問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜全ての神々〜   作:八風

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第10話

「さて、これでいいかなー」

 

そう言う、凛の手元にはビンに入ったソーマがあった。

その作成過程を白夜叉は興味深そうに見ていたのだが

握りつぶして、出た液体がビンに入るときには神々しい光をはなっている。

 

「おんしは何をしているのだ?」

 

「ソーマ草が欲しかったのは、神力を蓄える性質があるからなんだよー。それを利用して強力な治癒の加護を与えたんだ」

 

ほお、と白夜叉は何かを思いついた顔をしていたが

それは話す気はないようだ。

 

「して、おんしよ。そろそろ戻ったほうがいいのではないかの」

 

「そうだねー。ウサギちゃんの所へ行くよ。ヤーヌスにより此処に望む扉を開きたまえ」

 

 

 

 

黒ウサギと十六夜の目の前に急に扉が出現した。

"フォレス・ガロ"の敷地内であるため、二人は警戒する。

しかし、それは杞憂に終わる。扉から出てきたのは凛だった。

 

「ただいま、ウサギちゃん」

 

「り、凛さん!」

 

「へえー、便利だなそれ。見たところ知っている人か場所に行ける扉ってところか?」

 

「さすが十六夜くん、その通りだよー。それよりゲームはどうなってるのー?」

 

その問いかけに黒ウサギはハッとする。

その反応を見て、凛は何かあったことを悟ったが聞かなかった。

なぜなら、ゲーム終了を告げるように、周りの木々が霧散したからだった。

樹によって支えられていた廃屋が倒壊していく音を聞いて十六夜と黒ウサギが走りだしたので、凛も後を追った。

 

「何でこんなに急いでるのー?」

 

「そうだぜ、そんな急ぐ必要はねえだろ?」

 

「大ありです! 黒ウサギの聞き間違いでなければ、耀さんはかなりの重傷のはず……!」

 

「黒ウサギ! 早くこっちに! 耀さんが危険だ!」

 

三人は瞬く間にジン達の元に駆けつけた。

黒ウサギは耀の容体を見て思わず息を飲んだ。

 

「すぐコミュニティの工房に「そんなことしなくていいよ、黒ウサギ」

 

黒ウサギが言いきる前に凛が遮るように言った。

その雰囲気に黒ウサギはもちろん、ジンと十六夜ものまれた。

 

「な、治せるのでございますか!??」

 

「そうだぜ、黒ウサギ。何のためにゲーム中に凛がいなくなってたんだよ」

 

「そ、そうでございました!」

 

「ゲームが始まる前に言ったでしょ? でも本当は薬なんていらないけどね。耀をそこに寝かせて、黒ウサギ」

 

「は、はい!! お願いします、凛さん」

 

凛は耀の横に膝をついて、傷に向かって手をかざす。

 

「ディアン・ケヒトにおいて、その名の通りの力を此処に示せ」

 

凛から言葉が紡がれると、大きな力がその身を包み、かざしている手が激しい光を放った。

次に十六夜たちが目を開くと、耀の傷は跡形も無く消えていた。

それを確認して凛がいつもの雰囲気に戻った。

 

「よし、それじゃあ治ってるか確認するために服を脱がッッ」

 

言い切る前に耀が右手で凛を殴った。

 

「……私が来ている服はノースリーブ。脱がす必要ない」

 

「痛いなー。けど、その分じゃ大丈夫みたいだねー」

 

一同もそれを見て安堵する。怪我をしていた腕で殴るくらいだ、もうなんともないのだろう。

耀も怪我を治ったことを再確認させられ、お礼を言おうした時、黒ウサギが涙を流しながら凛に飛びついた。

 

「凄いのです! 一瞬であの怪我を治してしまうなんて、凛さんは凄過ぎるのです!!」

 

もちろん黒ウサギが引っ付くということは、その豊満な肉体が押し付けられることを意味するので

 

「ウ、ウサギちゃん!? いやー、まあ僕が頑張ればこれぐらいはできるよー」

 

役得だなと思っていた凛は、ジト目でこっちを見ている耀と目が合って居た堪れなくなった。

 

「そ、そういえば十六夜くん。何かやることあったはずだよねー、リーダーと行っておいでよー」

 

「そうだな。面白そうなモンが見れそうだったんだが、そっちが優先だ。行くぞ、御チビ」

 

「は、はい!」

 

木々が消えたのを知り集まってきていた人間のところへ十六夜とジンは向かう。

凛は火に油を注ぎそうな人間が消えて安堵していた。

そこに飛鳥がやってきた。

 

「春日部さん! 大丈夫だったの!?」

 

「うん、凛が治してくれた」

 

そう、と飛鳥は安堵や後悔が入り混じった顔をした。

その後、凛のほうを向き、引っ付いている黒ウサギにデレデレしているのを見て、ジト目をする。

 

「あら、凛くん。私たちが大変だったと言うのに何だか楽しそうね」

 

「そうだね飛鳥。これはお仕置きが必要」

 

「ちょ、ちょと飛鳥さん、耀さん! 凛さんがいなかった危なかったのですよ! 感謝しないといけないのですよ!!」

 

飛鳥と耀の物言いに黒ウサギが反発して、より凛を抱きしめる。

そのせいで飛鳥と耀の温度は急激に下がっていく。

身の危険を感じた凛は先ほどゲームで勝ち取って来たものを取り出した。

 

「そ、そういえば。治すのに薬はいらないけど、取ってきたのは本当なんだよー。

はい、三人にプレゼントだよー」

 

飛鳥には赤いリボン、耀には淡い緑のリボン、黒ウサギには緋色のリボンで閉じられたビンが渡された。そのビンには神々しい光を放つ液体が入っていた。

 

「凛くん、これは何なのかしら?」

 

「ソーマっていうものの下位互換って言えばいいのかなー。それを飲めば傷が全快する優れものだよー」

 

ソーマと聞き黒ウサギが驚きを露わにする。

 

「あのソーマでございますか!」

 

その驚きように貴重なものだとわかったのか耀が凛に聞いた。

 

「これ、本当にもらっていいの?」

 

「もちろんだよー。僕が力を使えない時や居ない時に三人が怪我をしたら困るもんねー。美人で可愛い三人には綺麗なままで居てもらわないとー」

 

美人やら可愛いやらという言葉に反応して顔を赤くする三人。

御世辞のようなものは山のように聞いてきた三人ではあったが、同年代の男子にこんなにストレートに言われるのは初めてだった。

 

「そ、そんな言葉やプレゼントで騙されるほど、この久遠飛鳥は甘くないわよ!」

 

「ほんと…凛は生意気」

 

「そうでございますよ! 凛さんは生意気です!」

 

プレゼントもしたのに文句を言われると思ってなかった凛は何でという顔をした。




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