IS インフィニット・ストラトス 〜太陽の翼〜   作:フゥ太

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今回も例のごとく更新が遅れましたw

もうやだ………


では、戦争編はこれで一時完結です!


閉ざされる世界の輪(後編)

 

 

 

 

 

『………確かに』

 

 暴龍帝アレキサンドラ・リキュールからの通信を受けたスコールがすぐさま戦艦アトラスのレーダー索敵を掛けたところ、確かに中国方面から戦場になっている砂漠地帯へ向かっているいる弾道ミサイルを複数察知する。

 

「こっちからコントロールできたらよかったんだが、暗号入力式だ。それに割らせる口ももうねぇーよ」

 

 リキュールの部隊に同行していたジークがうんざりしたように言い放つ。どうやら彼の足元には二度と口が開かない将校の躯が転がっているようだ。後先考えずに『泥仕合』をしようなどと、いくらこちらに会話や作戦内容が筒抜けになっていたとはいえ、発想が短絡的過ぎる。

 

『それで………?』

 

 だがスコールが大いに問題にしているのはそこではない。

 いや、大分問題ではあるが、そこを問題にするよりもなお度し難い問題がジークの近くに文字通り『横たわっている』のだ。

 

「…………」

『大方『唯でさえ最初から乗り気じゃなかった上に、いざ乗り込んでみたら自分の敗因を全部現場に押し付けようとかするチキンどもで、あまつさえ自分の姿を見た瞬間、全員恐怖でビビッて戦意消失なんて奴らだからつまらな過ぎて労働意欲が失った』とか言い出してるんでしょう? もう~~~お茶目なリキュール♪ ウフフフフッ♪』

 

 花が咲いたかのような可憐な笑顔をしていながら、背後から般若のオーラが噴き出し、そのあまりの迫力に、隣にいたはずのマドカがいつの間にか壁際に押し寄せられ、半泣きしながら恐怖に震えていたのだった。

 

『ねえ、リキュール? 仕事しなさい?』

「………つまらない。どうやら私がいると抵抗らしい抵抗もしようという発想にもならないとは………陽太君達のように恐怖を乗り越えて私に牙を向く猛者などやはり早々いそうもないようだな。ジーク君、後は好きにやりなさい。私は寝る」

「いや、オイッ!? ちょっと!?」

『今すぐその人起こして仕事させなさいジーク。これは厳命です』

「意識を失う前に言っておく。私は寝起きが悪いらしく、どうやら無理やり起こさせると反射的に………反撃を……ふぁ~」

「うえっ!?」

『私の命令が遂行できないなんて戯言………言ったらどうなると思うジーク?』

 

 行けも引けも地獄な自分の状況に焦るジーク。ちなみに言っておくが彼に落ち度は何一つとしてなく、凄くマイペースに我侭を言っているのは上司二人である。

 そして流石に可哀想になってきたのか、それともこれ以上ジークに追求されるのを嫌がったのか、暴龍帝は空中ディスプレイを投影して他の部隊の戦闘を観戦しながら彼に命令を下す。

 

「ジーク君、外で戦っているフリューゲル達の手伝いをしてくれ。私はまだスコールと話がある」

『ええいいわよ。私はとことん、この人と話しをしたいところだから!!』

「………ああ」

 

 レズカップルの痴話喧嘩になんぞこれ以上付き合いきれるか、という投げやりな言葉を心の中だけでかけて、床以外のほとんどを失った部屋の残骸からISを展開した状態で飛び降りていく。

 外では基地内の予備兵力と竜騎兵達が久しぶりの開始している中、リキュールは画面に映る左頬に青筋を作ったスコールと、他の二画面に映っているリリィとトーラの戦いぶりを見ながら、ため息を付きながら呟いた。

 

「はぁ~~~………こっちの方が楽しそうではないかスコール?」

『勝手なこと言わないの!? 貴女、IS学園と戦ってから、我侭がグレードアップしてるわよ!?』

「雑魚狩りは私の趣味に合わん。やはり闘うなら強敵がいい」

『まだ言うか!?』

 

 『ああもうヤダー!』と画面の向こうで悶えるスコールを特に気にせず見つめながらも、リキュールは話を続ける。

 

「それにしても………ミサイルはどうする? 方角的に今からだと撃墜するのは私では難しいぞ? そもそも私はそういうの向いていないし」

『ええ、そうね。貴女はそういうの本当に向いていないものね。大雑把で適当でいい加減な所とか………一番こういうのに向いてるトーラは海上で手一杯で、これ以上ノルマ増やしてあげるのは可哀想だし』

「うむ。繊細な作業は私には向かないことは自覚してるよ」

『(嫌味すら通じない………チッ、これだから天然は)だとしたら、順当に考えると…』

 

 スコールの不機嫌そうな表情が更に歪み、左頬をピクピクと半ば痙攣させながら彼女は別のディスプレイを表示して声をかけた。

 

『もしもし、そこの簡単なお仕事を仰せつかったお暇な方?』

 

 棘だらけのストレート球のような言葉を投げつけられた人物は、その台詞に更なるストレート球を投げ返す言葉を発したのだった。

 

『はいは~い! 腹いせ代わりに活躍の場を奪われてしまった可憐な新妻ちゃんは、ここですよ~~~………はぁ、星が綺麗やわ………女狐ちゃんにも直接見せてあげたい』

 

 高度数万メートル上空において、星空を天に、青空を大地にして、亡国機業所属のISが出番を今か今かと待ちわびていた。

 

 ―――黒七分、白三分の独特な配色をしたカラーリング―――

 

 ―――十字架のような装飾の黄金の杖―――

 

 ―――背中に取り付けれた2門の巨大なキャノンと白のリフレクター―――

 

 ―――胸部の翡翠のようなコンデンサーが太陽光に反射して輝き―――

 

 ―――白いマスクと黒いバイザーの下で、この機体の主が微笑んでいた―――

 

 ランサー・サクラが駆るIS『オーディン・エーシル』が、もう一機の真紅のISと何故か綾取りをしながら暇つぶしをしていたのだ。

 

『星空なら私からも見えてるわよ?』

『ああ~~………ダメダメどすえ? そうやって物質的な返答しかできひん女子には、やはり良い男は来てくれまへんのや』

『何ですってッ!』

『ツーーーン』

『キィィィィィィーーーッ!!』

 

 だんだんとキャラが崩壊してきたスコールだったが、今の自分の立場とわりと時間がないことを思い出し、何とか使命感を取り戻して話の本題を切り出す。

 

『ミサイルのことは気がついてるでしょ? 貴女のISでそこから全部打ち落とせないの?』

『ん?』

 

 そういう言われたサクラはというと、首をかしげて数秒間考え込み、そしてあっけらかんと返答する。

 

『無理どす』

 

 ―――プッツンッ―――

 

『ぶっちゃけウチのISでそれをやると射角の問題で関係のないところまで大変なことに………』

 

 陽気に自分では無理だと言い放つサクラの様子。言うことを聞かないリキュールの態度。天然過ぎて取り扱いに困るリリィの存在。会うたびに殺意を覚えるメディアのドヤ顔。表の顔である会社役員としての仕事。部下やほかの組織の構成員達の苦情の一切合財の取り持ち、雑務、諸事情、etcetc………。 

 

 積もりに積もったストレスがゲージを突き破り、ついに大爆発する。

 

「うがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 頭を抱え、長い髪を掻き毟りながら絶叫する上司の姿に、若干怯え気味のマドカは徐々に後退しながら心の中で呟く。

 

「(スコールがついに壊れた)」

 

 もう我慢できるかと言わんばかりに、激高した表情を隠すことなく通信越しにサクラを怒鳴りつける。

 

「何もかも大雑把過ぎるのよ貴女!? そのせいでこっちはどんだけ苦労してると思ってるのよ!? そのくせ自分は新婚自慢? ぶぅわかっ!じゃないの貴女っ!?」

『な、なんやてぇー!?』

「そんな自慢する前にその使えなさをどうにかしてろ、この寸胴馬鹿狸女!?」

『言うたな、この行き遅れ垂れ乳狐女ッ!?』

 

 

 通信越しに起こった現代狸狐大合戦を前に、アトラスの艦内が騒然となる中、そんなことどこ吹く風よと言わんばかりにリキュールはある人物と話をしていた。

 

『………というわけだ』

 

 その人物………セイバー・リリィはというと、予定通り敵部隊を後退させ、逃げ惑う敵機達を部下の秋水と愛馬のドゥンと共に、悠然と見送りながらリキュールの報告を受け、暫しの沈黙の後、怒りの炎を瞳に宿しながら、言葉を紡ぎ出す。

 

「………痛みも感じず、血も流さず、安全な高みから………それを苦渋の決断だと後に言う気なのだな、奴等は?」

『だが作戦が成功すれば、結局は同じ規模の人間は死ぬ。用は向こうが勝手に自爆するか、態々我々でそれを阻止した上で、改めて連合軍に壊滅的な一撃を加えるか………それだけだ』

「何もかもが違う」

 

 自分達のやっていることを全てにおいて正しいことだとは言わない。

 血を流させ、誰かに死をもたらせていることも知っている。そして殺す相手には、必ずその人と繋がりを持っている人がおり、自分の刃がそれを無常に斬り捨てていることも………。

 一方的な理屈で蹂躙しているだけだろうと言われても、なんら反論する要素はないだろう。

 だが、それは自分自身の手で行う。そして奪った命のことを決して自分は忘れない………それが戦場に立つ者の持つべき絶対の『矜持』であると考えているリリィにとって、連合の将校達のやったことは決して許せない行為なのだ。

 

「戦場の兵士達にとって敵の攻撃で討ち死にするよりも、味方の策略で敵諸共騙まし討ちに合う方が遥かに無念のはずだ」

『だから君はあえてミサイルを撃ち落してから改めて自分の手で敵を下すと?』

「連合の兵士達は、皆が掲げられた平和維持という正義を信じて戦っている………例えここで自分が倒れても、正義を引き継いだ仲間が立ち上がってくれると信じて、命を懸けて戦いを挑んできているはずだ」

『そこまでの覚悟を持ったものが果たして何人いることやら………』

「私はそう信じて剣を彼らに向ける。歩むべき道を違えただけの『隣人』にできる精一杯の私の正義だと思っているから」

 

 セイバーのどこまでも真っ直ぐで清廉潔白なその言葉に、思わずリキュールがフッと微笑みながら彼女のあり方を祝福した。この少女は時代錯誤としか言いようのない騎士道をこの現代の戦場に実践し、その輝きを存分に発揮していた。リキュールにはその滅び去った古き時代のスタイルを貫く少女の輝きがとても愛おしいのだ。

 

『………やはり君は真の『王』だ。屑共の特効薬には君の爪の垢がいいかもしれんな』

「………いらん世辞だ!!」

 

 心からの賛辞だったのだが、どうやら日頃から仲の悪い(一方的にリリィが嫌っているだけ)リキュールの褒め言葉を、何かの嫌味だと感じ取ったのか通信を一方的に切った後、リリィは再び別の人間に回線を開く。

 

「レオンっ!」

『聞こえています総隊長』

 

 一秒の遅れもなく帰ってくる返事に安心するリリィは、自分の会話が常時レオンに筒抜けなのを知らずにその話をして、現場を離れる許可を求めた。

 

「………というわけだ! トーラがいけぬ以上、私が行くしかない! 後、皆は安全域まで退避してくれ」

『………それは出来かねます。そして総隊長お一人に行かせるわけには参りません』

「では誰が一緒なら!?」

『………秋水』

「………だと思った」

 

 隊長を置いて逃げ出すわけ無いでしょうと言いつつ、レオンは秋水を同行者に指名し、まったくもって予想通りだと言わんばかりに首を横に振りながらヤレヤレと言った仕草で、秋水はGSをリリィの横につけて急かすように声をかける。

 

「時間ないぜ、お嬢」

「…………」

 

 いつもはこういうの嫌がるくせに。という言葉が出掛かったリリィであったが、彼がようやく自分と同じ正義に目覚めたのだと思い込み、甚く嬉しそうな表情を浮かべ、分離していたドゥンと再び合体することで、元の重装甲形態へと変形し、秋水のGSの上に乗り上げた。

 そしてリリィが上に乗ったと同時に秋水は機体を発信させ、高々度目がけて加速し続ける。

 

「…………」

 

 無言でバーニアのスロットルを開きっぱなしにしながら、渋い表情になる秋水………自身の腹の底にあふれた『何か』の正体を見つけようと、彼は空をにらみながらひたすら考え続ける。

 

「!?」

 

 『連合上層部が有無も言わせずに味方ごと亡国を焼き討ちにしよう』という報告を聞いた瞬間、ガラにもなく少しだけ自分の『芯』が怒りの炎を灯したことを秋水が自覚した時、表情が硬い物に変化していた。

 感情任せに動くようなガキであることはとっくに卒業したものだと思い込んでいただけに、自分自身に腹が立ち始める。

 喜怒哀楽の塊のようなリリィの行動を補佐するため、いい加減な陸戦隊の親父連中の尻拭いをするため、常に自分は冷静沈着で現実的な行動をしている。そう信じていたはずなのに、なぜ自分はこんなにも怒りを感じているのか?

 連合の兵士達は敵で、自分は亡国機業の陸戦隊員だ。敵が勝手に自滅してくれるならこれ幸いで、どうぞ勝手にやってください………そう言い切るのが普通じゃないのか?

 それともリリィのように古臭い騎士道を戦場でかざすのが正しいのか? だが自分はそんな真っ直ぐなだけの生き方などとてもできそうもない。

 現実はいつだって無情で、選択肢は限られており、時間制限つきで内容はいつだって薄情だ。ならちゃんと後のことを考えて、必要なものと不要なものを切り捨て、できる限りの最善を尽くす。それがベストじゃないのか?

 

 ―――精一杯の私の正義だ―――

 

「(なんだよ、ソレ?)」

 

 敵のために心を砕くリリィ。そんな彼女に黙って付き従うレオン達。

 何が彼女達の考えが理解できず、イライラが収まらない秋水………彼がもう少し未来になってから知ることになる。周囲の大人がなぜあえて秋水には答えを教えずにいたのかということに。

 

「!?」

 

 空の色が青空から暗い星空に変わり、GSに激しく響いていた振動がおとなしくなり始めた時、リリィと秋水の視界に無数の光点が見え始める。

 

「お嬢っ!!」

「…………」

 

 秋水の言葉に答えるように、黒光するランスを反転させ、刀身に手をかける。長い柄の部分が収縮し、同時にランスの刃の部分が熱気を排出させながら徐々に展開して金色の光が漏れ出し始めた。

 

 ―――黒き槍を鞘とした、金色の剣がゆっくりと引き抜かれる―――

 

 暴龍帝のIS『ヴォルテウス』の装甲と同じ金属で作られた高硬度の黒鋼の『槍(鞘)』の中に普段は収められ、その漏れ出した木漏れ日のような光だけで巨大な竜巻を発生させられるほどの膨大なエネルギーを内包した『半ば物質化したエネルギーの剣(つるぎ)』を、姫騎士はゆっくりと頭上に掲げ、深呼吸しながら解き放つ瞬間をじっと待つ。

 

「「「…………」」」

 

 リリィがその刃を抜き去った瞬間、彼女の姿を映像越しに眺めていたリキュールと、そしていつのまにか口喧嘩を収めていたスコールとサクラが、打って変わった真剣な表情で食い入るように見つめていたのだった。

 そんな中、リリィとの接点がほとんどないマドカは、彼女が解き放った武器が途方もない威力を持っていることは初見で理解しながらも、アレがいったいどのようなものなのか理解が届かずに、首をかしげる。

 

「まさか、あの剣一本でミサイル全てを薙ぎ払えると?」

 

 俄かに信じがたい仮説であったが、隣にいたスコールは何も知らないであろうマドカに言い聞かせるようにある言葉を綴りだす。

 

「そういえばマドカは見たことがなかったのね」

「?」

「まあ、一度は見ておくべきなのかもしれないわね」

 

 一呼吸置き、スコールは静かに瞳を閉じて、突然ある『詩(うた)』を語りだすのだった。

 

 

「『輝けるかの剣こそは、過去現在未来を通じ、戦場に散っていくすべての兵たちが………』」

 

 

 突然囁かれたその詩に、驚くマドカ。

 そしてスコールに続くように、リキュールとサクラも語り継がれる『伝説』の一章説をなぞるように読み上げた。

 

 

「『今際のきわに懐く哀しくも尊きユメ―――――『栄光』という名の祈りの結晶』」

 

 

 映像越しに放たれる黄金の光が、リキュールの真紅の瞳を鮮やかに照らし出す。

 

 

「『その意思を誇りと掲げ、その信義を貫けと糾し、いま常勝の王は高らかに、手に執る奇跡の真名を謳う』」

 

 

 かつての伝説に準えたその武器は、ただの剣に在らず。まっすぐに己を貫くリリィにこそふさわしいとサクラも彼女のあり方を認めていた。

「「「其は―――」」」

 

 そして三人の詩(こえ)が一つとなった時、リリィはGSの上で一歩力強く踏み出し、己が分身であり、部隊の誇りを力強く握り締め………。

 

「『約束された(エクス)―――」

 

 今でも忘れない。陸戦隊に来て日の浅い頃、副官であるレオンから聞かされた昔話。

 

 『かつて亡国には『本当の英雄』がいた』

 『英雄は尊き理想を信じ、命を懸けて戦った』

 

 口数の少ないレオンが僅かに覗かせた深い畏敬の念を込めたその言葉をリリィはしっかりとその胸に焼き付けのだ。

 志半ばに倒れた英雄の想いを継ぎ、自分がたどり着かせて見せると心に誓い、彼女はその信念と、その化身である半身の真名を高々と叫び、天高く振り上げた光の聖剣を振り下ろしたのだった。

 

「『勝利の剣(カリバー)ッッッッ!!!』」

 

 

 ―――切っ先から放たれる、極大なる黄金の剣閃―――

 

 ―――剣閃の軌道のあらゆるものを切り裂き、宇宙(そら)に溶けていく―――

 

 

 秋水の目が眩むほどの光量で放たれた極大の斬撃は、天を引き裂く勢いで斜め一閃で振り下ろされ、友軍ごと焼き払うために放たれた悪魔の火の矢達を一瞬で飲み込み、直後、凄まじい爆風とまばゆい閃光が上空で発生する。

 

「!?」

 

 その爆発の余波が秋水のGSを激しく揺れ動かすが、彼は必死に機体を制御して体勢を崩さぬことに集中し続ける。

 見る必要もない。今も機体の上部で彼女は金色の剣を構えたまま残心しているはず。そしてもし撃ち落しがあった場合、ISをミサイルに突っ込ませるぐらいのことは平然と行うはず。

 

「(んなことさせるかっ!!)」

 

 仮に撃ち落しがあったなら、何が何でもリリィよりも早く自分がそれを叩き落とさねばレオン達に申し訳が立たないし、何よりも彼女の身の危険を黙って眺めているような真似は絶対にできない秋水は、全弾撃墜の確認が取れるまで油断はできないのだ。

 そしてしばしの後、揺れと目が眩む光は収まり、秋水はモニターで周囲を索敵しつつ、リリィに問いかけた。

 

「………やったのか?」

 

 秋水の問いかけに、光の剣を正眼に構えていたリリィは身体の緊張を解き、黒い槍に剣を納刀するとやがて嬉しそうな声で彼に告げたのだった。

 

「作戦終了だ、秋水、ご苦労様だな」

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 一方、同時刻―――

 

 大方の敵戦力と反抗する気力を削ぎ落とし、『計画通り』に敵艦隊を湾内へと追いやったトーラは、遥か上空で起こった眩い閃光を海面付近で目の当たりにし、上空において行われたことを一瞬で把握して、表情を僅かに綻ばさせる。

 

「リリィが『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』を使っただなんて………」

 

 友軍ごと焼き払うという連合の行為がよほどお気に召さなかったのか、それとも自分の部隊を純粋に守るためだったのか、それともその両方か………。

 そしてその輝きの正体を知らないモルガン達が血相を変えていることを見たトーラは、普段は彼女の見えない影で散々にリリィを馬鹿にしている者達の目にも、騎士王の通り名は伊達ではないことが焼きついたはずだろう。

 

「………ありがとうお姉ちゃん……っていうのも何か変なのかな?」

 

 先ほど馬鹿にされた姉が、自ら仕返しをしてくれたかのような変な気分になっていたトーラだったが、そんな彼女のISのハイパーセンサーは高速で接近してくる『何か』を察知する。

 

「!!」

 

 浮かれていた気分を一瞬で引き締め直し、銃口を無意識に向けたトーラの瞳が映し出したのだった。

 

 ―――超遠距離から放たれたエネルギーの奔流―――

 

「!?」

 

 何が起こったのか? という疑問を浮かべることすらできないままに、トーラは反射的に左腕を前方へと掲げ、カリュプス・ミカエルの防御兵装である左腕の光学防御シールドを展開し、その攻撃を受け止めてみせる。

 

「くっ!(重いっ!)」

 

 思っていた以上の威力に背中のバーニアを噴射させながら体勢を崩さないようになんとか空中に留まり続け、どの戦艦からの艦載砲なのかと索敵し始めるトーラ。周囲にISがいない以上、これほどのエネルギーの攻撃は戦艦に直結されたビーム砲以外はありあえないと判断したのだ。

 

「(ISはやはりいない………ならこの方角から最も近い戦艦は)」

 

 砲撃が飛んできた方角を睨み付けたトーラの瞳に、何かがキラリと光ったのが見えた。

 

「!!」

 

 今度は反射的にバーニアで急上昇してビームの一撃を回避し、敵の存在を確認したとき、自分の考えの間違いに気がつき、驚愕した。

 

「アレは………GS!?」

 

 自身に攻撃を仕掛け来た敵機。それは戦艦でもなければISでもなく、大胆なカスタマイズを施されたGSだったのだ。

 

 ―――背中に四基の高出力スラスターを兼任した大型の燃料タンク―――

 

 ―――両肩に連装ミサイルランチャーを装備し、左腕に対IS用のバズーカを持ち―――

 

 ―――右手にカートリッジ式の試作型ビームランチャーを構える―――

 

 秋水のように高機動パックに換装している訳ではなく、おそらく元は砲撃仕様だったものに無理やり増槽を施して機動力を上げてきたのだ。しかも先ほどの砲撃はどうやら大容量カートリッジを搭載したビームランチャーによる砲撃である。通常のFCSでは先ほどの距離を正確に狙い撃つのは極めて難しいはすなのに、あろうことかこのパイロットは高速移動しながらそれを行ったのだ。

 

「(普通ならまっすぐ飛ばすことも困難な機体のはずなのに)」

 

 無茶な改造をしながら二発の正確な砲撃を加えてきたGSに、半ば呆れと感心を覚えながらトーラは右手のライフルを構える。と同時に相手も同時にビームランチャーを構えた。

 

「「!!」」

 

 両者同時に引き金を引く。

 

 ―――ランチャーの砲撃を余裕を持って回避したカリュプス・ミカエル―――

 

 ―――そして改造第三世代ですら回避困難なトーラの射撃を、右上部の燃料タンクを切り離し、『ワザとバランスを崩して』回避するGS―――

 

「!?」

 

 錐揉み上に回転しながらこちらの攻撃を回避したGSに、トーラはおろか、部下のモルガン達や映像で戦いを見ていたリキュールやスコールたちも驚きの表情となる。

 

『艦隊総出を骨抜きにしてくれたカワイコちゃん!?』

 

 GSの外部スピーカーから聞こえてきた男の声。年はそれほど若くはないが中年というほどに取ってはいないだろう。大人の余裕が含まれた『男』の声に、一瞬だけ戸惑ったトーラが険しい表情のまま無言でライフルを構え直す。

 その様子を見たGSのパイロットは、体勢を立て直しながら堂々と言い放った。

 

『口説かせてもらうぜセニョリータっ!!』

 

 言葉と同時に発射されたバズーカの弾頭。通常はその攻撃をギリギリの所で回避するのだが、トーラは何故かそれを大き目の間合いを取りながら、何故か焦ったかのような急加速で回避したのだ。部下であるモルガンは最初はその様子を疑問に思ったが、すぐさまトーラが行った行動の真意を理解する。

 

 ―――カリュプス・ミカエルに接触する手前で弾頭が破裂し、炸裂した弾丸が一面にバラ撒かれる―――

 

「炸裂弾!?」

 

 ISの運動性能を理解したGSのパイロットが、点の爆発ではなく、広範囲の面の爆発を選んで攻撃してきたことにモルガンは驚愕したのだ。だが実際にこのGSの相手をしているトーラが胸に抱いた感情はただ純粋なる『感動』だった。

 

「(この人の動き、凄いッ!!)」

 

 カリュプス・ミカエルが高速で飛行しながら牽制の射撃をしつつ間合いを詰めようと加速しかける瞬間を狙い済ませたかのように飛んでくる炸裂弾によって阻まれてしまう。まるで自分の癖を見抜かれているかのような錯覚に陥るトーラだったが、彼女はそれがすぐさま『否』だと判断した。

 

「(普通の撃ち方じゃ当たらない)」

 

 三基残った大型スラスターを巧みに使った加減速で避けてくる敵機に対し、炸裂弾の攻撃を回避すると共に、両手にライフルを持ち直し、今日の戦いで一番の速度での抜き撃ちを行う。

 

 ―――トーラが回避したと同時に切り離された左上部の燃料タンクを楯として抜き撃ちの射撃を受け止めるGS―――

 

「!?」

 

 まただ。またこちらの動きを先読みして攻撃を回避してきたGSに、トーラは相手が何を持って自分を上回ってきているか理解する。

 

「(このパイロットさん、私よりも遥かに歴戦のエースなんだ!!)」

 

 戦っている敵が、ただ純粋に経験則からの高い洞察力でこちらの動きを予測しているのだと断定したトーラは、徐々に集中力を高めながら初めて感じる『高揚感』に身を委ね始めた。

 

「(凄いッ!! 凄いッ!!!)」

 

 ―――ただ速く撃つだけではなく、緩急をつけながら相手の動きを予測し、『当てる』のではなく、一秒後の相手の動く場所に『置く』ように撃つ―――

 

 自分がされた相手の戦術をそっくり返してきたトーラの攻撃に、回避不可能だと判断したGSのパイロットは残った燃料タンク二基を同時に切り離し、楯として受け止め、それによる爆発を利用して一旦間合いを開くと、敵ISの恐ろしさを改めて実感し、ヘルメットの中が冷や汗で充満するのを実感する。

 

「あのフロイライン、次元が違いすぎるだろうが!?」

 

 戦っている映像を見た瞬間から、敵ISのパイロットは実戦経験は浅く、そしてあえてIS本体やGSのジェネレーター付近を避けるように攻撃を加えている姿から、年が若くて人を殺した経験のない少女だと思い、GSとISの性能差を差っぴいて、命懸けなら万に一つの勝ち目もあるかと踏んでいたのだが、今はその考えを撤回していた。

 

「(チッ!? 俺も若い頃は散々天才だとか空軍始まって以来のエースだとか言われたが………この歳になって教えられるとはな)」

 

 本物の天才(エース)がどれほどの異才を持っているのかということを………。

 

「だがまだよっ!」

 

 まだこのままでは終われない。もう少しこの『お嬢さん(IS)』には自分とダンスを楽しんでもらわなければ、部下と母艦が逃げ果せれない。

 気合を入れ直したGSのパイロットは、切り離したスラスターの代わりに、両脚部のスラスターを全開にしながら、敵ISに向かって両肩のミサイルとバズーカを全弾撃ち尽くすつもりで連続発射する。

 

 その全てが炸裂弾仕様で、カリュプス・ミカエルの動きを予測して次々と炸裂するが、その全てをすでに順応したかのような動きで回避しきったトーラが、トドメと言わんばかりにビットを切り離し、GSに全方位攻撃を仕掛けようとした。

 

 ―――その瞬間、ニヤリと微笑むGSパイロット―――

 

 ビットがGSの方に切り離された瞬間を見計らい、FCSが自動でビットに反応して迎撃しないように手動に切り替え、空になったミサイルの発射口をパージし、手持ちのバズーカを放り投げると背中に隠されていた『出力を最優先した』大型スラスターを展開し、それを一気に最大出力で使用する。

 

「!?」

 

 ―――圧倒的加速で、ビットの弾幕に自分から突っ込むGS―――

 

 トーラもこの行動には度肝を抜かれる。今までの対戦の経験上、ビットを目の当たりにした相手はその攻撃から避けようと回避行動を取る者か、反応すらできずに蜂の巣にされる者だけだったため、こうやって『自分から攻撃を受けに行く』という想定すら彼女の中では存在していなかったのだ。

 

「ぐっ!!」

 

 ビームコーティングを施された両腕で、メインカメラとジェネレーター、そしてコックピットだけは何とか死守する形を取り弾幕に数発の被弾を受けながらも、そのどれもが軽度の損傷で済ませたGSが、僅かに動きを鈍らせたカリュプス・ミカエルに近接戦闘を敢行するGS。

 『どうせ避け切れないことは明白。だったら如何に損傷を軽微にして有利な状況に持っていく』のかを考えた結果のあえての突撃に、敵ISが動揺してくれたことに感謝しながら、GSが素早く隠し持っていた高出力レーザーブレードを引き抜き、すれ違いざまに斬りかかった。

 

「もらったっ!」

「!?」

 

 遅れてトーラもライフルを投げ捨てると、右手に内蔵されているサーベルを取り出し、GSに接近しながらすれ違いざまに斬りかかる。

 

 ―――サーベル同士が激突、火花とスパークが空に咲き誇った―――

 

 出遅れながらも最短の行動で動きに付いてきたトーラに内心で賞賛を送るGSのパイロットと、ミサイルとバズーカが無くなった分、スピードが上がり小回りが利きやすくなったGSの動きに感動したトーラは、機体を旋回させ合いながら、二度、三度と剣戟をぶつけ合わせ、熾烈な一撃離脱戦を繰り広げる。

 

「(凄い凄い、本当に凄いっ!! 亡国の人じゃなくて、しかもGSでこんなに凄い人がいるだなんて!?)」

「(クッ! こっちは絶体絶命だってのに楽しそうに打ち込んできやがって………ちょっと俺も楽しくなってきたじゃねぇーかよ!?)」

 

 戦争の最中で、しかもお互いに敵同士であるというに、刃を幾度も交えることで伝わってくる感情はひどく暖かで真っ直ぐな物だった。

 戦うことをむしろ今までは忌諱してきたトーラにとって初めて出会った、手強い相手であるというよりも、豊富な知識を持った教師を相手にしている様で、積極的に彼の動き、戦い方を学ぶ様に刃を振るうトーラと、そんなトーラの様子をなんとなく理解したGSのパイロットも、無意識に自分の磨いてきた技術を目の前の敵に伝授するように振るい続ける。

 

 ―――幾度の剣戟の後、互いに刃を正面からぶつけ合わせ、機体出力と武器の威力で上回るカリュプス・ミカエルと、全長と重量で勝るGSが鍔迫り合いで鎬を削りあう―――

 

 亡国が誇る稀代の天才と、連合屈指の熟練の兵士の間に流れる、戦いと言う名の『授業』の時間。

 

 

 だがそれを終わりにしたのは、実に無粋な第三者の行動だった。

 

 

 

 ―――GSのコックピットの中で突如ならされるアラーム―――

 

「!?」

 

 ―――GSのメインカメラの不可解な動きに、同じ方向を向いたトーラが思わず叫ぶ―――

 

 

 

「やめてモルガンッ!!?」

 

 いつの間にか接近していた特殊戦技隊のIS達がビームライフルをGSに向けていたのだ。

 

 

『撃て』

 

 制止する隊長の言葉を無視した副隊長の冷徹な言葉を聞き、IS達が一斉に引き金を引いたのだ。

 

 ―――トーラの目の前で、ビームの連撃を受けて中破するGS―――

 

「ガハッ!!」

 

 幾つかのビームがコックピットの近くを撃ち抜き、ショートしたことで計器が爆発し、破片がパイロットの体に幾つか突き刺さってしまう。機体も穴だらけにされ、完全に戦闘不能されてゆっくりと海面に向かって落下していくGS………を信じられないものを見ているかのような目で見ていたトーラであったが、部下のモルガンがトドメの一撃を放とうとビームライフルを構えるのが目に入り、思わず大声で叫んだ。

 

「やめなさいッ! モルガン・グィナヴィーア!!」

 

 ―――モルガンが放ったビームを左腕の光学防御シールドで受け止めるカリュプス・ミカエル―――

 

「隊長!?」

 

 トーラの突然の行動に、モルガンも声を荒げて抗議するが、そんなモルガンに向かってトーラは声を出さずに、左肩のプラズマ収束キャノンを展開して、ギリギリの所を狙い撃って無言の抗議の声を張り上げた。

 

 ―――モルガンの右頬数cm間近を通り抜けるビームの砲撃―――

 

「ヒィッ!?」

 

 トーラが普段は絶対に見せない怒り任せの行動に、情けない声を上げてしまうモルガンを無視し、彼女は落下していくGSに向かって急発進する。

 

「間に合ってっ!」

 

 全速力で落下していくGSに追いつくカリュプス・ミカエルは、スレスレで機体に接触して海面への激突を阻止し、そのまま艦隊に向かって飛行を続ける。自分の手で介抱したいところであるが、このまま彼を亡国の母艦に連れ帰っても、モルガン達に何をされるかわかったものではない。だがもし、こちらの『意図』に気がついて、湾内への退避コースから逃れた戦艦がいてくれたのなら………。

 

「!!」

 

 そんなトーラの淡い期待に応えるかのように、ほかの戦艦群とは明らかに違う進路を取っている艦隊を発見し、接近している最中、通信回線に息絶え絶えのGSのパイロットの声が流れてくる。

 

『あ……いつら……ちゃんと』

「今は大人しくしてください」

『!?』

 

 トーラの声に驚くGSのパイロットの様子が彼女には手に取るように分かったが、そんなパイロットが重傷である事も理解しており、一刻も早く治療をしてもらえるようにどこかの戦艦にGSを下ろそうとしたときだった。

 ある戦艦の一角から複数のGSが飛び立ち、トーラ達に向かってきたのだ。

 

「クッ!?」

 

 正直今は手間をとっている場合ではない。彼らには申し訳ないが瞬殺しようと武装を向けかけたトーラだったが、そんなトーラに飛び立ってきたGS達が外部スピーカー越しに怒鳴りつけてくる。

 

『今すぐ隊長を放せ! 亡国機業!!』

「………!?」

 

 どうやら彼らは全てこのGSのパイロットの部下達で、ズタボロになっている機体とGSの姿を見て、居ても立ってもいられず、出撃してくるなという厳命を敢えて破ってでも自分達の隊長を助けに来たのだ。

 

『さあ、早く隊長を………!?』

 

 周囲を取り囲んだGS達の一機が、アサルトライフルを構えながら警告してくる中、トーラは安堵の表情を浮かべながらそのGSに無用意に接近し、自分が支えていたGSとパイロットを機体ごと彼らに預けたのだった。

 

「他の人も手伝ってください! コックピットの破片が身体に複数突き刺さっているようです! 移動は極力静かにお願いします!!」

『!?』

 

 トーラが凛とした声でそう告げると、周囲にいたGS達が隊長機を支えに集まってくる。

 

「さあ早く彼に治療を! 貴方達も今の進路を全速力で進んでください! いいですね!? 他の艦隊と同じ進路は取らず、今のまま進むんですよ!?」

『あ………ああ』

 

 敵であるトーラの言葉に戸惑うGSのパイロット達だったが、隊長の容態が一刻を争っていることも理解でき、とりあえずは彼女の言葉に従うように隊長機をゆっくり搬送しようするが、そんな中、重傷を負っていた隊長がコックピットを開き、ヘルメットを取りながらトーラに話しかけてきたのだった。

 

「お………おい。キミ……は」

 

 イタリア系の日に焼けた肌と、無精ひげと後ろで括った髪が特徴のそれなりに整った顔立ちの男が自分を見つめる中、トーラは自分のバイザーとヘルメットを解除して、素顔を連合の兵士達に晒したのだった。

 

 ―――銀色の腰にまで届く長い髪を風に靡かせた、薄い紫の瞳をした絶世の美少女―――

 

 連合の兵士達が開いた口を塞げないほどに驚愕する。

 先ほどまで鬼神の如き強さで連合を蹴散らしていたISの操縦者が、よもやこのような儚げな雰囲気を持った少女だったとは想像すらもしていなかったのだろう。

 唯一、直接手合わせした隊長ですら、『ただの少女』と思い込んでいただけに、この『凄まじい美少女』が驚異的な能力を持った操縦者であったとは考えておらず、彼もまた二の句が告げずに硬直してしまう。

 

「………隊長さん、ありがとう」

 

 そして儚げな笑みを僅かに浮かべながら感謝の言葉を口にする。

 

「初めて戦いが楽しいと思えて………貴方のおかげです」

 

 元来戦うことが苦手である自分であったが、彼との戦いには心が躍らされた。いや、生まれてからずっと与えられた『才能』だけで全てのことをこなしてきた自分に、類稀なる『努力』で勝ち取ったものがどれほど凄いのかということをまざまざと見せてつけてくれたこと。

 敵である自分にその素晴らしさを見せてくれた人への感謝の気持ちとして、彼女はまっすぐに船が進んでいる進路を指差し、毅然と言い放った。

 

「このまま真っ直ぐに全速力で進んでください。後、できるなら他の船にも同じ事を告げてください」

「?」

「いいですね。このまま真っ直ぐです………今からなら他の船も『彼女』の射程から逃れられるかもしれません」

 

 それだけを告げると、トーラは機体をひるがえし、猛スピードで飛び去っていく。

 彼の容態もなんとか最悪の一歩手前で済んでいるようで、応急手当を受け、この海域から離脱できればすぐに回復するだろう。安堵して気が緩みかけるトーラだったが、途中彼女のことを物凄い形相で睨んでくるモルガン達に出会い、トーラは再び凍りついた表情を作ると彼女の隣をゆっくりと通り抜けながら事務的な命令を部下達に下したのだった。

 

「全機、作戦海域から離脱してください」

『トーラ・マキヤッ!! 先ほどの行動を私に説明しなさい!!』

「もうすぐラストフェイズの時間です………巻き込まれたいのですか?」

 

 自分の隊長に対しての言葉とは思えない言葉をかけてくるモルガンであったが、沈みかけた夕日と顔を出し始めた満月が目に入ったとき、忌々しい気持ちを持ちながらもなんとかそれを押し込めて、トーラの後に続き、部下のISと共に機体を発進させていく。

 

「(教育的指導が必要のようですね、お嬢様(人形様)?)」

 

 トーラの副官兼お目付け役、そして彼女の教育係として、許し難い行いをした自分の隊長(人形)に如何なる仕置きをしてやろうか? 

 涼しげな表情で自分の前を飛ぶトーラを睨みながら、モルガンは嗜虐的な笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 ―――上空20000m付近―――

 

 遥か遠くの地上においていくつもの光点が輝いては消えてを繰り返し、不定形であった形が徐々に『中央』の一点に集中し始めた時を見計らい、満を持して『彼女』が動き出す。

 

「さぁ~~って、ようやく私のお仕事の番やね」

 

 北欧の最高神の名を持ったISを纏う『ランサー』月神サクラは、ゆっくりと背伸びをしながら通信相手のスコールに話しかける。

 

『…………そうね。最後だけちょちょっとやるだけなのに、なんでか大本命みたいな感じなってしまって、凄く腹立たしいわ………自分が立案した作戦だけど』

「そ・う・で・す・かッ!?」

 

 もう話し合うたびに口喧嘩に発展する二人だったが、時間も差し迫っていることもあり、サクラにしては珍しく特に反論もせずにスコールを褒め称える。

 

「そうやけど、ジェネラル三人が周囲から部隊を包囲して、中央に寄せてからトドメの一撃やなんて」

『そんなに特殊な作戦じゃないわ。やっていることはシンプル。そして相手もシンプルな考えのやつばかり』

「これで連合軍が大敗、一般人の国家への信頼もガタ落ち。この間の太平洋艦隊の件も含めて、メディアに流出した不祥事は瞬く間にお役人様達のお尻を大炎上させ、そこの隙に民間が割り込みをかける」

『…………表側がメインの私と貴方はこれからが忙しくなるわよ?』

「国家機関の失墜を良いことに、私達の子会社が軍事方面で乗っ取りをかけて、世界中の国から助成金巻き上げようやなんて………悪いお人や」

 

 スコールとサクラの脳裏には、この戦争の後の図がほぼ完成されている。

 今回の敗北はもはや確定したこと。そして予想外の自体に責任の有無を問われた国家は、必死にそれを鎮火させようとするだろうが、すでにメディアに今回の戦闘の映像、そして将官達の会話などが無編集でほぼ無編集で流れる手筈になっている。もうそうなっては政府の隠蔽工作は意味を成さない。それどころか隠そうというやましさを追求され、おそらくいくつもの国の内閣が解散に追い込まれるだろう。

 そんな中で亡国機業が起こす次の行動は決まっている。権威を失った国に変わって、民間が力を持つのだ。そしてこれから台頭する企業のほとんどは秘密裏に作られた亡国機業の保有するダミー会社だ。そして役人たちは必死に自分達の身を守ろうと、その会社に献金を私、必死に自分のポストを用意してもらおうと躍起になるだろう。誰が自分達を危うくさせているのか理解しないままに。

 何から何までスコールの思惑通りに進んでいることに、流石のサクラもこう思わずにはいられない。

 

「(流石亡国一の切れ者。普通やったらもうこれで詰めの段階なんやけど)」

 

 しかし、そんなサクラにも一つだけ懸念事項があった。

 

「そやけどスコールはん。IS学園はどないしますの?」

『………今はその話しないで頂戴。頭が痛くなってるのよ私も』

 

 リキュールの独断による襲撃と、形式上は『痛み分け』で終わった戦闘。実はこれが結構な問題になっていることにスコールとサクラも悩んでいるのだ。

 今回の作戦でキモになっているのは、亡国機業の幹部達の突出した戦闘力である。これによって亡国機業の脅威を世界に喧伝し、不安を煽る事でより民間への介入をスムーズに行うつもりだったのだ。誰しもわかりやすい恐怖を目の当りにすれば、不安な心理状況となり、説得もスムーズに行えるというものなのだが、よりにもよってその幹部の中でも突出した強さを持つリキュールと『引き分けた』ということが問題なのだ。

 これではまるでIS学園だけが唯一亡国機業に対抗できる存在であると言わんばかりじゃないか………。

 

「………あっ」

『喋らないで………きっとそうだから』

 

 サクラもスコールもリキュールの意図に気がつく。気が付いたがゆえに深いため息が出てしまった。

 なんということはない。連合軍が総力をもってしても倒せない敵と引き分けたIS学園は、世界中の台風の目として注目されることになり、彼らの活動もしやすくなるかもしれない。そしてそれは自分達と激突する場面が増えるということだ。

 

「………裏表無しに自分の楽しみが一番なんですな、あの人」

『注意したところで聞かないだろうし、口やかましく言うと亡国辞めると平然と言い出しそうだしね』

 

 リキュールにとって、師の作った組織とはいえ思い入れはそれほどない。ましてや同じジェネラルと戦ってみたいとか考えてるバトルジャンキーに、変に行動を制限してヘソを曲げられては、それこそ組織崩壊の序曲になりかねない。彼女が求める『闘い』を汚そうものなら、相手が例えスコールであったとしてもリキュールは平然と彼女を斬り捨てにかかるだろう。

 世界がどうあろうと、組織がどうなろうと、彼女はブレることなく己の欲求を満たそうとするのだ。

 

『あの人はね、私に必要なの。力がじゃない………あの何者にも染められない生き方が、私には足りないから』

「………ブレへんことが必ずしも救いになるとは限りませんで?」

『………わかってるわ』

 

 サクラの本心からの忠告も、スコールは困ったような笑顔で返してくるものだから、サクラも思わず苦笑しながらそのまま通信を切る。あんな笑顔をされてしまっては、これ以上は今のサクラには踏み込むことは躊躇されてしまったから………。

 結局は自分とスコールはどこまでも背中合わせな立ち位置にいるということがわかってしまったから………。

 

「さ~てさて、お仕事始めます……ん?」

 

 ようやく仕事を始めようとするサクラだったが、そのとき自分の近くにいた真紅のISの操縦者が不満そうな顔をして自分を見つめていたことに気がつく。

 

 ―――フリルのドレスの上に真紅の装甲をつけたかのようなデザインの外見―――

 

 ―――密かに操縦者本人が気に入っている真紅のベレー帽と、そこにつけられた不気味なウサギの人形のストライプ―――

 

 ―――手持ちの武装は白銀のハンマー一つ―――

 

 そして最も特徴なのは操縦者自身………誰が見ても小学生低学年程度の赤毛を三つ編みにした少女が、サクラの右手を引っ張りながら、不満そうな顔で彼女に話しかけてきたのだ。

 

「話終わったのサクラ?」

「ん? どないしたんインディ?」

 

 『インディ』と呼ばれた少女は地上のほうをハンマーで指しながら、今日はサクラの護衛役であったことを知りながらも、問いかけた。

 

「なんで私、こんなところでずっとサクラと綾取りしないといけなかったんだよ~~~、私も下に行って連合の奴等をぎゃふんと言わせたいのに!?」

「インディがおらんと、万が一のとき私が危ないやろ?」

「それはそうだけどさ………結局誰も気がつかなかったんだしさ………」

 

 どうやらISを纏ったにもかかわらず、ずっと上空20000mの何もない空の上でサクラと待機していて退屈だったようなのだ。見た目とは裏腹に闘争心が強く、他の亡国構成員達に対抗意識を持ったのだが、そんなインディをサクラは突然抱きしめる。

 

「お~~~、ゴロゴロゴロゴロ…」

「フギャーーッ!! サ、サクラ!? やめやめやめ………くすぐったいっ!!」

 

 猫をあやすが如く、頭を撫で回しながら喉元をくすぐってくるサクラを前に、インディは顔を真っ赤にしながら抗議の声を上げ、サクラはようやく腕を解き、精神年齢が意外に高い彼女にこう問いかける。

 

「今日はお詫びに帰ったら好きなもの作ってあげるから」

「!! じゃあハンバーグッ!!」

 

 訂正・精神年齢はわりと見た目どおりらしい。

 

 とりあえずインディを納得させ、サクラはゆっくりと頭上の満月を見上げながら、表情を引き締めて作戦の締めに取り掛かることを決意する。

 

「………ユグドラシル・システム、接続(エンゲージ)」

 

 彼女の言葉とともに全身から青白い光を発光させ始めた『オーディン・エーシル』が、背中に取り付けれた2門の巨大なキャノンと白のリフレクターをゆっくりと稼動させ始める。

 

「こちら月神サクラ………エルフ、ツヴェルフ、応答どうぞ」

『聞こえております我が主』

『ハイですサクラちゃん!』

 

 通信先から理知的で落ち着いた面持ちの大人の女性の声と、甘ったるい幼い少女の声が間なしに同時に返ってきたことに微笑みながら、サクラは言葉を続ける。

 

「ただいまから作戦の本締めに入ります………メインシステム起動、モード『グングニル』」

『了解しました我が主………メインシステム起動、グングニール発射準備」

『ユグドラシル稼動良好……照準用(ガイド)レーザー射出ですぅ!』

 

 オペレーターと思わしき二人の声によって次々と準備が進められ、サクラが見上げる先………仄かな光を放つ月面から突然青白い一条の光が伸び、『オーディン・エーシル』の胸部部分の翡翠のようなコンデンサーで『受信』して、月面にあるとある設備とレーザー通信で繋がった。同時にせり上がった二門のキャノンの矛先を地上のある場所へと向けた。

 

 

 ―――同時刻、月面亡国極秘施設『ユグドラシル』―――

 

 

 地球から遠く離れた月面において、地上からの望遠鏡や衛星での探査に引っかからないように、何重ものプロテクトと偽装を繰り返して作られた、亡国が所有する施設でも最高レベルの一つ、『ユグドラシル』………地球上のものとは比較にならない大容量の電力を供給できる太陽光発電システム設備であり、月面に並べられた無数のパネルと、一機の巨大なパラボラアンテナが真空の月面に鎮座するこの場所は、莫大な資産を誇る月神家のおおよそ三分の二を用いて、あるISのためだけに作られた豪華を極める場所であり、同時に地球上で最も『恐るべき兵器』に火を灯す場所でもあるのだった。

 

 ―――地球のオーディン・エーシルからレーザー通信を受けて、不気味な振動と共に稼動し始めるユグドラシル―――

 

 太陽光発電パネルが放熱をし始め、電力を中央のパラボラアンテナに集め出す。同時に地球上のオーディン・エーシルへのガイドレーザーから送られてくるデータを解析、最適な角度で放てるようにいくつかの中継衛星を自動で稼動させ、エネルギーを臨海までチャージさせる。

 

 一方、作戦の締めであるサクラが行動を起こした事を聞きつけたジェネラルたちは、顔色を変化させながら部下達に確認を取る。

 

『陸戦隊、所定位置まで下がったか!?』

『全隊員確認が取れました隊長。今回も死者は出なかったようです』

『負傷者は!?』

『年寄りスナイパーの腰痛が悪化しました』

 

 上空で秋水と共に待機してたリリィが入れた通信で、真顔でボケたのかどうなのか今一つわからないレオンから、とりあえず全員が下がったことを確認する。

 

『……こちらウリエール、全機撤退確認』

 

 短く言うトーラと、副官であるモルガンとの間に、すごく冷たい空気が流れる………トーラとしては早くこの場から離れたいのだが、最後の締めだけは確認しておかないといけないのだ。

 

『………こちらリキュール………さて我ら亡国を祝福する祝い花火、存分に拝ませてもらおうか?』

 

 距離的に安全圏ではあるが、危ないことには変わりはないので下がってほしいとジークが何度訴えても聞く耳持たないリキュールが連合の基地からISを纏いながら空を見上げる。仕方なく彼はもう少し距離を離した上空で待機することにした………『親方様の傍を離れない』と駄々をこねるフリューゲルとスピアーをフォルゴーレと二人係で羽交い絞めにしながら。

 

 それぞれが安全圏?に避難したことを確認したサクラの耳に、エルフとツヴェルフからの通信が入る。

 

『主、12秒後………『マイクロウェーブ』来ますっ!」

『カウントダウン、スタートですぅ!』

『11、10、9、8、7………』

 

 照準は蟻の大群ように寄り集まった連合の中心。旧世代の終わりを告げる、連合に組した兵士達への鎮魂の鐘となろう。

 そしてこの一撃は亡国による新しい歴史を作る幕開けとなる。

 

『6、5、4、3、2、1…マイクロウェーブ、照射!!』

 

 ―――月面から放たれる、莫大な電力を送信用に変換されたスーパーマイクロウェーブ―――

 

 青白い光が月面から強烈な閃光となって放たれ、二つの通信衛星に接触、通信衛星の専用のミラーによって屈折され、地上20000m付近で待機してたサクラへと送られる。

 

 ―――マイクロウェーブを受信した瞬間、衝撃波が雲を切り、サクラの姿が地上からでもはっきりと確認できた―――

 

 ―――眩いばかりの光を放つサクラのISが、夕焼けに染まる空に突如として生まれたもう一つの太陽のように連合の兵士達の瞳には移る―――

 

 月から放たれている青白い閃光を受けたオーディン・エーシルが、光の粒子を撒き散らしながらエネルギーを臨海までチャージし、ゲージが100にまで到達した瞬間、彼女は小さくこう呟いた。

 

『ごめんやで………』

 

 良心の呵責から漏れた言葉と共に引き鉄を引かれて解き放たれた極大の一撃………空を焦がすほどの眩い輝きは、天から下された神罰の鉄槌のように戦場の中心に降り注ぐ。神話の時代のおいて『主神の手から放たれたその槍は、如何なる鎧も貫き、如何なる武器をもってしても破壊できず、如何なるものも必滅させる』と謳われた最強の槍が、青白い極大の光槍(ランサー)に変化して大地に突き立てられたのだ。

 

 ―――『グングニル』の着弾地点半径2kmにいた兵士達が一瞬で素粒子レベルまで分解され、大地は深く抉れてマグマの海と化す―――

 

 ―――着弾6km付近までにおいても、着弾した衝撃で放たれた高温が生身の兵士たちを一瞬で焼き払い、付近を火の海にし―――

 

 ―――着弾8km付近では、爆風の威力によってGSはおろか戦車までもがなぎ倒され、多数の兵士達を道連れに爆散し―――

 

 ―――半径12km付近の外周ともいえる連合兵士達の瞳には、青白い閃光が作りだした地獄絵図がはっきりと目に焼きついたのだった―――

 

 海側の艦隊も、突如放れた巨大な砲撃によって湾内に発生した大津波に飲み込まれ、屈強な戦艦達が次々と水没していく………唯一、トーラの助言を聞き入れたGS部隊の戦艦と、それに追従した戦艦たちだけはその難を逃れることに何とか成功したものの、激しく揺れる艦内で治療を受けていたGS部隊の隊長は、小さな小窓から差し込んできた光に気がつき、痛む身体と寝かしつけようとする軍医の言葉を無視して窓に張り付き………そして愕然とした。

 

「なっ…………んだよ、これは?」

 

 ―――遠く放れた国からも確認できるほどの巨大なきのこ雲―――

 

 あまりに現実離れした光景は、連合兵士達の心をへし折るには十分すぎるものであり、その様子はすぐさま世界各国の衛星が感知し、国家元首達の脳裏を凍りつかせる。

 

「さてと………」

 

 巨大なきのこ雲を真下に確認しながら振り返ったサクラは、インディの手を握り、アトラスへの帰還の途につく。

 

 その後、かろうじて生き残った連合兵士達の前に姿を現した亡国機業のメンバー達は、彼らを嘲笑うかのようにトドメを刺さずに忽然とその姿を消してしまったのだった。

 

 オペレーション『メビウス』………亡国機業によって名付けられたこの作戦は、後の世界史に『落日の始まり』という名で語られ、歴史の主舞台に上がることのなかった亡国機業の名と存在を世間の明るみに出し、この直後から起こった世界経済の変動を促すきっかけとなる。

 

 

 

 一方―――

 

 

 

「はぁー、はぁー、はぁー…………」

 

 深夜の校舎の屋上において、両手に巻かれた包帯から血が滲み出るほどに修練を重ねる陽太が、深夜の星空を見上げながら、抑え切れない『内側』から沸き立つ『何か』を鎮めるように、ひたすら修練を重ねていた。

 

「(アレキサンドラ・リキュール………亡国機業)」

 

 自分の何もかもが届かなかった相手、そしてそんな相手が所属する組織では、ひょっとするなら彼女以上の操縦者とISもいるかもしれない。

 

「(………面白れぇ)」

 

 絶望感は不思議と沸いてこなかった。あったのは興奮………今以上に強くなった自分をぶつけたいという欲求が、全身に駆け巡り、そしてこの考えにいたったのだ。

 

「俺は………強くなりたい。今よりも……誰よりもッ」

 

 屋上から身を投げ出す陽太のその表情………。

 

 彼と彼女を知る両者がいたなら、きっとこう言っていただろう。

 

 

『陽太の笑い方が、アレキサンドラ・リキュールとよく似ていた』と

 

 

 

 




詳しいあとがきはまた活報で

次回はいよいよ、亡国総帥が登場!!

きっと皆さんの予想を超えた人物であることには間違いありません
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