【未完】問題児たちが世界の引き金を握っているそうですよ?   作:銀炭

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追記:都合によりかなり適当な模擬戦のその後を追加しました。


10話 十六夜vs空閑

十六夜と空閑の模擬線一本目が終了した頃、訓練室前では。

 

『・・・・・・』

 

観戦していた面子が一言も喋らずに突っ立っていた。風間、嵐山はただ見つめているだけだったが、三雲は違う。

 

「・・・え、な、は?」

 

喋らないのではなく喋れなかった。辛うじて一文字のレベル。

それもそうだろう、三輪隊を一人で退けた空閑が、あっけなく消し飛ばされたのだから。

 

「あの、風間さん、嵐山さん。あの人って何者なんですか?」

 

訳がわからないといった顔で訊ねてくる三雲に、風間は真顔で返す。

 

「・・・・・・何者、か。正直、俺たちも理解しているわけではない。あいつに関して言えることがあるとすれば、お前が今見た光景があいつだということだけだろう」

 

「三雲くんも聞いただろう?A級9位逆廻隊隊長だと、それが彼だ」

 

「逆廻隊はA級という枠組みから外れているような部隊だからその説明もあまり役に立たないがな」

 

「それもそうですね。まあ一言で言えば規格外、それに収まると思うよ」

 

つまりよくわからない存在である、三雲は何度考えても結局その結論以外には辿り着かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおいそんな薄っぺらい紙切れみてぇなシールドで俺の蹴りが防げるとでも思ってんのか?」

 

空閑が再転送されてから開口一番に飛び出した言葉である。ニヤニヤギラギラと、獰猛かつ楽しそうな影のある笑みで空閑を挑発する。

 

「いやいやあんた強すぎでしょ、咄嗟に張れるシールドで一番硬いのだったんだけど」

 

「なら待っててやるから全力で張れ」

 

これにはムッと来た白チビ空閑。呆れながら返したら今度は待っててやるなんて言われたのだ、元がそれなりに好戦的なこともあってかあっさり着火。

 

「レプリカ、やるぞ。あんなに言われたんだからギャフンと言わせてやらないとな」

 

『・・・ふむ、少し気になることもある。全力で張るとしよう』

 

にゅっと出てきた黒い炊飯器──────レプリカの補助付きで限界硬度のシールドを張り始める。

 

「(なんだあの炊飯器、見た感じトリオン兵っぽいんだが。ってかあの炊飯器がシールド張る補助してんのか)」

 

ばっちり目視で確認している十六夜。耀ほど目が良くないものの、彼もそれなりに遠くまで見える。レプリカくらいなら普通に見えているのだ。

十六夜にガン見されているとも知らずにシールドにブーストをかけ続ける一人と一匹。五重『強』印付与のシールドをどんどん重ねていく。

 

「・・・・・・よし、これが限界だな」

 

結果シールド数は30枚、これ以上作ると崩壊する、というラインの一歩手前まで張っている。

※(作者が勝手に作った限界です、原作の方で限界があってもご都合主義で見逃してください。

 

「お、出来たみたいだな。んじゃあ早速ぶち破るけど準備はいいな、よしオラァ!」

 

ぶち破ることが前提になっている時点でシールドを試す意味があったのだろうか。

今度は蹴りではなく単純に正面からぶん殴る。一点集中のシールド、その中心を狙って。

 

『トリオン供給機関破損』

 

当然の如くシールドは突き破られ、十六夜の拳は空閑に突き刺さった。しかも貫通してトリオン供給機関をダイレクトに破壊している。落ち着いた筋肉のスラスターパンチでもここまでの威力は出ない。

 

「・・・ちっ。あれで全力かよ」

 

舌打ちをしながら空閑のいた場所を睨む。全力と言っていたわりにはあっけなく壊れたのが気に入らないのだろう。

 

「全力をあっさり破られると流石にへこむんだけど」

 

再度転送されてきた空閑はため息を吐きながらめんどくさそうに言う。彼としても予想だった、全力のシールドが紙切れのように破られてしまったのだから。

 

「あんたには防御なんて通じない、どんだけ工夫しても破られて終わるだけだな」

 

「へぇ、ならどうするんだ?簡潔に纏めて聴かせろ」

 

「避けて殴る、それだけだね」

 

空閑の呆れたような目に闘志が宿る。構えを取り、いつでも仕掛けられるよう。

 

その目を見て、十六夜は苛立ちを消した。今までとは違う本物の闘志。太刀川や風間が宿す、歴戦の戦士の風格。

空閑のイメージに混じっていた鶏に似た何かは微塵もない。

 

「・・・いいな、その目。気に入ったぜ」

 

十六夜もポケットから手を出し、軽く首を回す。何故かゴキゴキと痛々しい音が鳴った、トリオン体なのに。

そして握った拳を前につきだす。

 

「その目に免じて今日は許してやるぜ、あの紙切れみたいなシールド。だから来やがれ、俺を全力で楽しませろ」

 

瞳をランランと輝かせ、堂々と宣戦布告。消えかけていた期待は再び燃え、未知との戦闘を前に心が踊る。

どこまで戦えるのか、どこまで力を出せるのか、どこまで追い縋ってくるのか。

 

どこまで──────折れずに立ち向かってくるのか。

 

「来やがれって言うんなら遠慮なく行く」

 

その直後、空閑は予め仕込んでおいたブースト付きバウンドで一気に十六夜との距離を詰める。今度は最初のような牽制はなし、カウンターに集中を注ぐ。

 

「ハッ、いいぜ!真っ正面から突っ込んでくるならこっちも礼をしてやる!」

 

一直線に進んでくる空閑に地を蹴り足元を爆発させながら前進する十六夜。

あまりの速さに瞬間移動したかのように見えた空閑、しかし目の前に距離を詰めて現れた十六夜に素早く反応し、

 

「『強』印五重!」

 

ブーストを掛けたボディブローを叩き込んだ、つもりだった。

 

「っ!?やっぱり駄目か」

 

紙一重で回避され、警戒していた高速のカウンターが飛んでくる。それをサイドステップで回避し、足払い。

 

「オラァ!」

 

十六夜はそれを、足を地面に叩きつけることで防御。ドガアアアンと爆発音を響かせ、衝撃波を発生させる。相変わらず無茶苦茶。

衝撃波をモロに食らった空閑は吹き飛ばされながら体勢を立て直し、同時に無数の『射』を放つ。時間稼ぎにすらならないだろうが、せめて視界を隠すくらいの効果を期待して。

 

「よっと!」

 

飛来するアステロイドを腕の一振りで全て消し飛ばし、両手に2つのトリオンキューブを発生させる。

そして、合成。

コンマ数秒で合成を完了させ、それを10×10×10分割する。

 

「アステロイドばっかじゃつまらねぇだろ?これは授業だ、覚えれたら覚えとけ」

 

分割したトリオンキューブを、体勢を立て直した空閑に向かって射出する。

空閑の上から、横から、地を這うように。全方位から空閑に向かったトリオンキューブは

 

「な───────」

 

盛大に辺り一帯を爆散させ、空閑を粉砕した。

煙が晴れるとそこには、爆発の威力で跡形もなく破壊された道路。

 

 

 

──────変化炸裂弾(トマホーク)

 

出水公平の編み出した高等技術、合成弾の一種。リアルタイムで軌道を引くことの出来る変化弾(バイパー)と、爆発する炸裂弾(メテオラ)の2つを合成することで作られる。

合成弾は合成中、その他の行動が一切出来なくなることと、凄まじい集中力が必要なことから使用者は少ない。

しかし、十六夜は作ろうと思えば何時でも隙を作ることが出来る上に頭脳が常人の域の遥か彼方に達しているため、彼自身に隙などほとんど無い。というか彼と同格でなければ隙なんて一切生まれない。

つまり、やりたい放題なのだ。

 

合成弾の原点である出水も、「あいつに教えた俺がバカだった」と後悔している。教えてすぐにトマホークでペイルアウトさせられた恐怖は未だにトラウマ。それ以来、十六夜とランク戦をするときは3本まで、十六夜のみ合成禁止となった。

 

 

 

閑話休題(それは置いといて)

 

 

 

キラー○イーンもびっくりの火力で粉砕された空閑は、残り2本の模擬戦をするために再び転送される。

 

「なんか凄いやつだったな、囲まれるし爆発するし」

 

「それがトマホークってやつなんでな、少しは授業になったろ?」

 

ニヤニヤと笑う十六夜にまたもため息をついて構えを取る。

 

「今度は遠距離なしでやってよ、あんなの出されたらおれなんも出来ずに終わっちゃうじゃん」

 

「ヤハハ、近距離限定なら俺に追い付けるかもとか思ってんのか?」

 

「やってみないとわかんないでしょ」

 

だっ、と駆け出す空閑。迎え撃つように、十六夜も空閑目掛けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、十六夜を探していた彩鳥に見つかり本部から連れ出された。エヴリシングカンパニーでの会議をほったらかしていたそうな。

勝敗は5対0で十六夜の圧勝(尚本人は物足りなかった模様




今回はいつもより少し多めになった。
戦闘描写はもう少し長くしたかったなぁ。

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