緋弾のアリア×IS 緋と蒼の協奏曲   作:竜羽

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正体―後悔

空中にたたずむ敵のISと対峙する更識さんの打鉄弐式。

敵機は無言でランスを更識さんに向け、それに対し更識さんも薙刀を構える。

先に動いたのは――敵機のほうだ。

一気に下降して、ランスを構えて突撃してくる。

更識さんは薙刀を横に振り抜くことでそらす。

敵機はすぐさまランスを消すと、今度は蛇腹剣を出して斬りかかる。

蛇腹剣は、別名鞭剣と呼ばれる剣で通常の剣の形と、刃の部分を蛇腹状に分割した鞭状に変形できる、現実には存在しない架空の武器だ。

なぜなら、現実にこうした構造、分断された刃をワイヤーなどで連結し巻き上げたりするのはとても複雑な仕組みが必要なためだ。しかし、ISの武器なら十分実現できる。

扱いは難しいが使いこなせればかなり厄介だろう。

更識さんも蛇腹剣を見て、気を引きしめる。

そして、二機は飛び上がり空の上で激しくぶつかり始める。

その攻防に目を奪われていた俺たちだが、

 

「全員今のうちに退避するぞ!巻き込まれかねない」

 

キンジの声に全員がハッとする。

とりあえず、織斑と篠ノ之を救出する。

 

「意気揚々と出て行ってこの様か」

 

「ぐっ」

 

篠ノ之を起こした神楽が呟き、篠ノ之がうめく。

織斑の方も不知火と武藤が抱え上げる。布仏さんがISの解除方法を指示してくれるおかげでボロボロのISを解除して運んでいく。

こういうときは衛生武偵(軍隊で言う衛生兵みたいなもの。傷ついた武偵に緊急治療をして金をとる)がいないのがきついな。

 

「う・・・お、俺、以外の・・・みん・・・なは?」

 

その辺にあった木の棒と俺たちの制服で作った簡易担架に乗せられた織斑がとぎれとぎれに呟く。

おそらく、篠ノ之以外の命令違反した奴らだろう。

 

「篠ノ之以外は分からない」

 

「み、んな・・・あいつに・・・やら・・れた」

 

つまり、あの敵機は専用機持ち6人を沈めたということか。

 

「わかった。付近を捜して救助しよう」

 

布仏さんもすでに学園に連絡している。捜索は俺の十八番(おはこ)だから何とかなるだろう。

 

「きを・・つけてく・・・・ださい。あ・・・・いつは・・・水を・・・あや」

 

そこまで言って織斑は気を失った。

聞き取れただけでも分かる。あの敵機は水を操る。

風を通して二機の戦闘を感じてみれば確かに敵機は装備しているクリスタルから水生み出し、操ることで更識さんを攻撃している。

流無と同じスタイルだ。

三叉槍とランスの違いはあるけれど、今、蛇腹剣から再びランスを取出し更識さんと戦う姿はまさに流無そのものに見えて――

 

――そのことに俺は言い知れない不安を感じた。

 

しかし、その不安もかき消すような事態が起きる。

なんと、いきなり周囲の水、つまり海水が大量に噴き出し始めた。

篠ノ之を運んで行った白雪、神楽、風魔、布仏さんに織斑を運んで行った武藤、不知火、ジャンヌ以外のここに残った面々は驚愕する。

 

『あれはナノマシンなのです』

 

インカムから今まで聞いたことの無いような平賀さんの真剣な声が聞こえる。

 

『あのクリスタルから生成されている水はナノマシンにより構成されているのです。あのISはそれで水を操るのですが、今まで戦いながらも周囲に散布していたのでしょう、ナノマシンを媒介に今、大量の海水を操っているのですのだ』

 

やがて、海水は更識さんの周囲を囲い、閉じ込める。

 

『まずいですのだ。ナノマシンは超高温に発熱させることができるのです。そうなれば、水が一気に気化されて水蒸気爆発が起きてしまいます。あの量では衝撃も馬鹿にできないのだ』

 

平賀さんの言葉が終わらないうちに海水は――爆発した。

その衝撃は俺達の所まで届き、全員吹き飛ばされた。

俺はなんとか周囲の風を操り姿勢を直す。

他の面々も訓練を受けた武偵高の生徒だ。大丈夫だと信じ、上の戦闘に目を向けると、

 

「はあああ!!」

 

爆炎の中を突っ切って、敵機に突撃する更識さんの姿が見えた。

その姿は装甲の所々にひびが入っていて、ボロボロだがそれでもあの爆発の中を耐えたことは驚きだ。

敵機にそのまま突撃した更識さんは、その手に持つ薙刀でランスを払い、顔を殴りつけ、体に組み付きそのまま近くの地面に落とす。海上での戦闘は不利と判断したのだろう。

俺たちはその隙に他の専用機もちたちの救出のため動こうとしたのだが――

 

『え?』

 

俺と流無、更識さんは固まってしまった。

敵機のフルフェイスで覆われた顔、その中の正体を見た瞬間にすべてが止まったと錯覚した。

 

『ふふふっ、やってくれたわねぇ?か・ん・ざ・し・ちゃん?』

 

ぱらぱらと崩れていくフルフェイス。

そこから現れたのは更識さんと同じ真紅(ルビー)色の瞳、外側にはねたショートカットの水色の髪、そして何よりその悪戯好きな笑みを浮かべる顔は紛れも無く――

 

「流無?」

 

流無にそっくりだったのだ。

 

「え?そんな?どう・・して?お姉ちゃんが」

 

更識さんは流無に似ている少女と、この様子を呆然と見ている流無を交互に見て、混乱している。

少女の方も流無の方を見て、

 

「!?」

 

凄絶な笑みを浮かべる。それを見た流無が思わず後ずさりしてしまうほどの。

 

『久しぶりねぇ?簪ちゃん!』

 

一気に更識さんに接近した少女はその勢いを殺さずにけりを放つ。

 

「あう!」

 

それをもろに受けた更識さんは薙刀を手放してしまう。

 

『どうだった?私がいなくなって!』

 

追撃で右のストレートが放たれそれもまともに受けてしまう。

 

『目障りだったのでしょう?私のことが。あなたより優秀だった私が!』

 

うずくまってしまった更識さんを右足で蹴り上げる。

 

『いつも私と比べられるからって私のことを避けていたんですもの。その必要もなくなって清々したのでしょうね!』

 

浮かび上がった更識さんに掌底が叩き込まれ、吹き飛ばされる。

 

『そして、今は更識家の当主になれるところまできた。どう?私になりたかったのでしょう?追いつきたかったのでしょう?あはははっ!』

 

ISが解除された更識さんは何とか体を起こすが、その目の前に突きつけられるランス。

 

「お・・姉ちゃん」

 

『白々しいわね。あれだけ、私を避けたのに。あなたのために普通の女の子として生きることも諦めて、訓練に励んだ私から、くだらない劣等感から逃げた癖に。勝手な自己解釈で私の目を見ることもやめた癖に』

 

そして、ランスが突き出された。

 

 

 

後悔

 

それが私の今までの人生。

 

私、更識簪には姉がいた。

私の家である『更識家』ははるか昔、千年以上昔から続く名家であり代々特別な役割を持っている。

 

この国、日本の暗部からの攻撃に対抗する暗部組織。カウンターテロを担う一族なのだ。

 

しかし、今の更識家はその力を徐々に失いつつある。

 

私の姉、十七代目当主の更識楯無が死亡したからである。

若干十五歳で当主の証である『楯無』の名前を受け継いだ才女。

自慢の姉であり、そして嫌いだった。

中学に上がってから周りの人間に優秀な姉と比べられ続けた私は、姉から距離を取るようになった。

姉に追いつくために、そして超えるために努力したけれど、やっぱり敵わなくて。

どんどん姉といるのが苦痛に感じて、口もきかなくなっていった。

 

そんな時だった。姉の訃報が伝えられたのは。

 

その日は姉の当主としての初仕事で、不穏分子と認定された集団の摘発だった。

数人の部下と共に出かけた姉は、太平洋の海沿い、きりたった崖の上で国外逃亡しようとしていた敵を滞りなく殲滅し事後処理をしていたという。

そして、部下たちが目をそむけた瞬間に一発の銃声が鳴り響き、慌てて目を戻すと崖の上から転落していく姉の姿があったらしい。

周りに人影もおらず、誰が撃ったのかもわからない中すぐさま捜索隊が結成されたが、その夜に見つかることはなかった。

 

夢だと思った。

あのとてつもなく強い姉が、一発の銃弾ごときで死ぬはずがないと思った。

しかし、一日、二日、一週間、一か月と時が経っても姉は見つからず、ついに捜索は打ち切られた。

通常、行方不明者が死亡判定されるには時間がかかるけど、前後の状況と、姉が立っていたと思われる場所に残っていた血痕から、家の者たちは死亡したという結論に達した。

 

 

それから、私を取り巻く環境は変わった。

新しい、十八代目当主になるため厳しい訓練を課せられ明け暮れる毎日になった。早すぎる当主の死という汚名をなんとか返上するために実家のみんなに強要された。

訓練の最中は、姉の幻影を見てしまう。

以前なら超えたいと思っていたけれど、もうそんな気力もなくなった。なにせ、超えるべき姉はもういないのだから。

そのことを実感した時、なぜだかわからないけどとても悲しくなった。

 

 

私だけではない。

幼馴染の従者の家系の姉妹も、幼いころから一緒に過ごした彼も変わった。

姉の従者だった布仏虚さんはいきなりの主の訃報に、精神の安定を崩し寝込んでしまった。

今では回復しているが、その表情には影が付きまとっている。

妹の本音は訓練の相手やサポートを積極的にしてくれるようになった。

彼は私に改めての忠誠と、姉の思いを教えてくれた。

そして、その時私の心に後悔が押し寄せた。

 

 

それから約二年。私はIS学園に入学した。

IS学園は多くの組織から狙われている。

その中で、私が学園で三年間の間、学園を裏から狙う者たちから守ることができるか試されることになったのだ。

やれるかやれないではなく、やらなくてはならない。私たち更識家には後がないのだから。

さらに言うと、男でありながら何故か動かせるはずのないISを動かした織斑一夏のことも守るよう言われている。

彼は世界初の男性IS操縦者であり、危険な立場にいる。日本にとっては重要な人物であるために、更識が守るよう言われた。

とにかく、私は三年間学園で実力を試されることとなった。

最近になって専用機『打鉄弐式』もみんなの協力のおかげで完成し、ようやく私も動く(働ける?)ことができると思いはじめた矢先、信じられないことが起こった。

 

テレビに姉とそっくりな人が写ったのだ。

 

その人は、記憶の中にある姉と違って髪が長く、瞳の色も私と同じ真っ赤なルビー色じゃなくて透き通るような深い蒼色だったけど、間違いなく姉の面影を持っていた。

 

東京武偵高の制服を着ていたことから、私はすぐに虚さんや本音、彼に伝えた。虚さんがそれこと鬼気迫る様子で調べ上げて、すべての情報がそろった。

 

彼女の名前は蒼神流無。

東京武偵高二年生で強襲科(アサルト)の生徒。

一年生の夏休み明けに上海武偵高から、転校してきた。

ランクはSランク。

ほかにも自由履修で様々な学科を履修しており、その全てにおいて優秀な成績を収めている。

そして、水使いの超偵。武偵高での通り名は『女王(クイーン)』。

 

まるで、姉のようだと思った。

名字も名前も違うけど本当に似ていた。

いますぐにでも彼女に会いたいと思ったけど、もうすぐ臨海学校。すぐには動けないと思ったけどある情報が入ってきた。

 

彼女は臨海学校と同じ日にある武偵校の研修に、同じ旅館にやってくると。

 

これ幸いと思った。

 

彼女を観察できる機会がやってくるのだ。絶対に正体を見極めてやると意気込んだ。

 

 

そして、臨海学校当日。

旅館にやってきた私はすぐに武偵高のバスがあるのを確認。おそらく海にいるのだろうと予想して、はやる気持ちを抑えながら水着に着替えて海に向かった。

 

そこに、その人はいた。

 

「その肉は理子が育てたものー!」

 

「そして、この肉は私が育てたものー!」

 

「だぁー!お前ら俺とキンジの肉を横取りすんじゃねえ!」

 

バーベキューをやりながら、肉の争奪戦をしていた。

その光景に軽く殺意を覚えた私は悪くないと思う。

その後も、彼女は海での定番の遊びに興じていた。

 

ビーチバレーをした時は全く歯が立たなかったのは少し悔しかった。特にあの微笑みが似ていたから。

 

夜には夕食を食べていたらいきなりあの人が吹き飛んできて驚いた。

その時に落とした武偵高の生徒手帳――そこには、笑顔で写るあの人とその隣で苦笑している八神さんの姿があった。

その顔はとても幸せそうで、私の記憶にあるお姉ちゃんが浮かべたことの無いほど、輝いていた。

 

夜になって返そうと探していたらあの人と神埼・H・アリアさんが仲良く話をして、あの人がアリアさんを抱きかかえている姿を見てしまった。

まるで、仲のいい姉妹みたいで、私の胸はとてつもなく苦しくなってきて。

峰理子さんに手帳を預けて、誰もいないところまで歩いた後、静かに涙を流した。

 

結局その夜は眠れず、泣き続けた。

二度目の後悔が私の心に広がった。

 

 

翌日、いきなりの『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』の暴走と、IS学園上層部から言い渡された対処命令。

織斑君と篠ノ之さんの任務失敗。

織斑君の負傷

命令違反をしようとした私以外の専用機持ちを取り押さえようとした武偵高の人たちの前に合われたイ・ウーの構成員。

私と本音は武偵高の人たちと協力して、なんとか対処した。

はっきり言って福音よりこっちの方が危険度は高かった。

福音は別に私たちが対処する必要はない。日本にだって代表パイロットはいるし、原因であるアメリカやイスラエルが対処すべきなのだ。学生の私たちにどうにかしろっていうのがどうかしている。

それよりも、学園の生徒に直接危害を加えようとしているかもしれないテロリストの方が一大事だった。

まあ、当のテロリストの動悸が不純だらけだったけど。

 

でも、何とかして取り押さえた矢先に、福音とは違うISが襲い掛かってきた。

更識家の情報網から、福音を落とし専用機持ち六人を落としたという情報を瞬時に受け取った私は、敵機『霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)』に対し、薙刀『夢現』を構える。

それに対し霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)もランスを構えるのだけれど、

 

更識家(うち)の構えに似ている?)

 

疑問に思ったけれど相手は待ってくれず、私たちはぶつかり合った。

霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)の技量はすさまじいの一言に尽きた。

テロリストの前鬼と戦った後で消耗しているとはいえ、あちらも専用機持ち六人と戦っている。

体力的にも精神的にも私の方が有利のはずなのに互角、ううん、僅かに私が押され始めた。

そのことに危険を感じた私は短期決着をつけるために、打鉄弐式の最大兵装『山嵐』を準備する。この山嵐は第3世代技術のマルチロックオン・システムによって6機×8門のミサイルポッドから最大48発の独立稼動型誘導ミサイルを発射するもの。みんなの協力でできた私の切り札。

それを放とうとした瞬間、海から海水が吹き出し、私を閉じ込めた。

 

(しまった。これはナノマシン!ずっと周囲に散布していたんだ。みんなと戦っているときからずっと!)

 

きっと六人はこのナノマシンにやられたんだ。無尽蔵に水が存在する海は霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)の独壇場だから。

そして、海水の熱源反応が高まっていくのに対し、私はすぐに周囲の水にミサイルを全弾発射した。

爆炎に包まれる視界。

でも、ミサイルによる誘爆がある程度私を守ってくれる。

なんとか耐えきり、霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)に突撃する。

ランスを払い、顔に一撃を入れる。

よろめいた隙に組み付き、地面に落ちる。

そして、油断なく構えた私の目の前に、霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)のフルフェイスにひびが入り、操縦者の顔があらわになる。

 

私は、目を見開いた。

だって、その顔は

 

『ふふふっ、やってくれたわねぇ?か・ん・ざ・し・ちゃん?』

 

私の記憶の中にあるお姉ちゃんとそっくりだったのだから。

 

「え?そんな?どう・・して?お姉ちゃんが」

 

混乱した私は近くにいた蒼神流無さんの方を見るが、あの人も驚愕していた。

 

『久しぶりねぇ?簪ちゃん!』

 

一気に私に接近したお姉ちゃん?はその勢いを殺さずにけりを放ってくる

 

「あう!」

 

それをもろに受けた私は薙刀を手放してしまう。

 

『どうだった?私がいなくなって!』

 

今度は右のストレートを受けて、視界が揺れる。

 

『目障りだったのでしょう?私のことが。あなたより優秀だった私が!』

 

うずくまってしまった私をお姉ちゃん?は右足で蹴り上げる。

 

『いつも私と比べられるからって私のことを避けていたんですもの。その必要もなくなって清々したのでしょうね!』

 

浮かび上がった私に掌底が叩き込まれ、吹き飛ばされる。今の一撃で私のシールドエネルギーはなくなった。

 

『そして、今は更識家の当主になれるところまできた。どう?私になりたかったのでしょう?追いつきたかったのでしょう?あはははっ!』

 

ISが解除された私は何とか体を起こすが、その目の前に突きつけられるランス。そして、それを手に持つお姉ちゃん。

こんなことは昔はなかった。いつもお姉ちゃんは私に怪我の無いように気遣ってくれた。でも、いま目の前にいるお姉ちゃんは私を殺そうとしている。

 

「お・・姉ちゃん」

 

『白々しいわね。あれだけ、私を避けたのに。あなたのために普通の女の子として生きることも諦めて、訓練に励んだ私から、くだらない劣等感から逃げた癖に。勝手な自己解釈で私の目を見ることもやめた癖に』

 

お姉ちゃんの言葉に何も言えなくなる。

確かに、私は逃げた。

お姉ちゃんには勝てないと、何をやっても完璧なお姉ちゃんは何でもできると思い込んで。お姉ちゃんの努力を見ようともしなかった、苦しみを知ろうともしなかった。

私たちの本音以外の、幼馴染と呼べる彼が教えてくれたお姉ちゃんの悩み。それは普通の女の子として遊びたいというものだった。

それを知って、その心を支えるべきだったのは妹の私のはずなのにと、何度も後悔した。

 

私に向かって突きだされるランスを見ながら思う。

 

ああ、本当に私の人生は後悔ばかりだ。

 

あんなにやさしかったお姉ちゃんがこんなふうになってしまったのはきっと私のせい。

 

私の劣等感から生まれたつまらない意地が、お姉ちゃんを苦しませて。

 

きっと二年前のあの日からはもっと苦しませて。

 

死んだと思っていたけど、生きていたのに、やっと会えたのに。

 

ああ、本当後悔だらけだ。

 

そして、私は目をつぶった。

 

グジュリッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまでたっても痛みが来ない?

確かに刺された音がしたのに?

それともあまりの痛みに感覚がマヒしたのかな?

 

恐る恐る目を開けるとそこには・・・

 

「カハッ・・・グゥ」

 

ランスを受け止め、腹部を貫かれて苦しそうな声を上げる蒼神流無さんの姿と、それをとてつもなくうれしそうに見つめるお姉ちゃんの姿があった。

 

 

 

 




私は更識姉妹が大好きです。こんな展開ですが大好きなんです。誤解なきようお願いします。
正体:霧纏の姫君(ミステリアス・プリンセス)のパイロット
後悔:簪

次回、四章最終回です。
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