【未完】問題児たちが世界の引き金を握っているそうですよ?   作:銀炭

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てことで2話目です。どうぞ!


2話 眼鏡少女と問題児

綾辻と別れ、自分の教室へと向かう十六夜。朝早いというのに校内は既に活気が溢れている。

 

「うちも騒がしいがこっちはもっと喧しいよなぁ。人数の差ってのもあるのかもしれねぇが」

 

んなこたあどうでもいいか、と思考をその辺に投げ捨てる。気にしたって何か変わるわけでもないのだ。

 

「ま、平和ならそれでいいんだけどな」

 

「そーだよー、平和じゃなかったらこんな風に学生生活だって送れないからねー」

 

独り言に後ろから返答がくる。またこいつか、と若干呆れながらも、振り返る。

そこには眼鏡をかけた少女がいた。

 

「よう宇佐美、取りあえず後ろから眼鏡かけさせようとするんじゃねぇ。俺は目悪くねぇし伊達もかける気はねぇぞ」

 

「だってイザ君あげてもあげてもかけてくれないじゃん。だったらこっちがかけさせるまでだよ」

 

宇佐美栞

ボーダーの支部の一つ、玉狛支部に所属するオペレーター。玉狛を支える優秀な人材の一人。ボーダー眼鏡人間協会名誉会長。ことあるごとに眼鏡を渡し、布教する眼鏡人間(一部地の文の独自解釈が含まれています)。既に十六夜も何本か押し付けられており、正直相手にするのは玉狛に行ったときだけにしてほしいと思っている。悪い奴ではないのだ。マイペースだが気さくで面倒見もいい、眼鏡を布教しようとするところ以外は。

 

「もう何本お前から押し付けられてると思ってんだ、布教すんなら俺以外にしろ」

 

「えー、イザ君に布教が成功すれば他の人もかけてくれそうじゃない?ボーダー内だとと良くも悪くも有名人なんだから」

 

「悪い方向で有名人だったら誰もかけねぇな」

 

踵を返し、教室へと歩き出す。あいつといたらまた眼鏡受け取るハメになる、と憂鬱そうに心の中で呟いた。ところで

 

「あ、そうだ、イザ君ちょっとこっち来てくれないかな」

 

腕を掴まれぐいぐいと引っ張られていく。いつも唐突に行動を起こす彼女だが、十六夜を引っ張っていくなど今までになかった。

 

「おいこら引っ張るんじゃねぇ、どこ行くかしらねぇがまずは離せ。ついてってやるから」

 

「ダメ、どうせ逃げちゃうでしょ?これでも付き合いそれなりにあるんだから、それぐらいわかるんだよ」

 

その通りだった。離された瞬間ダッシュで逃げるつもりだったのだが、宇佐美には一切通用しないらしい。振り払って逃げるかとも考えたのだが、下手をすれば怪我させてしまう。結局、逃げることを諦めた十六夜はおとなしく彼女についていくことにした。

 

 

__________________________

 

 

 

引っ張られること数分。十六夜が連れてこられたのは本校舎とは離れた場所にある第二校舎。理科室などがあるが、朝早いこの時間には人の気配は一切ない。

 

「・・・・・・この辺でいいかな」

 

第二校舎の最奥、音楽室まで来たところで宇佐美は十六夜の手を放す。本校舎の自分のクラスまでかなりの距離がある場所まで連れてこられたおかげで問題児は若干不機嫌になっている。

 

「こんなところまで連れてきやがって、何がしてぇんだよ。つうかHRに遅れちm

 

言葉は続かなかった。何故なら、

 

「・・・・・・」

 

宇佐美が十六夜に抱き着いたからだ。唐突すぎて流石の十六夜も固まってしまう。一体どうしたのかと、なぜ抱き着いているのか。だが、それを考える必要はなかった。

 

「・・・うぅ・・・・・・イザ君のバカァ・・・」

 

宇佐美は泣いていた、顔を十六夜の胸板に押し付けて。今度こそ本当に理由がわからなかった。泣かせるようなことをした覚えは十六夜にはなかった、はずだ。多分。

 

「えーっと、なんで泣いてんだ?」

 

「・・・だってぇ・・・イザ君が死んじゃったらどう、しようって思ったらぁ・・・」

 

なるほど、と十六夜は思った。つい先週まで十六夜はオペレーターすらなしで単身ゲートの向こうへ遠征に行っていたのだ。城戸指令の命令(お願い?)と十六夜の気分で適当に決まったのだ。連絡するのが普通なのだが、問題児故にこの少年に常識という言葉は通用しない。

 

「遠征に行ってくれ」

 

「よっしゃ行こう」

 

ここまで軽いノリではなかったものの、話に入った次の瞬間には既に決まっていた。面倒だからと誰にも連絡はなし。唯一、カナリアの家には連絡がボーダーから入っていたが、こちらもこちらで

 

「「イザ兄だし大丈夫でしょ」」

 

となんの心配もしていない。身内故の信頼、ということもあるのだろう。心配する必要がないくらい強いから、遠征が終わったらのらりくらりと帰ってくる。だからほっとけばいい。十六夜のことを一番理解しているものたちからしたら、心配など不要だったのだ。

だが、ここで一つ十六夜は気になることがあった。

 

「どうして俺が遠征に行ってたことをお前が知ってるんだ?上層部とカナリアの家以外には誰も知らないはずだが」

 

「・・・・・・偶々ボスの部屋の前を通ったときに聞こえたの。『彼を一人で行かせてもよかったのか』って」

 

「・・・あの馬鹿司令と駄目支部長め、聞かれない場所で話とけよ」

 

今度二人纏めて締めるべきか、と予定を一つ追加する。それから、未だに泣き続ける宇佐美の頭を優しく撫でる。

 

「まあ、今回ばかりは俺たちが悪かったか。心配かけるようなことしたわけだからな」

 

「ホントだよッ・・・!どれだけ心配したか分かってるの!?」

 

怒気を含んだ視線で、宇佐美は十六夜を睨み付ける。本気で心配されていることを理解した十六夜は、心配されていることを少しだが嬉しく思っていた。

 

「悪かったとは思ってる。だが、言っちまえばあれは極秘任務だった。マスコミにバレる可能性も考えると、誰にも言わないほうがよかったんだよ」

 

「・・・・・・そうかもしれないけど」

 

「いいか、この事は黙っていてくれ。詫びならできる範囲でする。」

 

無理難題を押しつけられなきゃいいなぁ、と若干諦めているが一応言ってみた。そんなことを言うほど鬼畜じゃないと思うが。

 

「・・・なら、今度二人でどっか出かけよ、それで黙っててあげる」

 

「おう、そんでいいなら・・・ってそんでいいのか?」

 

思っていたよりも普通?で拍子抜けしてしまったらしい。無理難題は押しつけられなかった、やったね十六夜。

 

「うん、それで許してあげる。拒否権はないよ」

 

「オーケー、なら予定はそっちで決めといてくれ。後で連絡してくれりゃいい」

 

「わかった、なら決めとくね」

 

一応スッキリしたらしく、宇佐美は本校舎のほうへ戻っていく。が、そこで振り返って、

 

「あ、今度黙って何か危ないことしてたらみんなにばらすからね、全部」

 

釘を刺された。もうあいつらの言う極秘とか信用しねぇとか思いながら、十六夜はおう、と応える。

そして時計を見てようやく時間に気づいた彼は、急いで宇佐美のあとを追うのだった。




どうでしょうか?何か急ぎ過ぎた感があると思うんですが。
宇佐美の登場は予定通りだったんですけど、ノリで書いてたらこんな風になってしまった。
正直展開を早くしすぎて自分でもついていけてません。
でもまあ、これから何とかしていきますか(白目

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