【ニセコイ】男はつれぇよ   作:Kドラ

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ヨウガシ

5,6時限目、楽のクラスは調理実習である

今回のお題はショートケーキ

一通り説明を受け、後はプリントを見ながら各自でつくるという感じだ

お菓子作りはそんなに経験ないが、料理慣れしている楽にとってはたやすい課題である

『ん?』

楽はクラスの雰囲気がおかしいことに気付く

なんとなくだが、男女ともにソワソワしているような気がする

何事かと思い集にたずねたところ、今回の調理実習でできたケーキを女子から男子に渡す流れができてるとのこと

『お前は確実にもらえるからいいよな』

集が肘で楽をグイグイ押す

恋人のフリをしている以上、千棘は楽にケーキを渡さざるをえないわけだが、千棘が料理上手にはとても見えない

いや、外見だけならお菓子が作れそうな感じだが、あのゴリラのような腕力とガサツさは、繊細なお菓子作りとは真逆に思えてならない

胃薬を用意しとけば良かったと後悔する楽

 

近い将来、毒物を口にすることが確定した楽は顔を真っ青にする

『む!?』

その時、楽は信じられない、いや、信じたくないものを見てしまった

クラスの男子数名が、小咲にケーキの交換を申し出ているのを目撃してしまった

唖然とする楽に集は言った

『知らなかったの?小野寺さんは男子から人気だぞ?』

知らなかった・・・いや、知りたくなかった

嬉しいような悲しいような・・・

複雑な気持ちの楽だったが、次の瞬間笑顔になる

小咲が断ったのだ、交換を

しかし安心しきるのはまだ早い

なんと、渡す相手が決まっているとのことだ

 

『どてら、まさかお前じゃあるまいな、小野寺がケーキを渡そうとしてる相手』ヒソヒソ

どてらが小咲の家に行ったという事実があるため、楽は心配でたまらないらしい

しかしどてらは平然と否定する

嘘をついている感じはしないので、どてらを候補から外し推理をはじめる

まずは小咲が普段喋ってる相手を思い浮かべる

しかし、どれだけ頑張っても女子しか出てこない

男子で小咲が喋ってるのは楽、どてら、集の3人くらいである

怪我をした男子に絆創膏を渡しているところはよく見るが、わけ隔てがないのでなんともいえない

こっそり小咲のケーキをのぞく

するとプレートに【い】という文字が見えた

 

まさか【いちじょうくん】と書くつもりでは?

鼓動が早くなる楽

他にも【い】で始まる男子は2人ほどいるが、小咲と話してるところを見たことがないし、少なくとも自分の方が小咲と親しい自信がある

次の文字が書かれるまで見届けようとする楽だったが、かき混ぜた卵をぶっとばしたり、巨大な火柱を立てたりと、絶望的な料理スキルを見せつける千棘のサポートでそれどころではなかった

あまりの酷さに別の班ということも忘れてあーだこーだ指示を出す

口ではギャーギャー言いながらも千棘は楽に言われた通りに作業をこなす

『尻に敷かれない一条を初めて見た』

『俺も』

クラスメイト達は物珍しそうに2人を見る

カップルの共同作業にキャーキャー言う女子や、一条の料理スキルに見惚れる女子、中睦まじい2人を妬ましそうに見る男子や微笑ましい顔で見る男子

スタンスは様々であったが、いずれも手を止めて楽と千棘を観察している

 

 

『なぜだ・・・なぜ俺が手を貸したのにこうなるんだ』

完成したケーキがまっ黒焦げなことに震撼する一同

半泣きの千棘を見て楽は覚悟をきめる

『(南無三・・・!)』バクッ

食べ物と形容するのがおこがましいレベルの千棘お手製ケーキを食べた楽に周りはザワザワとどよめく

『やった!さすが一条!俺達にできないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れる!』

『漢だ・・・モノホンの・・・』

『一条君・・・』

ぷるぷると震える楽の身を案ずるクラスメイト達

しかし、次の楽の言葉にクラス中は大騒ぎする

『う、うめえ!』

 

 

見た目に反して上等な物ができたらしく、楽を皮切りに他の生徒達も一口ずつ千棘のケーキを食べていく

楽の味覚に異常があったわけではなく、本当に良い物ができたらしい

この一件により千棘はクラス中からチヤホヤされる

楽の手腕によるものだが、全部千棘の功績になってしまった

しかし楽は気にしない、むしろこれでよかったと思っている

千棘のケーキで盛り上がっているところ、若干一名、心臓をバクバクいわせている女の子がいた

葛藤を続けていたが、とうとう決意を固める

『い、一条君…』

小咲は震え声で楽に声をかける

クラスが千棘のケーキで盛り上がっているので、必然的に楽の周りにも人が集まっており小咲に数名の視線が集まる

中には【まさかっ】とヒヤヒヤしている男子もいる

実は楽もその男子と同じことを考えていた

もっとも、楽の場合はヒヤヒヤではなくドキドキだが

『こ、これ』

小咲が顔を真っ赤にして小さなケーキを楽に渡す

 

小咲の大胆な行動によりクラス中は大騒ぎである

集が言っていた通り、【ケーキを渡す=告白】同然なのだから当然である

楽と小咲をくっつけようと躍起になっている宮本るりも、今回のことは聞かされておらず唖然とする

『あ、あれだけヘタレだった小咲が…私の指示無しで大胆なことを…』

小咲が成長したことへの感動と驚きで珍しく困惑する宮本

女子達がキャーキャーいうので、小咲の顔は更に赤くなる

ちなみに楽は

『てめえ一条!』

『二股野朗!』

男子達からリンチにあっていた

どてらにウォーズマン式パロスペシャルを決められ、危険な状況に陥っている楽だが、それどころではない

『(お、小野寺が俺にケーキを…う、うそだろ?)』

ニヤけてしまいそうなのを必死に堪える、いや、そもそもパロスペシャルの痛みで笑えない

最初は小咲の大胆な行動に驚いていた千棘だが、楽がうれしそうにしていることに気付き頬をつねる

『浮気とはいい度胸ね』

パロスペシャルを超える痛みに襲われる楽、両手はガッチリとホールドされているので抵抗できない

『や、やへほひほへ!(や、やめろ千棘!)』

恋人の演技に力を入れすぎだろと心の中で突っ込みながら、顔を動かして抵抗する楽

楽へのリンチに盛り上がる男子達、小咲の行動にキャーキャーいう女子達

もうてんやわんやである

 

 

『ち、違うの皆!き、生地が余ったから!えっと…その…』

恥ずかしさのあまり小咲は大声で全否定する

ただの言いわけだと見抜いている女子達はニヤニヤしながら小咲を見つめる

だが男子達は

『だよなー、よかったよかった』

『一条なんかにあげるわけないもんな、小野寺が』

小咲の言葉を信じて安堵している

信じて…というよりは信じたいのだろう

ちなみに宮本はヘタレた小咲に鋭い視線を浴びせている

『(小咲、後でお仕置き)』

視線に気付いた小咲は冷や汗を大量にかく

どてらは楽にかけている技をほどいて

『残念だったな色男!』

そこそこキツめのローキックを楽の足にいれる

ローキックの痛みと、小咲の否定により半泣きになる楽

半泣きになりながらも楽は早速ケーキをいただこうとする

小咲の料理の腕が壊滅的だと知っている宮本は哀れむ目で楽を見る

『むっ…』

楽の反応を見て【やっぱり…】と心の中でつぶやく宮本

しかし

『んまー!』

宮本の予想に反して、美味しいと叫ぶ楽

『そんな馬鹿な!』

小咲がケーキを渡したとき異常に驚く宮本

楽が美味しそうに食べてくれたので小咲は赤面している

ちなみに千棘は

『私のときよりも美味しそうに食べるじゃない』

さっきの倍以上の力で楽の頬をつねる

千棘がクラスの皆と打ち解けたり、小咲が大胆な行動に出たりと、今回の調理実習は濃厚なものとなった

ちなみに小咲のプレートにあった【い】の文字は【いつもありがとうお母さん】の【い】でした




今回も無駄に長くダラダラと書いてしまいました
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