『鶫!後ろ!』
視界を奪われた鶫は千棘の声を頼りに体の向きをかえ、防御体勢をとるが
『ちょ!今のわた・・・』
慌てる千棘の声が聞こえたかと思うとその瞬間、鶫の後頭部に強烈な蹴りがはいる
背後にいると夢にも思わなかった鶫はうつぷせにぶっ倒れ、どてらは技をかけるために素早く腕をとる
見事なサブミッションが決まり、今度こそ鶫の敗北が濃厚になる
観客からもちらほらと【あー、掴まったかぁ】と鶫の敗北を残念がる声があがる
しかし鶫、サブミッションをものともせず、どてらを持ち上げながら体を起こす
これはまずいと急いで離れようとするどてらだが、予想外のことが起きたので遅れてしまい
『逃がさん!』
その結果ボディブローをまともにくらってしまう
筆舌に尽くし難いダメージだが苦痛を味わう暇もなく、蹴りでぶっ飛ばされる
今度は演技ではない、ガチのクリティカルヒットだ
ギャングのヒットマンはだてではなく、殺人パンチをくらったどてらは嘔吐する
それはさながらマーライオンであった
どてら推しの女の子達もさすがに悲鳴をあげる
無論、これくらいで嫌いになったりはしないが場は静まりつつあった
ピクピクと悶絶するどてらに鬼のような形相で
『貴様!お嬢の声真似をしおったな!』
そう、冒頭の声は千棘ではなくこの男だったのだ
声真似は彼の特技の一つであり、身近な人間の声は大抵出せるという
千棘の声を悪用したことが許せないらしく、鶫はマーライオンに向かって歩を進める
あらかた吐きおえ、観客の女子から貰ったウェットティッシュで口を拭う
ウェットティッシュを貰う際【頑張って!】といわれたが、どてらは吐き気で答えられなかった
しかし女子(結構可愛い)に直接応援された以上はやるしかない
気力を振り絞って立ちあがろうとしたその時
『くたばれっ!』
顎を思い切り蹴りあげられ、今度は仰向けに倒れる
鶫は素早く足をとり
『盛り上げんとな』
なんとスピニングトーホールドをかけたのだ
『あ、あれはどてらが鶫にかけた技!』
楽の言葉に場は再び盛り上がる
今までどてらよりの声援だったが、鶫コールに傾き始める
満足に抵抗できる体ではないが、死にものぐるいで抜け出しゴロゴロと転がって距離をとろうとする
しかし
『見よう見まねだが、こうか?』
あっさりつかまりキャメルクラッチをされる
またもや同じ技を返され、場は更に盛り上がる
どてらが吐いたことなど忘れて騒ぐ女子達、その中にはウェットティッシュをくれた女子もいた
鶫の馬鹿力でキャメルクラッチはシャレにならない
しかもどてらは大ダメージを受けていてろくに抵抗できないという状態である
しかし、抜け出すのは不可能ではない
何故なら・・・
『っ!?』
声にならない叫びとともにどてらの上から転げ落ち、スネを押さえてゴロゴロと悶える
腕をロックしていなかったため、スネを打たれたのだ
どてらは痛む体に鞭を打ち、半泣きの鶫に技をかけにいく
『ホントの殺人技を見せてやろう』
そういってかけた技はロメロスペシャルだ
派手で華やかな技であり、また、キャメルクラッチやパロ・スペシャルに続くどてらの決め技なので観客は今日一番の盛り上がりを見せる
形勢逆転の場面で出したというのも盛り上がりの大きな要因といえる
これ以上遊ぶと勝ちの目がなくなると判断して、本気でしとめにいくどてら
対して鶫も、この技は危ないと判断して全力で抵抗する
その後、3分ほど耐えたがとうとう限界がきて、千棘がギブアップを申し出て決着がつく
『いい喧嘩だった!』
楽を皮切りに、観客達から盛大な拍手が贈られる
その中には化物達のどつきあいにビビっていた数名の女子達も含まれていた
小咲も例外ではなく
『鶫ちゃん!カッコよかったよ!』
その瞳にはうっすら涙が浮かんでいた
宴もたけなわではあるが、鶫はダメージと疲労、敗北のショックで意識を失う
また、どてらも疲労とダメージで動けず二人仲良く保健室に運ばれる
喧嘩していたということで保健室の先生に説教をくらったのは語るまでもないだろう
大分グダグダになりましたが、なんとか書き終えました
実をいうともっと細かく書きたかったです