【未完】問題児たちが世界の引き金を握っているそうですよ?   作:銀炭

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また時間かかったのにいい感じに出来ない・・・


9話 正式入隊日

「・・・ふぅん、あいつが迅の言ってた新入りか」

 

1月8日 ボーダー正式入隊日

 

玉狛支部に入ったという新人を見に来た十六夜は、興味深そうに目標人物(ターゲット)を観察する。

 

「(見た目はそう強そうには見えない、動物だったら鶏ってとこか。けど、それにしては違和感がある)」

 

そういえば、と迅から聞いていたことを思いだした。

あのチビ、三輪隊退けたんだったな。

 

戦闘員4人とオペレーター構成の三輪隊は、それぞれが巧みな連携を取ることでA級へと登り詰めたまさしく「チームで点を採る」部隊。個々の実力も高く、サシでやったら十六夜以外なら割りと点を取られる事がある。

まあ簡単に言えば、連携(袋叩き)にするチームと言える。

 

「・・・中々面白そうなチビじゃねぇか」

 

黒トリガーも使うみたいだし、一回ヤリアッテミタイ。

 

戦闘狂が牙をむく。

 

 

 

 

─────────────

 

 

 

 

「訓練室を一つ貸せ、嵐山。迅の後輩とやらの実力、確かめてみたい」

 

一階に降りてくれば、なにやら修羅場のような刺々しさが一角で漂っていた。

発生源は主に風間、そしてその周り。

 

「待ってください風間さん!彼はまだ訓練生です、トリガーだって正隊員のものじゃない!」

 

訓練生の指導教官をやっていた嵐山が反論する。

 

「おれはべつにいいよ」

 

しかし話題の中心にいると思われる白髪のちっこいのはあっさり了承。だが、

 

「いや、そいつじゃない。三雲修、俺が確かめたいのはお前だ」

 

「!?」

 

風間が指名したのはちっこいの──────空閑遊真ではなく正隊員のメガネ──────三雲修だった。

 

「こいつは正隊員だ、模擬戦に問題はない。・・・訓練室に入れ、三雲」

 

「おいおい風間さん、そんな雑魚に構ってるのかよ」

 

『!?』

 

今度は全員が驚いた。振り返るとそこには獰猛な笑みを浮かべた破壊系問題児、逆廻十六夜が立っている。

 

「まあそいつとやりたいってなら俺は邪魔しない、その代わり」

 

空閑の隣まで歩いてきた十六夜は、ガシッと空閑を掴む。

 

「こいつは俺が貰ってく、それにちょっと見てみたいもんもあるからな。嵐山、連絡言ってるだろ。設定弄った訓練室貸してくれ」

 

「・・・・・・まさか城戸指令が了承するとはな。いいぞ、167と154だ」

 

「よしきた。ホレちび、そこ入れ」

 

入れと言いつつ空閑をブースに放り込む。普段だったらしないこの雑な扱いに、獰猛な笑みの中にある影を見て風間と嵐山は気づいていた。

 

スイッチ入ってる。

 

不定期にやってくる十六夜の戦闘狂スイッチON。トリガーは不明で、気がつくとランク戦が荒らされている。

主な被害者は太刀川と三バカ、風間と嵐山は直ぐに見分けがつくので「最高にハイッ!!」になってスイッチが切れるまで距離を取って傍観している。たまに捕まってポイントがごっそり持ってかれるけど。

普段なら離れたところから犠牲者に向かって合掌するか、スイッチON状態の十六夜の手綱を握れる逆廻隊メンバーか数少ないオペレーターに頼んで鎮静化させている。ちなみに戦闘員で手綱を握れるものは春日部耀、久藤彩鳥、那須玲の3人だけ。今はそのメンバーが誰一人として現場にいない為止めることは不可能。他の面子だと揃って屍の山に変えられてしまうので役に立たない。

 

「風間さん、空閑くん大丈夫でしょうか」

 

「・・・・・・早めに満足すれば問題ないだろう、ヒートアップすれば諦めるしかないが」

 

そしてこれまた極稀ではあるものの、戦闘の最中に「みwなwぎwっwてwきwたwぜwぇw」とか「WRYYYYYYYYYYY」とか言って「最高にハイッ!!」を通り越してしまうことがある。そこ、ダークシグナー時代の満足さんとか悪の帝王みたいだとか言わない。

つまりキャラ崩壊しながら被害が拡大するのだ。太刀川と米屋は以前これで5000ポイントくらいまで搾り取られた。

 

「だが、三輪達を退けたと聞いた。A級と渡り合えるだけの実力があるのなら・・・・・・いややはり何とも言えんな」

 

「・・・・・・何で許可出したんでしょうね、城戸指令」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、早速やるとするか」

 

仮想訓練室で一人軽い準備体操をする十六夜。トリオン体なのでウォームアップは必要ないのだが、彼は気分で動くのであまり気にするものではない。

そこに、ボーダーの訓練生用ではない()()()()()()()に換装した空閑が転送される。

 

「・・・あんた、なにがしたいの?」

 

「別に?ただあの近界民殺し(ネイバーキラー)が率いてる部隊を退けたって胡散臭い同僚に聞いてな。どうしても戦ってみたくなった、それだけだぜ?」

 

向かい合った両者の表情は、真逆のもの。十六夜はおもちゃを前にした子供の様に獰猛に、空閑はそんな十六夜を見て怪訝そうに。

 

 

「まあ、これ以上時間使ってヤレナクなるのは嫌だ。始めるぞ」

 

そして十六夜はポケイン、空閑は我流の構えを取る。初見相手にポケインってどうなんだおい、てか若干片言になってる。

 

「ああそうだ、始める前に名乗っとくか。俺はA級9位逆廻隊隊長、逆廻十六夜だ。よろしく頼むぜ、白チビ」

 

「おれは空閑遊真、ユーマでいいよ。あと白チビってなに?」

 

「白髪のチビで白チビだ、名前で呼ばせたけりゃこれで俺に認めさせるこったなぁ!!」

 

先手必勝、ポケットから手を出した十六夜は何もない空間に向かって適当な力で拳を振り抜く。ただそれだけ。何か投げたわけでも、距離を詰めて殴ったわけでもない。

 

「ッ!!」

 

しかし、空閑はそれだけで吹き飛ばされた。

十六夜のやったことは単純明快、拳圧を飛ばしただけである、様子見の軽めで。

それでも数十メートル後退させられた空閑は瞬時に態勢を立て直し、十六夜に向かって全速力で走り出す。長期戦になればなるほど不利になると見抜き、短期決戦を狙っているのだ。

 

「『強』印五重+『射』印、『強』印三重+『弾』印」

 

五重強化のボルトで牽制、その直後に三重強化のバウンドで一気に距離を詰める。

 

「ハッ、しゃらくせえ!!」

 

だが十六夜はボルトを蚊を払うような仕草で消し飛ばし、急接近してきた空閑に対して

 

「オラァッ!」

 

「!? なっ」

 

回し蹴りを叩き込んだ。蹴りが入る直前、咄嗟の判断で四重シールドを集中させて張る。

 

 

 

『トリオン体崩壊』

 

 

 

しかしそれを紙切れのように突き破り、十六夜の蹴りは空閑の身体を消滅させた。




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