準備(流無に日焼け止めクリームを塗ったり)を終えて少し遊んだあと、従業員の人に持ってきてもらった食材でバーベキューをしていた俺達だが・・・。
なぜか大量の女子高生たちの視線を一身に受けている。
どういうことだ?これは。
今日ここに女子高の修学旅行でもあるのか?
お互いに警戒していると、向こうから一人の生徒が飛び出した。
その生徒は水着?と思われる狐の着ぐるみを着ており、もうそれは夏だと地獄じゃないか?というよりそんなので海に入ったら溺れるんじゃないか?という俺たちの疑問を無視して、
「あやや~ん!!」
「あやや!?ののちゃんなのだー!」
平賀さんと抱き合った。
そして展開されるのは伝説の―――
『
二人の癒し空間に互いに毒気を抜かれた俺たちのところに蘭豹を筆頭とした教師陣と女将、その後ろには織斑千冬と山田真耶、二人のIS学園教師が歩いて来た。全員水着姿で。
そして、始まったのは――
「というわけで、偶然武偵高の研修と」
「IS学園の臨海学校先が同じになってしまったのですよ」
高天原先生と山田先生がこの場にいた生徒たちに説明する。
ちなみに、他の四人は二人に説明を任せて、酒盛りの相談をしていた。
「「では、皆さん仲良くしてくださいね」」
二人の言葉にIS学園の生徒たちは元気よく返事をして、俺たちも返事をする。
そして、武偵高とIS学園の生徒たちによるカオスな海水浴が幕を開けた。
和麻&流無ペアと理子&ジャンヌペアはビーチバレーをしている。
和麻がジャンピングサーブの力加減を間違えて、武藤の『ボストーク弐号』に直撃させて吹き飛ばしたりしたが、おおむね問題なく進んでいる。
和麻が風でボールを加速させたり、流無が水のヴェールでトスしたり、理子が髪の毛を操作して広範囲ブロックしたり、ジャンヌの冷気の噴射でボールに妙な回転がかかったりしているが問題は無いったら無い。
それを見ているIS学園の生徒たちは、超能力のオンパレードに目をくぎ付けにされ、興奮している。
「あ、あなたはホームズ家のアリアさん!?ご無沙汰しております」
「あら、あんた確かオルコット家の」
「セシリア・オルコットですわ!ロンドン一の武偵と名高いアリアさんに覚えてもらえていて、とても光栄です!」
少し離れたところでは、セシリアがアリアを見て頭を下げていた。
お互い英国の貴族の家だし、ホームズ家はその中でも知名度、実績共に高い。
昔いろいろ世話になったのだろう。
ついでに、セシリアの周りにいた生徒たちもアリアがシャーロック・ホームズの子孫だと聞くと、とても驚き握手を求められていた。
アリアもそれに応じていたのだが、一人の生徒、鈴と目が合うと何を思ったのか近づいていき・・・
「神埼・H・アリアよ。よろしく」
「凰鈴音です。よろしくお願いします。鈴と呼んでください」
「そう。なら鈴。あなたとはとても気が合いそうね」
「はい!私もそう思っていました!」
意気投合していた。それを見ていた生徒たちはいろいろ似ているからと、妙に納得していた。実際に二人は似ているのだ。髪型とか、体格とか、性格とか。
一方、また別のところでは――
「・・・お前は何をしている?」
「神楽殿。この珍妙な生き物に心当たりでもあるのでござるか?」
神楽と風魔が目の前のバスタオルで覆われた存在と向かい合っていた。
「き、貴様には関係ない!」
神楽は無言でそのバスタオルの箸を掴む。
バスタオルお化けは自身と一緒に歩いていた友人、シャルロットを探すが・・・。
「へー、シャルルンってフランス人なんだ~。実は理子りんもフランス人の血を引いているんだよ~」
「そ、そうなんですか」
バレーを終えた理子に捕まっていた。
理子の目は新しいおもちゃを見つけたとばかりに妖しく光っており、シャルロットの今後が心配である。
「・・・」
「ううっ・・・」
神楽は無言で睨み、バスタオルは段々居心地が悪くなる。
そして、神楽の目がだんだん細くなっていき――
「縮地――!」
神楽は和麻から教わった縮地を用いて背後に回り、バスタオルをはぎ取る。
「な、なぁあ!?」
中から現れたのは、フリルをふんだんにあしらった黒い水着を着たラウラだった。髪型も伸ばしっぱなしのストレートロングから、左右均一のアップテールになっている。
「わ、笑いたければ笑え!」
ラウラは恥ずかしいのかそう言うが、神楽はラウラの目や雰囲気が柔らかくなっていることに少なからず安堵を覚えた。
「似合っているじゃないか」
「は?」
てっきり嫌味を言われると思っていたラウラはあっけにとられる。正直、神楽は自分に対し良い感情を持っていないと思っていただけに、その態度には驚きが大きかった。
「せいぜい頑張れ」
そう言い、神楽は傘を差して、風魔と共に歩いて行った。
他にも不知火がそのイケメンぶりで女子たちに囲まれていたり、アリアと白雪によるキンジ争奪戦を興味深そうに見ていたり、武藤が水上バイクを使ったバナナボートを女子たちに進めていたり、流無がサーフィンしていた。
そして、ビーチバレーを終えた和麻はというと―――
俺はボートに乗って沖の方で釣りをしていた。
レキと一緒に。
なぜ、流無とではなくレキとなのかというと、釣りの様なのんびりしたことは流無の性に合わないので誘わなかった。
そして、一人で行こうとしたところにレキがついて来たのだ。
ちなみにハイマキはリードに繋いで、海の家に休ませている。今頃は木陰でのんびり昼寝をしているだろう。
「レキ、釣れたか?」
「いいえ。まだです。和麻さんは?」
「まだだ」
そろそろポイント変えるかなと思っていると、
「和麻さん」
唐突にレキが話しかけ始めた。
無口なレキが話しかけたことに驚き、耳を傾ける。
「流無さんの事好きですか?」
「ぶふっ!?」
いきなりの問いかけに驚き、噴き出す。
「な、なななんあなんっ、なんだ?!いきなり」
テンパり、どもりながら聞き返すと、レキはその琥珀色の瞳を向けながら真剣に見つめてくる。
それに対し、俺も真剣に応えることにする。
「好きだよ。愛している」
「そうですか」
「ああ」
「では――私はどうですか?」
「は?」
今、なんていった?こいつ。
「何でもありません。気にしないでください」
そう言ってレキは再び、釣竿に目を戻した。
俺はレキの言葉にしばらく固まっていて、エサがとられたことに気が付かなかった。
ポイントを変えてみたところ、かなり食いつくようになり大漁だった。クロダイやタコなんかも釣れたのだが、一番驚いたのはレキがつったウツボだった。テレビだと、『とったどー!』と言われていて有名だが、実際に見るとかなり怖い面だった。
釣りを終えた俺たちが浜辺に帰還すると、そこでは、
「喰らいなさい!ダンクスパイク!」
「ぎゃああああ!!??」
「一夏ああああ!!」
「よそ見は現金よ!」
「うわああああ!!?」
「シャルロットおおお!!?」
流無のスパイクを食らいぶっ飛ばされる織斑と、織斑に当たって戻ってきたボールを流無が作った足場で飛び上がったアリアが撃ち返し、今度はシャルロットにぶち当てるという光景が展開されていた。
「「イエーイ!」」
ハイタッチする二人。
一方の吹き飛ばされた二人は目を回している。
「な、なんということだ」
「あれがSランク武偵の力ですの!?」
周りのIS学園の生徒たちは戦慄している。
「ガハハッ!みたか、千冬ぅ!」
「これが
蘭豹と綴は赤い顔で織斑先生を挑発し、対する織斑先生も赤い顔で、「何を腑抜けとるんだ貴様らあ!」と叫んでいる。
絶対、酒飲ませて、どっちの生徒が優秀か、とか言い合いしただろお前ら!
「さあさあ!次は誰が相手かしら?」
流無がそう言うが誰も出てこない。そりゃ、ビーチバレーのボールで人が飛ぶ瞬間を見たらだれでもやろうとしないよな。
と、思ったら二人の生徒が出てきた。
「・・・わたしたちがやる」
「いえ~い。おりむーの仇を取るのだ~」
更識簪と布仏本音、あっちの
まずは更識さんがサーブを放つ。
「む、なかなか。でも――!」
危なげなく流無はレシーブしてアリアが返す。
それを布仏がトスしてそれを簪が――
「はっ!」
スパイクを決める。それはまっすぐに流無に向かっていく。
「ふっ!」
流無はその場で回転し、遠心力を利用して打ち上げる。あれは――!?
「羆落とし!?」
「まさかリアルであの技をつかえるなんて!」
更識さんたち、IS学園の生徒はその光景に驚く。
ちなみに俺達は驚かない。
だってたまに流無がテニスとかでやっているのを見ていたし。
「ふふっ・・・」
「・・・っ!」
流無と更識さんは一瞬視線を合わせる。一方は余裕の笑みをみせ、もう一方は無言で睨みつける。
そのまま、試合は白熱していった。
夜、入浴の時間。
IS学園の生徒たちが全員女子であるので、まずは本来あった男湯も一時的に女湯として使っている。
その中には当然として、武偵高の女子たちもいて――
「雪ちゃん、胸おっきい!」
「本当だな。しかも形もいい」
「ちょ、ちょっと二人とも」
理子とジャンヌに胸をいじられる白雪に。
「ごしご~し♪」
「ごしご~しなのだ!」
背中を仲良く流す、本音と文ののほほんコンビ。
「ブツブツ・・・胸が何よ。あんなのただの脂肪の塊」
「邪魔なだけ邪魔なだけ・・・」
他の生徒たちの胸を見て呪詛の言葉を発するアリアと鈴。
「見て、とってもきれい・・・」
「モデルみたい」
生徒たちの視線を釘付けにするように、そのプロポーションを惜しみなくさらしている流無と、それをジーッと見つめる簪。
「やはり温泉は良いでござる」
「そうだな。だが、サウナもいい。後で行かないか?」
「御意でござる」
仲良く二人で入る神楽と風魔などなど。
全員が思い思いにくつろいでいた。
ちなみにレキはハイマキを連れ込んで洗っていたため、周りに誰も寄ってこなかったが特に気にしていなかった。
そして、迎えた夕食の時間。
大広間ではIS学園の生徒たちが海の幸や山の幸をふんだんに使った料理に舌鼓を打っていた。
「う~ん、やっぱりうまい。流石ほんわさ」
「ほんわさ?」
一夏の言葉に隣に座っていたシャルロットが聞き返す。
「ああ、ワサビをそのまますりおろしたのがほんわさ。学園の食堂の刺身なんかについているのは着色料なんかを練り込んだ練りわさっていうんだ」
「へ~、これが本物なんだ」
そう言うとシャルロットはあろうことかほんわさの山をつまんで食べた。
そんなことをするとどうなるか。
「~~っ!?????!!!」
悶絶するのは当然である。
そんな感じでハプニングなどもありながらもIS学園の夕食は続いていく。
途中で、セシリアが一夏に食べさせてもらったりして、
「あ~!?」
「セシリアだけずるい!」
「ず、ずるくありませんわ!隣の特権でしてよ!」
「織斑君、私にも!」
と、騒ぎになったのだが、
「うるさいぞお前たち!少しは静かにしろ!」
千冬の一喝で収まる。だが、
ドウッ!!
「!!?」
「きゃあああ!?」
突如響いた落雷のような音に生徒たちはパニックに陥る。
千冬も何事かと困惑する中、
ドウッ!!ドウッ!!!
再び鳴り響く轟音。
そして、
ドンガラガッシャアアアアアアアンン!!!
という音を立ててふすまの一角がぶち破られる。
そこから飛び出してきたものは一直線に――
「え?きゃあああああ!!!??」
簪を巻き込んで転がって行った。
恐る恐る、生徒たちが簪が転がって行った方を見てみると、
「きゅうううう~~~」
「う、ううぅ?」
目を回している流無と、くんずほぐれつになった簪の姿があった。
これが限界でした。物足りないかもしれませんガご容赦してください。
IS最新刊買いました。
楯無の本名明かされましたね。
これに従い、過去編を一度決して書き直したいと思います。うまくまとめてみますのでお楽しみに。
次回「夏の夜空の下で」