Girls und Panzer -裏切り戦線- 作:ROGOSS
様々な理由があるようですが、目の形や髪色は特になるほどと感心しました。
実際どうなんですかね?
水島監督は、二期の制作を仄めかす発言をしていましたが……楽しみです。
(今やってる迷家も良いですね)
「優花里さん、ありがとう。これだけ揃えられれば……」
「そんなことはないであります。これくらいのことをするなんて造作もないですよ」
「Wow! こんな物、どこにあったの?」
「あまり詳しくは言えないんですけど……いわゆる、裏社会ってところですかね。幾つかは、
優花里は、心底嬉しそうに目の前の
かつて、第二次世界大戦中に作られた戦車を狩るためだけに特化したそれらの中には、地雷や無反動砲などという物騒な物も混じっている。
『私達がやるのは、戦車道ではありません。戦車道に裏切られた私達が、戦車道の
みほの一言から始まったのは、紛れもない戦争のための準備だった。
旧日本軍の如く、あるチームは危険と知りながらも、洞窟の拡大・拡張工事を行い、あるチームは上陸して来るであろう浜辺に地雷を埋め、崖の上に砲台を用意し、そしてあるチームは例の戦車を高台へと移動させた。
恨みや恐怖、憎悪といったものは人間である以上、誰しもが心の奥底に秘めているものである。ゆえに、そのマイナスの思いからなる絆は脆弱である一方で、またとない強い繋がりを持たせることができる。
たとえ家族であろうが、親類であろうが、友であろうが、恐怖政治によって情報を密告させることで国を統治してきたドイツ第三帝国。
戦友を祖国を汚され、侵され、自分もまた殺されることを拒むために戦い続ける、戦場の兵士達。
負の感情というものは本来、人間を支配するためには必要不可欠なものなのだ。
そして……ほぼ『全員が裏切られること』を経験したことによって、負の感情を急激に芽生えさせている彼女達は今、地球上で最も強い
「我々に勝利を。唯一無二の絶対勝利を。裏切り者には死を。大義は我らにあり。
不敵な笑みを浮かべた大隊長は、そう呟くと空を見上げた。
この空が鉄風雷火によって赤く染めあげられるように。この島が、剣林弾雨のような地獄と化すように……。
笑みが止まらない。笑いが込み上げてくる。あぁ、おかしい。正々堂々と正面から受けて立つ? 馬鹿め。そんな約束をどうして守らなければならない。精々、私達の前で踊るが良い。私の計画を阻むのは、すべて殲滅するまで。
その笑顔を遠巻きに見ていた彼女は、視線を逸らした。これ以上見ていては、自分までもが堕ちてしまう気がしたからだ。
「みほ……」
もう届かない名前を呼ぶことが、今の彼女に許された唯一のことだった。
●○●○●
「横須賀を出港した我々の母艦は、まもなく硫黄島へ最も接近する。明朝0400時より、上陸用舟艇LCMによって鎮圧部隊は母艦より出動。0700時より、オペレーション『デタッチメント』を発動させる。本作戦の最大目標は、武装蜂起の鎮圧及びリーダーと思われる西住みほの保護にある。ここまでで質問は」
「よし、では続ける。彼女達は競技用の戦車によって武装している。その種類、数は不明。だが、我々の方が戦力的優位に立っていると考えて良いだろう。東海岸は、我々には不利な寄せ波が予想される。よって、主力部隊は西海岸より上陸。別動隊は私と共に東海岸から上陸せよ」
「東海岸上陸部隊をミッチャー部隊、西海岸上陸部隊をホーランド部隊と以後は呼称する。ホーランド部隊の最大目標は、上陸地点における橋頭堡を確保。並びに元山周辺に存在すると予想される反乱軍主力部隊の鎮圧にある。指揮は副隊長に任せる」
「わかりました!」
「ホーランド部隊の最大目標は、擂鉢山の確保だ。あそこは現在でも、火山噴火の可能性が高く、有害なガスも発生しているため反乱軍もいないことが予想されている。ホーランド部隊は擂鉢山を確保した後、適宜情報を伝える管制塔の役割を担ってもらう。こちらは私が指揮を執る。質問がある者は」
「高校生相手に戦うというのは、気が引けるかもしれん。だがな、ここで抑えなくては彼女達は更に間違ってしまう。それだけは避けるぞ。私達もかつては戦車道を受講した身。後輩を救う気持ちであたってくれ」
「
「よし、解散」
隊員達は、天音へ再度敬礼をすると駆け足でブリーフィングルームから去っていた。残った副隊長は、大丈夫ですか? と声をかけながら天音へと近付いていく。
「大丈夫なもんか。やれ鎮圧しろと、文科省も命令したくせに情報を出すことは渋る」
「彼等も一枚岩ではないのでしょう。何かを企んでいる……そう考えるほうが当然ですね」
「せめて、どの戦車が消えたのかさえわかればな」
「大丈夫ですよ。私達が負けるわけがありません」
「やけに強気じゃないか」
天音はニヤリと笑うと副隊長の頭をクシャクシャに撫で回した。長年の付き合いになる天音が、一回り身長の小さい副隊長が頭を撫でられることを嫌っていることを、知らないわけがない。
一瞬、目を釣り上げ文句を言おうとした副隊長だが、天音の顔を見るとやめてしまった。
特殊カーボンで守られているとはいえ、いざ実戦となってしまえば彼女達を傷つけてしまうかもしれない。
情報が足りないがゆえに的確な戦況判断が出来ず、死人が出てしまうかもしれない。
戦車道とて、一歩間違えば死傷者が出るかもしれない危険なものだ。今までそのような事故が起きていないのは、試合前にお互いに情報合戦を行うことで対策を立てているからだ。
だが、今回はそれができない。
それでも、死傷者を出すことは何としても避けなくてはならず、そしてその責任は天音リンという女性一人の身に余るほど重くのしかかっていた。
「仕方ありませんね……」
副隊長は、しばらくなされるがままに徹することを決めた。