緋弾のアリア×IS 緋と蒼の協奏曲   作:竜羽

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新作、被弾のアリア 緋と蒼の協奏曲 始まりました。
他の作品もありますので早めの更新とはいきませんが、気長に待ってください。

それでは、開幕です!



第一部
プロローグ 二つの朝


人生っていうのは何が起こるのかわからない、予測不能な事象っていうのがある。

 

数多の小説、アニメ、映画、二次創作。これらでよく似たようなセリフが使われるが、所詮は空想の中の出来事で、実際にそんなことあるわけがない。

 

と、俺も昔は思っていた。

 

ある日、いきなり不思議な力に目覚めたり、自分の家に腹違いの妹が転がり込んで来たり、ベランダに女の子が引っ掛かっていたり、なんていう突拍子もないことがまさか実際に起こる。

 

今、俺の言ったことを笑ったやつ。俺に謝れ。

確かに俺も数年くらい前まではそう思っていた。だがな、人生っていうやつには本当に何が起こるのかわからないんだ。

 

例えば、いきなり実家に呼び出されたかと思えば、勘当されたり、ショックで海外に留学してみれば、変なおっさんに捕まって無理やり弟子にされたり、紆余曲折の末に女の子と同棲生活が始まったりしたら、この言葉を信じてしまい気になってもしょうがないだろ?

 

極めつけにだ、この俺、東京武偵高校二年生、八神和麻は、今

 

「なんで朝からチャリジャックに合っているんだ!!」

 

「ちょっと!和麻もっとスピード出して!あれに追いつかれるわ」

 

「お前は乗っているだけだから楽だよな、流無!」

 

絶賛命がけのカーチェイス、もといチャリチェイスをしているんだ。俺の彼女、腰まで届きそうな水色の髪に深く、吸い込まれそうな蒼い瞳を持つ美少女、蒼神流無(あおかみるな)と二人乗りで。

 

ああ、なんでこうなったんだ?

 

 

 

 

 

今朝の朝は、通っている武偵校の新学期ということを除けばいつも通りだった。

 

武偵校こと東京武偵校はレインボーブリッジの南に浮かぶ南北2キロ・東西500メートルの長方形をした人工島(メガフロート)の上に設立された、『武偵』を育成する総合教育機関だ。

 

『武偵』とは凶悪化する犯罪に対して新設された国家資格で武偵免許を持つ者は武装許可や逮捕権など、警察に準ずる活動を許される。

警察とは違うのは金で雇われれば武偵法の許す範囲でならどんな仕事でもこなす『便利屋』といったところだな。

 

で、ここ武偵校では普通の高校で習うような一般科目に加えて、その名の通り武偵の活動にかかわる専門科目を履修できる。

俺で言えば、強襲課(アサルト)を履修している。流無も同じく強襲科(アサルト)を履修している。ついでに自由履修として超能力捜査研究科(SSR)も履修している。

 

こんな感じの武偵養成機関が世界中にあって、そこでは日夜一人前の武偵になるために少年少女たちががんばっている。

 

俺達は東京武偵校の生徒で、今日から二年生になる。

俺と同居人の遠山金次(とおやまきんじ)、通称キンジの寮室に、いつも通りやってきたキンジの幼馴染である星伽白雪(ほとぎしらゆき)と俺の彼女、蒼神流無(あおかみるな)のお手製朝食弁当に互いに舌鼓を打ち、白雪が先に帰り、俺達強襲(アサルト)組(キンジは探偵科(インケスタ)だが)は一緒に寮を出て、バスに乗りそこない、チャリで登校していた。

 

そのはずなのに。

 

「なんでいきなり現れた『セグウェイ』三機に「その チャリ二台には 爆弾 が 仕掛けて ありやがります」ってイスラエルIMI社傑作の短機関銃(サブマシンガン)UZI(ウージー)を突きつけられながら脅されているのかしらねぇ?」

 

「「知るか!」」

 

「アッハッハ」

 

隣を爆走していたキンジと一緒に俺は流無に心からの突っ込みを入れた。

俺の彼女はその腰まで届きそうな水色の髪をなびかせながらケラケラと楽しげに笑う。

 

「和麻!このままじゃらちが明かないぞ?!」

 

隣で俺と同じくチャリで爆走しているキンジが必死な形相で話しかけてくる。

 

「んなことは分かっている!だが、この状況で俺達は銃は使えない。今この場で頼りになるのは・・・」

 

俺はそう言って後ろで二人乗りしている流無に目を向ける。

 

「あ、もしもし。いま学校に向かっているところ~」

 

「「こんな時に電話してんじゃねぇ!」」

 

く、万策尽きたか・・・。

 

セグウェイに追いかけられたまま俺たちが走り続けて、人気のあまりいない武偵校の第二グランドに入る。

すると、キンジが何かに気が付いたように隣接する女子寮に目を向けた。

そこの屋上には、一人の、女子と思われる人物がいて、

 

「飛び降りたわね」

 

流無の言うとおり飛び降りたのだ。

しばらく滞空飛行していたが事前に用意してあったのかパラグライダーを広げる。そして、こっちに向かってきた。

 

空から女の子が降ってくる。

 

これもまた、人生に起こる予測不可能な事象。

 

「バッ、バカ!来るな!この自転車には爆弾が――」

 

「ほらそこのバカ三人!さっさと頭下げなさいよ!」

 

その言葉に俺は反論する。

 

「「訂正を要求する(わ)!バカはそこの根暗だけだ(よ)!!」」

 

「テメェら、後で覚えてろよ!」

 

どうやら流無も同意見だったらしい。流石俺の彼女。

そして、飛び降りた子はその緋色のツインテールをなびかせながら太ももの二丁拳銃を抜き、狙いを定める。

 

「大丈夫よ!私たちは自力で何とかするからそっちを助けてあげて」

 

流無はそう言うとひらりと飛び上がり、

 

「おい。どういうつもりだ?」

 

俺に肩車をした。ただし普通の肩車と前と後ろを逆にして。

 

「あら?いいじゃない。私の今日のパンツが見られるのだから」

 

代わりに前が見えねえんだよ。真っ黒で。

 

「今日は気合を入れて黒にしてみました♪この間白雪ちゃんと買ったやつ。それにあなたなら前が見えなくても、風が教えてくれるでしょ?」

 

まあ、確かに俺にとっては目を閉じていても問題はないんだけどさ。

 

「じゃあ、いってみましょう」

 

おそらく、こいつは懐からあれを出したんだろうな。

 

「反動に備えるから、ちょっと失礼」

 

さらに強く組み付いてきやがった。なんかいろいろやばい。こんなことキンジがされたら間違いなくヒスるな。

というかこいつぶっ放す気だ。こいつの銃、

 

「デザート・イーグル・ルナカスタム。発射(ファイア)!」

 

流無の手に握られた蒼い色の拳銃から.50AE弾、キンジが使っているベレッタという銃の弾丸より灼三倍の威力を持つ弾が三連射され、後ろのセグウェイ三機を破壊する。

 

デザート・イーグル。

世界最強の自動式(オートマック)拳銃の一つといわれる大型拳銃だ。銃身も反動もずば抜けて大きく、とても流無のような女の子に扱えるような代物ではない。

それを流無は自分で改造し、威力をそのままに大きさ、反動をできる限り軽減した。

それがD・E(デザート・イーグル)・ルナカスタムだ。

他にもいろいろ改造を施している。

普通、銃の改造なんて、整備科(アムド)や職人に依頼するというのに。

 

全てのセグウェイが破壊されたのを見たのか、パラグライダーの女子も銃をしまってキンジを助ける体勢に入ったのを感じ取る。

 

「流無。いい加減どけ」

 

「え~、どうしようかな~」

 

こいつ、こんな時までドS精神を発動させやがって。

 

「じゃあ、条件。私をお姫様抱っこしてくれたら退いてあげる」

 

「はぁ~、わかったよ。やってやるよ。やればいいんだろ!?」

 

「うん。素直でよろしい」

 

もうお前との付き合いも二年くらいになるんだ。いろいろあきらめた。

 

俺が少し感傷に浸っている間に、流無は俺の肩の上に足をのせて立ち上がる。

簡単に言っているが今現在、爆弾が爆発しないようにチャリを爆走中だぜ?そんな中でよく立てるよな。

 

「じゃあ、よろしくね☆」

 

そう言うと膝をかがめて飛び上がる。

それと同時に俺も立ち上がってすぐさま飛び上がる。

そして、風に乗って(・・・・・)上昇しながら流無を要望通りに空中でお姫様抱っこでキャッチする。

 

「ありがとう♪」

 

「どういたしまして」

 

そして、風を踏みしめながら、地面に降りる。

耳に爆弾で爆発した音が聞こえる。

 

「あ~、俺のチャリ・・・」

 

結構気に入っていたのに。また買いに行かねえと。

 

「さてと。じゃあキンジ君たちのところに行きましょう。きっと面白いことになっているわよ!」

 

そう言って走っていく流無を俺は仕方なしに追いかけた。

確か、さっきあいつはあの女子の胸に顔をうずめながら体育倉庫の方に飛んで行ったけ。

 

 

 

 

 

そして、キンジとあのパラグライダー女子がいるだろう、体育倉庫に向かったのだが。

 

「あ た し は 高 2 だ!!」

 

「私は逃走する犯人を逃がしたことは!一度も!ない!あ?あれ!?あれれ!?」

 

「もう許さない!強猥男は神妙に――っわぉきゃ!?」

 

「この卑怯者!でっかい風穴―開けてやるんだからぁ!みゃうきゃ!?」

 

ルームメイトが小さな子をいじめていた。

というか、あいつヒスっている。つまり、性的に興奮している。

 

「あいてはあの中学生、下手すれば小学生くらいの女の子ってことか」

 

あいつって少女趣味(ロリコン)だったのか。だから、白雪に手を出さなかったんだな。

 

うわー。

 

ルームメイトの恐るべき性癖に衝撃を受け、ふと隣を見てみると

 

「フフフ!良い、あの子良いわ!すっごくからかいがいが有りそう!」

 

彼女がその蒼い目を妖しく光らせながら興奮していらっしゃった。

 

これが、後に『緋弾のアリア』として世界中の犯罪者を震え上がらせる鬼武偵、神埼・H・アリアとそのパートナー、遠山キンジの出会いだった。

 

ついでに『緋弾のアリア』の最大の敵『蒼の月姫』、蒼神流無とその最愛の剣士、八神和麻との出会いでもあった。

 

 

 

 

 

武偵校から少し離れた、武偵校と同じく人工島(メガフロート)の上に立つ教育機関。

その名をIS学園。

十年前、天才科学者、篠ノ之束博士が発明し、現行兵器すべてを上回る性能をもつ、パワードスーツ《インフィニット・ストラトス》、通称ISを操縦する者を育成する教育機関だ。

このIS学園は一つの特徴がある。

それは女子校であるということだ。

ISは今までの常識を超える性能を持っているが、ある欠陥があった。

 

女性にしかISは動かせない。

 

それは大きな欠陥だったが、原因が不明。どうすることもできなかった。

故にISが世界中に広まった今では、女性優遇の制度が増え始めた。

このままでは女尊男脾の世の中になるかと思われたが、今のところ武偵の存在が男性に活躍の場を与えており、また、女性にしても全員がISに乗れるというわけではないので、そんな世の中になることはなかった。(たまに勘違いした女性政治家が女性の方が優れていると発言したり、町で男に命令する女がいたりするが、そう言うのは煙たがられる)が、ISが世界中の兵器事情を一変させたのは事実であり、紆余曲折会ってスポーツ競技に落ち着いたが、それもいつまで持つかわからない。

 

しかし、今年の三月に衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。

なんと、ISを動かせる男子が見つかったのだ。

 

そして、その男子は今日、このIS学園に入学した。

 

そんなIS学園の門に一人の少女がやってきた。

 

「ここがIS学園・・・」

 

内側にはねた水色のセミロングの癖毛の髪に、眼鏡をかけた大人しそうな雰囲気の少女。

しかし、そのルビー色の瞳は強い光を放っている。

 

「お待ちしておりました。簪様」

 

「お出迎えありがとうございます。虚さん」

 

「いえ」

 

少女、更識簪を迎えたのは、眼鏡をかけた三つ編みの真面目そうな少女、布仏虚。

簪は今年、この学園に入る一年生で、虚は最終学年、三年生だ。

 

「もうすぐ入学式が始まります。お急ぎください」

 

「はい」

 

簪の家、更識家は古くから日本に代々仕えてきた家系で、暗部組織から国を守る役目をもつ対暗部用暗部の家だ。

虚の家も、そんな更識家に代々使用人として仕えてきた。もっとも彼女は簪に仕えている訳ではないが。

 

「本音はもう出席しています」

 

「そうですか」

 

「・・・大丈夫ですか?」

 

「はい。大丈夫です」

 

虚の心配そうな質問に簪は笑顔を浮かべながら応える。

 

「この一年、私は必ず務めを果たします。もう、私たち更識家には後がないんですから」

 

「・・・簪様」

 

そう、更識家には後がない。

今の更識家は二年ほど前から急速に弱体化し始めた。

 

「・・・わたしががんばらないと、あの人もうかばれませんから」

 

「お嬢様のことは、お気になさっても」

 

「うん。わかっている。わかっていますよ。気にしたって仕方ないって。だってもう、あの人は・・・いないんだから」

 

「・・・」

 

「・・・もう行きますね」

 

「はい」

 

簪は虚と別れ、入学式を行っている体育館に向かう。

その背中を虚は見つめ続けた。

十七代目当主を失い、弱体化し始めている更識家を立て直すために、その期待を一身に背負っている、頼もしくも危なげな背中を。

 

 

 

 

 

この日の朝、二つの学校が新学期を迎えた。

 

武偵とIS。

 

それぞれの世界に身を置く少年少女たち。

 

ゆっくりと、確実に、時は進んでいく。

 

彼らを逃れられない運命へ誘うために。

 

 

 




基本的にアリアメインで進みますが、IS側も頑張って絡めていきます。
主人公、八神和麻とヒロイン、蒼神流無。
この二人がキンジとアリアたち武偵校の超個性的な面々と様々な事件と強敵に立ち向かっていきます。
和麻はいろいろ過去に秘密を持っています。
そして、ヒロインの流無の正体・・・読者のみんなは分かってしまいました?
彼女がどうしてこうなったのか、気になる方も多いでしょうが今はまだお待ちください。

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