遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム 作:とある遊戯王プレイヤー
「うおっ!?」
ミイラらの振るう剣をどうにかかわすユウ。
逸れた剣は、傍らの木をスパリと切り裂いた。
やはり、ソリッドビジョンのモンスターとはいえ、質量を持っているのは間違いない。
「ちぃっ、なんでカードが引けねぇんだよ!」
ユウはいち早く、自分達もカードモンスターで対抗しようと考えた。
が、プレイヤーキラー、ライズベルトの策略によりドロー機能をロックされてしまっている。
「このままじゃジリ貧ね…ハァッ!」
アミが矛を制し、カウンターをミイラに叩き込む!
ボキボキ、と恐らくは朽ちたあばら骨が何本か折れたのだろう。
だがモンスターは、なに食わぬ顔で武器を振るう。ミイラだからなのか、痛みはなさそうだ。
「ひぃっ!? こ、こんなの無理だ! 俺たちゃ皆ここでミイラの餌になっちまうんだぁぁ~!」
霧の向こう側から聞こえた情けない言葉に、ユウの目はつり上がった。
「うっせえぞオッサン! テメェもデッキからカード引けねえのかよ!?」
「引けてもダメだろぉぉ!」
「引くんだよ! 引けねえと死ぬぞ!」
「私のもダメだわ!」
首狩り蹴りを繰り出しながら、アミが叫ぶ。
「クソォォォォ! ドローしろォ!! 引けねえ、ダメだ、俺のもダメだ!」
「チクショウ! カードがあれば…カードがあればぁぁ!」
遂に【魂喰らいの魔刀】の切っ先が、オガタを捉えた!
彼の肉体を貫通する魔刀!
「ぐおおおおおおお!?」
「オッサぁぁン! くそっ、墓ぐれぇ作ってやる! 成仏しろよ!」
「それ本音かユウぅぅ!! 刺さってないから!」
成程、正面から見れば、魔刀は脇下を通り抜けているだけだった。
幸い服を貫通しただけだ。
だが……切り裂かれた彼のジャケットから、ポロポロと落ちたモノを、ユウは見逃さなかった。
飛び散ったのは大量の…カードだ。
「あああっテメェ、カード持ってんじゃねーかコラァァ!」
「えっ…あああーー、俺の仕込みカードがぁぁ!」
しかし経緯はどうあれ、絶好のチャンスだった。
【城壁壊しの大槍】を潜り抜け、飛び散ったカードの1枚をキャッチ。
そのカードは【破邪の大剣―バオウ】
「オレ好みのエモノじゃねぇかぁ! デュエルディスクにセットォ!」
すると直ぐ様、目の前に投影される禍々しい大剣。
だが身の丈近い剣も、いざ持ってみると不思議と重さを感じない。まるで自分の為にあるかの様な剣だった。
「っしゃああ反撃だぜミイラ共! おらぁぁ!」
ブン、と振り抜かれたバオウが、相手の大槍を弾く。
ミイラの動きは緩慢だ。
一気に懐へと潜り込んだユウは、そのままバオウを振りかざす。
「テメェにダイレクトアタックだぁぁ!」
ミイラの肉体を、抵抗なく両断したバオウ。
直後、バオウの効果が発動。破壊したモンスターの効果を無効にする。
よって、ソリッドビジョンのミイラは悶えながら消滅。さらに剣が、どくんどくん脈動し、何かを吸収したようにも見えた。
「お、おおぉぉぉ……なんだこれ、力が、みなぎるじゃねーかぁぁ!」
恐らくは、バオウの本来の持ち主、ガーディアン・バオウもこんな感じでパワーアップしていたのだろう。
ミイラを圧倒し、次々と葬ってゆくユウ。
その光景を目にしたオガタもようやく、カードの力を信じたのだろう。仕込みカードを手に取り叫ぶ!
「クソッ! サービスだぜアミちゃん、ユウ! 持っていきやがれぇー!」
バサッ、と半ばやけくそ気味にカードをばら蒔くオガタ。
そこへミイラが呻き声をあげながら迫る。
「へっへっへっ、元イカサマ師仕込みカードのオガタをナメちゃいかんぜ! 俺のカードはこれだ!」
意気揚々とディスクにカードをセット! 実体化してゆくカード。
「さぁ、来いよ俺の武器……おっ?」
【折れ竹光】
①:装備モンスターの攻撃力を0ポイントアップする。
「お、おおお!? なんでこんなカード仕込んでんの俺ェェ!!」
『うぅ~、あああ!』
「や、いや、待てって、こちとら丸腰同然なんだぜ……それを、ひい、ふう……さ、3体でよってたかって、か、かっこ悪いと思わない、ねぇ……ねぇぇ!!」
じりじりと後ずさるオガタを、3体のミイラが追い詰める。最早、逃れるすべはない。
「ははっ、待てって、マジで!」
『うぅ……ああ~!』
ミイラが3体同時に飛び掛かる! 途端、オガタの手はディスクへと伸びた!
「なんちゃってなぁ! 罠発動【
彼の全身を、凶悪な鎧が包んだ。
炸裂装甲は攻撃してきた相手モンスターを破壊する、罠カードだ!
鎧に勢い余って突っ込んだミイラらは、バラバラに砕け散り破壊される。
「ハハハどうだ! ハハ……ハァ…お、重い…」
「ふっ!」
アミがキャッチしたカードは【スパークガン】
ディスクにセットすると、E・HEROスパークマンの愛銃スパークガンが現れる。すかさずキャッチ。
「食らいなさい!」
バヒュン、と放たれたスパークビームは、受けたミイラの動きを封じ、その場に留める。
どうやら身動きを封じる武器のようだ。
更に彼女はカードを拾い発動【蝶の短剣―エルマ】
小振りの短剣ながら、動きを止めた相手を仕留めるのは造作もなかった。
躊躇なく、心臓を貫き倒す。
振り向けば、暴れるユウがミイラに包囲されつつある。
「ユウ! スパークガンで援護するわ!」
バヒュン。ユウの背後のミイラが動きを封じられる。
「ひひひひひはははぁ! 【鎖付き爆弾】発動だぁぁ!」
鎖に結ばれたダイナマイトが、ミイラを雁字搦めにする。そこへ、アミの射撃。
ダイナマイトが炸裂し、ミイラがまた1体、砕ける。
「次はテメェだ、おらぁ!」
斬りかかるユウ! しかし手応えがない。
バオウが、ミイラの体をすり抜けて、切ることが出来ないのだ。
「なんだコイツ!? 斬れねぇぞ!」
「俺に任せなユウ! 【サイクロン】だ、ヤツの装備品をぶっ飛ばせぇ!」
一筋の竜巻が、ミイラの力を奪い去る。ヤツが装備していたのは【ミスト・ボディ】
だから、戦闘では破壊出来なかったのだ!
「脅かしやがって! おらぁぁ!」
「ライオ! 貴女もイケるかしら?」
『……んあ? おぉ!? 何があったアミ!?』
アミの呼び掛けに、ライオもまたデッキから飛び出す。どうやら彼女はドローロックが掛かっていても関係ないらしい。
「モンスターに襲われてるの。蹴散らして頂戴」
『よく分からねーが、っしゃあ! 任せとけ!!』
カードの精霊たるライオもまた、DP粒子により実体を得ていた。
自慢の剣で、ミイラらを次々と薙ぎ払ってゆく。
「残ってんのはテメェだけだなァ! オラァァァ!」
ユウ ATK500 → ATK3000(破邪の大剣バオウ効果)
さまようミイラ ATK1500
遂にユウ達は、ミイラを全滅した。
――霧の中で起きている怒濤の反抗に、ライズベルトは未だ気付けていなかった。
『このショーは失敗だね。霧で何にも見えない……あ~あ、せっかく最新技術まで持ち出したのになぁ』
使い魔を撫でながら、呑気にそう言う彼。
うさぎが心配していたのはこういう部分なのだ。
重大な失敗。
プレイヤーキラーとしての業務を逸脱し、更には観客の鑑賞を妨げてさえいる。
もしも、うさぎが同行していたなら、彼の凶行に真っ先にNOを突き付けていただろう。
やがて静かになった霧の中。
『終わっちゃったかな? 案外つまらなかったね…』
霧が、ゆっくりと晴れてゆく。
だが視界がクリアになる度に、ライズベルトの顔は引きつっていった。
デュエリスト3名、健在。ミイラは全滅。
何より彼をイラつかせたのは、カードが辺りに散らばっている事だった。
『…あ、あれれ~おかしいなぁ? ボク、確かディスクのドロー機能封じたよね? なんでカードがあるんだろ? ふふ、フフフフフ…』
ライズベルトの様子に、使い魔らは互いに顔を見合わすと、頷きあってその場に待機。
『クソ人間……ショーは失敗、挙げ句にあんな真似までされちゃあ……ねぇ』
そう言った彼のデュエルディスクが、唸りをあげて起動してゆく。
『いいよ……いいよ、ならボクが直接引導を渡してあげるよ!』
【SS(シャイニーソルジャー)リクルート】通常魔法
このカード名の①、②の効果は1ターンに1度しか発動できない。①:自分の墓地に存在する「SS」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。②:墓地のこのカードを除外し発動できる。デッキからレベル4以外の「SS」モンスター1体を手札に加える。
SSモンスター専用の蘇生札。おろかな副葬などで、デッキから墓地に直接送っても仕事する為、SSデッキに於いて極めて重要なカードだ。