遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム   作:とある遊戯王プレイヤー

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カードを封じられた決闘者

『私は【アロマリリス―マグノリア】でダイレクトアタック…これで執行完了です……』

 

「きゃあああああー!?」

 

 女決闘者のライフポイントが尽きる。

 同時にデュエルアンカーが外れたが、ディスクは奇妙な音をたて、ライトを明滅させはじめる。

 

『貴方のディスクのペナルティが作動しました…3時間以内に、デュエルゾンビ以外の他のプレイヤーとデュエルして下さい…できなければ貴女の人生が終わります……』

 

「いやああ! 何で、どうしてこんな事をするの!?」

 

『……この島の、ルールだからです……』

 

 その場に膝から崩れたデュエリストを尻目に、プレイヤーキラーの少女は去っていった。

 

 その顔に、表情と呼べるものはない。

 ただ淡々と他者に絶望を突き付けているだけ。

 

 しかし、そんな彼女が、普段と違う風に見えた者も居たようである。

 唐突にそいつは現れた。

 

『【幽鬼(ゆき)うさぎ】ちゃん、どうしたの~? 今日はやけに沈んでるじゃないか』

 

 声の主は、宙に逆さまで浮いていた。

 逆さまにぶら下がった状態で、【幽鬼うさぎ】と呼ばれた少女の顔を覗きこんでいる。

 

 彼女は別段、驚いた風もなく、変わらぬ調子で呟いた。

 

『【ライズベルト】くん、器用だね…』

 

 ライズベルト、そう呼ばれた少年は空中でくるりと宙返りすると、ようやく地面に足をついた。

 

 真っ黒い髪に真っ黒い服。

 そこにアクセントとなる深紅の目を爛々と輝かせ、ライズベルトはうさぎに言った。

 

『見てたよ、時間制限なんてあげてるんだね? えっぐいなぁうさぎちゃん。ボクだったら、その場で終わらせちゃうんだけど?』

 

 彼の周りを飛ぶ、これまた黒一色の使い魔も、にやけた顔で「そうだそうだ」と言いたげに頷く。

 

『観戦者を楽しませるんだったら、こっちのがいいと思う……それに、目の前でヒトが死ぬのを見たくないから……』

 

『なるほどなるほど~そこまで考えてなかったよ、確かにそうだね。ボクらがあの犯罪者共を始末した所で面白くもなんともないもんね……あぁ、だったらそうだ、いいこと思い付いた!』

 

 どうせ、ろくな事でないのは明白だ。

 うさぎは理解していた。ライズベルトがこう言う時は大概、度を越してやらかす。

 

『ライズベルトくん、今度は大丈夫……? やり過ぎちゃうと、あなたが危ないよ……』

 

『今回は大丈夫だよ! なんたってボクが思い付いたのは、とびっきりのエンターテイメントだ! お客様も喜ぶに決まってるね!』

 

 シッシッシ、と年相応の笑いを漏らすと、その思い付きの実行の為に、彼は再び、宙に体を浮かせた。

 

『うさぎちゃーん、真似したらダメだからね? ボクのアイデアなんだからさ!』

 

 そう言い残すと、ライズベルトは空を飛んで行った。

 うさぎは、ふぅと溜め息をつくと、デュエルディスクのサーチモードを起動した。

 

『次の違反者は……』

 

 

 

 

 

 

 

――「おお~い、待ってくれよアンタら~!」

 

 オガタは、先を行く二人に手を振りながら駆け寄っていく。

 先行く二人はユウとアミだ。

 

「はぁ、はぁ、待てっておい!  オッサンはもう若くないんだからスローダウン、な?」

 

「何でテメェが着いてきてんだよ!? 勝手にケツ追い掛けて来といてグダグダ言ってんじゃねぇ!」

 

「いやぁ、そう言うなって。あんたらは命の恩人だからさ、借りを受けたままじゃイカンだろ。それにホラ、アレだ、寄らば大樹の蔭って言うだろ? ぶっちゃけ集団で居る方が安全安心しなぁ」

 

「ケッ、ちゃっかりした野郎だぜ」

 

「アタシは下手に取り繕うよりは正直でいいと思うけど。ね、オジサマ?」

 

「そーそー。アミちゃんの言う通り、俺は正直者なんだよ。だから安心しろ、次にゾンビ共が出てきたら俺が引き付けてやるぜ!」

 

 と、デュエルディスクを掲げるオガタ。

 

「……しょうがねぇな。だが、妙な真似はすんじゃねーぞ」

 

「分かってるって、ま、最期まで一緒に居られたら、だけどな」

 

 だが、オガタから得た情報は、実に有意義なものであった。

 

 プレイヤーキラー。

 何らかのルール違反をした者の前に現れる、執行者の存在。

 

 つまりこの島の攻略は、より困難になった、という事だ。

 

「ところで、二人はどこに向かってるんだ? ウロウロしてるよりは拠点を構えた方が安全じゃない?」

 

 と、洞穴に隠れていたオガタが言う。

 

「普通はそうするわ。普通ならね。でも、今は普通じゃないわ」

 

 真剣な面持ちで、アミは言う。ユウも無言で頷いた。

 

「え、そ、そう、なのか?」

 

「ええ……ここの、問題よ」

 

 と、アミは自らの腹部を押さえた。

 ぐぅ~、とタイミング良く鳴るそこ。

 

「このままでは飢え死にしてしまうわ」

 

「ああ。腹へったー!!」

 

 ユウは、この島に来てから食物を口にしていない。アミにしても同じだ。

 食糧確保に出掛けたタイミングで襲撃を受けて以来の空腹なのである。

 

「おおっ、腹減ってんならいい場所知ってるぜ! あそこならいい魚が取れるんだよ!」

 

「魚!? それは鮭かしら!?」

 

「さ、鮭!? あー、鮭かどうかは知らんけど、ばっさばっさ取れるぜ!」

 

「鮭だと……マジかよ、高級品だぞでかしたオッサン!!」

 

「よし善は急げね。オジサマ、案内して下さる?」

 

「オガタさんって呼んでくれアミちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 ――ユウ一行、直上

 

『なーんとなく違反者を確認。ボクの裁定で処理させて貰うよ』

 

 鮭に浮かれた集団の直上を、飛行する影があった。

 プレイヤーキラー、コードネームはライズベルト。

 

 彼は超自然の力としか思えない、空中飛行を披露していた。

 

『さ、ボクの使い魔達…アクションデュエルの試作だ、DP粒子を撒いておいで。彼等をスリルと興奮のただ中にご招待しよう!』

 

 主人の指示を受けた、体の長い猫か狐の様な使い魔は、ライズベルトの周りを離れた。

 そして口の様な部分を開くと、霧を吐いた。

 

 これこそが、件のDP(ディメンショナル・プロジェクション)粒子。

 日本語では次元投影粒子という最新技術、その試作品であった。

 

『題して、人間vsデュエルモンスター! その衝撃は本物以上だよ! 犯罪者共、楽しんでいってねぇ!』

 

 

 

 

 

 

 

 ――「なあ、おい、気のせいか? 急に霧が濃くなった様な気がするんだけど」

 

 オガタが、わざとらしくキョロキョロしながらそう言った。

 そんなことは既に二人も気付いている。

 

 目の前を歩く相手は辛うじて見えるものの、足元や前方はほぼ、視界ゼロ。

 正直、進むだけでも危険だった。

 

「ヤバいんじゃね? こんな所を襲われたらひとたまりもねぇぞ」

 

「それに何だか息苦しいような……気のせいならいいんだけどね」

 

 皆、そうは言うが、だんだんと不安が膨れているのは明白だった。

 まるで白い空間の中を漂っている様にも錯覚してしまう程の濃霧だ。

 

「ったく、こんな事ならさっさと――」

 

「オッサン! ちょいと静かにしてくれ……おいアミ、何だこの音?」

 

 ――うう、うぅ、うう

 

「……最低な答えしかないのだけど、言っていい?」

 

「さっさと言え」

 

「どう聞いてもデュエルゾンビのうめき声ね」

 

「やっぱなぁ……オッサン、伏せろ!」

 

「へっ、えっ?」

 

 ユウがそう言ったのと同時に、【執念の剣】の斬撃が、霧を裂きオガタの髪の毛数本を切り飛ばす。

 

「へっ?」

 

 今更ながらに振り返るオガタ。

 そこには、何やらドス黒いオーラの漏れ出る剣を持ったゾンビ……ならぬ、ミイラ!

 

「ヘェェェェェ!!?」

 

 恐らくは【さまようミイラ】だろう。

 どういう訳かそいつが凶器を握り締め、緩慢な動作でこちらに迫る。

 

 ひゅん、と何かがオガタの頬をかすめる。すると、血が流れた。

 

「ちょーーっま、ま、ユウ君助けてェェ!」

 

「こっちからもお客さんが来てんだよ! アミィ、そっちは!?」

 

「こちらからも…すっかり囲まれてるわね」

 

 いつの間にか、ミイラの集団に囲まれていたらしい。彼らは【流星の弓―シール】や【守護神の矛】といった装備で身を固めている。

 

「な、なんだよ、なんなんだよこりゃあ!! コイツらソリッドビジョンな筈だろ!? なんで俺は怪我してんだよ! コイツら俺達に攻撃出来るのか!? もしそうならこんなん勝てる訳が――」

 

「いや、それはどうかな?」

 

「何か策があるの、ユウ?」

 

「コイツらはカードのモンスターなんだろう? どういう訳か実体化してやがる。だったら、こっちもモンスターで対抗すりゃいいじゃねぇか!」

 

「なぁに言ってんだ馬鹿! モンスターってたって、カードは所詮カードだろうが!」

 

 オガタにしてみれば、荒唐無稽な話でしかないだろう。

 だがユウとアミは違う。現に、語りあったりボコボコにしあったモンスターがいるのだ。

 

「来いよミイラ共! ドローだ!」

 

 ユウの指が、デッキのカードを掴む。

 

 が…何故か、カードは引けなかった。

 

「な、なんでだコラァ!!」

 

 

 

 

 

――『成程、目の付け所が違うね彼。確かにDP粒子はソリッドビジョンに質量を持たせるものだよ』

 

 上空から、高みの見物を決め込んでいるライズベルトは、口の端を吊り上げ言った。

 

『でもね、今回は君達がモンスターの気持ちになって、モンスターと戦ってくれなきゃ面白くないだろう? ディスクのドローはロックさせて貰ったからね。さぁさぁ、デュエリストはカード無しでどこまで戦えるんだい? フフフフフ……アハハハハハハ!!』

 

 




【SSI(シャイニーソルジャー・イモータル)ホワイト・ラミア】
 レベル6、光属性、爬虫類族、シンクロ、効果モンスター
 SSチューナー+チューナー以外のSSモンスター1体以上
 ATK2400 DEF1800

 ①:このカード戦闘、効果で破壊された場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は1000ポイントダウンし、効果を発動できず攻撃できない。②:このカードが破壊されたターン終了時、このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する。


 SSモンスターの中でも防御寄りの効果を持つ。繰り返し墓地から復活するのでターンが長引けば複数の相手モンスターを弱体化する
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