緋弾のアリア×IS 緋と蒼の協奏曲   作:竜羽

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一章 武偵高の超能力カップル
転校生


あのチャリジャックの後、キンジを捕まえて教務科(マスターズ)に事件の報告をしに行き、教室に向かう。

 

「武偵殺し?」

 

「の模倣犯よ。ほら、今朝、私が白雪ちゃんと話してたじゃない」

 

「あ~そんなこと言ってたな。犯人は捕まったんだっけ?」

 

「そう言われているわね。まあ、爆弾くっつけた車とかで自由を奪った挙句に短機関銃(マシンガン)のついたラジコンヘリなんかで追いまわして、海に突き落とすなんて手口、マネする人が出てもおかしくないわよね~」

 

俺と流無は普通に話しながら歩いているが、キンジはげんなりしながら黙って歩いている。

こういうときのこいつに変な気を使うのはやめた方がいい、ということを俺達は知っているのでなにもしない。

こいつが落ち込んでいるのはさっきの事件でヒスったことが原因だ。

 

ヒステリア・サヴァン・シンドローム。

 

キンジは『ヒステリアモード』といっている、キンジの持つ体質というか特性の事だ。

この特性を持つ人間は一定量以上の恋愛時脳内物質βエンドルフィンが分泌されると、常人の約30倍の量の神経伝達物質を媒介し、大脳・小脳・脊髄といった中枢神経系の活動を劇的に飛躍させ、論理的思考力、判断力、反射神経までも飛躍的に上昇させる。

 

ザックリ簡単に言うと、この特性を持つ人間、キンジは性的に興奮すると、一時的にまるで人が変わったような超人になれる。

 

ただ、欠点もあるらしく、ヒステリアモードはもともと子孫を残すために、男が強くなろうとする本能が異常に発達したもので、ヒステリアモード中のキンジは心理状態が変化し、何が何でも女子を守りたくなってしまい、さらには「子孫を残すための」の本能が働き、女にとって魅力的な男を演じ、キザな言動を取ってしまう超ジゴロキャラになってしまうのだ。実際、流無も口説いたときには思わず斬りかかった。躱されたが。

 

この欠点のせいで、神奈川武偵校付属中学にいたときは大変だったらしい。主に女子のパシリや、女子にとっての独善的な「正義の味方」にされたりとか。

ちなみに、俺も神奈川武偵校付属中学出身だが、入学してすぐ上海の武偵校中等部に留学し、三年の夏に戻ってきたのでそのことはよく知らないが、後輩に聞いたところかなり評判は良かったそうだ。結構人望あったらしいのだがこいつの根暗な性格のせいかそのことに全く気が付いていない。難儀なもんだな。

 

そして、キンジはこの遠山家が代々遺伝してきた力をあまりよく思っていない。

自分じゃどうにもできない制御不能の力だというのもあるが、なにより、キンジの兄を破滅させた力だと思っているからだ。

 

 

 

 

 

「先生。私はアイツの隣に座りたい」

 

俺達三人がクラス分けされた教室、二年A組の記念すべき、いや記念する必要もないな、最初のHR(ホームルーム)で同じクラスに入ってきた、キンジにいじめられた転校生女子、神埼・H・アリアがいきなりキンジを指さしてそう言った。

 

固まるクラスメイト。しかし、それもすぐに解けて歓声を上げる。

 

「うぉー!マジか!?」

 

「キンジのやつ、どこであんな美少女にフラグを!?」

 

「クラスメイトが口々にそんなこと言う中、転校生の美少女、アリアはキンジにそっと近寄り、熱い熱のこもった視線を向けながら・・・」

 

「お前は何を語りだしているんだ?」

 

「いや~、ついノリでね♪」

 

突然、謎のナレーションを語り始めた流無に突っ込む。ちなみに、席は自由に座ってもいいので俺と流無は隣だ。

 

「あらあら。最近の女子高生は積極的ねぇ~」

 

このクラスの担任の高天原ゆとり先生がのほほんと言う。

キンジ曰く「何で武偵校の教師になれたか分からない」というほど気が弱い探偵科(インケスタ)の先生だ。が、流無のルームメイトで情報科(インフォルマ)のレイズ・フローレンによると実力未知数の傭兵で、頭部を狙撃されて戦えない体にされたらしい。

というか、頭部を狙撃されても生きているって・・・。

ちなみにその時の異名は『血塗れゆとり(ブラッディ・ユトリ)』。怖すぎる。

 

「キンジ、これ。さっきのベルト」

 

おっと、いつの間にか時間が進んでいたみたいだ。

 

「理子分かった!分かっちゃった!――これフラグばっきばきに立ってるよ!」

 

ガタン!と興奮しながら席を立ったのは峰理子。アリアと同じくらいのちっこい背にヒラヒラのフリルだらけに魔改造した制服を着ているキンジと同じ探偵科(インケスタ)の生徒で、

 

「キー君はベルトしていない。そして、ツインテールさんがそのベルトを持っていた。つまり、二人は何らかの行為をしてきたんだよ!」

 

「流石は理子ちゃん!そう、実はおねーさん、見ちゃったのよ!二人が仲睦まじく、(拳銃を持ちながら)抱き合う(取っ組み合う)様子を!」

 

「おおおお!!本当ですかい、ルーちゃん!」

 

「ええ!」

 

流無とものすごく仲が良い。

ああ、哀れだなキンジよ。頭をものすごく痛そうに押さえている。

 

「でも、私と和麻には遠く及ばないわ!」

 

うわお。まさかの飛び火だぜ、この野郎。

 

「さっすが、ルーちゃん!恋愛においては他の追随を許さない気迫――」

 

ずぎゅぎゅん!

 

そこで、理子の言葉とクラスの騒動は遮られた。鳴り響いた二連発の銃声によって。

顔を真っ赤にしたアリアが二丁拳銃を抜きざまに撃ったのである。

 

「れ、恋愛だなんて・・・くっだらない!」

 

武偵校では銃撃戦が日常茶飯事になる武偵を育てるために、日ごろから発砲に対する感覚をマヒさせておく必要があるので、射撃場以外での発砲は黙認されている。

まあ、自己紹介でいきなり撃ったやつなんてそうそういないだろうけど。

 

「全員、覚えておきなさい!そういうバカなこというやつには――」

 

神埼・H・アリアは顔を真っ赤にしたまま、クラスのみんなに宣言する。

 

「――風穴開けるわよ!」

 

そんな中、我が愛しの彼女は、

 

「じゅるり、初々しい、いい反応をしてくれそうな子ねえ。ますます気に入っちゃったわ」

 

獲物にロックオンしなさっていた。

 

 

 

 

 

HR、そして流無といっしょに弁当を食べた昼休み、さらに超能力捜査研究科(SSR)のつまらない講義を流無とともに途中退席(サボり)、俺とキンジの寮室に戻り、リビングへのドアを開けると、

 

「キンジ!あんた、あたしの奴隷になりなさい!」

 

キンジがなんか特殊な、あれの誘いを受けていた。

 

俺はドアをそっと閉める。

 

「・・・・・・キンジ、お前がロリコンに加えてMだったなんて」

 

「大丈夫よ、今から私の部屋に来ましょう。レイズちゃんは情報科(インフォルマ)の部屋に閉じこもっているから、誰かに見つからなかったら問題ないわ。二人の邪魔をしないように、速くいきましょう」

 

「ああ、そうだ――」

 

「まてまてまてえええ!!」

 

一緒に女子寮の流無の部屋に行こうと玄関に向かった俺達をリビングから扉をけ破ってきたキンジが引き止める。

鼻息の荒いキンジから、流無を守るように立ちふさがって腰の刀に手を添えながら一言。

 

「・・・俺の流無は確かにドSだが、だからといって突き合わせねえぜ!」

 

そこから、ちょっとした乱闘になった。

 

 

 

 

 

「なにこれ?ホントにコーヒー」

 

インスタントコーヒーを飲んだアリアが怪訝そうにそう言う。

 

「・・・変な味。ギリシャコーヒーにちょっと似てる・・・んーでも違う」

 

軽い乱闘を終えた俺とキンジはリビングに座り、アリアにドン引きされながらも、コーヒーを出して一息ついていた。ちなみに、俺は緑茶だ。コーヒーはあんまり好きじゃねえんだよな。

流無は夕食を作っている。

 

「味なんかどうでもいいだろ。それより何でここに押しかけてきたんだ?」

 

キンジが同じくコーヒーをすすってアリアに問いかける。

 

「わかんないの?」

 

ズズズッ

 

「分かるかよ」

 

ズズズズズズッ

 

「あんたならとっくにわかっていると思ったのに。んー・・・でも、そのうち思い当たるでしょ。まあ、いいわ」

 

ズズズズズズズズズズズズズズッ・・・あ。

 

「・・・淹れなおすか」

 

「「お前/あんたは少し静かにしろ/しなさい!!」」

 

おおう。まさかのハモりですか。案外、仲良いんじゃないか?

 

「は~い。ご飯出来たわよ~♪」

 

タイミング良いな。流石は流無。

 

 

 

 

 

「・・・っていうか、ドレイってなんだよ。どういう意味だ?」

 

流無の作った夕食を食べた後、キンジは改めてアリアに聞き返す。

メニューは生姜焼きでうまかったな。

 

強襲科(アサルト)であたしのパーティに入りなさい」

 

「断る。俺は強襲科(アサルト)が嫌で、武偵校で比較的まともな探偵科(インケスタ)に転科したんだ。それにこの学校からも、一般の高校に転校しようと思っている。武偵だってやめるつもりだ」

 

二人の会話を聞きながら、俺と流無はデザートのプリンを食べる。

 

それにしてもキンジの考え、武偵をやめるっていうのは変わらないみたいだな。

キンジとの付き合いは入学したころからだが、入学当初のキンジは今ほど根暗でもなく、武偵校の生徒としてそれなりに頑張っていた。

だが去年の冬、ある事件が起きた。

詳しい説明は省くが、その事件でキンジは現実の虚しさを知った。

俺と流無もそのことで相談に乗られたが、正直、他人の俺達に何かを言う資格もあるわけなく、結果、キンジは武偵になるのをやめ、期末試験を全てボイコット。

武偵の強さを表す武偵ランクも、通常の最高ランクであるAランクを超えるSランクだったのに、そのせいで最低ランクのEに落としている。

 

それほどキンジの決心は固いのだが、アリアがすぐにあきらめるとも思えんな。

案の定、二人の話はまとまらず言い合いになった。で、しまいには

 

「いいって言わないなら、泊っていくから」

 

とアリアが言いだし、

 

「じゃあ、俺は流無の部屋に行くから楽しめよ、キンジ」

 

「ごゆっくり~」

 

俺と流無は準備のために部屋を出る。

明日から超能力捜査研究科(SSR)の合宿で恐山に行くから用意はほとんど出来てるぜ。

 

ふふふ、久しぶりの流無と寝れるのか。

 

「まてまてまてえええ!!」

 

出ていく前に引き留められた。キンジ、そのセリフ二度目だぜ?

 

「ああ、そう言えばキンジ」

 

「ん?なんだよ」

 

「もうすぐ白雪が来るぜ」

 

キンジは俺の言葉に固まる。

もうとっくに超能力捜査研究科(SSR)の講義は終わっているから、キンジにぞっこんの白雪ならすぐにやってくるだろうな。

 

「確か、実家から筍が送られてきたって言っていたわね。筍ご飯でも作ってやって来るんじゃないの?」

 

ニヤニヤ顔をした流無の追い打ちにキンジは崩れ落ちた。

 

「「じゃあね~」」

 

素早く俺の荷物を回収して、俺達は部屋を後にする。

途中で巫女装束の白雪と会って、キンジは部屋にいるかと聞かれたのでいると答えておいた。

 

アリアの事?

 

せめてもの情けとして言わなかった。感謝しろよキンジ。

 

 

 




ここから、二人は武偵校から離脱して合宿に行きます。よって武偵殺しに二人はあまりかかわりません。
しかーし!厄介事が日常茶飯事の武偵校。合宿先でもいろいろ起こりますよ。

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