【未完】問題児たちが世界の引き金を握っているそうですよ?   作:銀炭

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遂に始まる大規模侵攻。ここからようやく戦闘がまともに書けそうです。
あ、活動報告でアンケートやってます。そちらもどうかお願いします。


11話 大規模侵攻

「・・・来たか」

 

黒く染まっていく空を見上げながら、十六夜はトリガーを掴む。

溢れるように門から現れるトリオン兵を見て、目を細める。

 

「鬱陶しいくらいわらわら出てきやがって、木偶の坊が」

 

トリガーを起動し、戦闘体に姿を変える。

 

「4年前もこんな感じ・・・いや、それよりも多いな」

 

足元に一枚、グラスホッパーを展開して飛び乗る。瞬間、十六夜の身体はトリオン兵の遥か上空を舞う。

両手にトリオンキューブを出し、町に群がる有象無象に放った。

一撃で敵の装甲を砕き、弱点の目を破壊する。

 

「迅の見た未来だとてめぇらの勝ちらしいぜ、けど悪いな」

 

軽薄な笑みはどこにもなく、冷酷に、そして憤怒を宿した瞳で、眼下のトリオン兵(ゴミ)を睨み付ける。

 

「俺はその未来、ぶっ壊さなきゃいけねぇんだわ。だから──────」

 

 

 

──────さっさとくたばれこのゴミ共

 

 

 

大切なものを守るために、最悪の未来をぶっ壊すために。

 

彼女の死を、覆すために。

 

 

 

セクハラエリート(迅悠一)の見た未来を否定するため、逆廻十六夜は戦場を駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次の大規模侵攻、お前が負けると同時に俺らの負けが決まる』

 

トリオン兵を粉砕しながら市街地を移動している十六夜は迅に告げられた未来を思い出す。

 

『お前の前に合計で4人の黒トリガー、もしくはお前と同格かそれ以上のやつが出てくるんだ、確率は五分五分。そのどっちでも、お前の負けで必ず最悪の結果になる』

 

『市民が虐殺されて、ボーダー本部も崩壊。俺も太刀川さんたちも全滅、犠牲者も出る』

 

『その中に綾辻や久遠──────お前の大切な人が含まれてる』

 

 

 

「絶対に起こさせねぇ・・・そんな未来」

 

目の前にいるモールモッドを空の彼方へと吹き飛ばしバンダーを踏み台にして砕きながら跳躍、空を悠々と泳ぎながら爆撃準備をするイルガーを殴る。

陸でも空でも関係なし、視界に入ったトリオン兵は全て破壊された。

 

「・・・あ?」

 

そこへ、更にゲートが開いた。中から現れたのは見たこともないトリオン兵、それが2種類。

 

一体はウサギのような耳を持った人形に近いトリオン兵。

 

もう一体は頭に二本の角が生えた馬型。

 

「(見たことないトリオン兵だな、新型か?片方はウサギでもう片方は・・・角が二本の馬、てことは双角獣(バイコーン)か?)」

 

初めてみるトリオン兵を注意深く観察し、真横から仕掛けてきたモールモッドの口に手を突っ込み目を握り潰す。

行動不能になったかどうかも確認せず、新型の二体の前で仁王立ち。

 

「ハッ、実在する動物ばっかでトリオン兵作ってるのかと思ったら動物以外でもいやがったか」

 

今まで見てきたトリオン兵は全てハムスターやモルモットなどの実在の動物をもじって名前がつけられていた。しかし今回出現したバイコーンは神話や伝承に登場する、所謂《幻獣》という部類だ。その多くが強弱様々だが特別な力を持っている。トリオン兵だとどうなるか不明だが。

 

「まあどうでもいいか」

 

だがしかし今の十六夜に戦闘を楽しむ理性は残っていない。あるのは敵に対する殺意と憤怒だけである。

 

「よっこら、せっ!」

 

だからよくわからないし知る必要も無かったので、とりあえずウサギのほうをぶん殴った。腕でガードしようとして、その腕ごと木っ端微塵に砕け散る。

その次の瞬間、バイコーンの頭がズルリと首から落ちる。

頭のあった位置には十六夜が弧月を構えて立っていた。どうやら切り落としたらしい。

 

「本部、聞こえるか。十六夜だ。新型らしい奴が二種類投入されている」

 

『十六夜君か、忍田だ。詳細を頼む』

 

「一体はステキなウサギ耳、もう一体は角が二つ生えた馬、多分バイコーンってやつだ。動かれる前にぶっ壊したから詳しいことはわからねぇ、ただウサギのほうは腕が他のトリオン兵よりも硬かった。スコーピオンでも弾かれるかもしれん」

 

通信に応じた忍田に十六夜独特の表し方で特徴を伝える。その伝え方と若干苛立ったような声に思わず苦笑してしまう。

 

『了解した、新型の対処はできる限り君が頼む。それとだ』

 

「ああ?他になんかあんのかよ」

 

『いやなに、君がいつもより落ち着いていなかったからな。一つ、こちらの事は任せてくれとね』

 

忍田の言葉に十六夜はその場で立ち尽くしてしまう。自分が落ち着いていないとは砂粒程も思っていなかったのだ。

 

「・・・ヤハハ!いいぜ、そっちのことは任せた!俺はいつもみたいに愉快に苛烈にゴミ処理してやることにするぜ」

 

『それでこそ十六夜君だ、頼んだぞ』

 

「おうよ、任された!」

 

ブツリと通信を切り、大地を砕いて空へと飛びあがる。それと同時に本部とは違う回線を開く。

 

「聞こえるか、春日部」

 

『うん、もう戦ってる』

 

相手は春日部耀、大規模侵攻開始直後から戦線に加わっていた。積み上げたスクラップの数は十六夜に次ぐ。

 

「守りのほうは完全に任せる。俺はめんどくせえ人型の相手しなきゃいけなくなるかもしれない」

 

『いいよ、心配しなくて。本部には近寄らせない』

 

「おお、そりゃ期待しとくぜ。ヤバかったらあれ(・・)使っていいぞ」

 

今度は十六夜ではなく耀が驚いた。通信越しでもわかるくらい大きく「え」、と漏らすほど。

 

『・・・・・・いいの?』

 

「安心しろ、後のことは俺がどうにかする」

 

『なら、遠慮なく』

 

こちらもプツリと通信が切れた。いきなりやる気が増したらしい。ククッと笑う。

そしてもう一度手にトリオンキューブを出現させた。今度はさっきよりも二回りほど大きい。

それを100×100×100分割、合計100万発というぶっ壊れ具合に。

 

「春日部もスイッチ入ったみたいだからな、俺も本気でいくとするか」

 

目視で確認できるだけのトリオン兵を見つけ、その統べてに向かってトリオンキューブを射出。

巨大なトリオンキューブから次から次へと出てくるその様はまるで雨のよう。歌川の時の百倍の数が市街地を目指すトリオン兵に降り注ぐ。

 

「ただのアステロイドで壊れるとか脆すぎるんじゃねぇか?」

 

ただ単純に十六夜のアステロイドの威力が高すぎるだけである。

しかし彼にとってはこれが標準、敵が可哀そうに見えてくる。

空から一撃死の雨を降らせるとかもうどっちが悪役なのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 アフトクラトル遠征艇

 

モニターを見つめる男は険しい表情で、十六夜を睨んでいた。

 

「・・・・・・玄界(ミデン)にはあんな怪物がいたのか」

 

「以前からの情報でも信じられないほどの戦闘力でしたが・・・実際に見ても正直疑いたくなります」

 

傍に控えていた副官らしき女が頭を抱える。言葉通り、信じられなかったのだろう。従来のトリオン兵だけでなく新型まで何も出来ずに倒されていくその光景が。

 

「だから言ったんだ、あれを甘く見てはいけないと」

 

その後ろで壁にもたれ掛かっていた白髪の少年がやれやれと言わんばかりにため息を吐く。

 

「それだけじゃない、あの少女もかなりのものだ」

 

「・・・どうしますか?確実に仕留めておかなければ後の作戦に影響が出る可能性も」

 

「ああ、ここで止めておかなければ」

 

男はモニターに背を向け、自身を見る5人を順に見る。

 

年老いていながら、どこか覇者のような風格を漂わせる老人。

 

無表情で男を見つめる青年。

 

楽しそうな笑みを浮かべる赤髪の男。

 

斜めのおかっぱ頭で何故かイラついている男。

 

そして、壁にもたれながら笑みを浮かべる少年。

 

「ヒュース、ランバネイン、エネドラには予定通り行動してもらう。ヴィザ爺はあの少女を」

 

「ふむ、腕が鳴りますな」

 

ヴィザと呼ばれた老人が答えると、他の三人も(一人不満そうだが)うなずく。

最後に白髪の少年に視線を向ける。

 

「お前にはあの怪物の相手をしてもらうことになるが、いいな?──────カルキ」

 

 

 

「ああ、勿論だ」

 

 

 

カルキと呼ばれた白髪の少年は、その笑みを深くしながら答えた。




思ったよりも長くなった割には後半が心配に。これから戦闘に入るので内容を濃くしていきたい。

前書きでも書きましたが活動報告でアンケートやってます、そちらも是非。

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