、No.55ワタベさん、No.103ニヒトさん、No.666ダミンさん他…私がペナルティを執行したのはこれだけです。ホントはこんなことしたくないのに仕事だから仕方ないんですよ……』

 

 オガタは注意深く、少女を観察した。

 どう見積もっても中学生かそこらだろう。

 そんな存在が無理矢理、着物姿をし、暗記したセリフを言わされている風だった。

 

『では、執行デュエルを行いましょうか……』

 

「待てお嬢ちゃん、ちなみに俺が勝ったらどうなるの?」

 

『そうなれば、このまま隠れていて構いませんよ……私はもう、見て見ぬふりをするしかないのです……』

 

「成程、分かったよ。それじゃあその話、乗らして貰うかな」

 

『ではデュエル……私の先攻。私は、手札から【ローンファイア・ブロッサム】を召喚します……』

 

【レベル3、炎属性、植物族、ATK500】と表示。

 

 現れたのは貧弱そうなつぼみの植物。が、オガタはそれを見て舌打ちした。

 

『このカードは1ターンに1度、フィールドの植物族モンスターをリリースする事で、デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚出来ます……私は、ローンファイア・ブロッサム自身をリリースし、デッキから【イービル・ソーン】を特殊召喚します……』

 

【レベル1、闇属性、植物族、ATK100】と表示。

 トゲの生えた実をぶら下げた、不気味な植物だ。

 

『私はイービル・ソーンをリリースし効果発動。相手に300ポイントのダメージを与えます……』

 

 ぶら下がった実が突如破裂し、種子が弾丸の如くプレイヤーを襲う。

 

「痛ぅッ!」

 

 オガタ LP4000 - 300 = 3700

 

『そしてその後、デッキから2体のイービル・ソーンを攻撃表示で特殊召喚します……』

 

 トゲの実の中身がポトリと地面に落ち、2体のイービル・ソーンが生えてくる。

 

『私は、レベル1のイービル・ソーン2体でオーバーレイ……ランク1【森羅の姫芽宮(しんらのひめみや)】をエクシーズ召喚……』

 

【ランク1、光属性、植物族、ATK1800】と表示。

 着物を幾重にも着飾った姫君が現れる。

 

『森羅の姫芽宮の効果発動します……エクシーズユニット1つを取り除き、デッキの一番上のカードを確認し、魔法・罠だった場合、手札に加えます……私は、罠カード【ポリノシス】を手札へ加えます……』

 

(植物族専用の万能カウンター罠か、面倒だねぇ…)

 

『私はカード3枚を伏せて、ターンエンドです……』

 

「じゃあ俺のターンだな、ドロー」

 

(……あの3枚、どれかがポリノシスだよな?)

 

 ポリノシスは、カウンター罠。

 相手のあらゆる行動に対し(魔法・罠の発動、モンスターの召喚、特殊召喚)植物族モンスター1体をリリースする事で、無効にし破壊する効果を持つ。

 

「なら、俺は【ツイン・ツイスター】を発動! 手札を1枚墓地に送る事で、伏せカード2枚を破壊するぞ!」

 

 3枚の伏せカード内2枚を破壊すれば、相手に大きな損害を与える事が出来る。2つの竜巻が走った。

 

『私は、ツイン・ツイスターに対し、カウンター罠、ポリノシスを発動します……森羅の姫芽宮をリリースし、無効にして破壊……』

 

 しかし竜巻は、強風に乗った真っ黄色の花粉渦と衝突し、消え失せた。

 

(せっかくのモンスターをリリースした……それだけ重要な伏せカードってことだから……なら、こうだ!)

 

「じゃあ手札からレベル7、闇属性モンスター【冥府の使者ゴーズ】を墓地に送り手札の【ダーク・グレファー】を特殊召喚する!」

 

【レベル4、闇属性、戦士族、ATK1700】と表示。

 

『私は、ダーク・グレファーに対して罠発動……【奈落の落とし穴】攻撃力1500以上のモンスターを破壊し、除外します……』

 

 フィールドに意気揚々と現れたダーク・グレファーは、足元が突如陥没し、姿を消した。

 穴は異次元へと通じており、戻れない。

 

「チクショーー!! とでも言うと思ったか? かかったなお嬢ちゃん。手札から魔法カード【死者蘇生】を発動! 俺が復活させるのは、さっき墓地に送った冥府の使者ゴ――」

 

『私は死者蘇生に対して、罠発動……カウンター罠【神の警告】ライフを2000ポイント支払い、モンスターを特殊召喚する魔法を無効にし破壊します……』

 

 プレイヤーキラー LP4000 - 2000 = 2000

 

 フィールドに現れた死者蘇生の十字は、神の発した警告により、その効力を失う。

 

「くぅ…だが、俺はまだ召喚権を残している! 手札から【死霊騎士デスカリバー・ナイト】を召喚!」

 

【レベル4、闇属性、悪魔族、ATK1900】と表示。

 

「バトル! デスカリバー・ナイトでお嬢ちゃんにダイレクトアタック!」

 

 馬を駆る死霊騎士が、少女へと剣を振るう。

 

『うっ……』

 

 プレイヤーキラー LP2000 - 1900 = 100

 

「ちッ、残ったか。ターンエンドだ」

 

『……私のターン、ドロー』

 

 彼女のライフポイントは僅かに100。

 だが、少女はそんなの些事だと言わんばかりに、坦々とフェイズを進めた。

 

『もういいです。貴方はよく頑張りました……』

 

「な、なんだって?」

 

『実際、これまでで一番、貴方は粘りました。デスカリバーナイトで良かった……攻撃力2000以上ならやられてました……危なかった……泣きそうでした……』

 

 そう言い、涙を拭う様な仕草をする少女。

 

 だが、言葉に反して表情はまるで変わっておらず、操り人形が演じているかの様だった。

 

『健闘して下さったお礼です……丁度私の墓地にはイービル・ソーン、闇属性モンスターが3体……よって手札から【ダーク・アームドドラゴン】を特殊召喚できます……』

 

 いきなり、少女の手札から現れたのは、暗黒の力を宿した禍々しき龍だった。

【レベル7、闇属性、ドラゴン族、ATK2800】と表示。

 

『あ、そういえば、森羅の姫芽宮は光属性でしたね……光属性、森羅の姫芽宮と、闇属性、イービル・ソーンを1体ずつ除外して……【カオス・ソルジャー ―開闢の使者(かいびゃくのししゃ)】を特殊召喚します……』

 

【レベル8、光属性、戦士族、ATK3000】と表示。

 渦巻く光と闇の混沌より、戦士が飛び出した。

 

「な、なな……!?」

 

 1ターンに一気に、最上級モンスターが2体も並び、気が付けばオガタは敗北寸前だった。

 

『どうしようかな……ダーク・アームドやカオスの効果を使ったら、デスカリバーにやられちゃうんだから……普通に殴ろう……バトル。私は、ダーク・アームドドラゴンで、デスカリバー・ナイトを攻撃します……』

 

 ダーク・アームドドラゴンATK2800 - 1900 = 900  

 オガタLP3700 - 900 = 2800

 

『……終わりですかね……開闢の使者でダイレクトアタック……』

 

 オガタLP2800 - 3000 = 0

 

「あ、あ、うぁ……」

 

 

 未だ、何が起きたのか、脳の処理が追い付かない。

 だが事実としてライフポイントを一気に失った。

 

 つまり、オガタのデュエルディスクは電流を発する。

 だが、オガタのディスクはいつまで経っても、そうしなかった。

 

 どころかデュエルアンカーが外れた。

 困惑するオガタに、プレイヤーキラーの少女はとてて、と近づく。

 

『ペナルティは発動しました……貴方は3時間以内に、ゾンビ以外のデュエリストとデュエルして下さい……さもなければ、貴方は人生から強制退場します……』

 

 彼女がそう言うと、ディスクがキィィィィと妙な音をたてて暗部デュエル用のライトがチカチカと明滅し始めた。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ! ウソだろォォォ!?」

 

『ではオガタさん、頑張って下さい』

 

 

 彼女はそう言い残すと、洞穴の奥……闇の中へと消えていった。

 とてもじゃないが、あの少女を追う気にはなれない。

 

「く、クソぉぉぉ、やるしかないのか!」

 

 オガタは、プレイヤーキラーの目論見の通り、デュエリストを求めて洞穴の外へと走り出した。




【SS(シャイニーソルジャー)キューブストーン・ゴーレム】

 レベル4、光属性、岩石族、効果モンスター
 ATK1800 DEF1000

 このカード名の①、②の効果はいずれも1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時、手札から爬虫類族「SS」モンスター1体を特殊召喚できる。②:このカードが「SS」と名のついたカードの効果によって特殊召喚された場合、デッキからサイキック族「SS」モンスター1体を手札に加えることができる。③:自分フィールドにこのカード以外の「SS」モンスターが存在する場合、このカードは効果で破壊されない。



 下級SSモンスターの中で2番目に攻撃力が高いモンスター。③の効果により場持ちが良く、全体除去カードを受けても生存する
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