【未完】問題児たちが世界の引き金を握っているそうですよ? 作:銀炭
でも黒トリガー争奪戦とかどうするかが中々・・・
5話 イレギュラーゲート
月日は流れ、冬。
一人で遠征に行っていたことが他のメンバーにバレて説教されたり、防衛任務中に太刀川が警戒区域の一部を真っ平にしたり、十六夜が回収班を泣かせたり、彩鳥が逆廻隊に入隊したりと色々な事があった。作者にはそれらを書く力と余裕がないので仕方なくキングクリムゾン!!
閑話休題
学校の屋上で遥と昼食を摂っている十六夜。何時もと違って少し眠そうに目を擦っている。
「どうしたの?眠そうだけど」
顔を覗き込んで綾辻が問う。ちなみに二人共無意識に手を繋いでいるのでかなり距離が近い。
「・・・いや、最近報告書だのエヴリシングカンパニーとの会議だので帰りが遅くてな。報告書は空いた時間で適当にやれるから問題ないんだが、会議に関しては孤児院側の代表として出張でいないクソババアの代わりをやる必要があるんだよ」
「・・・・・・オーバーワークだね、高校生がやるレベルじゃないと思うんだけど?」
「まったくだぜ。こっちは眠くて仕方ねぇってんだ。出資者のジジイ共もこっちの都合を考える素振りすらない」
舌打ちをしながら愚痴をはき出す十六夜。ストレスを溜めこむことが少ない彼がここまでイラついているのは珍しい。
「じゃあ、寝る?あんまり長い時間は寝れないと思うけど」
「・・・どうせ寝るんだったら午後は全部サボるか」
「それは流石に・・・」
堂々とサボり宣言をする十六夜に遥は苦笑する。生徒会副会長の前でこんな態度が取れるのは彼ぐらいだろう。
「・・・いや、寝てる余裕はなさそうだ」
「え?それってどうい———————」
ウーーーーー
『緊急警報、緊急警報。門が市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください』
十六夜が空を睨んだその時、空を無数の穴が埋め尽くした。大量に現れるトリオン兵。モールモッドやバムスターが溢れだすように門から出現する。
「市街地にゲート!?誘導装置が故障したの!?」
「そんなこと言ってる暇はないぞ。遥、お前は急いで生徒をシェルターに避難させろ!」
遥に指示を出し、金網を飛び越えて十六夜はグラウンドに降りる。
「トリガー、起動」
トリガーを起動し、落下する中で孤月を構える。
(警戒区域なら遠慮なくぶっ飛ばせたんだが、仕方ねぇ。孤月で何とかする)
が、その前に十六夜はアステロイドの雨をグラウンドに降らせる。膨大なトリオン(実際は無限)を使い可能な限り駆逐する。6割まで削れたところで孤月を抜刀、落下の勢いのまま真下にいたモールモッドをブレードごとぶった切る。
「こちら逆廻。本部、誰かいるか」
『十六夜君か、忍田だ』
「馬鹿みたいにトリオン兵が降ってきやがった、誘導装置はどうなってやがる!?」
『原因はわからない。ただ、装置の故障ではないことは確からしい。ところで、現在の状況は?』
「4割は削ったんだが殴れないせいで校舎裏まで手が回らない。どっかの隊員近くにいねぇか!?」
『さっき荒船君から連絡が入った。風間隊の菊地原君と協力して殲滅中らしい。歌川君は避難中の生徒の護衛だ』
忍田から状況を聞いてとりあえず問題なさそうだと安心する。そして弧月を構え直した。
「なら問題ねぇな。あっちが終わったら伝えといてくれ、護衛に集中しろって」
『わかった、彼らは殲滅が終わり次第護衛に付いてもらおう』
プツリと通信が切れる。そこへ丁度飛びかかってきたモールモッドとバムスターを一太刀で切り伏せ、
「そうか、警戒区域まで殴り飛ばせば問題ねぇよ、な!」
背後から襲ってくるモールモッドを裏拳で天高く吹き飛ばす。あ、キラッって光った。警戒区域どころか星になった気がするが、そこは十六夜だから諦めよう。むしろあの勢いで警戒区域に落ちたらクレーターが出来る。
「ギムレット」
一瞬で威力の高い貫通弾、《ギムレット》を作り出し直線上のトリオン兵を一掃する。
「オラァ!!」
そしてバムスターの下に潜り込み真上に蹴り上げる。蹴った部分に大穴が空き、また一体撃沈。次々とトリオン兵を葬っていく。
「ヤハハ、まだまだ行くぜ!!」
__________
その後、現れたトリオン兵を全て片付けた十六夜はシェルターに確認に来ていた。ちなみにグラウンドにはトリオン兵の残骸が山のように積まれている。
「あ、十六夜君!」
そこへ十六夜を見つけた遥が駆けよってくる。
「遥か、被害はどうだ?」
「校舎がちょっと壊れた以外は特に何も。怪我人もいないから安心して」
「わかった。後で本部に報告に行くから一緒に来てくれ」
「うん。あ、ちょっとこっち来て」
状況の確認をしたところで、遥に人気のない所へとグイグイ引っ張られていく十六夜。あれ、何かデジャヴ。
「どうした?シェルターの中に何かあるのか?」
「・・・・・・・・・」
うん?と首を傾げながら大人しく引っ張られていく。
数分後
生徒たちの声も聞こえないような場所まで連れてこられ、パッと手を離される。
「本当にどうした?まさかお前が怪我でもし・・・」
言葉は続かなかった。十六夜に抱きつきながら、遥が泣いていたからだ。それだけで、十六夜は訳を察した。
「・・・・・・怖かったか」
「・・・うん」
優しく頭を撫でながら、そうか、と相づちを打つ。
「・・・・・・怖かった。目の前に門が開いて、トリオン兵が出てきて。十六夜君がいても、殺されるんじゃないかって・・・」
「仕方ねぇよ。お前は俺たちとは違う、オペレーターだ。トリオン体でもない」
「・・・・・・」
遥の体が震える。自分がトリオン兵に殺されるところを想像してしまったのだろう。
震える遥を、十六夜は強く抱きしめ、安心させる。
「大丈夫だ。お前は絶対に俺が守る、死なせなんかしない」
「・・・うん」
~数分後~
泣き止んだ遥は、名残惜しそうに十六夜から離れる。
「ありがとね、十六夜君」
「気にすんな。泣きたかったら泣け、胸ぐらい貸してやるよ。まあ、もうお前に怖い思いなんてさせないようにするのが一番だけどな」
「(・・・・・・あれ?さっきのって・・・何か、プロポーズみたいになってない!?)」
途端に顔を赤くする遥。ボンッ、という音が聞こえてきそうだ。いきなり赤くなった遥に、十六夜は首を傾げる。
「どうした?熱でもあるのか?」
「え、あ、いや、違うよ!何ともないよ!?」
「そうか?ならいいんだが」
不思議そうにしているものの、何ともないならいいか、と結論づける十六夜。自分の台詞にも気づかないのか、こいつ。ワンサマーとか言われてる世界最強の弟といい勝負だ。
「ほら、戻るぞ。解散させたら本部に行かないといけないんだからな」
「あ、待ってよ!」
踵を返し、避難している生徒たちの方へ戻る十六夜を、遥は慌てて追うのだった。
またラブコメやってるよ、どうなってんだこれ。