遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム 作:とある遊戯王プレイヤー
薄暗い通路を、こつ、こつ、と進んでゆく。
心地良い緊張感が、疲弊している筈の肉体を前へ前へと進めてゆく。
扉が、再び現れた。
蹴破る様に開くと、中には椅子に座り、うなだれる男が居た。
彼は派手な音にも眉根一つ動かさず、ゆっくりと立ち上がった。
「ようやく来ましたか。道中で敗退してしまったんじゃないかと思っていましたよ」
眼鏡をカチッと押し上げ、男は言う。
「ワリィな。こっちにも色々あってよ」
「構いませんよ。では初めましょう…時間を無駄にしたくないのでね」
「おいおい…いきなり挑むかぁ?」
「それはそうでしょう? 待たせたのはそちらですし、私が遅れてしまえばそれだけ他の方の対戦も遅れてしまう」
「わーったわーった、そんじゃ行くぜ!」
「ええ」
「「デュエル!!」」
トーナメント第1決闘
カナタ LP4000
ユウ LP4000
「私の先攻。手札から【瞳の魔女モルガナ】を召喚。効果によりデッキから【死を
【レベル4、闇属性、魔法使い族、ATK1500】
フィールドに現れたのは、瞳の名を持つが目を覆い隠した魔女である。
「手札に加えた、死を謳う魔瞳を発動。私はこのデュエル中、手札のモンスター効果を使えない呪いを受けるが、自分モンスターは全て2回、相手モンスターに攻撃でき、戦闘ダメージを倍に出来ます」
「へぇ。随分攻撃的じゃねぇか」
「墓地の死を謳う魔瞳を除外し、デッキから【時を裂く魔瞳】を手札に加え、手札1枚をデッキのボトムに戻す。時を裂く魔瞳を発動。時を裂く魔瞳は私のドローフェイズのドロー枚数を2枚にし、1ターンの通常召喚を2回行えるようにする」
手札のモンスター効果を使えないデメリットは共通であるから、この場合はマイナス無しでの発動に等しい。
「そして【
(つまりは、ターンが掛かれば掛かる程、コイツの方が有利になってくって事か)
デュエルというものは速攻でカタをつけるデッキよりも、じっくりとアドバンテージを得ながら戦うデッキ…いわゆるミッドレンジタイプのデッキが有利な場合が多い。
例えば、フィールドのカードの数を相手より多く確保出来れば、ボードアドバンテージが。
相手よりライフポイントが多ければライフアドバンテージが、手札をより多くデッキから引けばハンドアドバンテージがあるといえる。
究極的には相手のライフポイントを0にすれば勝ちなのだが、安定して勝利する為には、確実に勝てる状況を作る方が重要なのである。
その為に勝ち筋を増やす。即ち、アドバンテージを得て手数を増やす必要があるのだ。
対戦相手、カナタは魔瞳カードの効果により、次のターン以降のアドバンテージを確保している。
すなわち…
(ミッドレンジか…或いはメタビート系のデッキって事か)
「魔法、罠ゾーンにカードを2枚伏せてターンエンドです」
「オレのターン、ドロー! このままメインフェイズに入るぜ!」
「どうぞ」
「オレはSSミッドソードナイトを召喚! 効果で手札からSS魔法使いモンスターを特殊召喚するぜ!」
「その効果に対し、罠カード発動! 永続罠【御前試合】! このカードが存在する限りお互いにフィールドに出せるモンスターの属性は1種類のみになります」
「ならカンケーねぇ! 手札からSSヒールマジシャンを特殊召喚! 特殊召喚時効果で、SSリザードマンを手札に加える!」
ユウの使うSSデッキは、光属性に統一されている。
アクシスクドラゴン、それを素材とする神龍は封じられたものの、その影響は大きくは無かった。
「おや、どうやら御前試合は刺さりが悪い様ですね…群雄割拠なら良かったか…」
「残念だなぁ! んなカードじゃオレは止められねえぜェ! ヒールマジシャンの効果により1枚ドロー。そしてミッドソードナイトの攻撃力は500ポイントアップするぜ!」
ミッドソードナイト ATK1450 → 1950
「そしてェ、ミッドソードナイトとヒールマジシャンでエクシーズ召喚! 現れろ【SSHセイント・パラディン】!」
「エクシーズモンスター、効果は…成程、そのモンスターでモルガナを突破するおつもりですか」
魔女モルガナには攻撃を受ける時に、墓地の魔瞳カードを除外して攻撃を無効にする効果がある。
対してセイント・パラディンは、バトル中のモンスター効果、魔法、罠カードの発動を不可にする能力があった。
「そういう事だなァ! セイント・パラディンの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、このカードの攻撃力を3500にするぜ!」
「カウンター罠【神の通告】を発動。モンスター効果の発動を無効にして破壊する。本来ならライフポイントを1500ポイント支払わなければならないですが、咎を擁く魔瞳により踏み倒します」
「なッ…んだと!?」
実質コスト無しで、セイントパラディンは破壊されてしまう。
これによりユウは大幅にボードアドバンテージを失ってしまう形となったのだ。
「でもなァ! もうお前に伏せはねえ、手札から【SSリクルート】を発動ォ! 墓地のミッドソードナイトを特殊召喚するぜ! ミッドソードナイトがSSカードの効果で特殊召喚されたので、デッキから【SSエッジストーンゴーレム】を手札に加える」
「ほぅ。堅実な動きをするものですね」
「エッジストーンゴーレムは、デッキの一番上のカードを墓地に送り特殊召喚できる! ミッドソードナイトとエッジストーンゴーレムでシンクロ召喚! 【SSSカースアンゲル】!」
【レベル6、光属性、天使族、シンクロ、ATK1900】
「カースアンゲルがシンクロに成功した時、1枚ドロー! 更にフィールドに永続魔法【SSディーリング】をデッキからフィールドに表側表示で置く。当然、ディーリングの効果で墓地に存在しない種族のSSモンスターをデッキから手札に加える! 【SSストームメイカー】を手札に入れとくぜ!」
「……よく回る」
「取り敢えずこんなトコか! バトルに入るぜ! カースアンゲルでモルガナを攻撃!」
「魔女モルガナの効果、墓地の時を裂く魔瞳を除外し、攻撃を無効にします」
突撃するカースアンゲルを、魔女の開かれた魔瞳が睨む。
するとルーン文字の呪縛が、呪われた堕天使を縛り、攻撃を無力化する。
「甘いなァ! 速攻魔法【SSサモンリピート】発動! カースアンゲルを墓地に送り手札のリザードマン、ストームメイカーを特殊召喚!」
【レベル4、光属性、爬虫類族、ATK1600】
【レベル4、光属性、鳥獣族、ATK1900】
「くっ…!?」
「特殊召喚された2体の効果だ! デッキから【SSブリーズバード】、【SSグリーン・ウィッチ】を手札に加え、追撃! リザードマンでモルガナを攻撃!」
「もう一度、モルガナの効果発動! 咎を擁く魔瞳を除外し、リザードマンの攻撃を無効にする!」
「だが、もう墓地に魔瞳カードは無くなったァ! ストームメイカーで攻撃ィ!!」
ストームメイカー ATK1900−1500 = 400
カナタ LP4000 − 400 = 3600
魔女モルガナといえど、リザードマンとストームメイカーの同時攻撃には対処出来ずに破壊された。
「やりますね…まさか、モルガナが倒されてしまうとは」
「へっ、ざっとこんなモンさ。そしてメイン2、ストームメイカーの効果、コイツ以外のSSモンスターが存在しているので、御前試合を破壊しとくぜ!」
遂に、カナタのフィールドにカードは存在しなくなってしまった。ボードアドバンテージを大幅に失っているのだ。
ユウはフィールドにモンスターを2体残し、手札もまたSSモンスター特有の効果であまり減っていない。
「カードを1枚伏せてターンエンドだぜ」
「……私のターン、ドロー」
カナタは時を裂く魔瞳の効果により、2枚のカードをドローした。
「メインフェイズに入るが、構わないか?」
「ああ、どーぞ」
「では…手札から【ダークネス・デストロイヤー】を召喚する」
【レベル7、闇属性、悪魔族、ATK2300】
そして咎を擁く魔瞳の効果によって、上級モンスターはリリースなしで召喚が可能だった。
「チッ…確かそいつぁ…」
「ええ。バトル! ダークネス・デストロイヤー、粉砕せよ。リザードマンに攻撃」
デストロイヤーATK2300 − 1600 = 700
ダメージは700であったが、死を謳う魔瞳の効果は戦闘ダメージを倍にする。
よって、1400のダメージ。
ユウ LP4000 − 1400 = 2600
「ダークネス・デストロイヤーは2回攻撃が出来る。ストームメイカーに攻撃!」
「チィッ!?」
デストロイヤーATK2300 − 1900 = 400
ユウ LP2600 − 800 = 1800
(ダメージ2倍は思ったよりキツイな…しかもヤツぁ、貫通能力も持ってるときた)
「ああ、そういえば言い忘れてたよマナカ ユウ。私はカナタ。ソラノ カナタ…君を倒す為にココにいる決闘者だ」
「なんだと?」
「もう少し分かり易く言おうか。君の役目は終わった…後は敗北するだけなのさ」
【SS(シャイニーソルジャー)ディーリング】永続魔法
このカード名の①、②の効果は1ターンに1度しか発動できない。①:このカードの発動時の効果処理として、墓地、除外状態のSSモンスター1体を手札に加える。②:墓地に存在しない種族のSSモンスター1体をデッキから手札に加えることができる。
発動時にSSモンスターを墓地、除外ゾーンから回収し、更に維持出来れば毎ターン、墓地に存在しない種族のSSモンスターを手札に加える強力なカード。カースアンゲルでフィールドに置いた場合は①の効果は使えないので注意が必要だ。