実況パワフルプロ野球-Once Again,Chase The Dream You Gave Up- 作:kyon99
準々決勝であるパワフル高校と恋恋高校の試合が行われている地方球場。
ほぼ満席に近い程、観客席は試合を一目見ようと脚を運ぶ人達で埋め尽くされている。
一回の表、パワフル高校の攻撃は先発である早川あおいの緩急を突き、抜群のコントロールの前に三者凡退で抑えられ、恋恋高校の攻撃が始まった。
『一回の裏、恋恋高校の攻撃。一番 センター矢部くん』
「おっしゃーーッ!! 行ってこいッ!! 矢部ェーーーッ!!」
ベンチから身を乗り出して、檄を飛ばしたのは背番号「2」を付けた星雄大だ。
その声に、クルリと踵を返した矢部は「行って来るでやんす!」と大きく返事をして、右のバッターボックスへと歩いて行く。
「確かに今日の矢部くんは今までとは少し様子が違うように見えるけど・・・・・・。キミ達、一体何処で何をしてたの?」
と、先ほどの会話の続きを早川が問う。
七瀬が用意したスポーツドリンクを受け取ると、ゴクりと軽く一口喉に流し込んで、タオルで汗を拭いながら小波の隣にゆったりと座った。
「まァ・・・・・・ちょっとな。昔馴染みのヤツと一緒にひたすら打撃の特訓をしててな」
「昔馴染み・・・・・・? それって、元赤とんぼ中学で一緒だった流星高校の野沢くん? でも彼って確か外野手の人だったよね?」
「いいや、違うな。早川、お前はもう忘れちまったのかァ? 俺たちには昔馴染みがもう一人居るってことをよォ。その名前を聞いたら驚くと思うが・・・・・・」
「それは、一体誰なの?」
「いや・・・・・・それを丁度今、言おうとしてた所なんだが・・・・・・俺たちと特訓してた相手は極亜久高校の悪道浩平だ」
「———ッ!!!」
「・・・・・・」
星の言葉に小波を除く、その場にいる全員が雷にでも撃たれた様な驚愕の表情を浮かべる。
そのリアクションに対し、星はニヤリと笑みを漏らす。
「へへっ、どうだァ? 驚いただろォ? まあ実際、アイツがかって出た話で俺も矢部も最初は驚いたけどな。どう言う風の吹き回しかと思ったけどよォ」
「それにしては随分と嬉しそうな顔をしてるじゃねえか、星」
感慨深そうな星に対して小波が口を開いた。
「あン? そりゃ・・・・・・当たり前だろォ。碌でもねェバカが、こんなろくでもねェ俺たち二人の為に相手をしてくれたンだ。オマケに浩平には似合わねェ指先の豆が潰れてボールが血塗れになるまで投げてくれたンだしな」
カウント。
ツーストライク、ワンボールからの三球目。
麻生が百四十八キロのストレートを投じる。
——キィィィンッ!!!!
芯を捉えた金属音が響き、ライナー性の鋭い打球は瞬く間に左中間を突き破り、俊足の矢部は一塁を蹴り上げていきなりチャンスを作るツーベースヒットとなった。
「アイツも俺達もこの二日間、今まで以上、割りに合わねェほど必死こいて特訓したンだ。それなのに麻生相手に何の成果も得られませンでした、なんかで終わっちまったら、浩平のバカに悪いだろォ?」
打球を眺めながら星は、二塁に滑り込んだ矢部に向かって「ナイスバッチだッ!! 矢部ェ!!」と、声を張り上げる。
グッと拳を突き上げると、空かさずヘルメットを着用し、バットを片手にネクストバッターズサークルへゆったりと歩いて行く。
その後ろ姿を眺めて早川はポカーンと目を丸くして座り込んでいた。
「頼もしいな・・・・・・。この前の試合とは大きく変わって、随分と逞しい背中になったもんだぜ。これは悪道との練習でよっぽど気合が入ったらしい」
「でも、あの悪道くんが二人の練習に付き合っていたなんて意外だったね。もう二度と野球はやらないって、あの試合の後に言っていたのに・・・・・・。そういえば球太くん一人だけ驚いてなかったけど、どうして?」
「ん? いや、悪道浩平は野球を辞めない。俺はアイツは絶対に野球を辞めないって事を薄々分かっていたのかもな」
「えっ!? なんで?」
「・・・・・・結局のところ。アイツは野球が好きだって事に自分自身で気付いたみたいだしな。それに実際、あの最後の球は悪道浩平ってヤツの本当の気持ちが篭った・・・・・・本当に良い球だったからな」
次にマウンドに上がる時、今までとはまた一味も二味も違う手強い悪道浩平が立ち塞がるだろう・・・・・・。そう思うと、小波は思わずぶるっと一瞬、身体が震えた。
『三番・キャッチャー 星くん』
二番打者の赤坂が、ツーストライクに追い込まれてからの四球目。インコース、ボールゾーンへと曲がる甘めのシュートを詰まらせ、ファーストゴロに討ち取られてワンナウト。
ワンナウト。
ランナー二塁のチャンスの場面で、三番打者の星が右バッターボックスの中に入る。
「おッしゃァァァァアア——ッ!!! 来やがれッ!!」
ドカンと大砲のような咆哮。
ピリッピリッとした威圧が麻生へ、そしてパワフルナインを瞬時に襲った。
「喚くな雑魚が。まさか、そんな子供騙し程度で、このオレ様に対して脅しをかけてる訳じゃねェだろうな? 舐めるなよ、三下風情がッ」
しかし、麻生は星の威圧など物ともせず、ニヤリと余裕とも見える不敵な笑みを浮かべた。
セットポジション。
からの星に対して一球目。百四十七キロのストレートは、インコース高めのストライクゾーンへと放り込まれた。
——ズバァァァァァァアアアンッ!!!
「ストライクーーッ!!」
「——くッ!?」
(くそッ!! 速ェ球だ。矢部の野郎、よくこんな球をバットに当てやがったな)
星は、バットをピクリとも動かす事なく、その球を見送り、ワンストライク。
続いて、二球目。キレのあるフォークをスイングするも、スカッと空を斬る虚しいスイング音だけ。空振を取られツーストライクへと追い込まれた。
そして、三球目と四球目は渾身のストレートで三振を狙い迫って来たが星は喰らい付くかのようにファールで粘る。
(矢部がチャンスを作ってくれたんだ。俺も続かなきゃ練習を相手してくれたあのバカの努力が意味がねェだろッ!!)
バッティングセンターで悪道と出会ってから数十分後の事、三人の姿はとある中学校のグラウンドに在った。
歴史ある古びた校舎を眺めると、つい最近の事のように鮮明に学生生活の事を覚えていた。
「懐かしいでやんす。相変わらずグラウンドの電気はつけたままなんでやんすね」
矢部が小さな声でそう呟くと、星も思わず「ああ、そうだな」と返した。
ただ一人だけ。
悪道浩平は無言のままグラウンドを歩き続けて、プレハブ小屋の野球部が使っている部室のドアを半ば壊すかの勢いで開けると、部室の中へと入っていき、そこから硬式用の金属バットを矢部と星の前に向かって放り投げた。
「おっと・・・・・・。オイ、浩平ッ!! テメェ、いきなりバットを投げるンじゃねェよ!! 危ねェだろォ!?」
「フン。五月蝿ェな。黙ってろ、雑魚が」
「なんでこんな所に硬式のバットがあるんでやんすか? あれ? これ悪道くんのバットじゃないでやんすか! なんでこんな所に?」
「・・・・・・。極亜久高校には俺みたいな奴らが沢山いる。校舎内は勿論、グラウンドなんかはそいつらの巣食と化してンだ。碌な練習なんか出来る筈もねェからな、俺と犀川はずっと此処で練習してたんだ」
「あはははッ!!」
すると、星は腹に手を当てながら大きな高笑いを一つ浮かべた。
「星くん、どうしたでやんすか!?」
「ははは・・・・・・。いや、なんか、安心してよ」
「安心・・・・・・?」
「こんなクソ野郎でも、影では必死こいて練習してたんだって思ってな。そりゃそうだ。だって
「——チッ。五月蝿ェな。早く黙ってバッターボックスに着きやがれ!!」
「はいはい・・・ッと、その前に、浩平!! 一つだけ聞かせろ」
「・・・・・・」
「お前の本当の狙いは何だ? 本当に俺たちの打撃力向上の為なのか? それとも、俺と矢部のどっちか、或いはその両方を潰そうなんか思っちゃいねェだろうな?」
「・・・・・・」
悪道は黙ったまま、硬式のボールが詰め込まれたボールキャディーの中から一球、手に取った。
そして、一つ深呼吸し、口を開いた。
「小波潰しに失敗した今じゃ、テメェら雑魚共を潰した所で、腹の足しにもならねェのは明白だ。言っただろ? 俺以外に負けるのは気にくわねェってな。それに俺はお前達に————————」
「・・・・・・やれやれ、お前って奴は本当に素直じゃねェな。それじゃ悪いけど、お前は俺たちの土台になって貰うぜッ!!」
沈黙が流れ。
対する五球目で勝負は着いた。
アウトローへの百四十九キロのストレートを星は、ややタイミングを外したものの、思いっ切り踏み込んでバットの芯で捉えた。
——キィィィィン!!!
「なッ・・・・・・!?」
弾き返した打球。
矢部と同様、痛烈なライナーだ。
ファーストを守る戸井鉄男の頭を超え、ライト線、ギリギリのフェアゾーンへと転がると一塁塁審は空かさずジェスチャーを交えて「フェアッ!!」と大きな声を上げる。
「よっしゃァァアア!! 見たかッ!! オラァッ!!!」
湧き上がる歓声を裂くかのように、打った星は喜びを素直に喜ぶ鋭い気合の声を上げて一塁ベースを蹴り上げて二塁へと滑り込む。
勿論、二塁ランナーの矢部は悠々とホームへと生還し、恋恋高校はパワフル高校の麻生からいきなり先制点を挙げた。
「ナイスランだッ! 矢部くん!」
「まだまだ! オイラたちの攻撃はこれからでやんすよ!」
ネクストバッターズサークルで、次の打順を待っていた小波が矢部に向かってハイタッチを求める。
矢部はニッコリと笑顔で応え、すぐさまベンチへと向かってナインたちとハイタッチを交わした。
「チッ・・・・・・。雑魚共が揃いも揃って粋がりやがって」
恋恋高校のいきなりの先制点で球場が大きな歓声に包まれる中、ぶっきら棒な顔付きで二塁上で大きなガッポーズをする星を捉えたながら大きな舌打ちを鳴らしたのは、極亜久高校の悪道公平だった。
連日連夜、二人の打撃特訓の相手をしていたその右腕の指先は白い包帯でぐるぐると巻かれていて、薄っすらと血が滲んでいた。
しかし、そのぶっきら棒な顔付きからニヤリと口角を上げた笑みへと変わり——。
「まァ・・・・・・。やれば出来るじゃねェか。くそッたれがッ」
と、悪道が小さく呟いた。
「フッ。お前にしては随分と珍しく嬉しそうな顔をしているな。悪道浩平」
すると、ポツリと零した言葉を聞かれていたのか、それに反応し、鼻で笑いながら、悪道に向けて声をかけた一つの影。
「あン? 誰だッ!! テメェ!!」
表情に獣の様な怒りをギラギラと滲ませて勢いよく振り向く——。しかし、悪道は思わず目を疑った。
そこに立っていたのは思いも寄らぬ人物だった。
「ッ、滝本ォ・・・・・・」
「久しぶりだな。こうして面と向かって喋るのは、中坊の時殴り合った時以来か?」
「フン。そんな昔の事なんて一々知ったこっちゃねェなァ!? それよりどうしてお前がこんな所にいやがる!?」
「おっと、見て分からない程。お前は馬鹿じゃないだろう? ただの試合観戦だ」
「試合観戦だァ? 既に負けて終えた高校野球を観た所で意味でもあるのかァ?」
そこで滝本は口を閉じた。
その顔は、負けた悔しさに耐えるように唇を強く噛み締めていた。
少しの間。
沈黙が流れると、吹っ切れた感じで口を開いた。
「それもそうだな。・・・・・・ただ、俺達を下した恋恋高校を最後の最後まで見届けたいのさ。同じ甲子園を目指して戦いエースである智紀を打ち崩し、俺達を破り勝ち上がったチームだ。俺達に勝ったからには甲子園に行って欲しいと言う思いがあるから応援してる。それが敗者の務めでもあるだろう? ただ、それだけさ」
「・・・・・・それは随分と目出度ェ野郎だな。中坊の頃の死んだ魚の目をしていた奴がほざくなんぞ到底思えねェ台詞だな。あン時のテメェに是非とも聞かせてやりてェな」
「ふっ、だろうな」
鼻で笑う滝本。
少し間を開けて再び口を開いた。
「言葉を返すようで悪いんだが、お前こそ恋恋高校に敗れたのに、どうして球場なんかに居るんだ?」
「——ッ!? そ、そんな事はテメェには関係ねェだろォ!?」
不意な問いに、慌てて言葉を返す。
若干戸惑った表情を見た滝本は、珍しいモノを見たような意地悪くニヤリと不敵な笑みを浮かべて見せた。
「・・・・・・なンだよ」
「いいや、何もないが一つだけ言わせて貰うもすれば、悪道。お前も何かが変わったんだな」
「はァ? 何言ってんだテメェ」
「いいや、ただの独り言だ。気にする事はないさ。それより悪道。お前はもう進路は決めてあるのか?」
「・・・・・・あン? なんだァ、急に」
「俺たちは気付けば高校三年だ。高校野球を終えた今じゃただの受験生か就活生だろ」
「チッ。真面目ぶるンじゃアねェよ。知ったこっちゃねェな・・・・・・。そんなくだらねェ事、このオレが考えてるとでも思うか?」
「フッ、だろうな」
鼻で笑う滝本に対して、ギリっと歯を軋ませると、聞こえるように強い舌打ちを鳴らす。
「そう言うテメェは決めてるのかよ。プロを目指すとか調子に乗った戯言を吐くんじゃアねェだろうな?」
「プロか・・・・・・。今の俺には到底辿り着けない道だな。なんせ一度は踏み外した道だ。そう簡単に行くとは限らない。けど、いつかは行って見せるさ」
「・・・・・・それで? お前はその踏み外した道をどう歩んで行くつもりだァ?」
「俺はな、帝王大学に進もうと思ってる。智紀の『フォール・バイ・アップ』に魅せられて再び始めた野球だが、今度は『フォール・バイ・アップ』を打ち返せるほどの実力を着けて打ち崩してやる」
「って事は、あのアンダースローのチビはプロ志願を出すって事か」
「ああ、そうだな」
「あのチビが通用するとは到底思えねェが?」
舌打ち混じりに悪道は言う。
「さぁ、それはどうだろうな? 智紀の『フォール・バイ・アップ』は、誰かさんの『ドライブ・ドロップ』よりは良い球だと思うんだがな」
「——ッ!?」
「あくまでキャッチャー視線の話だがな」
意地悪く、滝本が笑いかえす。
それに対して虫の居所が悪くした悪道はギロッと冷徹な瞳で滝本を睨み付けた。
「麻生。まだ一点だ! 気にするなよ!」
アウトカウントは変わらず、ワンナウト二塁のピンチを再び迎えた麻生に対して、ファーストを守る戸井がマウンドへと駆け寄って来た。
「・・・・・・」
何しに来たのかと言わんばかりの薄ら笑いを浮かべた麻生は、ロジンパックに指先を馴染ませると、戸井に対してギロッと目を細めた。
「おっと! ・・・・・・なんだ? 急に恐い顔をするなよ」
「このオレ様に何か用か?」
「栗原の事前に調べ上げたデータを元に星と矢部の二人の打撃力は、お前のストレートなら恐るるに足らずと思ったところだったんだが、ちょいと誤算だったな」
「ケッ。そんな事を伝えにわざわざマウンドまで来たってのか? やっぱり落ちたモンだな、このオレ様も」
「用は心配してるんだぞ」
「このオレ様がたかが一点を取られたからといって気にしてるとでも思ったか? 折角、気にかけてくれてる優しさを振る舞ってくれる偽善者を装っている所悪いんだが・・・・・・依然、オレ様は至って冷静だぜ?」
「そうか! なら、安心だ。そう来なくちゃ麻生じゃあないよな! それよりも次のバッターは厄介な小波だが? この場面、お前はどう対処する?」
「このオレ様がそう易々と打れるとでも? それには心配及ばねェよ。相手が小波だろうが猪狩だろうが・・・・・・例えお前だとしても、オレ様はただ眼前に立ちはだかる奴らを捩じ伏せるだけだ。オレ様はオレ様の野球をする」
「そうか」
「まァ、例え打たれて失点したとしても、それでも点を取ってくれる。バックにはお前等がいる。そうだろ? 何の心配もねえ」
「麻生・・・・・・、お前」
「オイオイ、なんだァ? 戸井。試合中なのに拍子抜けた顔してんじゃあねえよ!」
「ああ! 悪い。なら、ここは任せたぜ!」
戸井鉄男は麻生の左肩を軽く叩と、すぐさま定位置へと走っていく。
そして、四番打者の小波を迎える。
『四番・ファースト 小波くん』
「行けェーーッ!! 小波ィーーッ!! 俺を必ずホームまで返せよッ!!」
二塁上から星が声を張り上げる。
麻生はチラッと目で牽制しながら、キャッチャーから出されるサインを見る。
首を左へと振る。
それが五、六回続く。
しかし、サインはなかなか決まらなかった。
「まさか・・・・・・麻生くん。小波くん相手に『あの球』を投げるつもりなのかしら」
パワフル高校のベンチで、スコアボードをギュッと握りしめ、一際、パワフル高校のマネージャーを務める栗原舞は密かな心配を持った。
きっと麻生のストレートは愚か変化球も小波相手には通用しないだろう、と言う確信があったからだ。
だが、その心配とは裏腹に栗原の表情は嬉しさに動かされて反動的に微笑んでいた。
チラッと目をグラウンドに向ける。一塁を守る戸井を捉えた。その戸井も同じ様に微笑んでいた。
(麻生・・・・・・。さっきの言葉、俺を驚かせるのには充分な言葉だった。お前はこの一年、俺達が思った以上に変わったよ。以前のお前なら俺達なんかは見下して頼りにしなかっただろうな)
(けど・・・・・・。今は違う。それはお前も感じてるだろ? 今のお前は紛れも無いパワフル高校のエースナンバーを背負った正真正銘のエースだ)
(頼むぞ・・・・・・。麻生)
八回目のサイン。
漸く、麻生は首を縦に振った。どうやらサインは決まったらしい。
ワンナウト二塁のチャンスの場面。ここは初球からバットを振って行くしかない。
小波はギュッとバットのグリップを握りしめて、投げ込まれるボールを待つ。
再度、二塁ランナーの星を目で牽制しセットアップから動作を始める。
『バックにはお前等がいる』なんて、オレ様らしくねえ発言なんてするもんじゃねえな。
ただ勝ちたい。
ただオレ様のその気持ちはずっと前から揺るがない。
このチームで勝ちたい。
これ以上は、打たせてたまるかッ!!
覚悟しろよ、恋恋。
オレの想いの前に、どんな覚悟を決めて立ち塞がってるのかなんて知りもしねェが・・・・・・オレの鋭いストレートでねじ伏せてやるッ!!
「喰らいやがれッ!! これがオレの渾身のストレート!! 『ポィンティド・ショット』だッ!!」