遊戯王デュエルモンスターズ 遊技島のサバイバルデスゲーム   作:とある遊戯王プレイヤー

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火炎地獄! 恐るべきバーンデッキ

『――ということですからマスター、対戦相手を無用に煽ったり、挑発したりするのは誇り高き決闘者としてはいかがなものかと思うのです』

 

 と、SSミッドソードナイトの小言というか愚痴は、実に10分は続いた。

 クククッ、と笑いを堪えるアミと、いつの間にかデッキから出てきている精霊、舞獅子姫。

 

 言いたい事を言っている側は初め戦々恐々とした様子であったが、今は若人を導く賢者の如き様子へと変わっている。

 

 聞き手側の主といえば、あからさまなキレ顔を披露していた。

 

 時折、デッキから聞こえる歓声らしい声も、ユウの怒りに拍車をかけていた。

 

 いわく『おぉ、遂にマスターに物申したぞ』だの『いいぞいいぞ~! 男を見せた!』『よっ、俺らの代弁者!』といった具合だ。

 

「なぁるほどぉ……お前らの言いたい事は、物凄くよぉぉ~〜〜く分かったぜ」

 

『おお! ならばマスター、改善して頂けるので――』

 

「うるせぇ」

 

『えっ……?』

 

「うるせぇんだよカードの分際で言いたい放題言いやがって!! オレがマスターってんなら従うのがテメェらの役割だろうが!」

 

『し、しかし! 以前のマスターはそれこそ模範と言える――』

 

「ッ!? 黙れ!! 負けたらくたばる殺し合いなんだぞ!? ルールなんざ知ったことか!」

 

 ユウの言葉にミッドソードナイトも、デッキのモンスターらも沈黙した。

 

『……』

 

「第一、カードなんぞが喋んな。大人しく戦ってりゃいいのさ」

 

『お、おいおい、今のは無いぜ』

 

 観察していたライオがそう言うが、一度吐いた言葉は飲み込めない。

 

『マスター……今の言葉は本心からか?』

 

 ミッドソードナイトの声色が変わる。

 

「…………あぁ、そうだ、当たりめぇだろうが!! テメェらはオレが上手く使ってやらねぇとなんも出来ねぇだろ!」

 

『……了解した。もう我は、二度と貴様などに協力しない』

 

「あぁ!? テメェ今なんつっ――」

 

 ユウが言い終わらぬ間に、ミッドソードナイトはデッキへと戻っていった。

 

「おいコラ、まだ終わってねーぞ!!」

 

『…………』

 

 デッキから返ってくるものはない。

 

『あ~あ~やっちまったな。おいユウ、お前絶対謝っといた方がいいぞ』

 

「へっ、誰が! 悪ィのは調子乗ったアイツの方だね」

 

「ユウ、少しは彼らに歩み寄りなさいよ」

 

「なんでオレが! そもそも勝つ為に何でもする連中相手に礼儀だのマナーだの甘い事言ってられねーくれぇ誰でも分かんだろ、えぇ!?」

 

『やれやれ、見込みのある野郎だとおもってたが、まだまだガキンチョだな』

 

 見るに耐えないといった調子で、腕組みするライオダンサー。

 アミは、ユウに背を向けるとこう言った。

 

「カードとプレイヤーは一心同体のパートナー……アタシの尊敬するヒトの言ってた言葉よ。どんなデュエリストだろうと、デッキの1枚1枚のカードは自分で選んだものの筈でしょ?」

 

「テメェまでオレに説教か?」

 

「まさか。ただアナタ、幸せ者ねって事」

 

 そう言い残すと、スタスタと歩き出すアミ。

 

「はぁ? 意味わからんわ! ってかどこ行くんだよ」

 

「ご飯の調達に拠点の確保。適当な鳥とか魚を取ってくるわ。アナタはやる気あるなら、寝泊り出来る良い場所でも探してなさい」

 

「チッ……おい!」

 

 ユウは、もう一度デッキに手を置いてみたが、もう彼らの声は聞こえなかった。

 

「……ったく、好きにしやがれ」

 

 

 

 

 

 

――『ったく、あのユウってガキンチョ、マジでいけ好かねぇぞ。だいたい勘違いもいいとこだ、実際身を呈して戦ってんのはアタイ達だぞ』

 

 曇りがちな空を恨めしげに見上げながら、ライオダンサーが言う。

 

「そうね。でも彼、そんな事は分かってると思うの。ただ、環境が彼を歪めてしまったのかも。ミッドソードナイトも、以前のマスターは、と何かを言おうとしていたし」

 

 それに精霊の声も聞けたし、と付け加え、草木を掻き分けながら慎重な足取りで進むアミ。

 彼女の隣をライオが歩いている。

 

『そんなモンかね? しっかし、マスターってのは長と一緒だぜ、労いの言葉一つ掛けれねえ長に仲間は着いて来ねえ』

 

「ふふ、彼は少し素直になれれば良いだけよ」

 

『へ~~やけにアイツの肩を持つんだな。もしかして好みのオスなのか?』

 

「馬鹿言わないで論外よ。もっと背が高くてマッチョで紳士的だったら、少しは惹かれてたかもだけど」

 

『んな理想が高いから、ツガイがずっと居ないんだぞ』

 

「お黙り。さっさと――」

 

 この時のアミは、迂闊だったという他ない。

 飛んできたデュエルアンカーが、ディスクに嵌まり込む。

 

「しまった!」

 

 だが……アンカーの先に居る相手は、ゾンビではなかった。

 そこに居たのは病的に痩せこけた人間だった。顔には複数のマーカーが刻まれている。

 

 どうやら、他のプレイヤーの様だ。

 

「へぇぇ~君みたいなキレイどころも参加してるんだぁ~いいよいいよ~、盛り上がるねぇ絶対」

 

「……アナタ、デュエルアンカーを使う意味、分かってる?」

 

「あぁ~知ってる知ってる。負けた方が死ぬんだろぉぉ~? 僕はねぇ、もう四人も殺ったよぉ~」

 

 男は、既に複数人を倒している。

 そして未知の相手にいきなり勝負を仕掛ける積極性がある。

 そんな真似が出来る以上、デッキには相当自信を持っているであろうことが伺えた。

 

「ふっ…私も見くびられたものね」

 

「強がり、いいねぇぇ~。でも僕ちゃんこと、ラッカー・ピッカーはめちゃくちゃ強いからねぇ~?」

 

『うわぁコイツ、キワモノだな~』

 

 ライオの言葉が相手に届かなかったのは幸いだ。

 

「そう。じゃあ次からは相手をよく見て喧嘩を売ることねラッカーさん?」

 

「ふひひひひ君がキレイだからじっくり見てたよぉ~。あ、そうそう、君のお仲間にはぁ~僕の相棒が向かっているからねぇ~」

 

「へぇ? 生憎、彼は仲間じゃないわ。まだ、ね」

 

「そんなのウソだね。気の毒に〜僕の仲間はえげつないよぉ〜」

 

「なら貴方は大した事ないのね」

 

 互いのデュエルディスクがけたたましい音をたてて起動する。

 

「「デュエル!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ユウは、忙しなくウロウロと、辺りを散策していた。

 そんな彼にも危機が目の前に迫る。

 

(寝泊り出来る場所なんざ、そうあるかよ。精々、あの木陰とか――)

 

 と、何気なしに大樹へと目を向けた直後だった。

 

「ヒョオオオオオーー!」

 

「なっ!?」

 

 咄嗟にその場を飛び退くユウ。ほとんど本能の行動だった。

 だがその、獣じみた判断は正しかった。

 

 先程まで自分の居たところを、杭状に尖った木の枝が通過する。

 一瞬でも遅ければ、それは脳天を貫いていただろう。

 

「キィエエエエエぁぁ!!」

 

 更に、木陰から躍り出たそいつは、加工枝を投げ槍の如く投てきした。

 

 ユウの頬をかすめ、飛んでゆく加工枝。

 頬を伝う、血。

 

「何だテメェ! やる気かコラァ!」

 

 奇声をあげて襲い掛かってきたのは、小太りスキンヘッドの男だった。

 しかし、何より特徴的だったのは顔面だ。

 

 罪の証であるマーカーが無数に刻まれ、一見し地肌が見えない程であった。

 恐らく、凄まじい数の前科をもった特A級犯罪者だろう。

 

「ひひ、ひ、き、奇襲は失敗ッ! しょうがないデュエルだぁぁひぃぃぃぃあああ!」

 

 爬虫類を思わせる長い舌を、ベロベロちらつかせながら、男はデュエルディスクを示した。

 

「ハナッからそうしやがれ糞野郎!」

 

「デュエルアンカーいけぇぇ!」

 

 デュエルアンカーが伸び、ユウは敵と繋がれた。

 それは敗北者の人生が終わる、デスマッチを意味する。

 

「いいぜ! 返り討ちにしてやらぁ!」

 

「「デュエル!!」」

 

「お、おでのせ、先攻ぅぅぅ!! 手札から魔法カード、【デス・メテオ】発動ォ!」

 

「なんだと!?」

 

 特A級犯罪者が発動したカードは、相手プレイヤーに直接1000ポイントものダメージを与えるカードだ。

 ただ、相手プレイヤーのライフポイントが3000以下だと発動できない。

 

 つまり、ライフが満タンな現状でしか発動条件を満たせないラッキーなカードだった。

 巨大な隕石が降り、ユウを直撃する。

 

「ぐああ!?」

 

ユウ LP4000 - 1000 = 3000

 

「へひぃ、ひひひひひひ! まだまだぁ、魔法カード【昼夜の大火事】を発動ォ!」

 

 更に、相手のライフポイントに800のダメージを与えるカードが発動。

 ユウのライフは更に減り、残り2200。

 

(コイツ、バーンデッキ使いか!)

 

 バーンデッキとは、相手のライフポイントを焼き切る事のみに主眼の置かれたデッキである。

 

「カァーははははははぁ、苦しいかぁ? 辛いかぁぁぁ!?」

 

「いいから早く続けろ腐れ脳ミソが!」

 

「モンスターをセットォ! カードを2枚伏せて、ターンエンドォォ!!」

 

「オレのターン、ドロー」

 

 これで、手札は6枚。

 だがユウは内心、イラついていた。手札には、モンスターカードが1枚も無いのだ。

 

(チィッ、事故もいいとこだ!)

 

『もう我は、二度と貴様などに協力しない』ミッドソードナイトの声が脳裏によみがえる。

 

「きぃはああああああ! この瞬間おではトラップ発動! 【仕込みマシンガン】! 相手の手札・フィールドのカードの枚数×200のダメージを与えるぅぅ!」

 

「ぐ、ぐぅうっ!?」

 

 ユウのフィールドにカード無し、だが手札は6枚ある。よって、1200のダメージを受ける。

 

 ユウ LP2200 - 1200 = 1000

 

「くそがぁ、チマチマと!」

 

「な、何も出来ないだろぅぅ! 悔しいだろ、うぅ!! 泣けぇぇ、叫べわめけぇぇヒョオオオオオーー!!」

 

(チクショウ……コイツに賭けるしかねぇ!)

 

「オレはカードを4枚伏せ、ターンエンド!」

 

 モンスターを出さないユウに、特A級犯罪者は小躍りしながら言った。

 

「う、うきょきょー!! 終わり? これはもうおでの勝ち!?」

 

「うるせぇ、テメェのターンだ!」

 

「お、おでのターン、ドロー!」

 

(ヤツの手札は2枚。伏せカードは1枚、そして裏側守備のモンスターが1体…オレのライフは1000しかねぇ…どう来る…?)

 

「ひぃやぁ……」

 

 特A級犯罪者の顔が、愉悦に歪んだ。

 

「お、おではっ、魔法カード【火炎地獄】を発動ォォ! 勝ったああああ!!」

 

「!?」

 

 カードから発せられた炎のビジョンが、ユウを包み込んでいった……。

 




【SSストラテジー】永続罠

 ①:1ターンに1度、手札を任意の枚数墓地に送り、墓地に送った枚数だけ相手の魔法・罠カードを破壊できる。②:このカードの効果で「SS」カードを墓地に送った場合、自分のデッキからカードを1枚ドローする。③:表側表示のこのカードを墓地に送り、発動する。このカードの効果で墓地に送ったカード1枚を手札に加える。この効果は発動ターンには使用できない。



 SSデッキのバック剥がしカード。罠の為に速効性が無いのがマイナスながら、SSカードを墓地に送ればドローにより損失を回復できる。また、邪魔になれば自ら墓地に送れるのも良好点だ。
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