「!あなたたちは・・・」
仭は目の前に近づいてきた人物に気付く。
「・・・来てくれましたか」
そう笑みを浮かべながら仭は言う。
そこには武偵高校の制服に身を包んだ神埼・H・アリア、星伽白雪、峰・理子・リュパン4世がいて、三人の手にはそれぞれ花やお菓子、フルーツなどがあった。
「見舞いに来たわけだけど、あんたにじゃないわよ」
「わかっていますよ。簪でしょう?簪がいる部屋はあっちです。・・・かなりうなされたりしているようですが・・・」
「そう」
「あなたの怪我の具合はどうですか?」
「まあ、良いとも悪いともいえない・・・ですかね。それでも回復してきたので、明日には学園には生徒として復帰しますが」
「お?もう動けるほど回復したのかな?」
「いえいえ、運動系は今の傷では厳しいですかね。結構負傷していまして」
ISも修理に回していて、動かせたとしても今じゃ厳しいが、と付け加える仭。
「まあ、それはともかく・、これ以上あなたたちを引き止めるわけにはいきませんね。それと何か
「おや?私達に任せて、
「・・・否定出来ないのが、悲しいですかね」
理子の問いに、自嘲気味に言う仭。
「言い訳するとすれば、動かないではなく、動けないんです。ファントムや、各国の動きも少々怪しくなっていましてね。理由は・・・何となく察するでしょう?」
「「「・・・・・・」」」
「そっちの方の動きを追うので、もう精一杯というのが現状です。あれらを相手するのには、此方も厳しいので」
「・・・それで、
「今のところ、そうなりますね。あの集団はファントムなんかより、はるかに危険な存在です。それは無論、此方なんかよりも・・・」
つまり、手を出したくても出せない。
それが仭のいや、彼の所属している組織の言い分(と言う名の言い訳)であった。
ただ、これは仕方ないとも言える。
イ・ウーは核武装もしており、いかなる軍事国家も手出しできない戦闘集団なのだから。
もっとも、組織がイ・ウーに打撃を与えてないということは、少なくはないのだが。が、多くもない。
元々組織は、対IS用IS特殊部隊。IS委員会の許可を得て、アラスカ条約を無視して活動する組織なのだから。武偵に対しての組織ではない。
「それに、ISについてはもうトップシークレットになって、まったくわからないんです」
「そう」
「他にも情報はありますが・・・おっと、これ以上はさすがにマズイですかね。では、俺もそろそろ病室に戻らなければならないので」
そう言って仭は、アリアたちの間を通って、自身の病室に戻ろうとする。
「・・・待って」
「まだ何か?」
そんな仭を、アリアが止める。
「明日から学園に戻るのよね?」
「ええ」
「だったら、伝えてほしいことがあるの」
アリアは仭にその伝えてほしいことを話す。
それを聞き終えた仭は、笑みを僅かだが浮かべ
「・・・ええ、わかりました。伝えておきましょう」
そう言うと、仭は背を向け、通路を歩いて行った。
それを見届けたアリアたちも、簪のいる病室へと向かっていった。
翌日。
学園へと戻った(さっきではない)俺は、今廊下を歩いていて、ある場所に一人で向かっている。
・・・ついたな。
「邪魔するぞ」
『!』
ノックをし、ドアを開けると臨海学校の件で、医療室送りとなっている連中――専用機持ち六人。一夏、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラがいた。
どうやら、他には誰も居ないらしいな。
「仭・・・戻っていたんだな」
「ああ」
「怪我は大丈夫なのか?」
「多少怪我があろうが、動ける」
一夏と箒の質問に答えながら、俺はベッドの近くにあったテーブルに乗っている新聞の存在に気付き、それを手に取る。
「・・・『学園の臨海学校のときに、たまたま居合わせた武偵!男性IS操縦者・代表候補生を含む専用機持ち八人への襲撃阻止ならず!』・・・『専用機持ちたちは命に別条はなかったが、事件のときに役に立てなかった無能な武偵たちの責任は大きい』・・・ねぇ」
新聞の大きく書かれている題名らしきところを読み上げる。
やはり、何度見ても気に食わんな。これを出版したとこは潰れたが。それはおそらく、武偵の方だろうな。
あとは、責任を他へ押し付けようとする
と、ベッドに寝ている連中が目を伏せているが・・・知ったことか。
「こんな新聞載った理由・・・何でか当然分かっているよな?」
俺は一夏を除いた専用機持ちを睨む。
一夏も命令違反したわけだが、俺や武偵が止めたのにも関わらず(どうやらあのブラコン陰陽師が行けと進めやがったらしいが、それも踏まえて)命令違反をしていった五人にまず俺は言う。
「俺、言ったよな?『私情に流されず行動しなければならない』『福音を倒しに行こうなんて馬鹿なこと考えるなよ』・・・と」
「「「「「・・・・・・」」」」」
あの時は、こう言ったことに、こいつらは怒りを表していたが、今はむしろ申し訳ないという雰囲気だ。・・・まったく
「黙りか?武偵の皆さんが死にに行こうとした貴様らを止めたのにも関わらず行った結果、意気揚々と出て行った様がそれだというのに・・・」
武偵皆さんは止めようとして、止められなかったわけだが、仕方ないだろう。
それに武偵に頼んだ俺にも責任がある。ISが学園の問題だというのに、押し付けたようなものだからだ。まったく・・・心の何処かで、さすがに福音に向かうようなことはないだろうと考えていたのだが、完全な誤算だった。
「・・・ふざけるなよ」
『っ・・・』
「仭・・「黙ってろ一夏。貴様とて人のことは言えんのだぞ」――・・・・・・」
ああ、らしくないなまったく・・・。
「まあ、命令違反したことをとやかく言った所で結果が変わるわけでもない。貴様らに聞くが・・・福音を倒しに行くとき、貴様ら五人は、まさか倒しにいけると思ったのか?」
「「「「「・・・・・・」」」」」
「黙るな。イライラしてくる・・・」
別に言った所で、怒鳴り散らしたりなんかしない。
普通に説教するだけだ。偉そうかもしれんがな。
「・・・はい、思っていました」
すると五人の中で、ラウラがやっと口に出す。
「本気で思っていたのか?
「「「「「・・・・・・」」」」」
再び黙りこむ五人。
多対一用のISを持っているやつが、すぐそこにいるというのに、行きやがったわけだからな。
当然多数を相手できるのにも限度はあるだろうが、五人ならまだ相手できるISくらい、組織にも所有しているやつがいる。
話が少しずれたが・・・こいつらは福音に勝てるとか以前に、絶対に数で押せば勝てる理論になっていた。福音の厄介さを頭に入れてはいたが、数で押せば勝てる理論になっているからこそ敵わないというのが、頭から抜けていたのだろう。
人間、頭に一つのことだけ集中すると、視野が狭くなる。この場合『一夏の敵を取る』ことに頭がいっていたわけだな。
「はぁ、ラウラの言ったことをひとまず信用するとしよう。・・・では、貴様らは、その行為が誰の迷惑にはならないと考えたのか?」
とりあえず内容を変えよう。
こいつらに反省・・・というより、無謀なことを二度とさせないためには、こっちの方がいいだろう。
「貴様らの持っているISは、自分のものではない。国から貸し出された一時的に、自分のものになっているだけだ。そんなもの無闇に扱ったら、自分以外に誰が困る?少なくとも国に学園だぞ」
少なくとも絶対に困るというか、迷惑かかるのはまず学園と国だな。
千冬さんとかには、教師として当然ながら。
国には『こんな輩が代表候補生でいいのか?』と。まあ、これについてはほぼ・・・というか、絶対に隠蔽されていると思うが・・・。
「それに今回は言わずもがな、武偵の人たちにも迷惑かけた。かなり捏造されているが、こういうことしでかすのがマスコミだ。貴様らの命令違反で、自業自得だというのに、世間から後ろ指を指されることになったのは――武偵高、ひいては武偵という職業に命を懸けている人たちだ」
俺の武偵についての言葉を聞いて、さらに俯く五人+一夏。
「武偵の皆さんは、貴様らの護衛だと、止めるときに言われたはずだ」
そう一人の武偵から聞いた。仕事の邪魔をすることになるというのに、聞かず・・・いや、考えずに行きやがった。
極めて自己中心的なやつらと思われても否定できんぞ。
「それを跳ね除け(正確には違うが)、貴様らは福音に向かい、挙げ句の果てにはやられかけた始末・・・死んでいたぞ」
一夏が向かわなければ死んでいた。もっとも来たところで、簪の姉に全員やられたわけだったが。(目的は機体の練習相手だったそうだが)
「仭「黙っていろといった筈だ」――!けど、みんな無事で・・・」
「運が良かっただけだろ。貴様ら、まさかISがあるから死なないとでも考えているのか?そんなわけねぇだろ。絶対防御保護機能もエネルギーがあって、初めて機能するもの。つまりエネルギーがなくなったら役に立てない。相手から致命傷の攻撃を受けても、ISが強制解除されれば、無意味なんだぞ?もっと言うと貴様らがいたのは海上だ。捜索されて何とか見つかり、貴様らはそうやって生きながらえているわけだが、見つからずに死んでいた可能性もあったんだぞ」
一夏の言っていることは、結果論にすぎない。
俺もこうして生きながらえているのは運が良かったからだ。(そうなのかは微妙だが・・・)
「馬鹿なことしたと言われても、否定できないことしたんだ貴様らは。所詮、IS操縦者としてと、今の世の中の腐った優遇に守られているにすぎん。貴様もだ一夏。あの時もな」
「あの時・・・?」
覚えてないのかこいつは。
「箒もだが・・・最初に二人で出撃して、密漁船が出たところだ。馬鹿なことをしやがって・・・」
「なっ!じゃあ仭は犯罪者だったら見捨ててもいいっていうのか!?」
「誰がそんなこと言った。俺が言っているのは、庇ったことじゃない。・・・その後の箒に説教たれたことだ」
「!」
あれはまず馬鹿な行為だ。
密漁船の云々は、どうとも言えない。周りを気にする暇なんざ、こいつらにできるわけがないのだから。
だが、おそらく一夏が出るよう上層部から言われた可能性が高い。
あの時の作戦に向いているは勿論として、あとはデータを取りたいとかだな。上層部は軍人とかなわけでないのだから、性能であれば勝てると思っていたのだろう。
そう考えるのも、あの時の千冬さんの反応が薄すぎるのもあるが・・・。
ともかく・・・
「敵が目の前にいるというのに、何をやっているんだ?動きを止めるなど・・・その間に自分や箒が撃たれたりしたらどうするつもりだったんだ?いや、貴様らだけでなく、あの船も撃たれる可能性もあったんだぞ」
「「!」」
言われてやっと気付いたのかこの二人は・・・。
そうなれば、一夏のやったことも無駄になるとも・・・。
「そもそもあの船を庇おうとすること自体、間違いだ。ああ、勘違いするな。見捨てろと言っているわけではない」
もっとも、そういう選択もあの場ではありではあったのだが。
そんなことかと、誰も攻めやしない。
「あの場で、一夏。貴様がやるべきであったのは、福音に決着をつけるべきだった。箒によって出た隙を狙ってな。だが、あの時のお前が船を庇ったことでエネルギーを使い果たした。それで福音もエネルギーが切れるわけではない。貴様ら二人を倒したあと、船に狙い定めたら結局のところ意味がないんだぞ」
「それは・・・」
暴走しているんだから、何起こしても不思議ではない。
そうはならなかったが。
「下手に気を使うことの方が実戦では危うい。だから福音にあの時は突っ込むべきだったんだ。・・・船も沈む可能性があったが、そっちの方が貴様らも、船も生存率は高かった」
そう考えれば箒は、『密漁船など気にするな』ということに関しては正しいといえる。
「・・・・・・」
完全に黙ってしまったな。
だがここではっきりと言っておかねば、ISという兵器を使い続けていくうちに、いつか後悔するようなことになるかもしれない。
・・・そう俺は、組織で教わってきた。
「箒もだ。お前も人の命を軽く見るな。たとえ、犯罪者といえどもな」
「・・・・・・」
まあ、こいつらが兵士でなく、生徒として教育されたのだから、こんなことはある意味仕方ないかもしれないな。
学園の苦肉の策であるため、どうもあれだが・・・。はあ、こう思うと兵器の重要性を教える武偵高が少なくともまともに見えてくる。
「さて、もういいか・・・」
正直、俺もなれない説教で疲れた。
これで反省しなかったらもう馬鹿でしかない。
「あ、仭・・・」
「何だ?」
「その・・・簪さんはどうしている?」
「ああ、簪か」
そういえば、伝えてなかったな。
「怪我は大したことはなく、もう治ってきている。ただ・・・少々あいつには、精神的に来るとこがあってな。今しばらく療養が必要というところだ」
詳しいことは言えるわけがない。
彼女が、精神的に来るのも無理はない。それに・・・俺のせいで、余計に苦しめてしまったわけだからな・・・。
「じゃあ、和麻さんの方は?」
「聞いた話じゃ、未だに昏睡状態だそうだ。詳しいことは俺にも分からんな」
レキさんからそう連絡というか、電話したら教えてくれた。
「・・・流無さんは?」
「さあ・・・な。行方が知れずだ」
正直、事の顛末も聞いたが少々・・・な。
これは話せる内容ではない。
行方が知れないというのは本当だ。
「とまあ、こんなところだ。じゃあな」
そう俺は部屋から出ようとするが
「ああ、そうだ。ある武偵から伝言」
アリアさんからの伝言だ。
その言葉に一夏たちは、こっちを見る。
「・・・『次に私たちのジャマをしたら、風穴開けるどころではすまない。地獄へ落ちることを覚悟しとけ』・・・・だそうだ」
そう言って俺は完全に部屋から出た。
ちなみに当然捏造している。
本当は
『次あたしたちのジャマをしたら風穴開けるどろじゃすまないわ。・・・全員風穴地獄よ』
というのが、伝えられたとこだ。
まあ、別にいいだろ。脅しとしては、こっちの方が説得力あるし。
「さて、後はやつらしだいだが・・・」
俺の説教が届いたかは当然ながら分からない。
ゆえに、どうするかはやつら次第だ。
そう思いながら俺は、部屋へと戻ろうと考え廊下を歩いて行った。
後味悪いかなと思い、投降します。最新話はかなり時間がかかりそうです。難しい。
活動報告のアンケートも受付中ですのでどんどんお願いします。
「アスラクライン」の華鳥風月の四名家を敵キャラで出そうかな。