遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム 作:とある遊戯王プレイヤー
間も無く、日が落ち始めようかという頃、島の南東部のごく一部に、悲鳴がこだまする。
「助けてーー!! 誰かーー!!」
甲高い女の悲鳴だ。
また誰かが減ることとなる合図のようなものであるから、当然生存を賭けたデュエリストらは無視を決め込む。
だがそうでない者も居た。
彼の名はカトウ。マーカー持ちの前科者ではあるが、正義感溢れる若者であった。
女性の悲鳴に駆けつけてみれば、学生服姿の少女が一人、半狂乱で逃げまどっているではないか。
「どうしたんだ君っ!」
「あ、た、助けて下さいー! ゾンビが――!」
彼女がそう言った時、木陰より女形のデュエルゾンビが顔を出した。
「君は隠れて! ここは僕が相手をする!」
カトウは既に10体近くのデュエルゾンビを葬った猛者である。
言われるがまま、彼の後ろに隠れる少女。
デュエルゾンビは拘束用アンカーを射出し、カトウとディスクを繋ぐ。
これでデスマッチはスタートした。
カトウ LP4000
デュエルゾンビNo.33 LP4000
「『デュエル!!』」
「僕の先攻、手札から魔法カード【ヒーローアライブ】を発動! LPを半分にし、デッキからレベル4以下の
カトウ LP4000 → 2000
ライフポイントが半減してしまったが、フィールドに召喚されたのは強力なカテゴリーであるHEROモンスターである。
【レベル4、闇属性、戦士族、ATK1000】
「シャドー・ミストは、特殊召喚された時にデッキからチェンジ速攻魔法を手札に加えることができる。僕は【マスクチェンジ】を手札に加える」
この間、デュエルゾンビは不気味な程に身動ぎ1つしなかった。
じぃっと虚ろな目で、相手のフィールドを睨むだけだ。
「今加えたマスクチェンジを発動! HEROモンスターをリリースし、同じ属性の
【レベル6、融合、闇属性、戦士族、ATK2400】
「す、すごいですぅー! 頑張って下さい!」
制服の少女は、感嘆の声を漏らした。
「ああ、任せといて。手札から【E・HEROエアーマン】を通常召喚、効果発動! デッキからHEROモンスター【E・HEROブレイズマン】を手札に加える! 2枚のカードをセットし、ターンエンドだ」
『ワタシのターン。ドロー』
デュエルゾンビが、その名に似つかわしくない、きびきびした動作でカードを引く。
カトウのフィールドには、ダーク・ロウとエアーマン、更に2枚の伏せカード。
『ワタシは魔法カード【ライトニング・ストーム】を発動。相手フィールドの攻撃表示モンスターカード全てを除去する』
「それは許さない。カウンター罠発動【魔宮の賄賂】! 魔法・罠カードの発動を無効にする! そしてゾンビ、お前には1枚ドローして貰う!」
デュエルゾンビは、魔法を無効にされた代償として1枚のカードを引いた。
その瞬間カトウのフィールドのダーク・ロウの効果が発動する。
「ダーク・ロウの効果発動! 相手がドローフェイズ以外で、デッキからカードを手札に加えた時、相手はランダムに手札を1枚除外する…さあ、手札を除外しろ!」
ゾンビの手札から除外されたのは、【ブラッドヴォルス】だった。
(通常モンスター? ライトニング・ストームにはビックリしたが、このデュエルゾンビは、それ程の強さは無い様だな)
これまで様々なデュエルゾンビを見てきたカトウ。
プレイヤー時にそれなりに勝ち残り、デッキを強化していた者が、ゾンビ化していたら厄介だった。
しかしコイツは、ただ攻撃力が高いだけの通常モンスターがデッキに入っている様な相手。
恐らくはショーの初期で敗退しゾンビとなったのだろう。
それに、ダーク・ロウがフィールドに存在する限り、相手のカードは墓地に送られずに除外される。
かなり戦術は限定される筈だ。
しかし……
『ワタシは手札から魔法カード発動、【融合】』
(何? こいつ、エクストラデッキのカードを使うのか?)
『手札の通常モンスター【デーモン・ソルジャー】と【暗黒の狂犬】を素材に、エクストラデッキから【始祖竜ワイアーム】を融合召喚』
融合素材のモンスター2体、及び融合は除外される。
ゾンビの召喚した、四肢を持たないドラゴンが咆哮をあげた。
通常モンスター2体ならばなんでも良いという緩い素材条件に加え、ひとたびフィールドに放たれたら、効果モンスターに対する強烈なアンチとなるカードだった。
その効果とは
1つ。このカードは通常モンスター以外のモンスターには戦闘破壊されない。
1つ。このカードは、このカード以外のモンスターの効果を受けない。
【レベル9、闇属性、ドラゴン族、ATK2700】
(くうっ、厄介なのが……)
『更にワタシは手札から【フレムベル・ヘルドッグ】を通常召喚。バトル! 始祖竜ワイアームでダーク・ロウを攻撃!』
「ッ!?」
ワイアーム ATK2700 - ATK2400 = 300
カトウ LP2000 - 300 = 1700
『フレムベル・ヘルドッグでエアーマンに攻撃!』
フレムベル・ヘルドッグは、戦闘でモンスターを破壊した時、デッキから守備力200以下の炎属性モンスターを呼び出す。
これを通せば、更なるモンスターの追撃に合う。
カトウは伏せカードを使用しざるを得なかった。
「僕は速攻魔法【マスクチェンジ・セカンド】を発動する! 手札を1枚捨てて、エアーマンを対象にし、エクストラデッキから【M・HEROカミカゼ】を特殊――」
『その効果にチェーンし、手札より速攻魔法【死者への供物】を発動。エアーマンを破壊する』
「なん……だって!?」
マスクチェンジ・セカンドの効果がエアーマンに及ぶ寸前、死者の祭壇より放たれた光が引きずり込んでいった。
これで対象のモンスターは不在となり、マスクチェンジ・セカンドの効果は不発。
『ワタシは、フレムベル・ヘルドッグでダイレクト・アタック』
改めて無慈悲な攻撃宣言を行ったゾンビ。
灼熱の牙がカトウを襲い、ライフポイントは実にあっさりと消し飛んだ。
カトウ LP1700 - 1900 = 0
「うわああああああ!?」
拘束用デュエルアンカーが外れ、カトウのデュエルディスクの機能が停止する。
『デュエル終了。プレイヤーNo.5 カトウ トウに処置を行います》
「うっ……そ、そうだ、君っ! 早く逃げ――」
カトウは、制服少女の事を思い出し、振り返った。
しかしそこには、人影1つ無かった。
制服少女は、カトウの負けを悟った直後にはもう、逃げ出して居たのだ。
しかし彼は、そんな彼女を憎むどころか、安堵の表情を浮かべると、こう呟いた。
「よかった、逃げ切ってくれよ」
と。そしてデュエルディスクから発せられた電流が、彼の意識を刈り取った。
――「もうっ、使えねー盾!! せめて2日はウチを守りやがれよ!」
制服姿の少女は、ダッシュしながらこう猛った。
盾とは無論、彼女を守る為に決闘を肩代わりした者たちの事だった。
「てかもうムリ!! なぁんでウチがこんな目にあわないといけねーワケぇ!? あり得ねーわ!!」
彼女は一見し清楚を装ってはいるが、これこそが本音である。
が、彼女の言い分も一理ある。
彼女の顔にはマーカーが……罪の証が刻まれていないのだ。
息を荒げて走った彼女は、遂に森を抜けて海岸沿いへと飛び出した。
さくさく、と砂浜に足をとられそうになったが、その度になんとか堪えた。
視界が良くなって、少しは安堵したのだろう。足を止めて深呼吸し息を整えた。
波打つ音もまた、彼女をリラックスさせるのに一役買っている。
「はああーっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、しんどー、はぁっ、はっ――」
彼女の名は、佐野
またの名を――
「あーっ腹減ったぁぁ喉渇いたー風呂入りたいスマホ使いたいぃ!!」
そんな今にも暴れだしそうな彼女の元に、ふわりと漂う香りがあった。
信じられない事だが、それは焼き魚の香りだった。
「うそっ? こんなトコで?」
とは言いながらも、三大欲求の1つに逆らえる筈もなく、萠莉は香りの元へと慎重に歩を進めた。
香りはどうやら、海沿いの洞窟の方から漂っている様であった。
【SSS(シャイニースター・ソアー)カース・アンゲル】
レベル6、光属性、天使族、シンクロ、効果モンスター
SSチューナー+チューナー以外のSSモンスター1体以上
ATK1900 DEF1600
このカード名の①、②の効果は1ターンに1度しか発動できない。 ①:このカードがシンクロ召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローする。②:デッキから「SS」永続魔法か永続罠カードを選択し、フィールドに表側表示で置く
①の効果で手札を増やし、②の効果でフィールドに発動状態でカードを配置出来るため、下級チューナーモンスターの特殊召喚条件を満たし易くなる。