廃と群像のグリムガル ~不惑の幻想~   作:西吉三

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更新しないとアクセス増えないから、第2章始めちゃいました。
どんどんぱふぱふー*。:゚(´っω・*)゚・。+

第1章は書き切ることが目標だった!
第2章は満足行く描写を目指す!(すぐ挫けそう……。)


Level.2 1シルバーの英雄
プロローグ.真夜中の再会


 通りすがりの雲が、(あか)い月を(ふさ)ぐ。

 暗闇の先に、砂を蹴る音と激しい息づかいが聞こえる。不愉快(ふゆかい)な、金属の(こす)れあう音。

 時折、雲の切れ間から漏れた(あか)い月に照らされ、ふたつの白刃(はくじん)(きら)めく。火花を散らすかのように激しく衝突し、そして離れるを繰り返していた。

 グンゾウは緊張で口の中が乾く。

 鼻腔には嗅ぎ慣れた(カパー)の臭い。足下に(ぬめ)る液体。そして倒れた複数の人影。

 咄嗟(とっさ)に顔を確認し、安堵(あんど)する。そして、そっと首筋に触れ、生死を確認した。

 手遅れだ。

 ――確認の順番が違う。俺は神官なんだぞ。

 意味の無い反省。わかっている。

 しかし、神官である前に人であり、大切な仲間を思う気持ちは止められない。

 ――信仰が薄い所為(せい)だと、カレンは俺を責めるだろうか?

 注意深く、剣戟の音に近付く。

 数合(すうごう)続いた後に静寂が訪れた。

 ようやく、少ない光が網膜に捉えられる距離に近付いた時、目の前に衝撃的な光景を突きつけられる。

 突きの体勢で槍を構えたヨシノと敵の影。両者とも動きは止まっていた。ヨシノの首先には敵の長剣が突きつけられている。

 互角と言うには不利すぎる体勢だ。

「ヨシノっ!」

 グンゾウが駆け付けようとする。

「駄目っ!」

 ヨシノが荒々しく声を上げて、グンゾウが近付くのを制した。

「本当に来ちゃ駄目! グンちん」

 ――そうはいかない。

「勝負は付いてる! 俺等は辺境軍の正規兵じゃない。ただの雇われ義勇兵だ。俺の名はグンゾウ。神官だ。傷を負っているなら治療しよう。君等を追うことはない。仲間を解放してくれ!」

 敵に声をかけながら、慎重に(しの)び足で距離を詰める。

 暗闇で敵の顔はよく見えない。

 明るかったとしても、見えないと思われた。影像からクローズヘルムを着けている様子だったからだ。

 ――咎光(ブレイム)の射程まで、もう少し……。

 緊張で足が震える。頬の汗が流れ落ち、音を立てて神官衣に()みを作った。

「グンゾウ?」

「え?」

 美しい女性の声。

 敵に名前を呼ばれ、グンゾウの緊張が緩む。

 瞬間的に敵の影がヨシノから離れ、今度はグンゾウとの距離を一瞬で縮めた。光を反射する(やいば)軌跡(きせき)だけが、残像(ざんぞう)として脳裏(のうり)に残った。初めて目にする不思議な足捌(あしさば)きに目を奪われる。

 感心する(いとま)も無く、今度はグンゾウの首に長剣が突きつけられた。

 ――やばいっ!

 緊張に体を硬くする。グンゾウは(タナトス)()れられた心地がした。

 その時、気まぐれな風が通りすがりの雲を吹き飛ばし、月明かりをもたらす。

「え?」

 再び間抜けな声を上げると、そこにはクローズヘルムの面防(バイザー)を上げた敵の姿があった。

 切れ長の大きな目に長い睫毛(まつげ)。印象に残る深緑の瞳と(りん)とした眉。意志の強そうな眼差し。人間離れした小ささの美しい顔。透けるような白い肌。

「ヴ、ヴェール……」

「やはり、お前達か」

 ヴェールは殺気を保ったまま、口を開いた。

 (やいば)の気配を首元に感じる。

「あの……、同期の(よしみ)で、これ、下ろしてくれないか?」

「貴様に状況を選ぶ権利はない」

 凛とした冷たい声。

「わかった。さっき言った通り。俺達はただの雇われ義勇兵で、この件に深く関与する義務がない。よって君のことも報告しない。ルミアリスに誓おう。今、武器を捨てる」

 グンゾウは戦棍(メイス)を放棄して、両手を上げた。そして、ちらっとヨシノに視線を遣る。ヨシノは脱力し、膝をついて(ほう)けている。

 ――もうすぐチャンス来るかもよ。ヨシノちゃん。ヨーシノちゃーん。ヨシ子先生ー。

「追ってきたら、次は見逃さない」

 ヴェールはそう言うと、剣を収めながら、不思議な動きでグンゾウと距離を取る。上半身は動かさず、直線的に移動する足捌(あしさば)きだ。

 グンゾウは声をかける。

「ヴェール。君は何をしてるんだ? キッカワとはなんで別れたんだ?」

 ヴェールの動きが止まる。少しの静寂。そして(ささや)くような弱々しい声がする。

「キッカワは……、キッカワは死んだ。もう()()にはいない」

 そういうと、ヴェールは暗闇の中に融けていった。

「それは、どういう……?」

 グンゾウは暗闇に手を伸ばしたが、そこにあるのはヴェールの残した(かす)かな幻影(げんえい)だけであった。

 

 




第2章を面白いと評価してくれる人がいますように……☆彡     (-人-;) 

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