あれ? なんだかこの話でこの章終わりにするつもりだったのに、まだ終わらないよ!
しかも一月かかってこの出来とは………。
ってなわけで、マドカの戦う事情、そして防人の技、存分にご覧ください!
「もう、何も………失わない。だと?」
箒の言葉を聴いたマドカの目の色は見るからに怒りの色に染まり、彼女は左手に持っていたシールドを投げ捨てると、拡張領域(バススロット)の中に格納している後付武装(イコイライザ)の『ビームサブマシンガン・イングラム』を量子変換し、箒に向かって引き金を引く。
マドカの武装の中で軽量かつ、取り回しが優れている短機関銃砲で、攻撃力はやや低めながら近中距離で連射すれば量産型のISなど数秒で蜂の巣にできる代物であるが、あろうことか箒はそのビームの僅かに開いた隙間を縫うような動きで前進しながら斬りかかってきたのだ。
「!!」
「!?」
上空から飛び掛っての打ち下ろし、そして続けざまの切り上げ。左右二刀のレーザーソードから繰り出された連撃をを紙一重で回避したマドカは、後退しつつビームサブマシンガンを構えて発砲する。
「なっ!」
だが、素早く引き金を引いたにもかかわらず、それよりも速く大地を蹴って跳躍した箒はマドカを飛び越えながら体勢を変え、着地を待たずして右のソードで薙ぎ払いの一撃を放ったのだった。
「くっ!?」
ほぼギリギリ。若干前髪を切り裂くほどの寸でのタイミングでその一撃を頭を屈めて避けるマドカだったが、頭を下に向けるということは同時に相手から一瞬だけ視界を外すという事。そしてその隙を今の箒は一切を見逃しはしない。着地した箒はマドカの体勢が整うのを待たずして、ビームサブマシンガンの銃口を刀の柄で弾き上げながら、鋭い視線をマドカに送る。
「(これはっ!?)」
背筋を走る悪寒に、反射的に銃口を正面に向けたマドカだったが、その表情は驚愕に歪む。
「(あの女、何処にッ!?)」
たった今まで、目の前で斬り結んでいたはずの箒の姿が何処にもないのだ。
何処に逃げた? そんな疑問が頭を掠める中、自分の背後から伸びる二本の刃の存在が、今度こそマドカの全身を凍りつかせた。
「(この女、昼間とは動きがまるで違う!!)」
背中合わせで、自分の首下と脇の下にレーザーソードの刃を突き付け、涼しげな表情で立つ箒の変わり様に、対決しているマドカだけではなく、脇で見ていた一夏すらも驚いていた。
この間までの箒は頑なに一人で全ての決着をつけようと、大振りな太刀筋と力任せの大技ばかりを使っていた印象があり、何処かその戦い方が危うさを醸し出していたのだが………。
今はどうだ? まるで舞うように刃を振るい、踊るように大地を駆けている。その戦い方は見ていた一夏が一瞬見惚れてしまったぐらいだ。
だが関心ばかりもしてられない。何故ならマドカには大事なことを聞かないといけないのだから………一夏は箒にそのことを伝えようと声をかける。
「箒………そいつはっ!」
「分かっている」
凛とした声ではっきりそう返事をしてくれた箒に一夏は安堵する。しかし、その表情が彼女の癇に触るのだった。
「勝負はまだ終わっていないぞ!!」
「!?」
右手に持ったビームサーベルを反転しながら振るう。箒は彼女が動き出した時点で真上に跳躍することで回避していたが、そんな彼女に向かってマドカは八つのビットを切り離し、自身が操れる最高速で彼女に解き放つ。
「遊びは無しだ!! 蜂の巣になるがいい!!」
一夏がそのビットの動きを見るのは今度で三度目。だが今のスピードは今までで最速であるといえ、空中を飛ぶ箒の四方を取り囲んで、ビーム発射口からビームサーベルを出力し、全方位から襲い掛かったのだった。
「箒ッ!?」
心配になって彼女の名を叫ぶ一夏だったが、幸いなことに、箒にとって全方位から襲い掛かってくる攻撃というのはそれほど心理的脅威を与えられないのだ。何故なら………。
「済まぬな。この二年間、大軍に囲まれてばかりの日々だったもので………」
最初に牙を向いた二基のビット目掛けレーザーソードを投擲する箒。そしてその光刃は吸い込まれるかのように空中を縦横無尽に駆け抜けるビットに突き刺さり、爆散させたのだった。
「なにぃっ!?」
さすがにこれは予想外だったのか、マドカが驚きの声をあげる中、箒は全身の展開装甲から、ミサイルを発射する。
『散桜刃舞』………ミサイルとレーザーソード双方の特性を持った針の嵐は、ビットたちを無視し、直接マドカに向かって飛来したのだ。
回避しようにもあまりの数に、彼女はそれは不可能と判断、ビットを呼び戻すと間一髪でバリアフィールドを展開し、散桜刃舞を防ぐことに成功する。
だが、これは箒の読みの範囲内。こちらの回避不可能の範囲攻撃で敵の足止めをし、彼女は地上に急降下すると、巨大な斬艦刀と化しているビットと雨月・空裂を回収すると、急降下の勢いをまったく緩めることなく、地面スレスレを疾走、マドカの正面から刀を構えて突撃する。対してマドカもレーザーソードの嵐が止んだ直後、正面から突っ込んでくる箒に向かって、ビットを再び向かわせた。
「!!」
「!?」
そして、一瞬の静寂………六つのビットから出る蒼いビームの刃が全身に突き刺さる寸前で止められた箒と、銀色に光る二つの刃が、胸元と額に突きつけられ、ほんのわずかに力を込めただけで刺し殺せる上体で止められたマドカの間で、激しく火花が散る。
「篠ノ之………箒ィィィ」
「………フッ」
表情だけとはいわず、全身から殺気を放つマドカに向かい至近距離でなんと箒は彼女を鼻で笑い飛ばしたのだった。
「何がそんなに可笑しいッ!?」
「お前は、私を、一夏を見下してばかりだな」
「何ッ!?」
箒の何気ない一言………そして、次の瞬間、左側方から感じ取った僅かな気配と箒の笑みが、マドカの背筋を凍りつかせた。
「そうやって見下してばかりだから………」
マドカが何かに気がつき、左方向を見る。
―――両手に四挺、Eシールドを内蔵した大型シールドとセットになった大口径ビームガトリングを両手に二挺づつ持って構えるシャルの姿―――
「勝機を見落とす!」
「Fire!」
箒とシャルの言葉が重なる。と同時に箒がバク転しながら飛び退くのと同時に、大口径ビームガトリング四砲門による飽和攻撃が開始され、凄まじいビームの嵐がマドカに襲い掛かった。
「グッ!!」
戦艦からのCIWSの掃射と勘違いしそうな発射音をさせ、木々をなぎ倒し砂煙を上げるビームの弾丸がフィールドに激突し、激しく火花を散らしあう。そしてバリアフィールドを通り越してくる衝撃と、そのフィールドを発生させている自分の脳波でコントロールするビットに掛かる負荷を必死に堪えるマドカだったが、
シャルはそんな彼女に対して、不敵なセリフを投げかけた。
「いくらなんでも、無策でココまで来ちゃうなんて、ちょっと無謀が過ぎるんじゃないのかな!!」
「クッ!?……な、なにを…」
フィールド維持に精神の大部分を割いているマドカには、それが何を指した言葉なのか、正確には理解できないでいた。ただの挑発………その程度の認識で、彼女はシャルの四砲門の砲撃を全て受け止めきった後に、小賢しい台詞毎倍返しにしてやろうとシャルの方を睨み付ける。
そんなマドカの意識の外に追いやられたからこそ、彼女の一撃を避ける最後の機会を失ったのだ。
「私を前に、気を取られるとはっ!!」
箒の声と共に、紅椿の腰の装甲から二本の柄が飛び出し、それを掴むと同時に柄から両刃の長剣が形成され、柄同士を連結させた箒は頭上でヘリのプロペラのように高速で回転させ始める。
「いざ、推して参る!」
頭上で高速回転させている双剣から、攻撃力増強のための炎が噴き出した。幾分、陽太の扱うプラズマ火炎よりも赤みかかったその炎を纏わせ、箒は背中と両脚部のスラスターを点火し、一気にマドカに斬りかかった。
「剣閃疾走ッ!!」
「!?」
高速で剣を回転させながら突っ込んでくる箒の姿に、ようやくマドカは我が身の危険を感じ取るが、回避するにはあまりにも絶望的なタイミングだった。
「風輪火斬(ふうりんかざん)!!」
―――バリアフィールドごと、斬り裂かれるアーバレスト・ゼフィルス―――
「カハッ!!」
右肩から胴までの装甲が袈裟懸けにバッサリと斬り裂かれ、吹き飛び地面に転がされてしまったマドカは、箒の技を受けた衝撃で肺から出尽くした空気を必死に取り戻そうと咳き込む。
「ガハッ! ケホッ!! グッ………し、篠ノ之………箒ィ…」
だが、そんなマドカに向かって、箒は容赦せず………いや、その闘志の強さを認めた上で、意識がある限り彼女は抵抗を続けると判断し、早急にかつ確実に戦闘不能にする気で、トドメの一撃を放とうとした。
「話は別途で聞かせてもらう!!」
スラスターが唸りをあげ、高速回転した炎刃が火の粉を散らし、マドカに迫る。
「覚悟ッ!!」
「チッ!?」
だが、振り上げた刃が、振り下ろされそうになった間際………紅と青の間に白き影が割って入ったのだった。
「ちょ、ストップッ!!」
「い、一夏ッ!?」
これから話をしようとする人間を気絶させられてたまるか、とマドカをかばう形で二人の間に割って入った一夏だったが、そのタイミングがあまりにシビアで、前髪がわずかに箒の実剣で切り落とされるほどだったため、正直肝が冷えて、ちょっと涙目になる。対して箒も、容赦なく振り下ろした刃を、文字通り「髪一重」で寸止めすることになんとか成功したが、いくらなんでもどうしてこのタイミングで割って入ったのかわからなくて、思わず一夏を怒鳴りつける。
「な、何を考えている!! いくらISを纏っていたとしても、もう少しで大変なことになっていたぞ!!」
「い、いや………つい反射的に……って!? とりあえず話がしたいからこれ以上はちょっと待ってくれ!!」
「話も何も、お前はついさっき殺されかけたばかりなんだぞ!! 少なくとも話ならコイツを拘束してからでも遅くはあるまい!!」
つい先ほど生身をビットで狙われたとは思えない一夏の危機感の無さに憤る箒だったが、彼女もまたそんな一夏の相手をしたため、マドカへの注意が少しだけ殺がれてしまう。
「(ふ、ふざけるなよ………)」
自分に一撃を食らわした箒もさることながら、そんな箒から自分をかばう一夏の態度が殊更に腹立たしさを沸き立たせ、左手に握られたサブマシンガンの銃口を一夏に向けようとするが、そんな彼女のすぐ間際をガトリングの連射が襲い掛かり、マドカは思わず身を翻してしまう。
「もう………一夏も箒も、痴話喧嘩はタイミングを考えて」
無論、その一撃は言わずもがな、両手に大型のビームガトリングを計四挺も携えたシャルであった。マドカに歩み寄りながらも、彼女はガトリングの銃口をマドカに向けつつ、厳しい視線と言葉で彼女の行動を制限する。
「いくら君が強くても、今の状態なら一対一でも私で勝てそうだね。それにIS学園には君の相棒の人を倒したヨウタもいるんだよ?」
「クッ!」
「これ以上暴れずに大人しく投降して………」
重い銃口が不気味な金属音を鳴らせるシャルの眼を見たマドカは、この場をどう切り抜けるのか思案しながら周囲を見回す。
ビットは半数全壊、残り半数もエネルギーを使い果たし充電が必要。シールドエネルギーも箒によってISを展開状態にするのが限界なほど削られ、誰一人頼らずここまできたため数の上では圧倒的不利、時間がたってジークを圧倒した陽太が応援に来れば勝機は皆無。しかも先ほどの技の威力が自分の体から未だ抜けきっておらず、思うように動いてくれない。
しかしそんな絶望的な状況でもマドカの闘志は折れることはなかった。
「ま、まだだ………私は………私はッ!!」
こんな所で朽ちてしまうわけにはいかない。こんな情けないままで終わるわけにはいかない。マドカの変わらぬ決意を目の当たりにした箒とシャルは、当初の予定通り彼女を戦闘不能にまで追い込むしかないと武器を再び構えなおそうとしたとき、凛とした声がその場に響く。
「双方! そこまでっ!!」
「!?」
「!?」
「「!!」」
箒とシャルが驚いてそちらの方を振り返り、一夏とマドカにいたっては驚愕に表情を歪ませる。
「篠ノ之、デュノア、銃を下げてくれ。ここまでのこと、感謝している」
黒いスーツを身に纏った女傑が、月明かりの中をゆっくり歩み寄ってくる。しかも背後には対オーガコア部隊の残りのメンツである、鈴、セシリア、そしてラウラと真耶に首根っこを引きずられながら不貞腐れながら紙パックのコーヒー牛乳をすする陽太の姿だった。
「お前たちは下がっていてくれ。後は私が引き受けよう」
生身の状態で、手負いとはいえIS展開状態のマドカに近寄っていく千冬の姿に、一夏は不安そうな表情で声をかける。
「千冬姉!! そんなっ!」
「心配するな一夏。大丈夫だ」
何かそう確信めいたモノを持った笑みを浮かべて前に出た千冬は、マドカの前に来ると、膝を折り彼女と同じ目線の高さにしゃがむ。と同時に、展開状態のISのエネルギーにも限界がきたのか、彼女のISが待機状態に戻ってしまった。
だがそのことにすら気がついていないマドカにむかって、静かに千冬は語りかけた。
「……………直に話をするのは初めてだな。お前のことは束から小耳に挟んではいたのだが………まさか生きていて亡国に所属していたとは…」
「織斑………千冬ッ!?」
「VT………ヴァルキリー・トレース・システムの13人目のM………マドカだな」
VT=ヴァルキリー・トレース・システム………その言葉を聴いたシャルやラウラ達が何かに気がつく。そして教師である真耶が、厳しい表情でそのシステムの説明をしてくれる。
「確か、過去のISの世界大会(モンド・グロッソ)の部門受賞者(ヴァルキリー)の動きをトレースするシステムで、その研究、開発、使用の全てがアラスカ条約で禁止されている禁断のシステム……」
「禁断?」
一夏の問いかけに、眼鏡の角度を指で直しながら真耶が答えてくれた。
「ええ。そもそもシステムそのものが搭乗者を半ば機械的に制御してしまって、人道的に問題が多いんです。言わばオーガコアに限りなく近いシステムですから……」
「それだけじゃない」
そんな真耶の説明を補足するように、コーヒー牛乳を啜っていた陽太が、不機嫌そうな表情を直すことなく、説明し始める。
「今、真耶ちゃんが説明してくれたのは『表』のVTシステムのことだ。第二世代ISの性能向上を目的にした、搭乗者(ソフト)の簡易強化ツールのことだ」
「お、表?」
「それってどういうことなのよ?」
真耶に言われた概要自体は、IS操縦者たちの間では割と知られていること(一夏除く)であったが、陽太の発言はまるでそれが『表向き』の話でしかないとでも言いたげなものだった。
では、そのもう一つあるVTシステムとはなんなのか? 千冬とマドカを除く全員の視線が陽太に集まると、まるで苦虫を潰したかのように表情を歪め、彼は履き捨てるように言い放った。
「性格最悪な束ですら、やらないようなことだよ……………話自体は簡単だ。最強の兵器であるISを最強足らしめる操縦者は、やはり最強の力を持っていなければならない。そして数を揃えてしまえば、自ずとそいつらが所属している国は最強だ。そう考えたアホ共は、手っ取り早い手段を考え出した」
「手っ取り早い………手段………!?」
陽太の言葉を聞いた全員の脳裏に電流のような嫌な言葉が浮かび上がり、思わず千冬とマドカの双方を見比べる。
そして、信じられないものを見るかのように、陽太の方を再び見返すと、彼は伏し目がちな表情で静かに語った。
「……………そうだ。最強のIS操縦者のクローンを作って量産したんだ………全部で26人。それぞれアルファベットを認識票代わりに与えられたらしい」
「そ、そんな………」
「なんで26人だったかは知らん。大方後々にクローン同士で競い合わせて能力増大を狙ったのかどうだか………だが、途中でその計画自体が頓挫したって、束は言ってたな」
陽太の言葉に全員が引き攣ったようにマドカを見た。
「クローンの能力が目標にまで到達しなかったからなのか、それとも非人道的なことがばれて、どっか他所様からハイパーな物理的バッシング食らったのか、そりゃどうだか知らんが、とりあえず計画は頓挫、その計画からフィードバックされたデータで表のVTシステムを完成させられたとか言う話だが……」
そして陽太はその計画によってこの世に生を受けた少女に問いかけた。
「………ほかのクローンたちは間引かれたのか?」
「!?」
その言葉を聞いた、心臓を鷲掴みにされたかのような衝動に襲われる。
「………そうだ」
対してマドカは、目を血走らせ、全身からこの世の全てに向かって憎悪を向けたかのように、深い殺意と怨念を解き放つ。
「みんな………みんなッ、死んだッ!! 殺されたんだ!! 私達を勝手に作ったやつらに、勝手に殺されたんだッ!!………私達が貴女に成れなかったばかりにだ、織斑千冬ッ!!」
「……………」
自分が本来なるべき存在だったはずの千冬を見たマドカの瞳から、一筋の涙が零れ落ちる。
「私達は貴女になりたかった! 貴女になることしか生きる理由は与えられなかった!! だけどそれも否定されて、みんなが死んだッ!!」
―――なりたかった人。自分達のオリジナル。自我なんて言葉を与えられなかった彼女達が、唯一全員で興味を持った存在―――
「貴女と同じぐらいに強くなれれば、私達は貴女に会える!! それだけを信じてみんながモルモットの扱いに耐えていたのに………耐えていたのに………」
研究所で自分が製造されて数年………受精卵の状態から手を加えられ、真っ当な時間と方法で成長せず、急速に発達した肉体と自我は、日々与えられるカリキュラムという名の拷問に等しい訓練にも耐えて見せた。
「私達は………ある日、見放され、切り捨てられたんだ。これ以上時間をかけても意味がない。オリジナルと同水準になるなど不可能だと言われてなっ!!」
今でも覚えている。26人の、限りなく自分に近い姉妹達が一人一人殺されていく姿………ただ命じられるがまま、研究所の人間に付き従っていたのに、誰も彼女達を人間であるなどとは思っていなかった。 動物ですらない。
性能が水準に到達できなかった不良品の群れでしかないのだ。
一人、一人と確実に銃殺され、最後にマドカだけが残った。そして残ったマドカは泣きながら、助けてとなんども叫びながら、世界に呪ったのだ。
―――簡単に捨てされるぐらいなら、なぜ私達を創った!!―――
なぜ、ただの機械として作ってくれなかった? そうすれば入らぬ希望も、耐え難い絶望も味わうことはなく、黙って廃棄されることだってできたのに?
私達はいったい何のためにこの世に生まれたんだ?
誰にも聞かれることがなかったはずの、魂から血を流しながら発したその叫び………。
だが、それは『彼女達』には届いていたのだった。
「そして私が殺される直前、施設は亡国機業に襲撃された………どうやら、私を創った者達と亡国は敵対関係にあったようだ」
彼女の脳裏に浮かぶその光景………。
―――炎に包まれた研究所において、研究員や護衛を皆殺しにし、その返り血を浴びた漆黒の龍―――
―――そして自分に手を差し伸べるスコール・ミュゼール―――
『アイツのクローンにしては幼いな………大方自分達の都合のいいように適当にいじくったな?』
『遅くなったわね。私はスコール………貴女達のことを知って、保護しに着たんだけど………貴女以外は間に合わなかったようね………ごめんなさい』
『謝る必要はない。とりあえず仇は取った。義理分は果たしている』
―――見たこともないような巨体をしたISを身に纏った漆黒の龍が、周囲の炎よりも、姉妹の、研究員達の骸から流れる血よりも、尚紅い瞳で自分を見下ろしながら言い放つ―――
『リキュール!? 貴女は………』
『大方、今、この惨状を嘆いているのだろう? どうして世界は自分たちを見放したのかと?』
マドカは何も言い返すことができずにいたが、アレキサンドラ・リキュールはそんな彼女を見下ろしながら、昂然たる威厳を含んだ言葉を続ける。
『一度しか言わんぞ………お前の出生も、周囲の人間達のあり方も関係ない………お前の姉妹達が殺されたのは、お前達が『弱い』からだ。だから殺された』
『!?』
弱い………彼女達の存在をたったその一言で切り捨てたリキュールをマドカは睨み付ける。だがそんな彼女の眼光では何一つ揺るがすことができない強大な意思の具現は、彼女に自身の思想を投げつける。
『お前の姉妹は弱いから殺された。研究員達は弱いから私に殺された。そして、お前は弱いから私達に助けられた』
『………違うッ!』
『お前がどう思うかなど関係ない。そして弱いままのお前の言葉など世界も私も信じる価値もない………世界を、私を動かすことができるものはただ一つだけ。世界を、私を、動かせるほどの『強さ』しかない』
『!?』
『スコールの手を取れ。彼女がお前に『力』を与えてくれる………後は強くなるかどうかはお前次第だ………だが忘れるなよ? お前の意志と願いを叶えてくれるのは、お前だけなのだということを』
そして、ヤレヤレといった表情でマドカに手を差し出し、自分達がいったい何者か、そして何をしにきたのかを告げるのだった。
―――私達は亡国機業(ファントム・タスク)。かつて真の『英雄』によって作られた、世界に革新を願う者達………私の手を取って、世界を『本来あるべき姿』に共に変革しましょう―――
「そして私はスコールの手を取った! アレキサンドラ・リキュールの言うとおり、私は強くなった!! 誰にも頼らない! 私の価値を私が作る!! そして世界がそれを認めないと言うなら、世界を私達が作り変える!!」
血に染まった悲しみ、抑えきれない憤り、魂から溢れ出た憎しみ、それが彼女の瞳から零れ落ちる涙に集約され、地面とマドカを見ていた一夏の心を激しく打つ。
いや、一夏だけではない。話を事前にある程度予測していた千冬と、表情を隠すように皆に背を向けている陽太を除き、誰もが言葉を失い、呆然となってしまったのだ。
「………なんだ、その面は?」
聞かされた彼女の過去に激しく動揺している一夏だったが、そんな彼の様子を見たマドカが歪んだ笑みで彼を見た。
「同情でもしたか? それとも憐れみでも覚えたか?」
「い、いやっ! 俺は………その……」
だが彼女にしてみれば、一夏という人間は絶対にその存在を許してはならない人間なのである。自分達が地獄を見ている時に、目の前の男は自分達が求めてやまなかった、でも手に入れることが出来なかった物を一身に受け、温もりに包まれていたのだ。痛みも代償も払うことなく………。
「………お前や織斑千冬に責任はない。私達は所詮、愚か者達が勝手に創造した兵器(出来損ない)でしかない。預かり知れない場所の出来事のことを貴様が知らなくても………仕方ないとでも言うと思ったか!?」
「!?」
マドカの鬼気迫る表情に圧倒され思わず後ずさる一夏に、彼女は言葉をたたき付ける。
「そんなお前が私と、『私達』と解り合いたい!? ふざけるなッ!! 貴様如きの安っぽい同情も憐れみも私は受けたくはない!! お前は『私達』の敵だッ! 黙ってその命を捧げ、あいつらの償いとなれ!!」
「あっ………」
「貴様の存在も、貴様のISも、私やジークに対しての侮辱でしかない!! あってはならないのだ! 貴様そのものがっ!!」
言葉をぶつけられる度に一夏は弱々しく首を横に振る。身体は振るえ、歯をカチカチと鳴らしながら力なくうつむくだけで、反論の言葉など思い浮かばず、項垂れてしまった。
「私はお前を殺せるというのなら、喜んでこの命をくれてやる!! どうせ誰にも必要とされていない命だ!! どこで朽ちようともお前さえ殺せれば、それでいい!!」
最早自分に降りかかった全てを、一夏への憎しみへと変換したマドカであったが、そんな彼女の物言いに、誰よりも早く噛み付く男がいた。
「さっきから聞いてりゃ、ベラベラベラベラ自己憐憫に浸りやがって………」
ようやく自分の足で立ち上がり、振り返って不機嫌な表情を隠すことなくマドカを睨み付けた陽太は、彼女に言い放つ。
「立てクソガキ。ヒネって泣かして、もう一回ぐらいヒネてやる」
「火鳥………陽太ァッ!!」
今まで一夏と千冬を思って、黙って事の成り行きを見守っていた陽太であったが、もう我慢の限界だといわんばかりに彼女に向かって歩き出す。
腹立たしかった。少女の言い分全てが腹立たしてくて仕方がなかった。それはまるで遠い日、まだシャルとエルーに出会う前の頃の自分が叫んでいたかのような気が陽太にはしたのだ。
だからこそ彼女の言い分を認められない。自分の弱かった頃の言い分など、今の火鳥陽太が認めるわけにはいかない。一夏や千冬には悪いが、彼女をこの場で叩き潰そうと陽太は立ち上がったのだ。
彼女も陽太に対して、隠すことなく敵意と殺気をぶつける。いくら相手が格上といえども、こうなったらとことこんまでやるつもりでいた。ISも武器もないが、そんなことはもう関係ない。最悪の場合、待機状態のISコアをオーバーロードさせて自爆することすらも視野に入れていたマドカであったが、そんな今にも取っ組み合って潰し合いを始めようとする二人が思わず硬直してしまう事態が起こる。
―――パシィッンッ!!―――
マドカの頬を鋭く打つ音が鳴り、一夏が、そして陽太も周囲の人間も、その『人物』を凝視した。
「ち、千冬姉………」
今の今まで沈黙を貫いていた千冬が、表情を崩すことなくマドカの頬をぶったのだ。
これにはマドカも一瞬呆けてしまったが、怒りの反論をぶつける。
「織斑千冬ッ! 貴女はっ!?」
「今のは、自分の命を軽んじた発言をした分………」
そして千冬は、再び今度は反対側の頬を打つ。
―――パシィッンッ!!―――
「これは、お前の周りにいた者達が託した想いを軽んじた分」
「ふ、ふざけるなよ!!」
一方的に自分をぶってくる千冬に対して、理不尽な憤りしか感じられなかったマドカは、拳を握り締め、彼女を殴りつけようと、拳を振るう。
「千冬姉ッ!?」
一夏が思わず声を張り上げるが、千冬はそんなマドカの行動に対して、特に驚くことなく………。
「そして………」
―――両腕を伸ばし、彼女のパンチを避けながら―――
「これは」
―――自分よりも一回り以上小さな身体を腕の中に包み込んで―――
「お前達が、本来受けるべきだった分………」
―――マドカを抱きしめたのだった―――
「!!?」
マドカの息が止まる。
全身に電撃が走り、身体が思うように動いてくれない。
暖かな腕の温もりが、肌を伝い、心の中に流れ込んでくる。
「すまなかった………助けてあげられなくて………私は、お前の、お前達の『姉』なのに」
「!?」
その思わぬ言葉に、マドカは千冬を無理やり引き剥がし、信じられないものを見たかのように後ずさりながら、彼女から距離を置こうとする。
「な、なにを………なにを、貴女は、言っている?」
「何もも………妹達を助けられなかった不出来な姉が謝っているのだ………当然ではないのか?」
「!?」
「マドカ………もう止そう。一夏をお前が殺しても、お前が自分で命を絶っても、何も誰も還ってこない………塞ぐ事が出来ない空しさだけがこの世界に残ってしまう」
マドカを真摯に、そして慈しみに似た感情で、彼女を見つめ、言葉をつむぐ。
「過去の清算が何一つ出来ていない私が言うのもなんだが………始めてみないか、マドカ?」
「………な、なにを?」
恐る恐る言葉を問いただすマドカに、千冬は苦笑しつつ言った。
「家族をだ。私と一夏とお前とで………だ」
―――!?―――
全員が一斉に千冬を驚愕の表情で見つめる。そして自分の言ったはずの言葉を、どこか可笑しそうに苦笑しながら、千冬は話を続けた。
「無論、無理強いはしない。だからといって亡国に所属させるわけにはいかない。然るべき措置は取らせてもらうが………どうだろうか?」
「な、なぜ? 何を突然!! そんな与太話をッ!!」
「与太話ではない………本来、私は26人全員引き取るつもりではいたのだぞ? もっとも、私を含めた27人も同じ顔をした人間がいれば、一夏や周りの人間が混乱してしまうかもしれないがな………」
千冬はマドカにゆっくりと近寄ると、彼女の頭を優しくなでながら彼女に語り続けた。
「失った者の重み、その骸の重さを知っているお前の気持ちを理解できる。だからこそ、理解してほしいこともある………お前に託された命の重さはその比ではないということも」
「!!」
「お前までもが死んでしまったら、誰が25人の生きた証を残せるというのだ? 私や一夏ではそれは無理なのだ。お前でなければ彼女達の命の証は立てられない」
そして言葉を一旦置き、千冬はマドカの両頬に改めて手を置いて、一番伝えたい言葉を口にする。
「生きろ。生きてお前の幸せを考えろ………それは罪ではない」
今度こそ息が詰まった。言い返す言葉が思い浮かばず、口をパクパクと動かし、揺れる瞳で千冬を見続ける。
最初、千冬に再開した時には、彼女に洗いざらい自分に起こった事をぶつけ、彼女に無知は罪であると教え、彼女の目の前で一夏を殺してやるつもりだった。
ざまあみろ。お前達が幸せに生きている間に、幸福の意味すら理解できずに殺されたものがいたんだと、教えてやるつもりだった。たとえそれが筋違いの、復讐ですらない、単なる八つ当たりであったとしても、もう自分にはそれ以外にするべきことなど見出せないと思っていたから………。
だが実際の織斑千冬は、そんな自分の憤りを受け止めてくれた上で、自分を受け入れるといってくれたのだ………死んでしまった姉妹達が、求めてやまなかった『妹』という言葉と共に、自分を家族として受け入れるといってくれたのだ。
これは夢か? ただの幻聴か? それとも本当に現実の言葉なのか?
判断がつきかねるマドカは、何も考えることなく、ただ自分を黙って見つめてくる千冬の瞳に吸い寄せられるように、彼女を見つめ返すだけであった。
「………千冬姉」
そしてそんな姉の姿に、心の底から暖かな気持ちが湧き上がるのを感じた一夏は、素直に自分の未熟さを恥じることにする。
マドカの言葉に衝撃を受け、何も考えられなくなり、自分の存在そのものに一瞬だけ嫌悪感を持ちかけたが、それは誤りだ。
なぜなら、織斑一夏を守ってくれたのは、間違いなく織斑千冬だから。
彼女が己の身を削ってまで守ってくれていたから、今、自分は生きている。生きて誰かのために戦える。
そんな自分を否定することは、彼女が今まで歩んできた道を否定することに他ならない………。
自分は千冬の全部を継ぐと決めたのではないのか?
「やっぱり………千冬姉はすごいや」
改めて自分の姉に誇りを持つ一夏と、そんな千冬の弟子であり、振り上げかけた拳を事の成り行きで下ろさねばならなくなった陽太が、表面上は面白くなさそうに鼻で荒く息を吐き、とっとと寮に戻ろうとした時………。
「!?」
―――切り裂かれるような獣の気配―――
「千冬さんッ!!」
覚えのある気配と、その気配の持ち主がどこに向かうのか反射的に察し、振り返ると同時に、ISを展開、考える暇も無く全速の瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使用し、陽太は千冬に向かって一直線に飛ぶ。
と同時に、物陰から突然現れた黒い影が、千冬とマドカに向かって飛び出す。
「!?」
突然の事態に、全員が反応しきれない中、白と黒の影が千冬とマドカの間で交差し………。
―――右手にフレイムソードを持ち、左腕に千冬を抱きながら空中で反転するブレイズ・ブレード―――
―――マドカを右腕で抱きかかえ、左手に実刀を携え、大きな樹木の枝に一瞬で降り立つ黒い全身装甲のIS―――
互いの獲物が火花を散らせながらも、絶妙に斬り結んだ両者の視線が絡み合う。
「お前は………」
「ジークッ!?」
陽太が軽く驚きながらも睨み付ける。腕に抱えられたマドカにしてみれば、驚きの声を上げたのは無理も無い。二日は身動きが取れないと思っていた相棒が自分を助けに来たのだから。
「………ったく、ちょっと目を離すと鉄砲玉みたいにどっかいきやがって」
「なっ!!」
「お前のためにこっちは麻酔半分の拷問食らったんだぞ?」
この男が自分を心配して迎えに来てくれたのだということを察し、マドカは目を白黒とさせる。
だが、その男の視線は、昼間自分を倒した男………ではなく、その男の腕に抱えられた女性を見て、彼女に言い放った。
「勝手にウチの相方を引き抜かないで貰いてぇーな、織斑千冬」
「………お前は…」
「………ジーク・キサラギ。コイツの相方だよ」
丁寧に自己紹介までするジークに、マドカは硬直してしまう………365日24時間不機嫌極まりない表情を浮かべている、直属の上司であるスコールにタメ口を利いてはばからないこの男が、自分から自己紹介を行うとは………。
「火鳥陽太………今日の借りは、後日キッチリ返させていただくぜ?」
「ハッ! 気にするなよ………永久に踏み倒してやる!」
千冬を下ろし、フレイムソードを逆手に持ち替え、腰を溜めて今すぐにでも飛びかかる体勢を取る。そんな陽太の脇に並び、ジークに切っ先を突きつけながら、刃のような鋭い視線をぶつける者がいた。
「待てぇ! 貴様には聞いておかねばならないことがある!!」
「………またテメェか」
若干ジークがうんざりしたような口調になる中、切っ先を向けた人物………箒は、若干興奮しながらも、何とか理性を働かせた口調で問いかけた。
「二年前! 日本政府とロシア政府が共同施設を襲撃し、オーガコアを強奪したのはキサマなのかッ!?」
「………俺じゃねぇーよ」
「亡国機業が起こしたことは間違いない!! その言葉を信じるに足る証拠はどこにある!?」
「………証拠も何も、二年前って言ったら俺はまだ満足に…………待て」
そこで何かに気がついたジークが、今度は箒に逆に質問をし返す。
「お前、なんで俺がやったって言い張ってんだ?」
「私は見たからだ! 施設を襲撃した、お前のその姿(IS)をした奴が、簪を貫く姿をッ!」
だがその言葉を聴いた瞬間、ジークが声を張り上げた。
「どこで見た!! 俺と同じ姿をした奴ヲッ!!」
「?」
「そいつは本当に俺のISと同系機だったんだよな!? 見間違いじゃないんだよな!?」
「あ、ああ………」
「そうかそうか………『アイツ』、やっぱり生きてやがったな!!」
何か突然嬉しそうに笑い出したジークに、若干君の悪いものを感じる一同と腕の中のマドカ。だがジークは気分を激しく高揚させたまま対オーガコア部隊の面子に背を向けると、静かに言い放つ。
「篠ノ之箒。お前のお友達を半殺しにしたのは俺じゃない………俺と同系機のISを持っているということは、俺が探してた奴さ」
「………ジーク?」
だがマドカは気がつく。ジークは嬉しそうにしていながらも、その嬉しさの中から溢れ出る激情を秘めているのだ。
そしてその激情は、彼の存在意義にも注がれる。
「お前と同じ、俺がブチ殺す相手だよ! 織斑一夏ッ!!」
「!?」
激しい殺気をぶつけられ、思わず反射的に雪片を構える一夏だったが、ジークは飛び掛る様子も無く、マドカをしっかりお姫様抱っこし直すと、左手に手投げ式のグレネードを構築する。
「織斑一夏………今のままのテメェじゃ、殺しても腹立たしいだけだ。俺や火鳥陽太と互角に戦えるぐらいに強くなれ………そしたら遠慮なくブチ殺してやる」
「!?」
そして言葉と共に彼は手投げ式のグレネードをIS学園サイドに向かって投擲したのだ。生身の人間がいる中で食らうわけにはいかないと、陽太が零コンマ数秒の間でヴォルケーノを取り出し、早撃ち(クイックドロウ)で撃ち抜くが、空中で爆発したグレネードから大量のスモークが発生し、彼らの視界を一瞬で奪ってしまう。
「チッ!! 昼間の仕返しかよ!?」
しかもハイパーセンサーに障害(ノイズ)が起こり、うまく索敵ができない。舌打ちしながらジークに斬りかかる陽太だったが、すでに彼らの姿はそこにはなく、フレイムソードは空を切るのみであった。
「あんにゃろうっ!!」
空中に飛び上がり、スモークの外から直接視野で二人を捜索する陽太だったが、彼らの移動する痕跡すらも見つけることはできず、捜索を断念する。
「ミスった………まさかいきなり逃げるとは思わんかった」
地上に降りながら千冬に謝罪する陽太だったが、千冬は軽い様子で受け流す。
「いやいい。どちらにせよお前のISよりも速いISで、本気で逃げに徹せられては捕まえることはできなかっただろう」
そう陽太に声をかけると、彼女は一夏のほうに振り返り、白式の腕を軽く小突きながら話しかける。
「いきなりマドカを家族にしようと言い出したのには驚いたのか?」
「い、いや……………ん、いや。やっぱり驚いたけどさ………でもなんだかスゲェ安心した」
「……………」
「やっぱり、千冬姉は俺の自慢だわ!」
「……………馬鹿者が」
珍しく、本当に珍しく軽く頬を染めた千冬が歩き出し、部隊のみんなに撤収を呼びかける。
「皆、とりあえず寮に戻るぞ!」
「は、はい!」
そしてその言葉を受けた一同がISを解除し、めいめい寮に向かって歩き出す中、一夏もISを解除して歩き出そうとするが、そんな彼の肩を叩く者がいた。
「一夏」
「ん? 箒?」
伏せがちの表情で彼に呼びかけた箒は、彼の耳元でこう囁いた。
「後で話がある。私の部屋に来てくれないか?」
今日もネタがたっぷりだったね。どう考えても箒さんの技、ズバババーンッ!のあの技だよ………中の人はたやま、でも行動は防人………箒さんでSAKIMORIするのが楽しくて仕方の無い今日この頃
さてさて、次回はある意味この話の後半でこの章も閉めにはいります。
てか、箒さんが耳元で囁くとか、ちょっとえっちぃと思ったフゥ太は疲れているのだろうか?w