Girls und Panzer -裏切り戦線- 作:ROGOSS
とても面白かったです。
私も仲良しの大洗女子やその他の学校を書くことを決めました。
あぁ、心が痛い。
電話のコール音がいつもよりも重く感じたのは気のせいではないだろう。事実、電話を掛けることは億劫であったし何度も途中までダイヤルを押してやめていた。しかし、どのような結果になったのか一度気になってしまっては確かめずにいられなかった。
自分の性格に半ば呆れながらも、まほは受話器を耳に当てた。
間もなく、電話の相手が第一声に発するであろう言葉は容易に想像できた。
「みほっ!? みほなの!?」
「……申し訳ありません。まほです」
「そう……」
電話の相手、西住流家元「西住しほ」は明らかに元気のない返事を返すと大きくため息をついた。
その一挙一動が今のまほには痛いほど突き刺さっていた。
「お母様、それでどうなりましたか?」
「えぇ……WTFCに直接抗議の電話をしたわ」
「そ、そうですか……」
正直そこまでの事をやるとは、まほですら予想していなかった。
あくまでも戦車道に厳しい目線で接するWTFCに、しほは日頃苦言を呈していた。
余計な詮索によって若い芽を摘むこととなる、ありもしない噂話を調査して練習の妨害をしている等々内容は様々だった。
それほどみほを大切に……。
一度は勘当しようとしていたみほに対するしほの深い愛、まほは感動すると同時に嫉妬にも似た一種の負の感情を抱いていた。
もちろん、それを口にすることはない。
「わかりました。私の方でも色々探してみます。どうかお体にお気をつけて……」
「頼んだわ……」
衰弱仕切ったしほの声を最後に、一方的に電話は切られた。
しばらく呆然と受話器を持ったまま、まほはどことなく窓へ目を向けた。
自分がロマンチストだと思ったことはない。幼い頃から、西住流次期当主として油まみれになり、鉄臭くなりながら練習に没頭していた。それが嫌だと思ったことは一度もない。それでも、同じ空の下のどこかにみほがいるかもしれないと考えただけで、ジンと胸の奥が熱くなった。
受話器を戻し、ぼんやりとしているとコール音がけたたましくなり始めた。
またお母様かしら……? いい加減にして欲しい……。
電話に出た瞬間に発せられるしほの「みほ?」という言葉にまほは心を痛めていた。
どこの世の中に、消えた身内と間違えられた喜ぶ人間がいるというのだろうか。
無視を決め込もうとするも、まほは妙な胸騒ぎを覚え電話に出る。
波の音が聞こえてくるも、電話の相手は何も話そうとはしなかった。数分だか数十秒の間が開いた後、電話の相手の話す気配がした。
「……お姉ちゃん」
「……!」
その声をどれだけ待ち望んでいたことか。恋焦がれていたことか。
口を開こうとするも、驚きのあまり声が出ないでいた。
何か言わなくては……!
焦れば焦るほど、頭の中は真っ白になり言うべき言葉が浮かび上がらない。
「ごめんね。心配かけて」
「みほなのか……?」
「うん、そうだよ」
「今、どこにいるんだ?」
「それは言えないよ」
沈黙が流れる。
やがてみほは、まほが思いもよらなかった事を口にした。
「お姉ちゃん、手伝ってよ」
「手伝うって……何をだ?」
「復讐だよ」
「なっ……!」
あの優しい妹が。どこか頼りなさそうに見えて、人のことを誰よりも考えている妹が。純真無垢な妹が復讐をしたいと言っただと……?
まほの心境をよそにみほは言葉を続けた。
「私は許せない。大洗女子学園は私の故郷だったのに……それをっ!」
「……しかし、復讐なんていうのはダメだ。何も変わりはしない」
「お姉ちゃんにはわからないよっ!」
ヒステリックに叫んだみほの言葉が頭の中で反響する。
お姉ちゃんにはわからない。確かに、一度戦車道から身を引いたというのに廃校を阻止するために、誰かのために戦車に乗る気持ちはわからない。信じていた仲間に裏切られ、大切なものを取り落とす気持ちもわからない。
それでも……
「それでも……みほ、考え直すんだ」
「もう遅いんだよ。お姉ちゃん」
今のは本当にみほが言ったのか?
その一言には、かつてのまほの知っているみほの面影は一切無くなっていた。
深い闇に呑み込まれ、深淵の底から恨みを吐き出す悪魔の声にまほは背筋を凍らせる。
自分の実の妹にまほは恐れ慄いた。
「お姉ちゃん……参加してくれるよね?」
逡巡。
参加しない選択がベストだとはわかっていた。そうしなくてはいけないとはわかっていた。
しかし、ここで私がみほを見放したらどうなってしまうのか? 彼女の暴走を止められる人は私をおいて他にいるのだろうか?
思い出したのは、あの日の風景。
怪しげに話し合う彼女達に疑問を抱かなかった自分への怒り。最後に見たみほの笑顔、そして怒りに震え涙する鬼の顔。
そうか……私にも責任があるのか……私が気付いていれば鬼を産むことはなかったのだから……。
「……わかった」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
返ってきた甘い声にまほは体を震わせた。
それは悪魔の囁きであり、鬼の誘いであった。決して聞いてはいけない禁断の言葉。
「それじゃぁ、ティーガーにヤークトティーガー、パンター。それと……」
「それは……! それを持っていけと! 正気なのかみほ!」
「当たり前でしょ? あと乗員もね。お姉ちゃんなら、大丈夫だよね」
「…っ!」
「ありがとう。それじゃぁ、今から言う場所で待ってるからね」
指定の場所を言うとみほは一方的に電話を切った。
まほにしてみれば、今日二回目の出来事だった。
まほの手から受話器が滑り落ちた。力なく椅子に座ると、まほはみほに言われた内容を思い出した。
「あれを……使うのか? みほは一体どこへ行ってしまったんだ……」
まほの嘆きを聞く者は、この時どこにもいなかった。
私「空から戦車の空挺部隊とかかっこよくない?」
友1「たしかに! 書けばいいじゃん」
私「難しいんだよね……」
友2「実際空挺戦車ってあるんでしょ? それ使えば」
私「あれって戦えるの?」
友「いちおは? 戦車だし」
私「あいまいだな」
友2「まあまあ。ドイツみたいに潜水艦に歩兵250名、戦車2両詰め込んで吶喊させようとした国もあるんだよ? てか、そっちのほうがかっこいい」
友「どっちか書けよ。強制な」
私「…空挺にします」
どうでもいい日常でした。
みほが要求した戦車……果たして何でしょうか? もちろんドイツ戦車ですがマウスではありません。