最初の段落の後に、アニメのオープニング曲とか入れると良い感じです(*゚ー゚)
「遅いぞ、このならず者共が! 何でこんないい加減な奴等に頼らねばならんのだ。大体、貴様等義勇兵はオルタナの治安を乱す、ゴミのような輩だ。その存在は下手をすればあのゴブリンよりも劣り……」
夜警
受付の兵士はそれに腹を立てて、先程から
遅刻したことは全面的にグンゾウ達の過失であるが、お小言の言い様は酷いものだった。遅刻に対する叱責に
そもそも義勇兵になっている人間の多くは、あの塔から謎に湧いてきた得体の知れない
そんなオルタナの社会的背景もありながら、さらに
グンゾウ達の目の前で長いお小言を繰り広げている兵士は、典型的な義勇兵嫌いの兵士らしい。そして、体格が貧弱で
「よって、虫ケラのように湧いた貴様等下等な存在が、辺境最強の武人、イアン・ラッティー准将配下で働けるだけで名誉なことであり、むしろこの
――
「むかちーん。なんや、その言い草は。温厚な俺もそろそろ切れるで、ほんま」
シムラが興奮をして、食ってかかろうとする。グンゾウは後ろからシムラを羽交い締めにして、捕らえた。背負った矢筒の矢がグンゾウの顔に当たって痛い。
「まあまあ、シムラ落ち着いて。いつものことじゃないか、どうどう」
ヨシノやアキもうんざりした表情をしている。義勇兵だって好きで塔から湧いたわけではないし、好きで義勇兵になったわけでもない。
リョータがゆっくりとシムラの前に出て、そのイガグリ頭を左手で制しながら話しかける。
「おいおい、シムラ。こんな雑魚一般兵にガタガタ言ってんじゃねーよ」
――おっ! 珍しくリョータが大人だ。成長したなー。
グンゾウはリョータの成長について、大きな感動をもって受け止めた。
「文句言う前に殴っちゃえばいーんだよ、殴っちゃえば。
そう言うなり、リョータはお小言兵士の顔面を全力の右拳で殴る。殴られた兵士は後ろに吹っ飛んで、壁にぶつかると床に崩れ落ちた。
――なんですとー!!
「光よ、ルミアリスの加護のもとに、
グンゾウの手に慈愛の光が宿り、伸びている雑魚一般兵Aの傷を治す。顔に残る傷と共に、犯罪の証拠が消えていく。
グンゾウは顔の傷を癒やしながら、手首を取り、脈を確認した。
――特に命に別状はなさそうかな? 犯罪の片棒を担がされた気になる。こういうことするから、義勇兵の立場が上がらないんだよ。アホリョータめ。あれ? なんだろこれ?
一般兵Aの手首には月と雲が意匠されている小さな入れ墨が入っていた。兵士の中には過去に所属した特殊部隊の入れ墨を入れている者がいる。
――この弱さは、特殊部隊経験者って感じじゃないけどなー。
「なんだかよー、俺等は時間通り来たのに、あいつがぐずぐず手続き遅らしてたんすよねー。おまけに足を滑らせて
「ああ、……まあな。
一般兵Bは自嘲気味にそう説明した。
「義勇兵も
一般兵Bは、まだ伸びて寝ている雑魚一般兵Aを
――ばれてるな……。
オルタナはアラバキア王国の辺境に存在している。つまり領土争いの最前線だ。そのためオルタナ生まれの兵士には、身分の
――
「配属の指令を言い渡す。戦士リョータは天望楼の正面警備隊、戦士ヨシノは天望楼の裏門警備隊、聖騎士アキは要人警護隊にそれぞれ配属だ。オルタナの中枢警備だ。最善を尽くしてくれ。何をするかは、それぞれの部隊で説明がある。この指令書を持って早速向かってくれ」
一般兵Bのおじさんは蝋で封をした指令書を3人に渡した。
「狩人シムラと魔法使いハイドは南門警備隊だな。ついているぞ。ここからは少し遠いが比較的治安もよく楽な場所だ」
そう言って、同じように指令書を渡した。
「やったで!」
「シシシ、日頃の行いだな」
――いいなー。あれ? 俺は? 俺は? アキと一緒が良かったなー。
「神官グンゾウ殿は、一番キツイ即応部隊だ。何か有った時に、オルタナ全体に駆け付ける。すまんな、今夜は戦のせいで神官が少ない」
「はい……」
――がーん。治療要員として待機とかじゃないのー? それなら、お姫様の護衛とかが良かったなー。
「シシシ、全くもって日頃の行いだな」
――人の思い出の服を勝手に盗み出して
グンゾウはハイドに軽く殺意を抱いた。
しかし、アキに声を掛けられたので、グンゾウの機嫌は一気に良くなる。
「グンゾウさん、頑張ってくださいね」
「ありがとう、アキ。アキも気を付けて」
「はい」
アキは、はにかむように笑った。いつもの笑い方だ。
――キタコレ! あ、が、る、わー!
全員で衛兵事務所を出る。
リョータの分厚い手が勢い良く合わされ、「パン」と大きな音が空高く響く。
「うっし、朝番が起きるまでのたかだか数時間の仕事だ。さくっと勤めて、1シルバーもらって寝るぞ。じゃ、解散!」
珍しくリョータが綺麗に締めたので、「ほーい」「ほいほい」「シシシ」等と言いながら、
「じゃあ、みんな無理しないで、気を付けてー」
一旦は皆と外に出たものの、グンゾウは即応部隊なため衛兵事務所で待機だ。皆が散らばるのを見届けると、衛兵事務所に戻った。
――一番近いのが正門のリョータじゃ、会いに行く
――オルタナで大きな犯罪なんて聞かないし、ゆっくり茶でもしばきながら、衛兵の知り合いでも作ろうかな?
なんて考えていたグンゾウの予想は大きく裏切られることになる。
事務所に入って即応部隊の役割や編成等の説明を受け終えた直後、午前3時半を過ぎた辺りで、急報がもたらされた。
「南区で爆発を伴う火災だ! しかも広範囲で火の回りが早い。明らかに油や火薬が使われている!」
「同じく、東区でも火災。こちらも広範囲」
「北区でも火事だ! 範囲は狭いが、人の多い市場の一部が燃えている」
早馬で駆けてきた兵士が、次々と衛兵事務所に飛び込んでくる。オルタナの南区、東区、北区で同時発生した大規模な火災の知らせだった。
西区でも火災が発生しているかもしれないが、泥酔したホームレスが日常的にそこらに火を付けたりしているので、あまり取り上げられない。ホームレスが起こした火災の被害はたかが知れている。西町の不祥事は
オルタナの建物は石造りが主なので、延焼しづらい。そのため何も原因がなく大規模な火災に発展ことは考えがたい。さらに、午前3時半では人が活動していることも少ないため、火の不始末を除けば火災も起きにくい。となれば、火災の原因は放火だ。
即応部隊の指揮官とおぼしき
グンゾウはお茶を
――被災地域が随分と城壁寄りだな。外からの攻撃だろうか?
白髪の混ざった口髭を触りながら、悩んでいる。周囲の兵士はいつでも動けるように緊張した面持ちで控えていた。
「んーむ、一番の被災地は南区だが、東区はお偉いさんの家が多い。よし! 南区に第1、第2小隊が向かえ、戦士ギルドと連携して当たれ! 東区には第3、4小隊、魔法使いギルドと連携! それぞれ、到着と同時に状況報告の早馬を出せ! 北区の火災は北門警備隊のみで対応しろと伝えろ! 商工会とルミアリス神殿に協力を要請しろ! 急げ!」
周囲の兵士達は指揮官の命を受けると、「はっ!」という返事をすると同時に弾けるように動き出した。
即応部隊は6小隊から構成される。1小隊は6人である。ルミアリス信仰が盛んなアラバキア王国では六芒にちなんだ数字を使うことが多い。
今夜は戦で何人か駆り出されているため、補充要員として義勇兵団から何人かが加わっているが、普段は朝番、昼番、夜番でそれぞれ36人の兵士が任務に就いている計算になる。
グンゾウは第5小隊に配属されている。つまり、出動命令が出ていない。緊急事態であったが、指揮官は第5、6小隊を温存しておいたことになる。
――
グンゾウはお茶をちびりちびりと
そこへ騒がしい音を立てながら、1人の兵士が衛兵事務所に駆け込んでくる。兵士は傷付き、
「急報!! 天望楼の裏門が何者かによって襲撃を受けている! 応援を求める!」
――ヨシノの居る場所だ! 普段なら全然安心だが、今日は大丈夫だろうか?
傷付いた兵士は叫ぶと、床に倒れ込んだ。死んではいないようで、聖騎士らしき男が光魔法を使っている。
「よおし! 来たか! 第5、6小隊は裏門に急行! 伝令! 引退した者を含め、予備役を全部呼び出せ! 天望楼内を守るぞ!」
指揮官は机を叩くと、大きな声で吠えた。
――まぢかー。そうだと思ったんだよねー。最近アキが優しいなーと思ったら死亡
「義勇兵、準備だ!」
第5小隊の隊長がグンゾウを急き立てる。第5小隊の隊長はジニーと言う名前だった。長身で筋肉質の若い男だ。
「はいはい。光よ、ルミアリスの加護の元に……
グンゾウはまず最初に
「第5小隊、出発するぞ!」
第5小隊は全員
あっという間にグンゾウと第5小隊は天望楼の裏門近くまで到着する。
裏門まで残り150メートルというところで、突然「うっ!」という
「どうした?!」
ジニーが訊くと、しゃがみ込んだ兵士が答える。
「肩に矢を受けました。天望楼とは逆方向の暗闇からです」
「なんだと!」
ジニーの慌てた声。
足が止まり、全員が周囲を警戒する。
目が
次の瞬間、またしても
「脚を撃たれました! 狙撃です! 我々は狙われています!」
次々と矢音がする。
――遅い!
「
グンゾウが叫んだ。一瞬の静寂の後、ジニーが叫ぶ。
「神官の言う通りにしろ!」
その声に従い、第5小隊の全員が
訪れる暗闇。
人間の目は、
全員、息を殺して、暗闇の中、静寂を保っている。時折、矢が刺さった兵士の痛みを
――まだ目が暗闇に慣れないな。
グンゾウはジニーの
――神官がやられたら、お話にならないからな。
「グンゾウと言ったか……お前の方が戦の経験が豊富なようだ。次はどうしたらいい?」
ジニーが静かな低い声でグンゾウに訊いてくる。
「敵の所在が分からない以上、光魔法は
「何故、
ジニーにはグンゾウの発言が理解できなかった。
「それはね……俺が、……俺が
グンゾウは悲しそうな顔をしたが、暗闇の中、ジニーがそれを見ることはなかった。
まあ、人生色々ありますが、頑張って書きます。
次回でプロローグに戻る感じです。
なお、“ウリリン”と“カボチャン”は2度と登場する予定がありませんが、もし登場させて欲しい方がいらっしゃいましたら考えます。