遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム   作:とある遊戯王プレイヤー

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彼方よりの刺客 ②

 

――2年前 シティ セキュリティ取調室

 

「だから違う、私は何もやっていない! 偶然あの場に居合わせただけなんだ!」

 

 ソラノ カナタ 当時22歳

 容疑「不正賭博決闘罪」

 職業 〇〇株式会社社員

 元 少年プロデュエリスト

 

「しらを切るんじゃないよソラノさん。目撃者だって居るんだ…あの夜、あなたは非公式かつデュエルギャングが元締めを行なっていた不正賭博決闘大会に出場していた。そうして優勝し、不正資金を獲得、これは間違いないな?」

 

「違う、私は上司と取引先の関係者との接待に同行しただけだ! 試合を観戦こそしていたが、出場などしていない!」

 

「…7月20日、当日の20時から翌日朝5時まで、アンタのデュエルディスクに決闘の記録が残っているんだよ。たまたま、偶然、仲の良い友人と、賭博決闘時間と同時刻に、夜通し決闘していたとでも?」

 

「馬鹿な! その時間は接待の真っ最中だ。取引先の前で無意味にディスクを起動などするものか!」

 

「おいおい…ログもバッチリ残ってんだぜ? 決闘大会に出場していたメンバーの名前だ。言い逃れは無理だって」

 

 カナタはこの時、本人の弁の通り出場などしていないし、不正資金を獲得などしていない。

 だが…デュエルディスクの決闘記録の改ざんは、一般的には不可能とされており、それを証拠として提示されては言い逃れ出来ないのもまた事実。

 

 現に彼の元に現れた弁護士も、罪を認めた上での減刑しか狙っていなかった。

 そして…同行していた筈の上司も、取引先の関係者もまた、カナタを罪人とする証言をしてしまう。

 

 彼は打ちひしがれていた。

 社会の理不尽をその身に受けた彼は、言い分を一切聞き入れて貰えぬまま、懲役7年を言い渡されてしまったのだ。

 

(何故だ! 私が何をしたというのだ!! ふざけるな! ふざけるな!!)

 

 元少年プロデュエリスト、不正賭博決闘で懲役。

 こんなセンセーショナルな話題を記事にせぬマスコミは居ない。過熱報道の結果は、彼の社会復帰でさえもを絶望的にした。

 

 そんな彼の前に、その男が現れたのは1年も過ぎた時だった。

 最早叫ぶ喉さえ枯れ果てた模範囚を、取り調べ室に呼び出した者…カナタと同年齢くらいに見える男は、こう名乗った。

 

「初めまして。私はセキュリティ副長官のファングと申します」

 

「……偉いさんが、薄汚い犯罪者に何の用だ?」

 

「何をおっしゃいます、貴方は無罪ですよ。こちらをご覧下さい」

 

 と、茶封筒に紙ベースでわざわざ印刷された書類を、ファングは差し出した。

 封筒には「332―5546 不正賭博決闘事案 最終報告書」と書かれていた。

 

 一通り、カナタが目を通している際にも、ファングは解説をしていた。

 

 大まかには。

 不正賭博決闘を主催したデュエルギャングのバックにはセキュリティの一部勢力、及び有力者、〇〇株式会社も関わっていた。

 デュエルディスク記録媒体へのハッキング、改ざんの依頼元と実行犯の正体。そして――

 

「この件に関わった人間を全て、捕縛、及び逮捕致しました。貴方の関与は一切無かった裏取りもしてあります」

 

「………で? それが何だ?」

 

「貴方は手続きを終えれば自由の身となるのです」

 

「だからどうしたと訊いてるんだよ! 私の失ったものは帰ってはこないだろうが! 無罪でした、はいそうですか、で終わる訳ねえだろ! 最初っから貴様らセキュリティがちゃんと捜査をしてりゃこんなことにはならなかったんだ! 私の失ったもの、返せるモンなら返してみろ!!」

 

「セキュリティ副長官としての私には、代表して頭を下げ、この書類を提出し貴方を無罪にする事しか出来ません」

 

「ふざけ――」

 

「しかし! 俺個人としてなら、お前を救済する方法はいくらでもある…共に来い。俺が使ってやる」

 

 カナタの声を遮った者は、既にセキュリティ長官の息子、副長官の仮面を脱ぎ捨てていた。

 

 そこに居たのは、飢えた決闘者であったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

――現在 トーナメント第1回戦

 

 カナタ LP3600

 ユウ LP1800

 

「私はバトルを終了、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 カードを引いたユウの表情は、疑念に満ちていた。

 眼前の敵決闘者は、あたかも自分を始末する任を帯びているかの様な口振りである。

 

 では、誰が?

 何の目的で?

 

「どうやらテメェにゃ飼い主が居る様だなァ! 誰だソイツは?」

 

「さて? 貴方も決闘者であるなら私に勝利して聞き出せば良い」

 

「違えねぇ! メインフェイズ、墓地のSSリクルートを除外してデッキから【SSミディエイト・サイキッカー】を手札に加えて召喚!」

 

【レベル4、光属性、サイキック族、ATK800】

 

「サイキッカーの召喚時効果で、手札の鳥獣族SS…ブリーズバードを特殊召喚! さらにサイキッカーの効果、ダークネス・デストロイヤーの攻守を入れ替える!」

 

 ダークネス・デストロイヤー ATK2300 → 1800

 

「レベル4、サイキッカーとレベル2チューナーブリーズバードでシンクロ召喚! 現れろ【SSIホワイト・ラミア】!!」

 

【レベル6、光属性、爬虫類族、ATK2400】

 

 

(……破壊された時、墓地から復活するモンスターですか…ならば、ココは待て、ですね)

 

「シンクロ素材となったブリーズバードの効果発動! 墓地の自身と同じ種族のSSモンスターを、効果を無効にして特殊召喚するぜ! 蘇れ、ストームメイカー!」

 

 これでフィールドには、ホワイト・ラミアとストームメイカー、そして――

 

「手札のグリーン・ウィッチの効果発動ォ! 墓地のエッジストーンゴーレムを除外して特殊召喚! ついでにSSディーリングの効果だァ! 墓地に岩石族モンスターが存在しなくなった、つまりデッキから岩石族の【SSキューブストーンゴーレム】を手札に加える! さァ、いくぜ! レベル2グリーン・ウィッチとレベル4ストームメイカーでシンクロ召喚! 【SSRブレイド・ホーリーナイト】ォォ!」

 

【レベル6、光属性、戦士族、ATK2200】

 

 ブレイド・ホーリーナイトの攻撃力、そして効果。

 それを確認したカナタは行動を起こした。

 

「カウンター罠【神の宣告】を発動! ライフを半分払い、モンスターの召喚、特殊召喚を無効にし破壊する…当然、払う必要はないですがね」

 

 フィールドに降り立とうとした翼持つ戦士は、神の一撃により撃ち落とされ、砕け散った。

 

「ぐっ、またかよ!!」

 

(ブレイド・ホーリーナイトはモンスターを破壊した時に、攻撃力分のダメージを与える効果。デストロイヤーの攻守を逆転させたのは、攻撃力2200のホーリーナイトでも戦闘破壊可能にし、ダメージソースとする為だった…残念でしたね)

 

「仕方ねぇバトルだ! ホワイト・ラミアでデストロイヤーを攻撃!」

 

 ホワイト・ラミア ATK2400 − 1800 = 600

 カナタ LP3600 − 600 = 3000

 

「ダークネス・デストロイヤーは戦闘破壊されるよ」

 

「メイン2、2枚カードを伏せてターンエンドだ」

 

 依然として形勢は、ユウの優勢という結論になるだろう。

 シンクロモンスター、ホワイト・ラミアと伏せカードが3枚とSSディーリング。そして手札が3枚。

 

 対してカナタのフィールドにカードは存在せず、手札もこれからドローする2枚のみとなる。

 これほど、アドバンテージ差のついた状態から彼が逆転する手段など、そうそうは無い。

 

「ふふ…」

 

「あ? 何ニヤけてやがる?」

 

「これは失礼。ドローに命運を預けるなど久々の事でね、つい」

 

「んなヤベェ状況がニヤける程楽しいか? ワケ分からん感性だな」

 

「近代の決闘ではあまり馴染みの無い感覚かもしれませんが、ね。私のターン、ドロー」

 

 デッキから2枚のカードを引くカナタ。

 その札を見た彼は、目を見開いた。

 

「…メインフェイズに入る」

 

「ああ。来な!」

 

「魔法カード【ハーピィの羽根箒】を発動。君の魔法、罠カードを全て破壊させて貰う」

 

「おいおい嘘だろお前ェ!!」

 

 羽根箒が、ユウのフィールドの魔法・罠ゾーンを掃き飛ばしていった。

 SSバリア、SSグラトニーデビル、SSディーリング、霊王の波動が破壊されてしまったのである。

 

「更に、手札から【強欲で貪欲な壺】を発動。デッキトップから10枚を裏側表示で除外し、2枚ドローする」

 

(何だコイツ…さっきから、引きが馬鹿強ぇ)

 

「私は手札から【クラッキング・ドラゴン】を召喚」

 

【レベル8、闇属性、機械族、ATK3000】と表示。

 上級モンスターであるが、リリースは咎を擁く魔瞳で不要。

 

「バトル…クラッキング・ドラゴンでホワイト・ラミアを攻撃!」

 

 クラッキング・ドラゴン ATK3000 − 2400 = 600

 ユウ LP1800 − 1200(死を謳うで倍加) = 600

 

「ぐっ、オオオ!? だが、ホワイト・ラミアが戦闘で破壊された時、テメェのクラッキング・ドラゴンの攻撃力は1000ダウン、攻撃と効果を封じて貰うぜ!」

 

 ホワイト・ラミアの長い尻尾が、クラッキング・ドラゴンに巻き付き、拘束する。

 

 クラッキング・ドラゴン ATK3000 → 2000

 

「メイン2、私は永続魔法【亜空間物質回送装置】を発動。フィールドのクラッキング・ドラゴンを除外し、その後フィールドに戻す」

 

 亜空間物質回送装置…とやらから放たれた光が、クラッキング・ドラゴンを包み転送する。

 直後、再びクラッキング・ドラゴンがフィールドに戻って来る訳だが…

 

 クラッキング・ドラゴンに絡み付いた、ホワイト・ラミアの尻尾は消え失せてしまっていた。

 

 クラッキング・ドラゴン ATK3000

 

「チィッ…クソッタレがぁ!!」

 




【SS(シャイニーソルジャー)ブリーズバード】
 レベル2、光属性、鳥獣族、チューナー
 ATK500 DEF200

 このカード名の①、②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:フィールドに「SS」モンスターが存在し、墓地に「SS」カードが存在しない場合、このカードを手札から特殊召喚できる。②:このカードがシンクロ素材として墓地に送られた場合、墓地のこのカード以外の鳥獣族「SS」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で効果を無効にし特殊召喚する。

 特殊召喚条件が若干厳しく、更に墓地から後続を確保出来るとはいえ、①と②の効果を同一ターンで使用するには工夫が必要なカード。しかし使いこなせれば強力ではある。
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