遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム   作:とある遊戯王プレイヤー

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堕ちた天使 ③

 

 ルシア LP5500

 失楽の堕天使 ATK1600

 堕天使イシュタム ATK2500

 堕天使ルシフェル ATK3000

 堕天使ネルガル ATK2700

 堕天使スペルビア DEF2400

 S:Pリトルナイト ATK1600

 

 ユウ LP4000

 SSミッドソードナイト ATK1950

 SSヒールマジシャン DEF2000

 

 戦力差は歴然としていた。

 モンスターの数でも大差がついている上、ルシアにはリトルナイトの妨害、イシュタムとネルガルの、1000ライフを払って墓地の堕天使カードの効果を適用する共通効果があり、捲り返すのも尋常でない労力が必要だった。

 

(この状況でアタシの負けは無い…導き無しでここまでやれた。後はボウヤ…あなたがアタシのものになってくれれば――)

 

 

 

 ――ルシアは、かつての自分を思い出していた。

 平凡な家に生まれ、平凡な家庭に育ち、平凡なスクールに通い…そしてただ一度の奇異が彼女の全てを奪った。

 

 焼け焦げた瓦礫を無我夢中で踏み締めた彼女には、ただ一つのものしか残されていなかった。

 【堕天使】デッキ。

 ルシアのただ一つの思い出。

 

 失ったものはあまりにも多く、遂には言葉が口から吐かれる事も無くなりつつあった、あの日。

 

『ねぇ、使い手さん。私と一緒に堕ちてみない?』

 

 そう言って、一体のモンスターが彼女の前に現れた――

 

 

 

「フィールドのヒールマジシャンの効果発動ォ! 他のSSモンスターが存在するから1枚ドローだ!」

 

 物想いにふけるルシアを、ユウの言葉が引き戻した。

 

「……ええ、どうぞ」

 

「ドロー! ミッドソードナイトとヒールマジシャンでエクシーズ召喚! 現れろ【SSMフレイム・マニュピレート】!」

 

 炎纏うサイキック戦士が顕現する。

 ルシアにはその姿が何故か不快であった。

 

「フレイム・マニュピレートの効果発動ォ! エクシーズ素材を一つ取り除き、フィールドのモンスター1体を破壊するぜ! 対象はS:Pリトルナイト!」

 

 成程、上手い手を考えるものだ、とルシアは感心した。

 通常リトルナイトというモンスターは、相手が効果を発動した際、自身と他のモンスターを対象にし、除外ゾーンへとエスケープ出来る効果を持っている。

 

 そしてターン終了時には何事もなく帰ってくる為、倒す事が困難を極めるモンスターなのだ。

 しかしながら、エクシーズ素材を持つフレイム・マニュピレートは除外されず対象に取れない。

 

 即ち、リトルナイトが効果破壊から逃れるには、自分フィールドの他のモンスターと共に、除外ゾーンへとエスケープしなければならない。

 これでは単純に自分のモンスターが減ってしまい、戦力ダウンに繋がってしまうことも多い。

 

(どうしましょうか…こんな時、堕天使達ならなんて言ってくれるの?)

 

『主よ、あれは効果を使わせる為のブラフに過ぎない! ここはリトルナイト嬢を助けてはならぬ!』

 

 と、堕天使ルシフェルの精霊? が、ルシアへと叫ぶが、その声はやはり届いていないらしい。

 

「アタシは堕天使ネルガルの効果を発動。1000ライフポイントを支払い、墓地の【神属の堕天使】の効果を適用…あなたのフィールドのモンスターを選んで効果を無効にするわぁ」

 

 ルシア LP5500 → 4500

 

 結果的にルシアは選択した。

 しかしこの選択は間違いではない。

 相手モンスターを巻き込み、自由自在にフィールドと除外ゾーンを行き来出来るリトルナイトは強力な妨害として残しておくべき、との考えからだからだ。

 

「その効果にチェーンして、手札から速攻魔法【SSサモンリピート】を発動ォ! フレイム・マニュピレートをリリースし、デッキ・手札から2体までSSモンスターを特殊召喚するぜェ!」

 

「なっ…?」

 

 神属の堕天使は、フィールドのモンスター効果しか無効化出来ない。

 一方でフレイム・マニュピレートは効果を使ったが、今はリリースされてフィールドに存在しなくなった。

 

 つまり、無効化する対象であったフレイム・マニュピレートは、神属の堕天使の効果範囲から逃れた。

 

 このままではフレイム・マニュピレートに、リトルナイトを破壊されてしまう。

 

「くぅっ…やるわねボウヤ! サモンリピートにチェーンしてリトルナイトの効果発動。自身と堕天使スペルビアを対象とし、フィールドから除外するわぁ」

 

 直後、リトルナイトはスペルビアにクナイ型ワイヤー手錠を掛け、共に次元の穴へと逃れた。

 

「サモンリピートの効果により、デッキから【SSグリーン・ウィッチ】、【SSミディエイト・サイキッカー】を特殊召喚!」

 

「フィールドにモンスターが出た事で、神属の堕天使の効果が適用されるわぁ…SSミディエイト・サイキッカーの効果を無効にし、攻撃力分…800のライフポイントを回復」

 

 ルシア LP4500 → 5300

 

 そして最後に、フレイム・マニュピレートの放った火球が、リトルナイトの居た場所を通過し、霧散した。

 

「ミディエイト・サイキッカーの効果は無効になっている。サーチ効果は通らねぇ…が、アンタの妨害、ほとんど無くなっちまったなぁ?」

 

(確かに…リトルナイトとネルガルの効果は使ってしまった。でもねボウヤ、アタシにはまだとっておきが残っているのよ…ねぇ、イシュタム)

 

 ルシアは、相手フィールドへと視線を向ける、堕天使イシュタムの姿を見た。

 イシュタムは当然ながら何も答える筈もない。ソリッドビジョンなのだから。

 

 だが…ユウには見えていた。

 自らの主に対して、強い眼差しを向ける堕天使達を。

 彼等は想定外の出来事を受けても尚、浮足立つどころか、戦意を増すばかりである。

 

(なんで…あの女には見えねぇんだろうな)

 

 ユウにしては珍しく、そう思った。

 彼とて普通の人間としての感覚程度は備わっている。今もルシアに彼らの声が届いていれば、決闘者としては、また違った存在になっただろう、と。

 

「…オレは、レベル2グリーン・ウィッチとレベル4ミディエイト・サイキッカーでシンクロ召喚! 来な【SSSカースアンゲル】! カースアンゲルはシンクロ成功時に1枚ドロー出来る」

 

 デッキから更にドローを重ね、手札を増やしたユウには既に…逆転の手が見えていた。

 問題は…堕天使イシュタムの効果が、未だに残っていること。

 

「カースアンゲルの効果発動! デッキから永続魔法【SSディーリング】を表側表示で置く」

 

 この場面は、いわゆるマストカウンターと言えるところであった。

 ユウの場にはフレイム・マニュピレートとカースアンゲル。そしてディーリングがフィールドに置かれている。

 

 ルシアは、ここが勝負所か否かを見極める必要がある。

 とっておきを使うか否か。

 ルシフェルは叫んだ。『主よ! 今だ!』と。

 

(あの永続魔法はサーチカードの様ね…野放しにすれば更なるカードを加えられてしまう。だけど、ボウヤはまだ召喚権を使っていない…そして手札にはリザードマンがある)

 

 だが、それでも、リザードマン1体から何が出来るのか。

 ルシアには分からないが、現在のフィールドの状態で止めなければ、更なる展開を許してしまう気がする。

 

(召喚権を残してはいるものの…ここはやっぱり)

 

「アタシはイシュタムの効果を発動! 1000ライフポイントを支払い、墓地の【叛逆の堕天使】の効果を適用…堕天使ルシフェル、イシュタム、ネルガルの3体で融合召喚を行うわぁ…【黎明の堕天使ルシフェル】を融合召喚」

 

 ルシア LP5300 → 4300

 

 黎明の堕天使ルシフェル

【レベル12、闇属性、天使族、ATK4000】

 

 漆黒の多翼を広げ、現れたのはルシフェル…に似た、更なる強者であった。

 

「攻撃力4000だとォ…?」

 

「それだけじゃないわぁ。堕天使ルシフェルを素材として融合召喚した彼は…降臨した時、敵対する全てを無へと還す」

 

『滅びよ』

 

 ルシフェルがそう宣言し、オーラ光の灯る剣を振るった。

 直後、そこから放たれたであろう衝撃波か何かが、フレイム・マニュピレートを、カースアンゲルを、ディーリングを両断し、消し飛ばした。

 

 結果、ユウのフィールドには1枚のカードも残らぬ焦土と化した。

 

『終わりだ小僧。我等の力、存分に味わって堕ちるがいい』

 

「へっ…ちと計算は狂ったが、これでいい…」

 

 それでもユウは、手札を1枚つまみ上げ、デュエルディスクへとセットした。

 

「ようやく…妨害を使い切ってくれたなァ!! オレは手札からSSリザードマンを召喚し、効果発動! 手札からサイキックSSモンスター【SSアドバンスド・サイキッカー】を特殊召喚!」

 

 SSアドバンスド・サイキッカー

【レベル5、光属性、サイキック族、DEF1900】

 

「レベル5…? 一体何をするつもり?」

 

「簡単だ。アドバンスド・サイキッカーが特殊召喚されているメインフェイズ、コイツの上にエクストラデッキからエクシーズモンスターを重ねられるんだよ! オレは【SSCフォーチュン・テラー】を重ねてエクシーズ召喚!」

 

 SSCフォーチュン・テラー

【ランク4、光属性、魔法使い族、ATK2000】

 

「魔法カード【SSリターン】を発動! 墓地のミッドソードナイト、ヒールマジシャン、ミディエイト・サイキッカー、エッジストーンゴーレム、グリーン・ウィッチをデッキに戻し2枚ドロー! 更に、フォーチュン・テラーの効果発動! エクシーズ素材を取り除き、デッキからレベル4以下のSSモンスターを特殊召喚する! 来い【SSストームメイカー】!」

 

「そんな…あの状況から、まだ動くのぉ?」

 

『だが、我の攻撃力を上回れる筈はない』

 

「ストームメイカーの効果発動! デッキから魔法使い族モンスター、SSグリーン・ウィッチを手札に加え、墓地のSSMフレイム・マニュピレートを除外してそのまま特殊召喚! ストームメイカーとグリーン・ウィッチでシンクロ召喚! 現れろ【SSGスフィアストーンゴーレム】!」

 

 SSGスフィアストーンゴーレム

【レベル6、光属性、岩石族、ATK2600】

 

「スフィアストーンゴーレムの効果発動ォ! 除外されているSSMフレイム・マニュピレートを守備表示で特殊召喚! オレはフィールドのスフィアストーンゴーレムと、フレイム・マニュピレートを墓地に送り――」

 

(何? ボウヤは何をしようとしているの?)

 

「さぁ、来やがれ!! 【SSL白光龍エリプシス・ドラゴン】!!」

 

 SSL白光龍エリプシス・ドラゴン

【レベル8、光属性、ドラゴン族、ATKTK2500】

 

 遂にユウのフィールドに、白光龍が降臨した。





【SSG(シャイニースター・グラヴィティ)スフィアストーンゴーレム】
 レベル6、光属性、岩石族、シンクロ、効果モンスター
 SSチューナー+チューナー以外のSSモンスター1体以上
 ATK2400 DEF2500

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動できない。 ①:このカードがシンクロ召喚に成功した時、除外されている自分のSSモンスター1体を自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。②:このカードがフィールドに存在する限り、相手は他の自分フィールドのモンスターを効果の対象に出来ず、攻撃対象にできない。③:このカードのシンクロ召喚の素材としたモンスターに岩石族が使用されていた場合、このカードは効果では破壊されない。

 除外されているSSモンスターを特殊召喚する効果が本命ではあるが、このモンスター自体も非常に強固な耐性を持つことから、相手のターンを凌げることも多々あるだろう
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